
株式会社東邦メディアプランニング(代表取締役:金三貴)が運営する社員・企業研修の比較ポータルサイトKeySessionが、顧客や取引先と直接対応する業務に従事する就業者300名を対象として、カスタマーハラスメント(カスハラ)に関する実態調査を実施しました。
調査実施の背景と目的について
労働施策総合推進法の改正に伴い、2026年10月1日より全企業を対象にカスタマーハラスメント(カスハラ)への対策が義務化されることになっています。
国が対応に乗り出すほどカスハラが深刻な社会問題として認識されるようになっている状況がある一方で、10月からの義務化実施に向けた企業側の対策がどの程度進捗しているのか、その実態については明確になっていません。
そこで今回の調査では、実際に顧客対応の最前線に立つ就業者の方々に対して、カスハラの被害状況と職場における対応体制について直接質問を行うことで、現場が真に必要としているカスハラ対策を明らかにすることを目的として実施されました。
調査結果の主なポイント
今回の調査で明らかになった主な結果は以下の通りです。
- 直近1年間で約4人に1人にあたる28.0%がカスハラ被害を経験していることが判明しています
- カスハラを経験した方のうち88.1%が仕事やキャリアに何らかの影響を受けたと回答しています
- 対応マニュアルが「未整備または整備状況が不明」と答えた方が59.3%に達し、「内容まで理解している」と答えた方は19.0%にとどまる結果となっています
- マニュアル内容を理解している層においては、即時介入への期待が45.6%となり、未整備層(8.0%)の5倍を超える数値となっています
- カスハラ経験者の44.0%が「管理職向け研修」の実施を希望しており、体調・メンタルに影響が出た層では56.2%まで上昇しています
調査の概要
調査方法はインターネット調査で、2026年6月23日に実施されました。調査対象は、顧客・利用者・取引先との直接的なやり取りがある組織に所属する就業者(全国18〜59歳)で、有効回答数は300名(男性184名・女性116名)となっています。
直近1年で28.0%がカスハラ被害を経験、最も多いのは「暴言・人格否定」
直近1年間でカスハラに該当する可能性がある行為を受けた経験があるかという質問に対して、「受けたことがある」と回答した方は28.0%(84名)という結果になりました。顧客対応の現場では、およそ4人に1人が何らかのカスハラ被害を経験している計算となります。
被害を受けた84名の方に、具体的にどのような行為を受けたのかを複数回答形式で質問したところ、最も多かったのは「暴言・人格否定」(36.9%)でした。続いて「業務時間外・休日の対応要求」(33.3%)、「金品・値引きなど過剰な要求」(32.1%)という結果になっています。
さらに、被害経験者のうち42.9%(36名)が2種類以上の行為を複合的に経験していることも明らかになりました。複数のタイプのハラスメントが重なって発生しているケースが4割を超えている状況です。
カスハラ経験者の88%が仕事・キャリアに影響、「体調やメンタルへの影響」が4割近くに
カスハラを経験した84名の方に、仕事やキャリアへの影響について質問したところ、88.1%が何らかの影響を受けたと回答しています。
「特に影響はなかった」という回答は11.9%にとどまる結果となっています。
影響の内容として最も多かったのは「体調やメンタルに影響が出た」(38.1%)で、「モチベーションが下がった」(34.5%)を上回りました。「顧客対応に恐怖・不安を感じるようになった」も28.6%に達しており、カスハラが単なる一時的な不快感にとどまらず、心身への実害として現れている実態が浮き彫りになっています。
カスハラ対応マニュアルは約6割が未整備または不明な状態
「整備されており、自分も内容を理解している」と回答した方は全体の19.0%にとどまる結果となりました。
一方で、「整備されていない」(45.7%)と「わからない」(13.7%)を合計すると59.3%に達しており、約6割の職場でマニュアルが「未整備」もしくは「整備状況が不明」という状態にあることが判明しました。
「整備されているが内容はあまり理解していない」(21.7%)も含めると、マニュアルの内容を理解できていない方は81.0%にのぼります。マニュアルは「作成する」だけではなく、現場に「浸透させる」段階まで進めなければ、実質的に機能していないと考えられます。
所属組織のカスハラへの対応を期待している人はわずか15%
カスハラ発生時に組織がどのように対応してくれるかについて質問したところ、「すぐに介入し、組織として対応してくれると思う」と回答した方は14.7%にとどまりました。
「相談しても、基本的には現場任せになると思う」(19.3%)と「相談しづらい、または相談しても無駄だと思う」(11.3%)を合計すると30.7%となり、約3人に1人が組織対応に不信感を抱いていることが明らかになっています。
マニュアルへの理解度と組織のカスハラ対応への信頼度に関連性
マニュアルの整備状況別に、組織対応への期待・不信感について分析が行われました。
マニュアルが「整備されており、内容も理解している」層では、即時介入への期待が45.6%に達しています。これは「整備されていない」層(8.0%)の5倍を超え、「整備されているが内容はあまり理解していない」層(4.6%)の10倍近くにあたる数値です。
さらに注目すべき点として、「整備されているが内容はあまり理解していない」層の不信感(27.7%)が、「理解している」層(8.8%)の3倍以上に達していることが挙げられます。
マニュアルが存在するだけでは組織への信頼にはつながらず、内容の理解・浸透まで実現できて初めて、現場の安心感が生まれることを示しています。
強化してほしいカスハラ対策は「対応マニュアル・判断基準」が最多、被害が深刻化するほど「管理職向け研修」への期待が高まる傾向
勤務先に強化してほしいカスハラ対策について質問したところ、最も多く求められた対策は「カスハラ発生時の対応マニュアル・判断基準」(40.0%)でした。続いて「上司・管理職による早期介入」(33.3%)、「防犯カメラ・録音・記録ツールなどの導入」(30.3%)という結果になっています。
興味深い点として、カスハラの被害経験によって管理職向けのカスハラ研修の希望度合いが変化することが挙げられます。
全体(n=300)では「管理職向けカスハラ対応研修」を希望する方は26.3%でした。しかし、カスハラ被害経験者(n=84)に限定すると44.0%まで上昇し、さらに体調・メンタルに影響が出た層(n=32)では56.2%に達しています。
この結果は、実際に深刻な被害を受けた就業者ほど、「自分自身の対応スキルを磨く」ことよりも「上司・組織側の対応力を強化してほしい」と感じていることを示唆しています。
カスハラ対策専門家 サミット株式会社代表小菅昌秀氏のコメント
今回のデータが示すように、カスハラが原因で心身にダメージを受けている方が多く存在しています。
- カスハラが原因で体調やメンタルに影響が出た(38.1%)
- 仕事のモチベーションが下がった(34.5%)
- 顧客対応に恐怖・不安を感じるようになった(28.6%)
最悪のケースでは、これらを原因として社員が退職してしまう結果を招くことにもなりかねません。
このような事態を防ぐためには、以下の3点の取り組みが必要と考えられます。
- カスハラに対する社内体制の確立
- カスハラ対応マニュアル・ガイドラインの整備
- カスハラ対応研修の実施
しっかりした体制とマニュアル・ガイドラインがあることで、対応や連携の仕方、警察通報基準が明確になるため、従業員は安心して働くことができるようになります。その結果、社員満足度や定着率が向上します。さらに社員が楽しそうに働くことでお客様満足度が向上し、売上・利益に直結し、会社の躍進までつながることも考えられるでしょう。
あるメーカーでガイドライン作成の支援を行ったところ、男性向け商品の単月売上が20倍近くになったという事例もあります。また、そのガイドラインの内容を研修で実際にロールプレイングを行うことで実践的な対応力が身に付きます。
大事な社員を守り、会社が発展するためにぜひ取り組んでいただければと思います。
サミット株式会社代表小菅昌秀氏プロフィール
一般社団法人日本説得交渉学会会員 顧客対応健全化研究会副会長 1972年1月三重県伊勢市生まれ 京都教育大学教育学部卒
苦情対応の分野の国際標準規格のISO10002意見書発行数トップクラスで、この分野の研修の国内第一人者である柴田純男氏に長年師事し、唯一人柴田氏のノウハウを承継しており一番弟子・後継者認定をされています。
トラック販売会社、生命保険株式会社、大手介護会社エリアマネージャー、不動産関連会社グループリーダー、教育研修会社コンサルタント・マネージャー等を経て地元でG7サミットが開催された2016年5月に起業しました。
その分野の小菅氏の研修には現役の刑事・警官や教員も受講しています。弁護士や暴力追放センターの講師と連携して研修を実施することも毎年行っています。
独立後7年で顧客は200を超え、数多くのご依頼が後を絶ちません。コンサルティング・講師経験は15年。マネージャー・企業顧問経験20年。現在不動産管理会社のクレーム対応に現役で従事し、20年以上の経験があります。通算500社5,000回以上の研修に関わってきました。
まとめ カスハラ対策に必要なのは「マニュアル配布」ではなく「浸透」
今回の調査から見えてきたのは、カスハラ対応が個人の耐性任せになっている職場が依然として多いという実態です。マニュアルを整備している職場であっても、内容が現場に浸透していなければ、従業員の組織への信頼にはつながりません。
また、実際に深刻な被害を受けた従業員ほど、現場スタッフ個人のスキルアップよりも、上司・管理職による早期介入や対応力の強化を求めています。
カスハラ対策を「現場に我慢させる」対応から「組織として支える」対応へ転換するには、次の3点が求められるといえるでしょう。
- マニュアルの整備にとどまらず、管理職・現場双方への研修による内容の浸透
- 管理職が介入基準を理解し、早期に対応できる体制の構築
- 現場任せにしない、組織的なバックアップ体制の整備
出典元:株式会社東邦メディアプランニング KeySession



















