
今回はEC事業と実店舗の生産性が下がらない連携方法について記していきたいと思います。まず、ご存知の方も多いかと思いますが改めてECとは何かについて簡単にご説明します。ECとは「electronic commerce」の略で日本語では電子商取引という意味です。わかりやすく言えばインターネット上で行われる取引のことをECだと思っていただければ良いでしょう。
昨今、インターネットが急速に普及し、Amazonやメルカリ、ZOZOなどさまざまな企業がEC業界に参入しており、ある調査では20代、30代のインターネットショッピング利用率が80%を超えるといった結果が出るなど、現代の生活には欠かせなくなったサービスの一つということがわかります。
そんなEC事業ですが、もちろんインターネットを利用して商品を取引できるようにすればいいというだけではありません。仕入れ、搬入、製造、梱包、マーケ、セールスなど、多くの人がかかわる事業のため、他部署との連携が非常に難しく、また重要になってきます。そこでどのようにすれば他部署との連携、主に実店舗とEC事業が双方ともに機能し、生産性を高めていくことができるかについて考えていきます。
この記事の目次
実店舗とEC事業がそれぞれ持つメリットとデメリット
まず初めに、実店舗とEC事業の関係性について考えていきたいと思います。実店舗というのは実際に品物を並べて販売している店舗のことであり、一般的にお店と聞いて想像がつくものがそれにあたります。一方でEC事業はインターネット上で取引が完結するため、実際に品物を並べることもなく場所関係なく買い物をできるというものです。
もちろんどちらにもメリット、デメリットはあり、例えば実店舗のメリットでいうと「お客さんと直接コミュニケーションをとることができる」ことや、「すぐに商品が手に入る」ということが挙げられます。一方でECはというと「どこでもショッピングを楽しむことができる」や「買い物のために外出をする必要がないため、時間を買い物にとられない」というメリットが挙げられますが、「商品を買ってから届くまでタイムラグが発生する」ことや、「実際の商品を目で見て確認することができない」などのデメリットも忘れてはいけません。
このようにどちらも一長一短な部分はあるものの、そのデメリットをなくすために必要なのが実店舗とEC事業の連携であり、近年では実店舗も持ちながらEC事業を行っている企業も非常に多く存在しています。確かに、双方ともに事業展開していくことによってデメリットを消していくことも可能ですが、うまく連携しないと逆に新たな問題を起こしてしまう可能性もございます。その問題とは何かについて次に書いていきたいと思います。
実店舗とEC事業の“カニバリ”を防ぐには?
実店舗とEC事業をともに運営していく中で最も問題となる可能性が高いのが「カニバリゼーション」、いわゆる売り上げの食い合いになってしまうケースです。せっかく実店舗とEC事業の両輪で運営を開始したものの自社の実店舗とEC事業の間で利益を食い合ってしまうと意味がありません。ですが実際にインターネットで購入したから実店舗に行かないなどの事象が起こっていることも事実です。そこでどのようにして、カニバリゼーションを防ぎ、双方の強みを活かす運営ができるかについて次は考えていきます。
ターゲットを分ける
まず1つ目にカニバリゼーションを防ぐ方法として考えられるのが、「ターゲット層を分ける」ということです。例えばですが、EC事業においては男性をメインとしてメンズ商品を主として展開し、実店舗では女性メインのレディース商品の品ぞろえを手厚くしておくなどです。そうすることにより、カニバリゼーションを簡易的に防ぐことができ、実店舗とEC事業双方にとって損失を出しにくい環境にすることができます。
ルール設定を明確にする
そして2つ目に挙げられるのが、今回メインでお話しさせていただきたい内容でもある「ルール設定を明確に行う」ということです。実店舗とEC事業それぞれにどのような役割を求めるかを明確にし、その事業にかかわる人すべてが自身に求められている役割を明確に把握している状態を作ることが重要なのです。
先ほどの例でいいますと、EC事業は男性客からの売り上げを○○円、実店舗は女性客からの売り上げを○○円獲得することを目標とするなど、何をそこに求めるかを明確にすることが必要です。やや極論に近い例えのようにも聞こえますが、つまりこのくらい役割を明確にしなければなりません。また、この「ルール設定を明確に行う」ことはカニバリゼーションを防ぐためだけではなく、その他の業務を円滑に回すためにも重要です。なぜ、ルール設定が重要なのかについて次にまとめていきたいと思います。
生産性・利益の向上に欠かせないルール設定
なぜルール設定が必要かの一番の理由としては「人によって解釈がズレることを防ぐ必要があるため」です。各々の感覚で動いてしまうとどうしても社内がまとまらず、結果として生産性が下がってしまうことにつながります。そのため、必ず会社や部署単位でルール設定を行い、問題が起こった際にはまず、「ルールはどうなっているか」といった部分の確認から入り、ルールがない場合はルール設定することが重要です。そうすることで最速で問題解決することができ、社内での認識齟齬によるトラブルが減り、結果として生産性の向上につながるのです。
今回の実店舗とEC事業でいうと実店舗では実店舗のルール、EC事業ではEC事業のルールをそれぞれ明文化し、そのルールを順守することで各部署の担当者が迷いなく業務できることが最も重要であり、必要なことなのです。
もちろんルール設定をすることは簡単なことではないと思いますが、まずは1つからでもよいので簡単なルール(机の上にものがない状態にしてから帰るなど)を設定し、「ルールを守る」といった文化を作っていくことが生産性の向上ひいては利益の向上につながります。つまり、生産性を上げようと思った場合、まず確認すべきなのはルールであり、ルールを明確にすることが最も会社がすべきことの1つなのです。
さいごに
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