
国内外問わず、ECサイトを構築し、売上を伸ばすためにプロモーションを行ったり、運用体制を整えたりと、立ち上げから成長するまでにはコストの問題がついて回ります。日本国内の市場が縮小するといわれる中で、最近では海外への展開を意識している事業者様もいるのではないでしょうか。今回は、越境ECに特化したカートシステム「LaunchCart(ランチカート)」を提供するスターフィールド株式会社(以下、スターフィールド)の綛谷明帆さんに、IT導入補助金の活用方法と海外展開にあたってのポイントについてお話を伺いました。
この記事の目次
IT導入補助金と越境ECサイトの構築
――まずお伺いしたいことが、越境EC用にIT導入補助金を活用してECサイトを構築できるのでしょうか?
綛谷さん:はい、可能です。今年は2023年10月から始めるインボイス制度を見据えて、企業間取引のデジタル化を支援するために補助金を活用できます。具体的にはハードウェアではPCやタブレットなどの購入費用(※1)。ソフトウェアでは会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに補助対象が特化しているのです。
※1…ソフトウェアとは補助率が異なります。
――対象となっているECソフトの中に、ECサイトを構築する上でのカートシステムの利用料やサイト制作に関する費用を含むことができるということですね。
綛谷さん:おっしゃる通りです。加えて、今年はクラウド利用料が最大2年分補助されます。これまでは1年分であったため、この点は注目すべき点ではないでしょうか。早期黒字化が難しいといわれる越境ECを始める上で、月々のランニングコストが抑えられるようになるのは非常に嬉しいことだと思います。
IT導入補助金の活用でおさえるべきポイント
IT導入補助金の内容
――海外展開を検討していた事業者様にとっては活用しない理由はなさそうですね。IT導入補助金の内容や申請にポイント、注意点などあれば教えていただけますか?
綛谷さん:まず補助率についてです。通常枠の場合、補助率は費用の50%で、最大で450万円分の補助が出ます。しかし、ECサイトの構築で活用できるデジタル化基盤導入類型は、よりお得な補助率が適用されるのです。

綛谷さん:デジタル化基盤導入類型では最大で350万円(※)の補助額が出ます。補助率は通常枠より高く、費用に対して最大75%の補助が出るのです。
※…補助額が50万円を超える場合は会計・受発注・決済・ECの機能数が2つ以上必要です。
申請のポイント
――通常枠よりも高い補助率で申請ができるのは魅力的ですね。申請のポイントについてはいかがでしょうか?
綛谷さん:大切なポイントとして、申請は早い段階で提出することです。補助金の予算には限りがあるため、申請が遅くなるほど採択率が低くなる傾向にあるといわれています。また、IT導入補助金は申請が通らなくても再申請するチャンスがあるのです。
早期に申請をオススメしている理由としてもう1点、今年は交付申請の終了が例年よりも早くなるのではないかといわれています。デジタル化基盤導入類型は5月10日時点で既に4次締切分までのスケジュールが出ていることから、例年よりペースが早いようです。
最後に、補助金の申請というと、申請する上で文章の作成が必要なことが多いです。この作文が申請にあたって手間になりがちですが、IT導入補助金は数値的な事業計画を立てることで申請できるため、申請のハードルが比較的低いことがポイントです。
申請にあたっての注意点
――申請にあたってチャンスが複数回設けられていることは事業者様にとってはありがたいお話だと思います。チャンスを増やすために早期の申請が大切そうですね。申請を進める上での注意点はありますか?
綛谷さん:IT導入補助金が活用できるのは、補助金の対象として認定を受けたITツールに限ります。そのため、どのITツールでも補助金の対象として申請をできるわけではないので注意が必要です。
また、補助金の申請は「IT導入支援事業者」と呼ばれるパートナーのサポートを受けながら進めなければなりません。海外展開や越境ECに関するご相談は弊社が認定を受けているので、お気軽にご連絡いただければと思います。
申請する可能性が少しでもある事業者様はまずgBizID(GビズID)のアカウントを取得することから始めましょう。gBizIDを持っていないとIT導入補助金は申請できませんが、アカウントの取得には日数が掛かります。そのため、補助金の利用を迷っている場合は、いざやることになったときに対応が遅くならないようgBizIDのみでも先に取得をしたほうが良いです。
申請時の情報入力にも注意点があります。本社住所や役員情報等の入力は添付書類として必要になる履歴事項全部証明書に記載がある情報を正としてください。それ以外の書き方をすることで再申請が必要になる可能性があります。
補助金を活用して越境ECを成功するための心構え

――IT導入補助金が始まった頃からスターフィールドでは補助金を活用した越境ECの支援をしているかと思います。継続的に支援を重ねる中で、補助金を活用してサイトを立ち上げてから順調に売上を伸ばしている事業者様の傾向があればお伺いできますか?
綛谷さん:弊社では、各販売先国にローカライズ(最適化)した自社越境ECを活用した、日本商品の販売を支援しています。自社越境ECサイトは、総合通販、単品定期通販に関わらず、ECモールでは価格やブランド力の差で目立ちにくいけれども、こだわりや特色のある商品の魅力を最大限に表現することを得意としています。また、中小規模の企業様が多いため、海外向けにローカライズされたサイトを作成することに費用面や知識面から高いハードルを感じていること多いのです。
その中で、元々海外展開にやる気を持っていて、補助金ありきというよりは浮いた分の費用を広告費に回すなど、攻めの姿勢を持っている事業者様が成果を出している傾向があるように感じられます。
――日本国内で新規サイト立ち上げを行うよりも、黒字化することに時間がかかるといわれている海外販売を成功するには、常に前進する気持ちが欠かせませんね。最後に、スターフィールドとして、IT導入補助金を通して、事業者様の越境ECをどのように支援していくのか教えていただけますか。
綛谷さん:補助金の活用により、販売した国に対応したECサイトをデザインレベルやシステムのカスタイマイズなどを妥協せず、こだわり抜いて構築できるようになると思います。事業者様にとっては、ミニマムの型にはまったプラン内容と同じご負担額で充実した機能拡充が可能になるのです。例えば、日本国内との在庫連携や1から購入者目線の導線設計を構築するなど、万全の準備で海外展開を行うご支援ができるようになるでしょう。
サイト構築については、補助金の採択が通ってから始まります。そのため、最悪申請が通らない場合は海外展開を行わない選択肢を取れるため、どうしようか迷っている事業者様は一歩踏み出してご相談いただきたいです。
インタビューを通して:長期的な視点で挑戦できるように、イニシャルコストを抑える
「補助金があるからやってみよう」「安くなるからとりあえず始めよう」というスタートではサイト構築がゴールになることが多く、その後を見据え、長期的に運用をする意識がどうしても低くなりがちです。海外と比べると色々な障壁が低い日本国内で自社ECサイトを運用する場合であっても、サイト立ち上げからすぐに黒字化することは難しいといわれています。
海外に挑戦するために、補助金の申請を行う際に、現実的な事業計画の作成をオススメします。その際、300社超の支援実績を持つスターフィールドにまず相談してみてはいかがでしょうか。様々な視点から盤石な体制で海外に挑戦できるようにスターフィールドは支援してくれるかと思います。
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