
Centric Software®は、アパレル・化粧品・食品・家電などの消費財メーカーにおいて、商品情報の管理・活用に携わる315名を対象に実施した「消費財メーカーの商品データ基盤とAI活用実態調査」の結果を発表しました。
生成AIをはじめとするAI技術の活用は、商品企画や開発の現場にも急速に浸透しています。しかしながら、AIを導入するだけで、商品開発のスピードアップや意思決定の質が自動的に向上するわけではないとされています。
商品開発においては、仕様、素材・原材料、原価、品質、サンプル、サプライヤー情報、販売・市場データなど、膨大な情報を部門を横断して参照しながら判断を行う必要があります。これらの情報がExcelやメール、部門ごとに異なるシステムに分散し、最新版の判別や正式データの特定が困難な状態では、AIも適切な前提に基づいた判断を下すことができないということです。
本調査では、消費財メーカーにおける商品データの管理・一元化の現状に加えて、商品開発におけるAI活用の状況、AIが参照するデータの種類、期待した成果が得られない要因、そして将来的なAIエージェント活用に対する懸念について調査が実施されました。
調査の結果、74.6%の企業が商品開発業務でAIを活用、もしくは試験的に導入・検証を進めていることが明らかになりました。一方で、AI活用企業のうち「期待どおりの成果が出ている」と回答したのは32.8%にとどまっています。さらに、期待した成果に届いていない理由としては、「商品情報の品質・正確性にばらつきがある」が48.1%で最多となり、AI活用の成果を高めるために、その前提となる商品データ基盤の整備が課題として浮き彫りになりました。
調査結果のポイント
74.6%が商品開発でAIを活用・検証
「全社的に活用している」が19.0%、「一部の業務で活用している」が35.6%、「試験的に導入・検証している」が20.0%となっており、AI活用は商品開発の現場にも着実に広がっています。
「期待どおりの成果」は32.8%にとどまる
AI活用企業の56.6%は「一部の成果は出ているが、期待には届いていない」と回答しています。また、「成果が出ていない」も8.9%という結果になりました。
AI成果が期待に届かない最大の要因は「商品情報の品質・正確性」で48.1%
「部門間で情報が十分に連携されていない」が29.9%、「商品情報の正本(マスター)が決まっていない」が26.0%も上位となっています。
商品開発でのAI活用状況
商品開発業務におけるAI活用状況について尋ねたところ、「全社的に活用している」が19.0%、「一部の業務で活用している」が35.6%、「試験的に導入・検証している」が20.0%となりました。これらを合計すると、74.6%がすでにAIの活用・検証に着手していることになります。
一方で、「導入を検討している」は8.3%、「活用の予定はない」は12.7%でした。
この結果から、AIは一部の先進的な企業だけが使用する技術ではなく、商品開発の実務において活用・検証される段階へと移行しつつあることがわかります。

AI活用業務は商品企画・アイデア立案が最多
AIを活用・検証している回答者に対して利用している業務を尋ねたところ、最も多かったのは「商品企画・アイデア立案」で56.2%でした。
続いて「デザイン・画像の生成」が39.1%、「トレンド分析・需要予測」が37.9%、「商品仕様書・資料の作成」が31.9%、「原価・コストの分析」が27.2%、「品質管理・検査」が21.3%となっています。
生成コンテンツだけでなく、商品企画、需要予測、コスト、品質など、商品開発プロセスの広範な領域へAI活用が拡大していることが明らかになりました。

期待どおりの成果は32.8%にとどまる
AIを活用・検証している回答者235名に対して、期待していた成果がどの程度得られているかを尋ねたところ、「期待どおりの成果が出ている」は32.8%でした。一方で、「一部の成果は出ているが、期待には届いていない」が56.6%、「成果が出ていない」が8.9%となっています。
AI導入・活用そのものは広がっている一方で、「AIを使う」段階から「AIで期待する成果を生み出す」段階への移行には、まだ課題が残されていることがうかがえます。

成果が期待に届かない最大の要因は商品情報の品質
「一部の成果は出ているが期待には届いていない」「成果が出ていない」と回答した154名に対して、その理由を尋ねたところ、「商品情報の品質・正確性にばらつきがある」が48.1%で最多となりました。
次いで、「商品開発・企画・調達・品質など部門間で情報が十分に連携されていない」が29.9%、「商品情報のマスターが決まっていない」が26.0%、「AIを活用できる人材・ノウハウが不足している」が22.7%、「市場・販売・トレンドデータを商品企画に十分活用できていない」が22.1%となっています。一方、「導入したAIツールの機能が十分ではない」は7.8%でした。

この結果から見えてくるのは、AI活用の課題が「AIツールを導入しているかどうか」だけではないという点です。商品開発においては、最新の仕様、素材、原価、品質、サンプル履歴、販売・市場データなど、複数の情報を組み合わせて判断を行います。これらが部門ごとに分断されており、どの情報が最新か判断できない状態では、AIが生成するアウトプットも実務で活用しにくくなります。
AIを単なる効率化ツールとして使うのではなく、商品企画・開発・調達・品質といった業務プロセスの中に組み込み、信頼できる商品データをもとに意思決定を支援できる状態をつくることが、今後のAI活用では重要になると考えられます。
AIが参照する自社の商品データは39.3%
AIが利用しているデータについて尋ねたところ、最も多かったのは「自社の販売・在庫データ」で54.3%でした。続いて「社内の文書・過去の企画書」が46.2%、「自社の商品データ(仕様・素材・原価など)」が39.3%、「インターネット上の公開情報」が35.0%、「外部の市場調査データ」が16.7%となっています。
AI活用が商品企画や開発へ広がるなか、仕様、素材、原価などの自社固有の商品データをAIにつなげられている割合は4割弱にとどまっています。AIが企業固有の商品やブランド、原価、品質条件を踏まえた判断を支援するためには、こうした一次情報を整理し、AIが参照できる状態にすることが重要であるとされています。

AIエージェント時代の不安は部門ごとのデータ分散が最多
将来的にAIエージェントへ商品開発業務の一部を任せる場合の不安について尋ねたところ、最も多かったのは、「部門ごとにデータが分散しており、AIが必要な情報を取得できない」で31.7%でした。
続いて、「AIが変更履歴や最新版を正しく判断できるか不安」が30.2%、「サプライヤーや取引先を含めた情報までAIが扱えるか不安」が27.6%、「AIが参照する商品情報・仕様データの正確性に不安がある」が26.3%となっています。一方、「情報漏えい・セキュリティ面が心配」は14.6%でした。
将来的にAIエージェントが商品開発業務の一部を担うようになれば、単に質問に答えるだけでなく、複数のデータを参照し、状況を判断しながら業務を進めることが求められます。
そのため、AIエージェント時代には、「どのデータが正しいのか」「どれが最新版なのか」「変更履歴を追えるか」「サプライヤーを含む社外情報までつながっているか」が、これまで以上に重要になります。今回の結果は、AIエージェント活用の前提として、企業の商品データ基盤そのものを整備する必要性を示唆しています。

商品情報のマスターを全社に浸透できているのは36.8%
AI活用の前提となる商品データ基盤について見ると、商品情報のマスターが「明確に定められており、全社に浸透している」と回答した割合は36.8%でした。一方、「定められているが、十分に浸透していない」も36.2%とほぼ同水準です。
さらに、商品仕様・スペック、素材・原材料・成分、原価・コスト、画像・デザイン、商品説明、サンプル・試作品、品質・検査、サプライヤー情報など9項目について確認したところ、すべての項目で「全社共通のマスターがある」より「部門ごとにマスターがある」が上回りました。
商品データの管理方法についても、「Excel・スプレッドシート」が43.8%で最多となっています。AI以前に、企業として「何を正しい商品情報として使うのか」を共有できる状態をつくることが、データ活用の出発点となるとされています。

71.1%が最新情報が不明な状況を経験
商品開発業務において、「どの情報が最新かわからない」状況が「頻繁にある」と回答した割合は15.2%、「時々ある」は55.9%となっており、合わせて71.1%となりました。
また、商品情報を「探す・確認する」ことに週1時間以上を費やしている回答者は67.6%に上ります。情報の不整合や分断が原因で過去1年間に発生した問題では、「サンプル・試作品の再作成」が39.9%で最多となり、「作業の手戻り・やり直し」が31.1%、「発注・仕様のミス」が30.8%、「品質トラブルの発生」が28.0%が続いています。
商品データの分断は、単なる情報管理上の問題にとどまらないとされています。最新情報を確認するための時間、サンプル再作成、手戻り、仕様ミスなどを通じて、商品開発のスピードや品質、最終的には市場投入のタイミングにも影響する可能性があります。

まとめ
今回の調査では、消費財メーカーの商品開発においてAI活用が広がっている一方、その成果にはギャップがあることが明らかになりました。74.6%がすでにAIを活用・検証している一方、「期待どおりの成果が出ている」は32.8%にとどまっています。そして、期待した成果が得られない理由として最も多かったのは、「商品情報の品質・正確性にばらつきがある」で48.1%でした。
その背景を見ると、商品情報のマスターを明確に定め、全社に浸透できている企業は36.8%にとどまり、71.1%が業務上「どの情報が最新かわからない」状況を経験しています。
さらに、将来的なAIエージェント活用においても、「部門ごとのデータ分散」「最新版・変更履歴の判断」「サプライヤーを含めた情報連携」など、AIが判断するためのデータに関する不安が上位となりました。
市場やトレンドの変化が速まるなか、企業には、商品企画から開発、調達、品質、市場投入までの情報をつなぎ、より速く、より正確に判断することが求められています。そのためには、現場に蓄積されてきた経験やノウハウを否定するのではなく、信頼できる商品データと組み合わせ、再現性のある意思決定へ変えていくことが重要であるとされています。
AIが価値を発揮するのは、単独のツールとしてではなく、商品開発のデータと業務プロセスの中に組み込まれたときであるとされています。
今回の調査は、AI活用が「導入するかどうか」のフェーズから、「AIが信頼できる商品データをもとに、商品開発の意思決定や業務を支援できる環境をどう整えるか」という次のフェーズへ移りつつあることを示しています。
商品仕様、素材・原材料、原価、品質、サンプル・試作品、サプライヤー、市場情報などの商品データを横断的につなぎ、常に正確かつ最新の状態で活用できる基盤を整えることが、AI、そして将来的なAIエージェントを商品開発の成果につなげる重要な鍵となるとされています。
調査概要
調査名称:消費財メーカーの商品データ基盤とAI活用実態調査
調査方法:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査
調査期間:2026年8月4日〜同年8月5日
有効回答:アパレル・化粧品・食品・家電の消費財メーカーで、商品情報の管理・活用に責任者または担当者として携わっている方315名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
Centric Softwareについて
シリコンバレーに本社を置くCentric Softwareは、あらゆる規模の小売、ブランド、メーカー向けに、AIを活用し、商品コンセプトから商品の市場投入までを支援する製品ライフサイクル管理プラットフォームを提供しています。ファッション、ラグジュアリー、フットウェア、アウトドア、日用品、食品・飲料、化粧品・パーソナルケア、総合小売といった分野における専門性を強みに、商品の計画、企画、開発、調達、コンプライアンス対応、生産、価格設定、割当、販売、補充までを支援する最適なソリューションを提供しています。

出典元:PR TIMES

















