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EC市場は成長するも多くのECサイトは、ほとんど売上がない
Webサービスの開発運営や、Web関連のコンサルティングを行っている株式会社チョッピーデイズの清水です。EC事業を営むベンチャー企業でのCTOの経験から、EC事業者の方々への運営支援なども行っております。
EC利用世帯は50%以上になり、ECサイト数も増加
総務省統計局の調べでは2021年の時点でECサイトの利用世帯は52%になり、EC事業者の数もおよそ2019年の270万から、2021年には420万と大幅に増加しています。
今の時点でECをやるべきか否か、ひいてはWebで事業を行うべきか否か検討するという段階では既になく、およそすべての事業者がWebをもちいた事業を行うことが求められていると考えています。
この先いろいろな情報やモノの取引などはもちろんのこと、あらゆるビジネスやコミュニケーションがネットを通じて行われるようになると個人的に予測しています。
しかし現段階において、特にEC事業においては利用者やショップ数は増加したものの、多くのEC事業者にはほとんど売上がないという実情があります。
およそECサイトの95%は「ほとんど売上がない」
“なぜECサイトの95%は売上がないのか、ECで成果を出す企業の特徴は?”
>日本には現在、280万件以上のEC(Electronic Commerce)事業者が存在するという。我々の生活の中でも、ネットショッピングをはじめEC事業が身近になっている。しかし、EC事業者のうち、約95%がほとんど売り上げを出していないことをご存知だろうか。
引用元:https://news.mynavi.jp/techplus/article/20220117-2248099/
例えばネットショップ作成サービス「BASE」で作成されたショップ数はおよそ180万、弊社の調査で月間数万円の売上がある店舗のランキングがおよそ3,000位であることから、月間で数万円の売上があるショップは全体のおよそ0.1~0.2%であるようです。そこから想定すると、およそ全体の99%以上はほとんど売上がない可能性があるでしょう。
ではなぜECサイトの利用者が増加し、ECサイト自体も増加しつづけているにも関わらず、ほとんどのECサイトには売上がないのでしょうか。
ECサイトを立ち上げただけでは「太平洋に浮かべた小舟」と同じ
今でもよく見聞きするのが、ホームページやネットショップを立ち上げることが目的化しているということです。実店舗であれば山奥にでも店を構えない限り、近くに住んでいる人に認知されることができます。
しかしWebサイトを構築するということは、太平洋に浮かべた小舟と同じであるということです。筆者もこれまでいくつかWebサイトの構築依頼があり、構築後に今でもお客様から
「これで地球の裏側にいる人もアクセスしてもらえる状態になったな~(笑)」
というセリフを聞くことが(たまに)あります。
ECサイトはなぜ失敗するのか
たしかにインターネットにWebサイトを作成すれば誰でもアクセスする可能性があります。しかし実際にはその可能性よりも「あなたの隣にいる人がアクセスしない」可能性の方が断然高いです。
地球の裏側で立ち上げられたWebサイトにうっかりアクセスしたことがある経験を持つ人は、強制的なリダイレクトや広告の誤タップを除けばほぼゼロだと思います。
とにかくお金をかけ、アニメーションや動画の制作をし、デザインを凝り、理念や想いを詰め込み、LPを考えたりして立ち上げたWebサイトも、とにかく安くお金をかけずに、無料の素材やテンプレートなどで作成したWebサイトも、それだけであればどちらもアクセスすらしてもらえないことがほとんどなのです。
ECサイトで商品を購入するとはどういうことか
実店舗であれば、たまたま通りがかったお店に訪問してものを買うことができます。
しかし、当たり前のことですがECサイトで商品を購入するということは、すべての人がPCやスマートフォンといったインターネットが利用できるデバイスから入るということが必要です。
ECサイトにアクセスするためにスマホを開き、ブラウザを起動してWebサイトのURLを何かしらの方法で取得してアクセスするという手順が全てにおいて欠かせません。そしてその手順を行う前に当然のことながら、アクセスするECサイトをユーザーが事前に知っておく必要があります。
繰り返しますが、実店舗のように売り場を作成しただけでは太平洋に浮かべた小舟と同様で、そもそも誰にも認知されていない状態なのです。
ECというサービスはユーザーに見つけてもらうために、常に積極的にユーザーにアプローチをしなければなりません。
もっと高価でどこにも売ってないものじゃないとダメ?
支援先の企業との打ち合わせで、ちょっと一言アドバイスしたいと別の企業の社長が同席されたことがあります。打ち合わせが始まるとその社長から、
「ネットショップとかやるならもっと金額の高いもので、例えば〇〇産のマグロとか〇〇の名産品とか、どこにも売ってないものじゃないとダメだよ!」
とアドバイスをいただいたことがありました。
たしかに高額の商品が売れるのであれば良いです。
そこでその社長に、「おっしゃることはごもっともなので、その商品を購入したいと思っているお客様を連れてきてもらうことは可能です?」と尋ねたところ、一言
「考えとくわ!」
とだけおっしゃられて退席され、それ以降お会いすることはありませんでした。
欠けているのは「顧客目線と集客」
お金をかけてECサイトを作成する、それとは逆にとにかく安価に作成する。商品に関してもどこでも売っているものを取り扱うのか、どこにも売っていない高額な商品を取り扱うのか。ECサイトで何を伝えたいか、どういうコンセプトにするか。
これらはすべて「事業者目線」のみで考えているケースが非常に多いです。
良いECサイトのデザインやサイトコンセプトというものも当然あります。しかしそれらが事業者目線でのみ考えられている場合、極論すればユーザーにとってはどうでもいいものになってしまうケースが多いです。そして事業者の思惑だけで作成したECサイトには、「集客」の概念がないです。
しかし、特にWebでの集客には「顧客目線」が必要になってきます。ECサイトを構築するのも集客を考えるのも、まずはこの「顧客目線」で考えるということが最も重要になります。
ECサイトの運営を具体的な成功に導く考え方は後半で
前半のこの記事ではECサイトの現状と売上が伸びない理由について解説いたしました。後半では思うように売上が伸びていない方は、ECサイトの立ち上げ前にやるべきことについて解説していきます。
ECサイトの立ち上げを検討している方、既に立ち上げたものの思うように売上が伸びていない方にご覧いただきたい内容になっています。
株式会社チョッピーデイズ:https://choppydays.com
▼後半の記事はこちら
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