楽天インサイト、20代の生活意識調査を発表「和好み化」「投資志向」「健康意識」の3つのトレンドが顕著に

楽天インサイト株式会社は、毎年実施している大規模調査「アスキングビッグデータ」(各年約40万人規模)を活用し、20代における「生活意識」の変化を2024年版から2026年版までの3年間で比較分析した結果を公表しました。

今回公表された調査では、全国の15歳から79歳を対象に実施した「生活意識調査」(2024年版から2026年版、各年約40万人)のデータを基に、20代において統計的に有意な差が確認された項目が抽出され、3つの主要トピックとして紹介されています。調査結果の背景については、同社シニアデータアナリストの末永幸三氏が詳しく解説しています。

調査から見えた3つの主要トレンド

トピック1:伝統を重視する若者の増加 – 「和好み(なごみ)化」現象

「昔からの伝統を重んじている」という回答について世代別に分析したところ、20代の増加幅が最も大きく、2024年版から2026年版にかけて4.3ポイント上昇したことが明らかになりました。2024年版では38.7%だったのに対し、2026年版では43.0%となっています(「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」の合計)。

さらに、余暇に関する意識として「その土地の歴史や文化についてよく知りたい」と回答した20代も2.3ポイント増加し、2024年版の46.2%から2026年版では48.5%となりました(「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」の合計)。近年、歴史や伝統をテーマとした映画作品がヒットしていることや、訪日外国人による評価を通じて、自分たちのルーツやアイデンティティを見つめ直す動きが背景にあると考えられ、20代を中心として日本の文化や伝統への興味関心が高まっていることが示されています。


末永氏による解説:現代の感性で再解釈される「和好み化」

末永氏は、歌舞伎の世界を描いた映画作品や大正時代を舞台にした作品など、伝統文化や歴史に触れるコンテンツが幅広い世代で視聴される機会が増えている点を指摘しています。また、若者が深大寺(調布市)に多数訪れるなど、歴史ある神社仏閣の雰囲気に魅了されるケースも見られているとのことです。さらに、若者による古民家リノベーションを通じた「和」の体験など、伝統や価値観を再評価する動きがライフスタイル領域にも広がっていると分析されています。

こうした動きの背景には、グローバル化が進展する中で、自分たちのルーツやアイデンティティを再確認したいという若者の意識が表れている可能性があると末永氏は述べています。大量生産・大量消費の時代を経て、手仕事の温かさや歴史に裏打ちされた「本物」の価値を見直すとともに、ストレス社会において落ち着きや癒しをもたらす要素として「和」を取り入れているのではないかと指摘されています。

今後については、伝統的な価値をそのまま守るだけではなく、現代の感性や生活文脈に合わせて再解釈・再構築することが重要になると考えられています。和の要素をライフスタイルやファッションに取り入れる「自己表現としての和」、あえて手触り感やアナログ性を取り入れることで体験価値を高める「デジタル×アナログの融合」、古いものを現代的に編集し直す「伝統再編集型プロダクト」など、若者の「和好み化」を捉えた取り組みが、今後の商品・サービスの競争力につながる可能性があるとされています。

トピック2:投資にお金をかける20代の増加 – 「インパ」への関心

お金をかけていることとして「株・投資」と回答した人を世代別に分析したところ、20代の増加幅が最も大きく、2024年版から2026年版にかけて1.8ポイント上昇しました。2024年版では15.4%だったのに対し、2026年版では17.2%となっています。

「株・投資」と回答した20代と20代全体を比較すると、自己投資に関する項目で顕著な差が見られました。「知識を増やし、教養を深めることに関心がある」では12.3ポイント差(株・投資層:79.9%/20代全体:67.6%、「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」の合計)、「お金をかけていること 自分自身の習い事・自己啓発」では6.5ポイント差(株・投資層:13.9%/20代全体:7.4%)となっています。


さらに、健康意識に関する項目でも差が確認されました。「日ごろから運動をして、健康管理に努めている」では10.9ポイント差(株・投資層:57.7%/20代全体:46.8%、「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」の合計)、「健康に良い商品やサービスなら、値段が高くても構わない」では8.5ポイント差(株・投資層:49.3%/20代全体:40.8%、「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」の合計)となっています。



末永氏による解説:投資効率を重視する「インパ」への移行

末永氏は、生活意識データの3年間比較から、若者を中心に投資意欲が高まっている傾向が確認されたと述べています。特に、投資意欲の高い人ほど、自己投資や健康への投資にも積極的である点が特徴として見られているとのことです。また、Z世代を中心に、再販価値(リセールバリュー)を重視する意識が7割を超える水準に達していることが報告されており、外部データからも同様の兆しが確認されているとされています。

こうした結果から、若者の消費行動は従来の「安さ」を重視する選択から、将来の価値や回収可能性を意識した選択へと移行しつつあると考えられています。こうした背景を踏まえると、20代を中心に行動や消費の判断様式そのものが投資マインドに近づいている可能性がうかがえるとされています。

今後、若者の選択・判断基準として、ROI(投資に対する成果・回収)を意識した判断がより重要になっていく可能性があると述べられています。コストパフォーマンス(コスパ)やタイムパフォーマンス(タイパ)といった指標に加え、投資効率を重視する「インパ」(インベストパフォーマンス)へと関心が広がっていく可能性も考えられるとのことです。その結果、「安い」という理由だけでなく、「将来どのような価値が得られるのか」「どのように回収できるのか」を示せない商品やサービスは、購入候補に入りにくくなることも想定されると指摘されています。

トピック3:健康食品・サプリメントを積極的に試す20代の増加

20代において「話題の健康食品やサプリメントがあると積極的に試す」と回答した人は、2024年版から2026年版にかけて2.6ポイント増加し、2024年版の28.8%から2026年版では31.4%となりました(「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」の合計)。さらに「健康に良い商品やサービスなら、値段が高くても構わない」と回答した人も1.8ポイント増加し、2024年版の39.0%から2026年版では40.8%となりました(「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」の合計)。いずれも世代別で増加幅が最も大きく、健康関連商品の「試す・続ける」意向が強まっていることが示されています。

また、20代の2026年版における「サプリメントや健康食品をよく利用する」という回答は39.9%(「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」の合計)となり、世代別で最も高い割合となっていることから、今後消費行動につながる可能性の高い層であることが示されています。



末永氏による解説:投資フォーマットに近づく健康商品の購入判断

末永氏は、生活意識データの3年間比較から、若者の健康食品や健康関連商品への関心が高まっている傾向が確認されたと述べています。特に「サプリメントや健康食品をよく利用する(「非常にあてはまる」+「ややあてはまる」)」は39.9%と全年代で最も高いスコアとなっており、今後の消費行動につながる可能性の高い層と判断できるとされています。

このように健康関連商品に積極的な姿勢が見られる一方で、実際に若者に支持されている商品・サービスを見ると、疲労回復を促す「リカバリーウエア」、身体の状態を数値化できる「スマートデバイス」、目標に合わせてメニューを設計する「パーソナルジム」、簡便に栄養を補える「完全栄養食」などが挙げられるとのことです。これらの商品・サービスに共通する購入判断のポイントとしては、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスに加え、成果の可視化(KPI)や効果の確実性、短期ゴールの設定といった要素が共通していると指摘されています。

言い換えれば、タイパ(どれくらい早く効果を体感できるか)、コスパ(投じたお金や手間に対する成果)、KPIの見える化(成果が測れて納得できるか)、短期ゴール(小さく試して継続・切り替えを判断できるか)といった判断様式そのものが、「投資フォーマット」に近づいている兆しと解釈することができるとされています。こうした背景を踏まえると、今後の若者向け健康商品においては単なる効能説明ではなく、「成果が見える」「回収が早い」「失敗しにくい」ことを前提とした投資設計(KPI設計・短期ゴール設定)がより重要になっていく可能性があると述べられています。

調査概要について

本レポートの経年比較では、統計学的な分析(有意水準1%検定)で有意な差があるものを変化として捉えられています。

調査エリアは全国、調査対象者は15歳から79歳の男女です。回収サンプルサイズは、2024年版が485,370サンプル、2025年版が401,156サンプル、2026年版が378,424サンプルとなっています。調査期間は、2024年版が2023年11月28日から2023年12月25日、2025年版が2024年11月28日から2024年12月18日、2026年版が2025年11月26日から2025年12月23日となっています。調査実施機関は楽天インサイト株式会社です。

末永幸三氏のプロフィール

楽天インサイト株式会社のシニアデータアナリストである末永幸三氏は、前職では総合広告代理店に勤務し、ストラテジックプランニング、R&Dに所属していました。入社から生活者研究を中心に従事し、特にシニアビジネスに注力し、シニアターゲット攻略の研究やツール開発、シニアターゲットの商品開発、コミュニケーション開発のプランニング業務などを行ってきました。現在は楽天インサイトで「アスキングビッグデータ」の企画開発や提案サポート、社外セミナーの講師などを担っています。

執筆書籍として「3000万人100兆円シニア市場と絆ダイレクトマーケティング」文芸社(2018年1月)、「健康消費に最も敏感なシニアのタイプは:60代シニアの消費の差は「価値観」の差(続編)」日経消費インサイト(2014年3月)などがあります。

「アスキングビッグデータ」について

「アスキングビッグデータ」は、「生活意識」「カテゴリ」「ブランド」「デジタルメディア」について収集する大規模調査結果のデータベースです。「生活意識」に関する「アスキングビッグデータ」は、生活者を網羅的に理解するために、約40万人から意識領域、行動領域、メディア接触領域に関する約240の意識項目を収集しています。調査は毎年1回実施し、ユーザーから取得した生活意識データを楽天インサイトが実施するその他調査結果などと連携することで、「どのような人が」「なぜその行動を取ったのか」などの多様なニーズを捉えることができます。

20代のプロファイリング

アンケート調査結果から人物像をプロファイリングする「楽楽プロファイル」を用いて本調査データの2026年版を読み取り、20代女性と20代男性のプロファイリングが生成されました。その結果、20代女性では未婚・個人年収400万円未満・趣味はライブ/コンサート・お金をかけていることは美容/化粧といった特徴が見られました。また20代男性では、未婚・個人年収400万円から800万円未満・趣味はアニメ・お金をかけていることは株/投資などの特徴が見られました。





出典元:楽天インサイト株式会社

Amazon Payを取り巻くEC決済の動向と実態