【楽天市場】AI時代突入!RPPの新機能をジャグー米原が解説

楽天市場における代表的な広告手法である「RPP広告(楽天プロモーションプラットフォーム広告)」が、今大きな進化を遂げようとしています。従来は、運用者が手動で設定や調整を行う設計でしたが、AIの活用や自動化を前提とした機能が次々と導入されつつあります。

本記事では、現在確認されている新機能を紹介するとともに、RPP運用、店舗運営を行う方々はアップデートに対してどのように対応していくべきか?についても解説します。

この記事の執筆者

米原 広兼
ジャグー株式会社

新卒で楽天株式会社へ入社。ECコンサルタントとしてSOY受賞店舗などをサポート。在籍中、2万人の社員の中から楽天賞MVPを受賞。2020年 ジャグー株式会社を設立し、EC運営の実行支援を行う。楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonで累計200店舗以上のコンサルティングを担当。担当企業のうち、累計9店舗が楽天SOY受賞。2店舗がYahooショッピング年間ベストストア受賞。

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RPP広告に起きている進化とは

楽天市場における代表的な広告手法である「RPP広告(楽天プロモーションプラットフォーム広告)」が、今大きな進化を遂げようとしています。従来は、運用者が手動で設定や調整を行う設計でしたが、AIの活用や自動化を前提とした機能が次々と導入されつつあります。

現在確認されている新機能は、以下のとおりです。

  • 実装済の機能
     候補キーワード表示機能
  • 今後実装予定の機能
     AIを活用した自動最適化機能
     キーワード設定の自動化
     CPC予約設定
     広告配信ペースのコントロール

RPP広告は、楽天市場に出店する多くの店舗様が活用しており、広告売上に直結する重要な施策です。本記事では、これらの新機能の概要を整理しながら、店舗運営者が今後どのように対応していくべきかを解説いたします。

実装済みの新機能「候補キーワード表示」

まず、現在すでに実装されている「候補キーワード表示機能」についてご紹介します。

この機能は、RPP広告で商品にキーワードを設定する際、楽天の購買データや商品情報をもとに、最大50個のキーワード候補を自動で表示してくれるというものです。表示順は、検索頻度の高い順に並び、広告設定時のキーワード選定をサポートしてくれます。

RPPでは1商品につき最大10キーワードまで設定できますが、「10個すべてを適切に選ぶ」のは意外と難易度が高く、表示やクリックに繋がらないケースも見られます。検索経由で商品にたどり着くユーザーは購入意欲が高いため、効果的なキーワード設定は非常に重要です。

ただし現時点では、関連性の薄いキーワードが表示されることもあるため、RMS内の「サーチワード」機能などで実際に流入しているキーワードを確認しながら、手動での精査も合わせて行うことが望ましいです。

この機能は、設定作業の負担を軽減するだけでなく、より購入意欲の高い検索ユーザーに的確にリーチするための強力な支援ツールとなっています。

今後実装予定の4つの新機能

ここからは、今後実装が予定されている注目の4機能をご紹介します。

AIを活用した自動最適化機能

この機能は、楽天の保有する購買データとAI技術を活用し、広告配信先ごとにCPCや配信量を最適化するというものです。従来のRPP広告では、CPCや予算が全ての広告掲載面へ共通設定されていましたが、今後は配信先ごとに強弱をつけた調整が可能になります。

設定画面では、「自動」と「手動」の配信タイプを選べるようになり、上限CPCを設定すれば、その範囲内でAIが最適化を実行します。

2024年12月に実施されたテスト運用では、ROASが+75.7%改善されたという報告があります。ただし、商材や金額の詳細は明かされておらず、楽天24など自社運営店舗の可能性もあるため、数値をそのまま鵜呑みにせず、自社でのテスト導入が推奨されます。

提供開始は、2025年Q2中が目標とされています。

キーワード設定の自動化

こちらは、候補提示だけでなく、事前に定めた条件に応じてキーワードの追加・削除を自動で行う機能です。たとえば、一定期間クリックがなければ自動で除外される、などの運用が想定されています。

これにより、広告効果の低いキーワードに無駄な費用を投下するリスクを減らし、運用効率の改善が期待できます。

CPC予約設定

多くの楽天イベントが20時開始/深夜1時59分終了という構成になっている中で、日中に調整したCPCがイベント開始時に最適ではないという課題がありました。

この「CPC予約設定」によって、事前に時間帯別のCPCを指定できるようになれば、イベントに合わせた戦略的な運用が可能となり、表示順位のコントロールがしやすくなると考えられます。

TDA広告における「イベント時配信強化設定」に近い仕様が、RPP広告でも実現される 見込みです。

広告配信ペースのコントロール

これまでのRPPでは、1日で予算を一気に使い切ってしまう「消化事故」がしばしば発生していました。

今後の実装予定機能では、時間帯に応じて広告の配信ペースを調整できるようになる予定です。これは、Yahoo!ショッピングやAmazonではすでに導入されている標準的な機能であり、RPPでもようやく実現される形となります。

配信の安定化と、予算の戦略的活用が進むことで、より効率的な広告運用が可能になるでしょう。

広告の自動化はRPPをどう変えるのか

これまでのRPP広告は、手動調整が中心でした。CPCの調整、キーワードの選定、予算配分など、すべてを人力で対応する必要があり、属人的な運用になりやすい側面がありました。

しかし、今後はAIによる自動化機能が加わることで、Google広告に近い構造へと進化していきます。ただし、完全に自動化されるわけではなく、手動による柔軟な調整も残される設計になる見込みです。

運用者にとっては、「自動調整に任せて終わり」ではなく、自社の商材や戦略に合った最適な設定を行うための知識と判断力が今まで以上に求められることになります。

まとめ|店舗様が今とるべきアクションとは

RPP広告は、楽天市場での販売を加速させる上で非常に有効な施策です。だからこそ、機能の進化が続く中でも、店舗様側が“戦略的に活用”する姿勢が問われます。

新機能が登場したからといって、いきなりフル導入するのではなく、まずは一部商品で試験的に導入し、効果を確認しながら運用を調整することが重要です。

また、RPP広告がAI主導の設計になっていく一方で、「完全自動化されることはない」と予想されています。最終的には手動による調整が成果に差を生むポイントとなるため、広告機能の仕様を深く理解し、自社にとって最適な使い方を探り続ける姿勢が求められます。

細かな運用を続けていくことで、RPP広告における競争優位性を確立し、他店舗様との差別化を図ることができるでしょう。

ジャグー株式会社では、楽天市場をはじめとする各種ECモールの最新情報の発信を行っています。また、無料相談も行っていますので、今後の施策や店舗運営についてお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

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