Wikipediaは生成AIに約19%の確率で引用、AIモデル別では最大24倍の差が判明

株式会社WallabeeのOptyino.aiは、生成AIによるWikipediaの引用率に関する調査を実施しました。AI検索時代のブランド露出を可視化・最適化するGEO/AIO/LLMOプラットフォームである同サービスに蓄積されたAI回答ログを活用し、生成AIがどの程度Wikipediaを参照しているかを詳細に分析しています。

この調査では、洗濯機のおすすめを尋ねる質問やデータ分析の基本的な手法を問う質問、企業やブランドの概要を尋ねる質問など、多様なテーマの40件のプロンプトが分析対象となっています。2025年8月11日から2026年7月14日までに取得された42,689件のAI回答が調査対象となりました。

調査結果のサマリー

Optyino.aiによる分析の結果、生成AIの回答42,689件のうち、8,238件でWikipediaが引用されており、Wikipedia回答引用率は19.3%となっています。

一方で、集計対象となった引用URL344,799件のうちWikipediaが占める割合は2.4%にとどまっています。引用されるURLの絶対数としては少数派である一方、回答単位で見るとおよそ5回答に1回はWikipediaが参照元として登場する結果となりました。

AIモデル別の分析では、Copilotが36.5%と最も高く、Perplexityが1.5%と最も低い結果となり、両者の間には約24倍の差が見られました。

検索意図別に見ると、固有名詞や概念の概要を尋ねる質問では29.9%がWikipediaを引用した一方、商用推薦や対照の質問では8,500回答中1件のみで引用率は0.0%とほぼ引用されていません。このことから、生成AIが質問の性質によって参照元を明確に使い分けている様子が明らかになっています。

対象領域別においても、店舗・ITや物流・倉庫のように6割を超える領域がある一方、8領域はほぼ0.0%と二極化しています。

引用されたユニークなWikipediaページ68件のうち、上位10件で全体の約68.9%を占めています。言語版別では日本語版が84.3%を占めていました。

調査実施の背景

生成AIの回答には、公式サイトやニュース記事、比較メディアなど多様な情報源が引用されますが、その中でもWikipediaは古くから百科事典的な参照先として広く使われてきました。

生成AIがどの程度Wikipediaを参照しているかを把握することは、企業が自社の基礎情報をどこに整備すべきかを考えるうえで重要な手がかりになると考えられます。

特に、AIモデルによって検索や引用の仕組みが異なるため、同じ質問セットであってもモデルごとにWikipediaへの依存度が変わる可能性があります。

また、質問の種類が概要説明なのか比較検討なのかによっても引用されやすさが変わると考えられるため、GEO対策を検討するうえではこうした構造を理解しておく必要があります。

そこでOptyino.aiは、生成AIの回答42,689件のログをもとに、Wikipediaの引用率をモデル別・検索意図別・対象領域別で分析しました。

主な調査結果の詳細

Wikipedia回答引用率19.3%、AIモデル間で最大24倍の差


AIモデル別に見ると、回答引用率が最も高いCopilotの36.5%と、最も低いPerplexityの1.5%との間には約24倍の差があります。

分析対象回答数とWikipedia回答引用率は以下の通りです。Copilotは3,177回答中36.5%、Grokは4,169回答中30.0%、Geminiは6,423回答中29.8%、Claudeは6,291回答中25.4%となっています。

モデル間でこれほど差が出る背景には、各AIが検索やクローリングでどの情報源を優先的に参照するかという設計の違いがあると考えられます。

特にCopilotやGrok、Geminiのように検索エンジンやWeb検索機能と統合されたモデルほど、百科事典的な情報源であるWikipediaを引用しやすい傾向がうかがえます。

一方でPerplexityのように独自の検索結果を重視するモデルではWikipedia引用率が極端に低く、同じ質問を投げても引用元の構成が大きく変わる可能性があります。

自社ブランドの認知拡大を狙うのであれば、どのAIモデルの利用者層にリーチしたいかによって、Wikipedia掲載の優先度を調整する余地があると考えられます。

固有名詞・概念の概要質問は29.9%引用、商用推薦・対照質問は0.0%

選定クラス(検索意図)別で見ると、固有名詞・概念の概要を尋ねる質問のWikipedia回答引用率は29.9%です。

分析対象回数とWikipedia回答引用率の内訳は、固有名詞・概念の概要が26,872回答中29.9%、固有名詞の評価が6,853回答中2.8%、一般知識・解説が464回答中0.4%、商用推薦・対照が8,500回答中0.0%となっています。

商用推薦・対照に分類される「おすすめは?」型の質問では、対象8,500回答中Wikipediaが引用されたのはわずか1件で、回答引用率は0.0%でした。

固有名詞の評価を尋ねる質問も2.8%にとどまっており、生成AIは「これは何か」を説明する場面ではWikipediaを積極的に参照するものの、「どれがおすすめか」を判断する場面ではほとんど参照しないという明確な使い分けをしていることが分かります。

この傾向を踏まえると、Wikipediaへの掲載や情報整備は比較検討・購買検討フェーズのAI回答対策としてはあまり効果が期待できず、むしろ自社や商品の概要・基礎情報を尋ねられた際の引用獲得に有効な施策として位置づけるのが妥当だと考えられます。

対象領域別では店舗・IT/物流・倉庫が6割超、8領域はほぼ引用なし


対象領域別のWikipedia回答引用率は、最も高い店舗・ITが62.3%、次いで物流・倉庫が61.2%でした。

上位5領域の内訳は、店舗・ITが1,071回答中62.3%、物流・倉庫が2,271回答中61.2%、オフィス用品が1,064回答中53.2%、小売・生活雑貨が2,094回答中46.2%、食品・飲料が2,025回答中31.5%となっています。

18の対象領域のうち10領域では実際に引用が見られた一方、AI・教育やEC・SaaSをはじめとする8領域ではWikipedia回答引用率がほぼ0.0%で、Wikipediaを含む回答は各領域で1件以下にとどまりました。

この差は、各領域で使われるプロンプトの内容の違い、つまり固有名詞・概念の概要を尋ねる質問が多いか、商用推薦・対照型の質問が多いかによるところが大きいと考えられます。

実際、店舗・ITや物流・倉庫、オフィス用品といった上位領域のプロンプトの多くは「〇〇ってどんな会社?」のような概要質問であるのに対し、下位の領域には「おすすめは?」型の質問が多く含まれています。

自社の業種がWikipediaに掲載されている場合、少なくとも概要・基礎情報を尋ねる質問に対してはAIに引用される可能性が相応にあるため、Wikipediaページの内容が最新かつ正確であるかを定期的に確認しておく価値があると考えられます。

引用されたWikipediaページは68件、日本語版が84.3%を占め上位10件で約7割に集中


引用されたユニークなWikipediaページを言語版別に見ると、日本語版が84.3%を占め最も多く引用されており、次いで英語版11.5%、多言語ポータル3.6%、中国語版0.6%という構成です。

また、引用されたユニークなWikipediaページ68件について、ページ別の引用URL数の順位で全体シェアを見ると、上位10件だけで全体の約68.9%を占めています。

残り58件の引用URL数を合計しても、全体の約31%にとどまります。上位に入るページは、いずれも固有名詞・概念の概要を尋ねるプロンプトに対応する企業・ブランドの解説ページであり、複数のAIモデルから継続的に引用されている点が特徴です。

一方で、引用が1回答分のみのページも多数含まれており、Wikipediaページの存在自体だけでなく、AIモデルの検索機能が実際にそのページを検索結果に含めるかどうかが引用回数を左右していると考えられます。

自社や競合の情報がWikipediaに掲載されている場合、ページ名や見出し構成が実際に想定される検索キーワードとどれだけ一致しているかを確認しておくことが、AIによる継続的な引用につながる可能性があります。

調査から得られる考察

今回の調査から、生成AIによるWikipedia引用は「回答単位では一定の存在感を持つが、常に引用されるわけではない」という二面性を持つことが分かりました。

回答単位のWikipedia回答引用率は19.3%と決して低くない一方、引用URL全体に占めるWikipedia URLシェアは2.4%にとどまっており、AIは多くの場合Wikipedia以外の公式サイトやメディアなど多様な情報源を優先的に引用していると考えられます。

モデル別の差(Copilotの36.5%とPerplexityの1.5%)は、Wikipedia引用が特定の条件下でのみ強く発生することを示しています。

検索意図別の差(概要質問の29.9%と商用推薦・対照質問の0.0%)や対象領域別の差(店舗・ITの62.3%と複数領域の0.0%)も同様に、質問の性質や業種によって引用の起こりやすさが大きく変わることを示しています。

具体的には、自社ブランドや商品について「〇〇ってどんな会社/サービス?」という概要・基礎情報を尋ねる質問への回答生成では、Wikipediaページの内容がAIの引用元として選ばれる可能性が相応にあります。

一方、「おすすめは?」「どれがいい?」といった比較検討・推薦フェーズの質問では、Wikipediaはほとんど引用されないため、この場面でのAI引用対策としてはレビューサイトや比較メディア、公式サイトなど別の情報源の整備を優先すべきだと考えられます。

自社・競合の基礎情報がWikipediaに掲載されているかどうか、また掲載内容が最新かを定期的に点検し、特に固有名詞・概要質問での引用獲得を狙う場合はWikipediaページの整備を情報発信戦略の一部に組み込むことを検討する余地があると考えられます。

調査概要

調査テーマは「Wikipediaはどの程度AIに引用されるのか?」です。調査期間は2025年8月11日から2026年7月14日までの338日、約11か月となります。

分析対象はステータスが完了したAI回答ログ、8つの正規化AIモデルです。対象プロンプト数は40件で、固有名詞・概念の概要、固有名詞の評価、一般知識・解説、商用推薦・対照の4分類となっています。

分析対象回答数は42,689件、抽出引用URL数は369,688件(うち集計対象引用URL数344,799件)です。

主な対象領域は、ファッション、住宅・不動産、金融・保険、家電・生活、EC・SaaS、物流・倉庫、AI・教育、小売・生活雑貨、食品・飲料、IT・AI・デジタルなど18領域です。

調査主体はOptyino.ai(株式会社Wallabee)で、使用データはOptyino.ai上のAI回答ログとなります。

Optyino.aiについて


Optyino.aiは、AI時代のブランドを可視化する生成AIエンジン対策(GEO/LLMO/AIO)ツールです。

ChatGPTやPerplexity、Geminiなどの生成AIにおいて、自社ブランドがどのように言及・引用されているかを分析し、AI検索時代における新しいマーケティング指標を提供しています。

表示スコアや引用分析、ブランドシェアなどのデータを通じて、企業が「AIに選ばれるブランド」になるための改善アクションを支援しています。

会社概要

会社名は株式会社Wallabeeです。所在地は東京都渋谷区桜丘町18番4号 二宮ビル1F-92となります。

事業内容はGEO・LLMO領域の研究・プロダクト開発、AI検索対策支援、Webマーケティング支援です。

出典元:株式会社Wallabee / Optyino.ai

できる Amazon Pay ~もはや常識の決済サービス。導入メリットを徹底解説!~きちんと身に付く、使い方広がる入門書(2026 年改訂版)