
政府が主導するデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進が喫緊の課題となっていますが、企業間取引(BtoB)の分野では、受発注業務のデジタル化が思うように進んでいない現状が明らかになりました。BtoB ECおよび受発注システムに関するコンサルティング事業を展開する株式会社ウキヨが、BtoB受発注業務に従事する400名を対象とした実態調査を実施しました。
この調査結果により、あらゆる顧客への対応を一つのシステムで統合しようとする「画一化されたDX」が、日本独自の複雑な商取引の慣習によって阻害され、その結果として大口顧客への営業提案の機会を失うという構造的な問題が浮き彫りになっています。
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調査で判明した主要なポイント
調査結果から、理想と現実の大きなギャップが明らかになっています。現場担当者の32.8%が「単一システムへの統一」を理想的だと考えている一方で、システム化を進める上での最大の障壁として「取引先ごとの個別ルール(43.5%)」が最も多く挙げられました。
また、構造的な機会損失も深刻です。システム化の遅延や手作業での業務が残存している影響で、半数を超える50.3%が「中長期的な関係構築」に、34.0%が「大口・重要顧客への提案」に十分な時間を割くことができず、本来行うべき営業活動が妨げられている状況となっています。
さらに現場が求める解決策として、全体の7割超となる71.8%が、デジタル技術による効率化と「人ならではの介在価値(柔軟な個別対応)」の両立が必要不可欠であると回答しています。
「単一システムでの統合」への期待と、立ちはだかるアナログの壁
今後のシステム化の方向性について質問したところ、「すべての取引先を単一システムに統一する」という回答が32.8%で最多となりました。業務の属人化が課題となる中、現場の多くが「すべての顧客を一律に処理したい」という根本的な効率化を希望していることがわかります。
ところが、Webシステムなどを導入する際の懸念事項を尋ねたところ、「取引先ごとに個別単価やルールがあり、ひとつのシステムに統一できない」という回答が43.5%と突出して高い結果となりました。BtoC(消費者向け)ビジネスとは異なり、BtoB特有の複雑な商慣習を考慮しない「一律のシステム化」は、実態とかけ離れてしまいがちであることがデータから明確に読み取れます。



システム化の試行錯誤がもたらす「構造的な機会損失」
理想と現実の間にあるギャップに苦悩し、手作業での個別対応を残さざるを得ない結果、現場には様々な弊害が発生しています。手作業での対応に時間を取られることで十分に時間を確保できていない業務として、「顧客との中長期的な関係構築(手厚いフォロー)」が50.3%、「大口顧客や重要顧客への提案・深耕営業」が34.0%という高い数値を示しました。
これは単純な業務負担の増加にとどまらず、将来の利益を生み出すための「攻めの営業活動」が阻害されているという事実を示しており、経営上の重大な課題となっています。

7割が求める「デジタルと人のハイブリッド」への転換
今後のBtoBビジネスにおいて、「業務のデジタル化」と「人による柔軟な関係構築」の両立が不可欠だと思うかという質問に対して、「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した層の合計は71.8%に達しました。
現場が本当に求めているのは、単純な業務の自動化ではありません。デジタル化すべき定型業務と、人が介在すべき個別対応を明確に切り分け、確保できた時間を重要顧客への投資に充てる「ハイブリッドな営業戦略」への転換が強く求められているのです。
調査概要
調査名称は「企業間取引(BtoB)における受発注業務の実態と課題に関する調査」です。調査期間は2026年3月31日から2026年4月2日まで(事前スクリーニング調査期間を含む)で、BtoB受発注業務に携わる担当者(事前スクリーニング調査通過者)を対象に実施されました。有効回答数は400名で、調査方法はインターネット調査(Freeasyを利用)となっています。
出典元:株式会社ウキヨ













