
子ども支援を行う国際NGOの公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(理事長:井田純一郎、本部:東京都千代田区)が、経済的困難を抱える子育て世帯を対象に、学校給食が提供されない長期休暇期間における食支援事業(「子どもの食 応援ボックス」)を展開しています。
このたび、同団体は本事業に申し込んだ過去最多となる約8,700世帯に対してアンケート調査を実施しました。全国47都道府県から得られた回答によると、約9割の世帯が物価上昇の影響により「十分な食料を購入するお金がない」と答えており、物価高騰が続く中で1日の食費が1人500円を下回るなど、経済的困難を抱える子育て世帯が直面している厳しい現状が浮き彫りになりました。さらに、2026年4月から実施される「学校給食費の抜本的な負担軽減」(いわゆる給食無償化)については、半数以上が肯定的な評価をしている一方で、給食の量や質が低下することを懸念する声も寄せられています。
本調査結果に基づき、経済的支援の拡充や公的な食料支援の強化などの提言をまとめた報告書が、7月30日に公表されました。今後、厚生労働省や文部科学省、こども家庭庁などの関係省庁に提出される予定となっています。
調査結果から明らかになった主な内容(一部抜粋)
有効回答数は8,736件となりました。
約9割の世帯が物価高により十分な食料を買うお金がないと回答
本事業への申込理由について尋ねたところ、約9割の世帯が「物価上昇により十分な食料を買うお金がない」と回答しました(グラフ1参照)。加えて、過去1年間にお金が不足したために必要な食料品を購入できなかったことが「よくあった」「ときどきあった」と答えた世帯は約6割に達しています(グラフ2参照)。
6割以上の世帯が赤字、約3分の1が公共料金の支払い困難を経験
家計の状況については、6割以上の世帯が赤字であることが判明しました。また、26.2%の世帯が借金をして生活しており、36.9%の世帯が貯金を取り崩して生活していると答えています(グラフ3参照)。さらに、過去1年間に経済的理由により支払うことができなかった費目として、公共料金が最も多く33.0%、電話料金(スマートフォンなどの利用料を含む)が28.7%となっており(グラフ4参照)、生活に不可欠な支払いが困難な世帯の存在が明らかになりました。
1日の食費は1人あたり500円を下回り、2025年調査よりも減少傾向
1ヶ月の1人あたりの平均食費は、最も高い2人世帯で約1.5万円弱、3人以上の世帯では1万円から1.3万円程度という結果になりました。各世帯における1人あたりの1日の平均食費は500円を下回っています(表1参照)。さらに注目すべき点として、物価高の状況にもかかわらず、すべての世帯人数において2025年調査時よりも食費が減少していることが分かりました。
「学校給食費の抜本的な負担軽減」は半数以上が肯定的、約3分の1は給食の量・質の低下に不安感
2026年4月より開始される「学校給食費の抜本的な負担軽減」(いわゆる給食無償化)について、半数以上の世帯が肯定的に受け止めており、28.7%の世帯からは対象の拡大を求める声が寄せられました。その一方で、31.7%の世帯が給食の量や質が低下することを懸念していることが明らかになりました(グラフ5参照)。
もし児童手当が1万円増えたら、半数以上が食料品の購入量を増やす、半数弱は被服費にあてると回答
児童手当が月額1万円増額された場合の使い道について質問したところ、食料品の購入量を増やすと答えた世帯が54.9%で最も多く、次いで被服費が45.2%、食料品の購入内容の充実が42.1%となりました。塾や習い事、学用品に使用すると回答した世帯は30%台にとどまっています。一方で、借金返済や公共料金などの滞納分の支払いに充てると答えた世帯は15%を超えました(グラフ6参照)。
主な調査結果のグラフと表
調査結果を受けた提言内容
セーブ・ザ・チルドレンは、本調査の結果を踏まえて、以下の項目を政府、関係省庁、自治体に対して提言しています。
1. 経済的に困難な子育て世帯への毎月の公的な経済的支援の増額と緊急的な現金給付の実施
2. 公的な食料支援の強化と地域格差の解消
3. 「学校給食費の抜本的な負担軽減」の対象拡大と給食の質・量の維持
4. 高校生世代や学校に通っていない子どもなどへの昼食の支援
セーブ・ザ・チルドレンの日本の子どもの貧困問題解決への取り組み
セーブ・ザ・チルドレンは、2010年より日本における子どもの貧困問題解決に向けた取り組みを開始しています。活動は3つの柱で構成されており、1)経済的に困難な状況にある子どもや保護者への直接的な支援、2)調査実施や教材の普及などによる社会啓発、3)子どもの貧困対策の拡充を目指した政策提言を展開しています。
「子どもの食 応援ボックス」は、長期休暇期間中における子どもたちの食の状況改善を目的として実施されている事業です。2025年までに、のべ4万7,109世帯に食料品を届けてきました。2026年は、夏休みと冬休みに合わせて年2回、年間でのべ1万世帯に発送する計画となっています。夏休み分については、米5kgや乾麺、麦茶など約35品目が送られました。
調査の実施状況
調査地域:全国
調査対象:2026年「子どもの食 応援ボックス」に申し込んだ保護者8,736人
調査方法:2026年「子どもの食 応援ボックス」申込時にオンラインアンケートを実施(一部、支援者による代理記入の回答も受け付けました)
回収期間:2026年6月1日から6月18日まで
回収状況:回答率100%
出典元:公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン














