
2022年9月にリリースされ、わずか2年で世界訪問者数第2位(Similarweb調べ)を誇るECプラットフォーム「Temu」。2023年7月に日本市場にも進出し、多彩な商品ラインナップと手頃な価格で注目を集めています。Apple Arcadeの「2024年日本無料ダウンロードランキング」で第2位を獲得するなど、その人気は加速しています。
本記事では、Temuの広報担当者にインタビューを行い、その低価格を支えるビジネスモデルや物流戦略、そして日本市場の取り組みについて伺いました。
Temuの低価格の秘密は?
――Temuが低価格で商品を提供できる理由について教えてください。
Temu PR担当者:Temuの低価格の秘密は、サプライチェーン全体の効率化にあります。当社では、顧客を世界中の製造業者と直接つなぐ仕組みを採用しています。このモデルによって、不要な仲介業者や関連コストを排除し、価格競争力を高めているのです。
また、製品は販売後のみ出荷されるモデルを採用しており、余剰在庫を最小限に抑え、無駄な生産を削減しています。この方法は、消費者の需要にも迅速に応えることができ、さらに製品のカスタマイズ性を高めることにもつながっています。
さらに、Temuを通じた大量注文のスケールメリットを活用することで、物流費や配送条件を有利にすることが可能です。結果として、消費者にとってリーズナブルな価格を実現する一方で、製造業者も健全な利益を確保できる環境を整えています。この利益は研究開発や自社ブランドの構築に再投資され、Temuの競争力を一層強化しています。
Temuの海外物流ネットワークの秘密は?
――物流面での戦略について詳しく教えてください。
Temu PR担当者:Temuでは、市場ごとに最適な物流モデルを採用しています。2022年9月に米国でサービスを開始した際には、「フルフィルメントモデル」を導入しました。このモデルは、出品者が指定された物流施設に商品を配送するだけで、その後の物流や顧客対応はTemuが一括して管理します。これにより、出品者は販売業務に専念でき、顧客に一貫したサービスを提供することが可能になるのです。
その後、特定の市場向けに「国内発送モデル」を導入しました。このモデルでは、出品者が現地倉庫で商品を保管し、物流や返品処理を担当します。そして、2024年8月には日本市場向けに「日本国内発モデル」を開始しました。このモデルは、日本国内の倉庫から商品を発送することで、配送時間を最短1営業日まで短縮することが可能となり、消費者の利便性が大幅に向上しました。
現在、これらの物流の仕組みは米国、英国、一部のヨーロッパ諸国、オーストラリア、日本で展開されています。地域ごとのニーズに応じた柔軟な対応が、Temuの成長を支える重要な基盤となっています。
日本市場の最新動向と未来の展望
――日本市場での具体的な取り組みについて教えてください。
Temu PR担当者:2025年1月から、Temuは日本国内の販売事業者向けに出店プログラムを開始しました。このプログラムは、日本で登記され、日本国内に在庫を保管する企業を対象としています。これにより、国内倉庫から迅速に商品を発送できる仕組みが整い、大型商品を含む多様な商品を提供することが可能になりました。このプログラムを通じて、日本の消費者により多くの国産商品を届けると同時に、販売事業者が新たな顧客層を開拓するサポートをしています。
――日本市場はTemuにとってどのような位置づけですか?
Temu PR担当者:日本はTemuにとって非常に重要な市場です。日本の消費者は、高品質でコストパフォーマンスの良い商品を重視していますが、これはTemuのミッションそのものです。実際、2024年には《日経トレンディ》の「2024年ヒット商品30選」で第9位にランクインし、Applivの「2024年ベストアプリ賞」ショッピング部門で「優秀賞」を受賞するなど、日本市場での認知度と信頼を大きく高めています。
――今後の展望について教えてください。
Temu PR担当者:Temuは今後も、日本ユーザーの声を積極的に取り入れ、より快適で手頃なオンラインショッピング体験を提供することを目指しています。高品質で価格競争力のある商品を通じて、日本市場でさらに価値を創造していきたいと考えています。
まとめ:低価格と効率性で日本市場に挑む急成長ECプラットフォーム
Temuは、2022年の米国進出後、2023年には日本市場にも参入しました。低価格の理由は、顧客と製造業者を直接つなぐ効率的なサプライチェーンと、販売後のみ出荷されるモデルにより余剰在庫を抑えたことにあります。さらに、大量注文によるスケールメリットで物流費を削減し、消費者に手頃な価格を提供しています。
日本市場では、国内倉庫からの迅速配送を可能にする「日本国内発モデル」を導入し、利便性を向上。今後は、国内事業者向け出店プログラムを通じて、国産商品の提供や新規顧客層の開拓を目指すとのことです。Temuは、価格競争力と高品質を武器に、日本市場でのさらなる成長が期待されるでしょう。
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