家族経営からの脱却!EC事業を拡大する上での重要なマネジメントのポイント

近年では店舗販売だけではなく、インターネットを使った販売も主流になり物販事業の幅が広がりつつあります。特にインターネット販売事業(以下、EC事業)では時代の流れも相まって、大きく事業が拡大する事業主様も多いのではないのでしょうか。

事業拡大することで、今の人手だけでは手が回らなくなり従業員を雇うという選択肢も増えます。特に今まで家族経営で事業を営んでいる経営者様はEC事業を通して親族でない従業員を雇うことも増えるでしょう。

当記事では家族経営を営んでいる経営者様に向けて、EC事業を拡大する上で重要なマネジメントのポイントをご紹介します。

家族経営の特徴とメリット・デメリット

家族経営の特徴

家族経営とは創業者やその家族など、特定の親族が所有・経営する会社のことです。家族経営は同族経営、同族企業、ファミリービジネスなど、さまざまな名称があり、法律上の明確な定義はありません。また、所有率が低い場合や経営を創業家以外に委託している場合でも、一族が実質的な支配権を持っている場合はこれも家族経営となります。

家族経営は小規模会社や中小企業・非上場企業に多いですが、上場企業でも約半数がこれに該当するとされています。家族経営は会社の所有と経営が一致していることが多いことから、経営者が優秀であれば、非家族経営を上回る経営能力を発揮するといった特徴があります。

家族経営で有名な企業はサントリーやユニクロ、国外ではルイ・ヴィトンが例として挙げられるでしょう。

家族経営のメリット

意思決定までのスピードが速い

会社の経営権を一族が所有していることから、経営までの意思決定が非常に速いです。そのため、トップダウンの体制が確立されています。

また、小規模事業であれば、従業員の大半が親族ということも珍しくはありません。そのため結束力という観点から見ても非常に強固であると言えるでしょう。

外的要因に左右されず、長期的な経営戦略を立てることができる

所有権が100%の企業であれば、外部の株主の顔色を気にする必要はありません。非家族企業のように社長や役員の任期が決められているのではなく、会社が存続する限り半永久的に経営権を握ることができます。

そのため、短期的な視点で経営戦略を考えるのではなく、10年20年先の未来を見据えた戦略を練ることが可能です。

家族経営のデメリット

独裁経営の可能性が発生する

親族一同が大きな力を持つということはすなわち、独裁的なワンマン経営が横行してしまう可能性を秘めているということです。

経営者の独断で判断をされてしまうため、経営上のミスを見抜けず、法律や規則に触れてしまうかもしれません。特に従業員の労働時間やコンプライアンス、ガバナンスが非親族企業に比べ管理が雑になりがちのため注意が必要です。

能力が低い人物が役員になることがある

会社規模がそこまで大きくないうちは社長の奥さんや息子・娘が役員として経理などの事務を担うことは少なくありません。従業員が増えないうちはトラブルも少なく、問題が浮き彫りになることはあまりないですが、従業員の数が増えると会社の仕組みも複雑化していくため、経理や法務などの専門的な人材の確保も必要になってくるでしょう。

親族だからという理由で、専門経験もないまま親族に役員をさせていた場合、実際に行う業務に対して自身の能力に乖離が生まれてしまうことから業務が円滑に回らなくなってしまう危険性も発生してしまいます。

従業員を雇う上での重要なポイント

Point① 明確なルールやマニュアルを用意しておく

従業員を雇うより前に、今やっている業務を明確にマニュアル化、ルール化しておくようにしましょう。

親族経営の強みは意思疎通の早さです。しかし、それは親族であるが故に意思疎通の機会が多くあるからです。従業員を雇うということは業務時間内での意思疎通をしなければいけないことに加え、その会社の歴史や事業の全貌を知らずに入社してくることから、細々した業務上の迷いや疑念がどうしても発生してしまいます。

そういった迷いはすべてロスタイムにつながるため、あらかじめ業務のマニュアル化や会社としての規則(ルール)を明確に定めておくようにしましょう。

Point② 何を求めているのかを明確にする

会社の規模が小さいうちは「やって欲しいこと」をいちいち口に出さなくても“察して”業務を行うことができますが、人が増えれば増えるほど「やって欲しいこと」がすぐに伝わりづらくなり、無駄なコミュニケーションが増えてきます。

コミュニケーションをすること自体はロスタイムではありません。しかし「何をすればよいか」を都度社長に確認していては時間のロスになってしまいます。

そういった状況に陥らないためにも、まずは従業員に何を求めているのかを明確にし、その従業員の役割を定義することを強くお勧めします。

Point③ 指示系統を統一させる

ルールの設定、役割を明確にしたうえで次に行うことは“指示系統を統一化させる”ことです。指示系統の統一化とはすなわち、組織図を明確に設定するということです。組織図を明確にすることで、従業員は誰の指示を聞き、業務を遂行するべきなのかという意識上の迷いがなくなります。

家族経営から脱却し、従業員を雇うとなると社長以外からも、指示が多数飛んでくることがあります。雇われている側からすると誰の指示を聞くべきなのかがわからなくなり、業務効率が低下しまうでしょう。また、「誰からの指示を優先するか」と部下側に選択権が発生するため、意識上の上下関係が構築しにくくります。

従業員を雇う際には指示系統を明確にするための組織図を作成するようにしましょう。

企業文化の作り方

明確なルールで会社の“文化”を作る

企業文化とは企業と従業員の間に存在する企業価値や文化規範、行動規範のことを指します。この文化というのは企業によって異なり、企業の数だけ存在します。

では、企業文化はどのようにして醸成されていくのかというと、それは「会社特有の全社で守るべきルールを作る」ことです。全社ルールを設定することで、所属する従業員には「この会社にいるためにはこのルールを守るべきだ」という意識付けを作ることができます。

また、ルールは認識させるだけではなく、遵守させることが大切です。経営者は自分の作ったルールを全員が守れているのかを知っておく必要があります。

良い企業文化の例(挨拶の文化)

「おはようございます!」「お疲れ様でした!」

挨拶をすることで会社の雰囲気が明るくなりますし、前向き・積極的な社員が増えます。ただし、「挨拶をする」というルールを設定するだけでは会社の文化としては浸透していきません。小さい声で「…ザーッす」も挨拶と言えば挨拶です。

もし、元気の良い明るい職場にしたいのであれば、「全員が聞こえるような声で挨拶をする」『「おはようございます」と挨拶をする』のように、明確な基準をルール化することが望ましいです。

注意すべき企業文化の例(自由な社風・自由な文化)

「うちは自由な会社だから!」

違いはあれ、家族経営をしている方の多くは一般的な会社に比べて会社のルールは少なく、のびのびと仕事をしている人が多いのではないでしょうか。

では、従業員にも同じように自由な環境を与えても良いのでしょうか?

自由というのは同時に「責任」も伴います。従業員の「責任範囲」を明確に設定しなければ、好き勝手無責任に仕事をしてしまいます。

もし、「自由な企業文化(社風)」を浸透させたいのであれば、従業員の役割や責任を明確にしていくことが必須になります。

さいごに:家族経営からの脱却は一筋縄ではいかない

EC事業は比較的少人数で立ち上げることができるため、家族経営で始められるところは多いです。しかし、事業が大きくなるにつれ、または事業を拡大したいと思うなら、従業員を雇うという選択を避けては通れないタイミングが来るでしょう。

家族経営からの脱却は簡単なものではないはずです。従業員を雇ったものの、今までよりも業務効率が悪くなってしまい、苛立ちを感じることもあるかもしれません。社内の分裂、亀裂が起きることもあると思います。その結果、ときには離職が続いてしまうことも。その都度、何が原因かしっかりと分析し、反省すること、改善していくことが大事です。

本記事が皆さんのお役に何かしら立てれば幸いです。

株式会社識学
https://corp.shikigaku.jp/

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