アパレル実店舗からECに転身!パーソナライズやレコメンドでリアルの接客を目指すCRM
インタビューの概要

もともとアパレル業界で販売、店舗開発、マネジメントに従事していた西北 麻菜美さん。2020年にレディースアパレルECサイト「Pierrot(ピエロ)」を運営する株式会社セレクトに入社し、実店舗を中心とした環境からECへとフィールドを移しました。

リアルとオンラインでは求められるスキルや戦略も異なりますが、西北さんはどのように適応していったのか。また、ECならではの成功した施策にはどのようなものがあったのか。これまでの取り組みについて伺いました。

アパレルに長く携わっていけるECへ!実店舗で培ったお客様目線を活かして

――EC業界で働こうと思った理由は何でしょうか?

西北さん:EC業界に入る以前は13年間、アパレルの実店舗で働いていましたが、この先も長く続けていくのは難しいなと感じ、広告会社に転職します。その後、やはりアパレルの仕事がしたくてアパレルECに従事することにしました。

アパレルの実店舗で接客をする際には、スタッフがブランドの世界観を体験し、その感覚を接客に活かすことが大事ですが、体力的な問題などを含め、長く続けるのは難しいと思っていました。そんな中、ECであれば私自身が年齢を重ねても、長くアパレルに携わっていけるのではないかと感じ、EC業界に足を踏み入れることにしたのです。

――同じアパレル業界でも実店舗とECではまったく異なると思います。どういった点で苦労されましたか?

西北さん:実店舗では、直接お客様と接してリアルタイムで反応を見ながら接客をすることができましたが、ECではその代わりにデータ分析でお客様を知ることになります。お顔の見えないお客様への対応に最初はとても戸惑いました。

しかし、実店舗での経験が無駄になることはなく、お客様目線で考える力はEC業務にも活きる部分が多く、少しずつではありますが、ECの運営にも慣れていきました。

社内のサポートや外部の専門家の皆様のサポートを受けながら、業務の理解や効率化を行い、またマーケティングに慣れてきたことで、少しずつ自信を持てるように。正直、最初は手探りで、わからないことが何かもわからずに混乱することもありましたが、多くのプロフェッショナルな方々の経験や手法を収集し、自身の考えだけに収まらずに学び続けることが大切だと実感しています。

――2020年4月にセレクト社に入社されましたが、西北さんの視点から見たセレクト社の強みや、お客様に選ばれている理由についてお聞かせください。

セレクト社が運営するECサイト「Pierrot(ピエロ)

西北さん:当社の強みは、お客様のニーズに合わせた幅広い商品ラインナップと、品質が高く、手頃な価格である点です。特に、サイズ展開が豊富で、誰でも自分にぴったりのアイテムを見つけやすいところが魅力です。また、デザインや素材にもこだわっており、価格以上の価値を提供できていると思います。

さらに、お客様の声をしっかり聞き、商品やサービスを改善し続けていることが、信頼され、選ばれ続けている理由だと感じます。

シナリオ配信+お客様の声に耳を傾けた工夫で成果を上げるCRM施策

――これまでセレクト社で携わったプロジェクトや施策の中で、特に成果を出したものや印象に残っている取り組みはありますか? 具体的なエピソードとともに教えてください。

西北さん:チーム全員で協力して進めた「顧客エンゲージメント強化と売上向上に繋がった施策」が4つあります。

まずはLINEを活用した「ステップ配信」の施策です。友達追加された直後にお礼のメッセージとクーポンを送り、その6日後には人気商品やベストセラーアイテムを紹介、14日後には再購入を促すクーポンを送信するといった配信設定を行っています。その結果、ステップ配信の開封率が72%を超え、ブロック率も低下し、リピーターの増加に繋がりました。

2つ目は「シークレットタイムセール」です。限定感と緊急感を醸し出すことで、購入意欲が高まり、売上の向上が見られました。シークレットタイムセールを定期的に行うことで、次回のセールへの期待感からお客様が定着し、リピーターを増やすことができました。

3つ目は「高単価なスタイリングセットの販売」を行ったことです。お客様から「スタイリングに困る」という声が多く寄せられたため、当社のスタッフがコーディネートしたセット商品を提案しました。特にシーズンごとに、オフィスカジュアルセットやオケージョンアイテムセットなどを打ち出したことで購入のハードルを下げるだけでなく、アップセルにも繋がっています。

4つ目は「クーポン選択型のポップアップ表示」を実装したことです。お客様が自ら最適なクーポンを選べるようにしたことで、クリック率が10倍に伸長、注文率の向上にも繋がりました。

――なるほど。まさにCRMの視点を活かした施策ですね。CRMツールは何か導入されているかと思いますが、どんな機能を活用しているのでしょうか。

西北さん:アクションリンクというCRMツールを利用していて、これを通じてお客様それぞれに合うメッセージ配信を行っています。具体的にはカゴ落ちメールやお値下げ通知メール、残りわずか通知メールなど8パターンほどのシナリオを活用し自動配信。日々の売上が底上げされている印象です。

アクションリンクを設定しておくだけで、購入につながる重要なタイミングを逃すことなくメール配信が行われるため、先ほどお話ししたような自社ならではの一工夫加えた施策に注力し、より売上を伸ばすことができています。

――競争の激しいアパレルEC市場の中で、セレクト社が差別化のために特に意識していることはありますか?価格競争が激しい中で、どのようなブランド戦略を取っているのか、また他社と比べた強みをどのように活かしているのか教えてください。

西北さん:”安さ”だけを追求するのではなく、品質やデザインにこだわった商品作りに力を入れています。商品はトレンドを取り入れながらも、シンプルで着回しやすいベーシックアイテムを中心に展開しており、ライフスタイルに合わせやすく長く使える商品であることが当社の主なターゲットである30代〜40代の女性からご好評いただいています。

また、他のブランドとの差別化としては、低身長・高身長向けなど特定のニーズに合わせた商品展開を行い、LOOKBOOKでブランドのシーズンテーマを表現しています。SNSも活用し、日常にあたりまえのようにPierrotファッションを感じブランドに対する信頼や愛着を持っていただけるように取り組んでおります。

パーソナライズやAIレコメンドを活用し「なくてはならないサイト」を目指す

――アパレルEC市場の今後について、西北さんはどのように見ていますか?競争が激化する中での成長戦略や、業界としてのトレンドなど、ご自身の視点でお話しいただければと思います。

西北さん:今後重要になるのは、パーソナライズ配信やAIを活用したレコメンド機能だと感じています。より自分に合った商品を見つけやすくすることで、商品をより魅力に感じていただけるのではないでしょうか。ただ商品を販売するだけでなく、毎回訪れるのが楽しみな「なくてはならないサイト」として興味関心をそそるコンテンツを提供することが、これからの成長に欠かせない要素だと思っています。

――今後、西北さんがセレクト社で挑戦したいことや、実現したいことがあればお聞かせください。

西北さん:実店舗でお客様に直接感動していただけたように、ECにおいてもお客様にとって感動的なショッピング体験を提供したいと考えています。オンラインでも価値を伝えられるようなコンテンツやサービスを作り上げていきたいです。また、パーソナライズやAIレコメンド機能を活用して、お客様一人ひとりに最適な提案ができるよう努め、より便利で心地よい買い物環境を整えていきたいと考えております。

また、オフラインでの顧客との直接的な接点も大切にしていきたいと思っております。オンラインとオフライン両方の意見を合わせることで、より深いお客様への理解を得ることができると確信しています。オンラインでのデータやお客様の行動を店舗に反映させ、逆に実店舗で得たリアルな声をECに反映させることで、一貫した価値を提供できるような施策を進めていきたいです。

常に進化し続け、感動を与えられるような、お客様にとってなくてはならないブランドの実現を目指しています。

▼CRMツール「アクションリンク」
https://actionlink.jp/

▼レディースアパレルECサイト「Pierrot(ピエロ)」
https://pierrotshop.jp/

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