
この記事の目次
自動撮影システムとカメラマンの位置づけ
自動撮影システムとは
自動撮影システムは、社内で商品撮影を「誰でも」「簡単に」「キレイに」実現できる撮影インフラを構築できる撮影ボックスです。
カメラマンの頭の中にある、撮影ノウハウがソフトウェア内にテンプレート保存可能で、誰が撮影しても同じクオリティ、同じスピードで業務を進めることができます。
今まで、特定の個人に頼り切っていた業務をチームに振り分けられるようになることで、貴重な時間を生み出せる唯一無二のシステムです。
カメラマンにはクリエイティブ業務を任せる
自動撮影システムは、商品撮影の大部分を担えます。しかし、撮影技術を必要とするイメージカットやモデル撮影は可能ではあるものの、制約が多く、不向きな撮影です。
カメラマンによる撮影は、自由度が高いアナログ撮影で進められるため、商品の魅力を引き出す表現力は、自動撮影システムより優れています。
プロカメラマンを社内で雇用するメリットと問題点
プロカメラマンが社内にいるメリット
カメラマンが社内にいることのメリットは、「いつでもクオリティの高い商品撮影ができる環境がある」ことに尽きます。
依頼をすれば、商品画像が共有される環境は非常に恵まれた環境にあります。また、外注する場合と違ってコミュニケーションコストが安く済むのも大きなメリットです。
プロカメラマンが社内にいることで起こる問題
カメラマンが社内にいることのデメリットは、ランニングコストがかかる点です。そのため、社内にカメラマンがいる企業は、週の半分以上もしくは全日撮影する商品があることがほとんどです。
商品撮影以外にも別の業務を行う契約になっていれば、週1日~2日間は、撮影とは関係ない業務をしてもらうなどして、デメリットを補うこともできます。
プロカメラマンに商品撮影を委託するメリットと問題点
商品撮影をプロカメラマンに委託するメリット
商品撮影の代行サービスを利用するメリットは、商品撮影のノウハウを社内に溜める必要がない、つまりマニュアルを作る必要がないことと、教育が簡素化することにあります。
この2つのメリットを享受することで、業務量が減り、他の業務に集中できるため、多くの企業が外注に出し続けているのが現状です。
また、最近では外注先の企業が商品撮影だけでは単価が安くなって利益が生み出しにくい現状を受けて、フルフィルメントサービス(撮影~物流までワンストップ)を始めることが増えています。そのため、商品撮影と合わせて物流を一緒に任せられるのも魅力の一つです。
商品撮影をプロカメラマンに委託すると起こる問題
商品撮影の代行サービスを利用するデメリットは、いくつか挙げられます。(※撮影代行サービスを否定する意図はないことをご留意ください)
一番起こりやすい問題は、隠れコストといわれているコミュニケーションコストがかかることです。どのような商品画像を作成してほしいのかを明確に伝える材料がないときにコミュニケーションが頻繁に発生します。
最悪の場合、仕上がった画像を見て、再撮影など2倍の時間を要することや期限が決まっているために諦めるケースもあります。
その他には、リードタイム(商品を送ってからデータが返ってくるまでの時間)が内製化より長くなること、業者によってはクオリティが一定以上いかないなど、費用とのバランスに苦しむこともあるでしょう。
プロカメラマンを自動撮影システムに置きかえるメリットとデメリット
カメラマンを自動撮影システムに置き換えるメリット
カメラマンの業務を自動撮影システムに置き換えるとさまざまなメリットが得られます。
- 専門知識が不要になるため、誰でもチームで撮影ができる
- アルバイトなどの人件費の安い人材で運用が可能
- 安定した撮影品質が担保される
- ノウハウが個人ではなく会社に残るので、人材リスクが減る
- ソフト内にプロファイルが作れるため、教育が簡素化
- 撮影準備~編集保存までが一元管理できるため、2~3倍の効率化を実現
- 1~6のことにより時間に余裕が生まれる
カメラマンを自動撮影システムに置き換えるデメリット
カメラマンの業務を自動撮影システムに置き換えてしまうことで起きるデメリットは、提供できる撮影品質が下がる可能性があるということです。
全ての撮影品質が下がるわけではなく、先述したモデル撮影やイメージカットなどのより撮影ノウハウが必要な撮影に関しては品質を維持できない可能性があります。
撮影品質の低下を防ぐためにも、マニュアル化を進めるなどして、カメラマンの撮影ノウハウをできるだけ、会社の中に溜めるようにしていきましょう
自動撮影システムとカメラマンの使い分けを成功させる3つの方法
1. カメラマンと自動撮影システムが得意な撮影を明確化する
それぞれの得意な撮影方法やジャンルを把握しておくことで、撮影品質と撮影効率に大きな差が出ます。
自動撮影システムを導入後に今までの業務フローや進め方、撮影レギュレーションなどを踏襲しようとする企業が多いですが、中には踏襲しない方がいいケースもあります。
例えば、手で商品動かすことの多い撮影や微細なカメラワークが重要になる撮影です。
具体的にはバッグの詳細カットや中古商品の傷の撮影などです。もちろん自動撮影システムでも可能ですが、カメラを手持ちにする方が早い撮影もあることを念頭に置いておくことをおすすめします。
2. 商品のジャンル、素材などから撮影するものを住み分けする
業界や扱っている商品、見せ方によって何が良くて、何が悪いかは変わってきます。一般的な住み分け方としては、以下の通りです。
- 自動撮影システムでキレイに素早く撮影できる商品をピックアップ
- カメラマンの技術が必要な商品をピックアップ
- 1、2のピックアップから漏れた商品の撮影方法によって自動撮影システムだけを使うのか、カメラマンとハイブリットで使うのかを決める
上記がセオリーです。
それぞれの得意分野で最高のパフォーマンスをすることで、想像以上の結果や副次的な効果を得られる場合もあるので、テストを重ねながら業務フローの見直しをしていくと成功し続ける環境が整えられます。
3. カメラマンにも自動撮影システムを使ってもらう
カメラマンに自動撮影システム使ってもらう(業務の補佐やディレクターとして入ってもらう)メリットは主に3つ挙げられます。
- プロのノウハウが溜まる
- 得意なジャンルや素材、商品を特定しやすくなる
- カメラマンは、カメラマンにしかできないクリエイティブ業務に専念できる
上記の3つは効率化を加速させるだけではなく、画像の品質を安定、向上させる意味でも大きな働きをしてくれます。
社内にカメラマンがいる場合は、積極的にカメラマンにも使ってもらいそれぞれの長所を活かせるように業務を振り分けていきましょう。
カメラマンと自動撮影システムの併用が失敗するケース
Case1:カメラマンのみで自動撮影システムを運用
1つ目は、成功するケースでもあり、失敗するケースでもある、カメラマンだけで運用するケースです。
カメラマンが運用することで、カメラマンの負担を減らし、クリエイティブ業務への関与を深める意味でも大きな成功を得られます。
しかし、“脱属人化”の側面で見てみると失敗になる場合があります。業務効率化は図れたけど、個人に依存していることは導入前後で何も変わっていないためです。
効率化と脱属人化を同時に達成するにはアルバイトやチーム全体で進めていくことを前提に考えていかなければなりません。
Case2:住み分けをしないで同時に撮影をしてしまう
2つ目は、カメラマンと自動撮影システムで撮影するものをすみ分けせずに、2手に分かれて撮影をしてしまうケースです。
先述した通り、住み分けをしない場合、得意分野を活かせないケースが増えるため、無駄な悩み、工数が増加し、結果として効率化も品質向上も見込めなくなってしまいます。
またカメラマンのこだわりに自動撮影システムが応えられないケースも出て来ますので、得意分野を活かせるように撮影前に商品を分けておくことをおすすめします。
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