オンラインショッピングにおけるSNSと購買行動に関する調査結果レポート
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株式会社TOKYO GATE

株式会社TOKYOGATEは多くの過去実績を保有するECのプロフェッショナルが集うECマーケティングの専門家集団です。マーケティング戦略の立案から施策の実行、PDCAまでを総合的に支援します。

成功事例に基づいた確実性の高いコンサルティングが特徴で、提案した施策を速やかに実行できる体制を整えています。EC・D2Cに関してお悩みの方はお気軽にご連絡ください。

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はじめに

SNSは現代のマーケティング活動において、不可欠なツールとして広く活用されています。特に、ブランドやオンラインショップがユーザーと接触、交流するための媒体として、その重要性が一層高まっています。

効果的なSNSマーケティングを実施するには、性別や年齢層ごとに異なるSNSの利用傾向や購買行動を理解し、それに基づいた施策を展開することが鍵となるでしょう。

しかし、SNSの効果的な活用方法については、依然として試行錯誤を続けている事業者も多いかもしれません。

本調査では、SNSが消費者の購買行動に与える影響や、購入決定に影響を与える要素、性別によるフォローの動機の違いなどについて焦点を当てています。

これらの調査結果は、これからSNSを活用しようとしている事業者や、既に運用している事業者にとって、効果的な運用を行うための参考資料としてご活用いただける内容となっています。

貴社のマーケティング活動において、お役に立てれば幸いです。

調査方法

株式会社TOKYO GATEでは、2024年4月2日から2024年4月16日にかけて、オンラインショップで購入経験のある18~70歳の男女626人を対象に、オンラインショッピングのLINE・メルマガに関するアンケートを実施しました。

調査方法 Google フォームを使用したインターネット調査
調査期間 2024年4月2日から2024年4月16日
調査対象 18〜70歳以上の男女
サンプル数 626名

サマリー

  1. SNSの投稿を見て商品を購入した経験があるユーザーは、全体の約70%にのぼります。
  1. 女性ユーザーの約20%は、SNSの投稿を見て商品を5回以上購入した経験があります。
  1. SNSを経由して購入された商品ジャンルで最も多かったのはファッションであり、全体の4人に1人がSNS経由でファッションアイテムを購入した経験があります。
  1. SNSを経由して購入した経験のある男性ユーザーの約25%は、本・CD・ゲームジャンルの商品を購入しています。
  1. 全体の半数近くのユーザーが、SNS上の購入者レビューや高評価が購入に影響を与えたと回答しました。
  1. SNS上で商品に関する投稿を頻繁に行うユーザーは、全体の15%未満とごく少数です。
  1. SNSでショップやブランドをフォローするユーザーの約30%が、割引やクーポン、最新情報を受け取ることを目的としています。

各設問の回答と考察

1.  SNSの投稿を見て商品を購入した経験

1.  SNSの投稿を見て商品を購入した経験

SNSの投稿を見て商品を購入した経験について調査した結果、約70%のユーザーが少なくとも一度は購入経験があると回答しました。この結果は、SNSが消費者行動に大きな影響を与えていることを示しています。商品の口コミや推薦、ブランドによるクーポンやセールなどの限定オファーなどが購入を促進していると考えられるでしょう。

一方、SNS経由で全く購入した経験がないユーザーも約30%存在します。この理由として、SNSの利用目的が情報収集やエンターテインメントに限られており、商品情報の収集には活用していない可能性が挙げられます。したがって、SNSの運用においては、SNS経由で購入経験のあるユーザーを惹きつける投稿やキャンペーンの実施が必要です。

2.  SNSの投稿を見て商品を購入した経験(男女別)

2.  SNSの投稿を見て商品を購入した経験(男女別)

SNS投稿を見て商品を購入した経験について男女別に集計した結果、女性の購入経験が男性よりも多いことがわかりました。女性の約20%は、SNSの投稿を見て商品を何度も購入した経験があります。弊社の調査でも、女性は男性よりもSNSやメルマガを通じて積極的に情報収集を行い、購買に至る割合が高い傾向が示されています。

一方で、男性の約70%は「まれにある」や「一度もない」を選択しています。男性は女性に比べ、流行やキャンペーン情報への関心が低い可能性があり、その結果購入経験が少ないと考えられます。

3.  商品を購入する際に利用したSNS

3.  商品を購入する際に利用したSNS

商品を購入する際に利用されたSNSについて調査した結果、YouTubeが最多であり、X(旧Twitter)とInstagramも高い割合で利用されていることがわかりました。YouTubeが最多であることは、動画コンテンツが持つ強力な影響力を示しています。アメリカの調査会社Forrester Researchの研究によると、動画の情報量は文字の約5,000倍と言われます。さらに、YouTubeは比較的長尺のコンテンツが許容されるため、商品の詳細な説明や使用方法を視聴者に伝えるのに適した媒体です。

また、XとInstagramが購買に及ぼす影響力が大きいことも確認されました。Xは拡散性が高く、キャンペーンやトレンド情報が迅速に拡散されることが購買につながっている可能性があります。Instagramは主に画像コンテンツが中心であり、ファッションや美容、インテリアなど視覚的な魅力が重視される商品の購入を促進していると考えられます。

TikTokやFacebookを経由した購入は全体のわずか4%にとどまり、これらのプラットフォームが商品の購入に与える影響は低い結果となりました。

4.  商品を購入する際に利用したSNS(男女別)

4.  商品を購入する際に利用したSNS(男女別)

商品を購入する際に利用されたSNSについて男女別に集計した結果、男女で異なる傾向が見られました。

女性はInstagramを経由した購入が最も多く、続いてYouTubeとXが挙げられます。流行やビジュアルに敏感とされる女性ならではの結果となりました。女性向け商品を展開する場合、Instagramアカウントの運用は必須であると言えるでしょう。

一方、男性はYouTubeとXからの購買が圧倒的に多く、Instagram経由の購入は少ない結果となりました。男性は購入前に製品の詳細な情報や性能を確認したいという欲求が強く、YouTubeのような具体的な情報を提供するプラットフォームが信頼できる情報源と見なされている可能性があります。

5.  SNS経由で購入した商品ジャンル

5.  SNS経由で購入した商品ジャンル

SNS経由で購入した商品ジャンルについて調査した結果、ファッションが最多となり、4人に1人がSNS経由でファッションアイテムを購入した経験があることがわかりました。本・CD・ゲームのジャンルも割合が高く、これらの商材はコンテンツが作りやすく、SNS投稿を増やしやすい特徴があります。化粧品もまたSNS経由での購入が多く、SNSと非常に親和性の高い商材であると言えます。

一方で、文房具・オフィス用品、DIY・カー用品などはSNS経由での購入割合が低く、SNSとの親和性が低い可能性があります。これらの商材については、SNS以外の施策を検討することが必要でしょう。

6.  SNS経由で購入した商品ジャンル(女性)

6.  SNS経由で購入した商品ジャンル(女性)

SNS経由で購入した商品ジャンルについて女性のデータを集計した結果、ファッションと化粧品がほぼ同じ割合で最多の選択肢となりました。女性はSNSからファッションや化粧品のトレンド情報を多く収集しており、購買にもつながっていることがわかります。

また、美容・健康グッズや日用品、家具についてもSNS経由の購入が一定数見られ、女性は特に日常生活に関連する商材をSNS経由で購入する傾向があると考えられます。

健康食品やサプリメントのSNS経由での購入割合はそれほど高くない結果となりました。これらの商材は情報の質が重視され、SNS上のコンテンツだけでは購入に至る情報が不足しているため、さらなる検索行動が発生している可能性があります。したがって、検索された際に、自社ECで説明がされていることや、商品に関するコンテンツがWeb上に充実していることが求められます。

7.  SNS経由で購入した商品ジャンル(男性)

7.  SNS経由で購入した商品ジャンル(男性)

SNS経由で購入した商品ジャンルについて男性のデータを集計した結果、本・CD・ゲームのジャンルが最多となりました。本やゲームを扱う際には、男性が商品購入のきっかけとして利用するYouTubeやXを積極的に活用することが望ましいでしょう。

また、女性と異なる点として、家電・カメラ・AV機器をSNS経由で購入した割合が女性よりも高いことがわかりました。男性はこれらの商材を購入する際、商品のスペックや詳細情報を入念に確認する可能性が高く、使用感や感想が直接的にわかるYouTubeなどの動画媒体との相性が良いと考えられます。

さらに、多くの商品カテゴリで男性のSNS経由の購入割合が低く、男性がSNSを通じて購入する商品は限られていることが示されています。

8.  購入に影響を与えたSNS投稿の要素

8.  購入に影響を与えたSNS投稿の要素

購入に影響を与えたSNS投稿の要素を調査した結果、購入者のレビューや高評価が約半数のユーザーに影響を与えたことがわかりました。企業発信よりもユーザーはSNS上のレビュー投稿を信頼する傾向があると考えられます。

次に影響を与えた要素として挙げられるのが、動画や写真です。文章による説明よりも視覚的なコンテンツが購買意欲を高める傾向が見られます。そのため、商品詳細がわかる写真素材や動画を多く用意しておくことが、効果的なSNS運用につながるでしょう。

なお、購入者のレビューや高評価を最も影響力のある要素として選択したユーザーも全体の半数未満であることから、購入に影響を与える要素は複数存在することが示唆されます。レビューや動画説明、セール情報、新商品情報など、多様な要素を組み合わせたSNS投稿を行うことが重要です。

9.  購入に影響を与えたSNS投稿の要素(女性)

9.  購入に影響を与えたSNS投稿の要素(女性)

購入に影響を与えたSNS投稿の要素について女性のデータを集計した結果、割引やクーポン、セール情報が約30%の女性に影響を与えたことがわかりました。お得感が購入のきっかけとして大きな役割を果たしていることが示されています。

一方で、有名人やインフルエンサーの推薦が影響を与えたと答えたユーザーは20%以下にとどまり、購入のきっかけとしては大きな影響を与えない可能性があります。そのため、SNSを活用した施策の優先順位としては、インフルエンサーによる宣伝はあまり高くないかもしれません。

また、環境への配慮に関する情報やライブ配信などのコンテンツは、女性にも男性にも購入に与える影響が少ないことがわかりました。

10. 購入に影響を与えたSNS投稿の要素(男性)

10. 購入に影響を与えたSNS投稿の要素(男性)

購入に影響を与えたSNS投稿の要素について男性のデータを集計した結果、女性と同様にレビューや評価、ビジュアル要素が大きな影響を与えていることがわかりました。

新商品情報は男性にとっても購買に影響を与えていますが、その割合は約10%と限定的です。新製品の発売時には、ただ発売するという情報だけでなく、商品レビューや動画や画像を用いた詳細な説明などのコンテンツを訴求することが、効果的である可能性が高いです。

さらに、男性が商品やブランドの価値観やストーリーに対して受ける影響は小さく、男性ユーザーは商品の機能や魅力そのものを重視する傾向があることが示されています。

11. オンラインショップや商品に関する投稿をした経験

11. オンラインショップや商品に関する投稿をした経験

SNS上で商品に関する投稿をした経験について調査した結果、頻繁に投稿を行うユーザーは全体の15%未満とごく少数であることがわかりました。このデータは、SNSでのキャンペーン後にユーザーがどれほど商品に関する投稿を行うかを測る指標として使用できます。

一度も投稿したことがないと回答したユーザーは60%以上にのぼり、SNSでの情報発信に積極的なユーザーが少数であることが示されています。このようなユーザーに対して投稿を促進する施策は効果が限定的であるため、SNS投稿に積極的なユーザーとの接触が重要となるでしょう。

12. オンラインショップや商品に関する投稿をした経験(男女別)

12. オンラインショップや商品に関する投稿をした経験(男女別)

SNS上で商品に関する投稿をした経験について、男女別に集計した結果、男性が女性よりも投稿を行う割合が高いことがわかりました。SNS経由での購入や、購入に影響を与えた要素は女性のほうが多いものの、購入後の投稿に関しては男性がより積極的であることが示されています。

男性は本やゲームなどの商品を、女性はファッションや化粧品をSNS経由で購入する傾向が強く、投稿についても、商材によって積極性に差が見られる可能性があります。

ただし、最も積極的に投稿を行うユーザーの割合には大きな性差はないため、投稿を促進する施策は性別を問わず適用できるでしょう。

13. オンラインショップやブランドをSNSでフォローする理由

13. オンラインショップやブランドをSNSでフォローする理由

SNSでショップやブランドをフォローする理由について調査した結果、約30%のユーザーが割引やクーポン、最新情報を受け取ることを目的にフォローしていることがわかりました。これは、直接的な便益の提供と最新情報の発信が、フォロワーの獲得や維持に非常に効果的であることを示しています。

また、ショップや商品のファンである割合は約20%と比較的高い結果となりました。これらのフォロワーに対しては、ファンからの支持を得る投稿やお得感を感じさせる情報を中心に発信することが効果的です。

さらに、実用的な情報はオンラインショップのSNSにおいてはあまり期待されておらず、フォロワーの関心を引くためには、直接的な利益や特典を提供することが重要であると言えます。

14. オンラインショップやブランドをSNSでフォローする理由(女性)

14. オンラインショップやブランドをSNSでフォローする理由(女性)

SNSでショップやブランドをフォローする理由について、女性のデータを集計しました。割引やクーポン、最新情報は特に女性の支持を受けており、多くの女性がトレンドや価格に敏感であることを示唆しています。

生活に役立つ情報を求めてフォローするユーザーは非常に限定的であり、実用的な情報によってフォロワーを維持する施策の難しさが示されています。一般的な情報ではなく、ブランドや商品と親和性があり、フォローしてでも得たい価値のある情報を発信する必要がありそうです。

「商品やブランドとのコミュニケーションを取るため」を選択したユーザーは少数であり、これらはブランドや商品の熱心なファンである可能性があります。Q&AコーナーやInstagramのライブ配信などの企画を行う際は、大勢を対象にした施策ではなく、一部のファンに向けたコンテンツを作る視点が必要となります。

15. オンラインショップやブランドをSNSでフォローする理由(男性)

15. オンラインショップやブランドをSNSでフォローする理由(男性)

SNSでショップやブランドをフォローする理由について、男性のデータを集計しました。クーポンや最新情報、新製品情報などを求める点においては男女差があまり見られず、直接的な便益がフォローの動機となっていることがわかります。

特典やキャンペーン、イベント情報を選んだ割合は女性よりも低く、男性はお得な情報や割引に対する関心がやや低い傾向が見られます。これはキャンペーン参加へのハードルが女性よりも高く、特に魅力的なキャンペーンでない限り参加しない傾向があると考えられるでしょう。お得情報や割引ではなく、男性フォロワーが関心を持つ特典や情報を提供し、参加意欲を高めることが求められます。

男性のフォロー理由が女性よりも全体的に少ない結果となりましたが、これは男性がSNSを商品情報を得るために活用する頻度が低いことを示唆しています。そのため、メルマガやオフラインを活用した集客など、SNS以外の施策を併用することが効果的かもしれません。

おわりに

今回の調査結果から、SNSが消費者の購買行動に与える影響や、性別によるフォローの動機の違いが明らかになりました。

オンラインショップや商品のSNS運用においては、動画や写真を活用した商品説明や、割引やクーポンといった直接的なメリットがある投稿が求められる傾向が強いことがわかりました。

また、商品購入後に投稿を行うユーザー層は小さいながらも、購買の際は商品の感想や評価を重視しており、レビュー投稿を促す施策が重要であることが示されています。

一方で、効果が見込めない可能性のある施策も浮き彫りとなりました。自社や商品のターゲットを十分に理解した上で、効果が期待できる施策に重点を置くことが必要です。

本調査結果が、貴社のマーケティング活動におけるSNS戦略の見直しや、新たな施策の構築にお役立ていただければ幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

株式会社TOKYO GATEは多くの過去実績を保有するECのプロフェッショナルが集うECマーケティングの専門家集団です。マーケティング戦略の立案から施策の実行、PDCAまでを総合的に支援します。

成功事例に基づいた確実性の高いコンサルティングが特徴で、提案した施策を速やかに実行できる体制を整えています。EC・D2Cに関してお悩みの方はお気軽にご連絡ください。

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