
AIを活用したサポートサービスの分野でリーディングカンパニーとして知られる株式会社Zendesk(本社:東京都中央区、代表執行役社長:森 太郎)が、年次調査報告書である『CXトレンドレポート』の2026年版および日本市場における調査結果を発表しました。本レポートにより、AI技術とデータ、人間による理解をリアルタイムで統合する「コンテクスチュアル・インテリジェンス」が、カスタマーサポートサービスの概念そのものを変革している実態が浮き彫りになっています。
特筆すべき点として、日本市場においても世界的な潮流と類似した傾向が確認されており、過去12か月におけるカスタマーサービス領域へのAI投資について、日本国内のCX(カスタマーエクスペリエンス、顧客体験)リーダーのうち71%が「投資対効果を実感している」と回答しています。この流れは今後さらに加速していくことが予測されています。
同社が毎年実施している『CXトレンドレポート』は、日本をはじめとする世界各国の一般消費者、CXリーダー、カスタマーサポート担当者を対象とした調査データをベースに、同社の視点からカスタマーエクスペリエンスの最新トレンドと将来の展望を提示する報告書です。
本年度の調査から見えてきたのは、CXの未来像が、パーソナライゼーションされ、先読みが可能で、最適なタイミングで提供される、個々の顧客との過去のやり取りに対する深い理解力と柔軟性を備えた体験へと向かっているということです。さらに、AIと人間の感情的理解を融合させ、データと文脈を駆使して顧客ニーズを予測し、顧客からの指示を待たずにサポートを提供する海外企業の実践例も紹介されています。
本年度のレポートでは、顧客体験の未来を形作る5つの重要なトレンドが示されています。
この記事の目次
メモリーリッチAIへの投資が真のパーソナライズを実現する鍵に
メモリーリッチAIは、複数のチャネルを横断して文脈を維持し、過去の行動履歴や対応タイミングを記憶することによって、継続性と関連性のある顧客対応を可能にし、パーソナライゼーションのレベルを大きく向上させています。消費者は「中断した場所から自然に再開できる」サービスを求めており、グローバルでは81%(日本では67%)が、最初から説明をやり直すことなくやり取りを継続したいと考えています。また、グローバルで74%(日本では69%)の消費者が、同じ情報を何度も伝え直すことにストレスを感じていることが明らかになりました。
このような機能が成熟し、AIが個々の顧客との過去のやり取りを分析できるようになった現在、グローバルで67%(日本では61%)の消費者が、よりパーソナライズされたサービス提供を期待するようになっています。さらに、CXリーダーのグローバルで85%(日本では73%)が、真にパーソナライズされたカスタマージャーニーを構築する上で、メモリーリッチAIは必要不可欠であると認識しています。日本の数値はグローバル平均をやや下回っているものの、同様の傾向が確認できます。
AI搭載のセルフサービス型サポートが消費者の即時解決ニーズを拡大
CXリーダーのグローバルで85%(日本では81%)が、初回の問い合わせで問題を解決できない企業からは顧客が離れていくと回答しており、消費者側でもグローバルで86%(日本では82%)が、「商品やサービスを選択する際に、迅速な対応と正確な問題解決を提供してくれる企業を優先する」と回答しています。
また、AI技術の普及を背景として、グローバルで74%(日本では71%)の消費者が24時間365日のサポート対応を期待するようになっています。日本とグローバル平均の全体的な傾向はほぼ一致していますが、サポート担当者への質問で「人と会話することと比較して、迅速な問題解決を重視する消費者はどの程度多いか」という項目では、日本では1.8倍となり、グローバル平均の1.3倍を上回る結果となりました。この結果は、日本のサポート環境において、顧客から求められるスピードへの期待がより強いことを示しています。
マルチモーダルサポートでチャネルをまたぐ体験をひとつに
マルチモーダルとは、テキスト・画像・音声・動画といった複数の異なる形式のデータを統合して処理する技術を指し、途切れることのないサポート体験を提供します。消費者のグローバルで76%(日本では64%)が、「テキスト、画像、動画を同一のスレッド内でやり取りできる企業を選びたい」と回答しており、やり取りの内容に応じて最適な手段でコミュニケーションできることを期待しています。この技術の裏側では、AIが異なるフォーマット間での一貫性と効率性を支えています。
さらに、日本のサポート担当者の76%が、マルチモーダルAIエージェントを「サービス分野における次のAIの波」と認識しており、グローバル平均(69%)を上回っています。その一方で、CXリーダーのうち「マルチモーダルAIが、テキストのみでは表現しにくい複雑な診断を人間に代わって判断し、自動化できる」と考える割合は、日本では64%にとどまっており、グローバル平均の83%を下回る結果となりました。
この傾向は特に音声AI領域で顕著に見られます。音声AIがCXを大幅に進化させる段階に到達していると考える消費者は、日本では58%にとどまり、グローバル平均83%と比較して大きな差が生じています。ただし、音声チャネルの利用率そのものは日本では51%と高く、グローバル平均の34%を上回っています。これは、日本の消費者において、過去に利用した性能が不十分であった音声AIの印象が強く残っていることに加え、従来のサポート手段を廃止せずにデジタル化を進めてきた経緯が影響していると考えられます。
プロンプトベース分析が切り拓くAI時代のCX指標と意思決定
現在、経営層はリアルタイムでインサイトや次のアクションにつながる情報へアクセスできるようになり、顧客ニーズと社内目標の双方に沿った、迅速でデータに基づいた意思決定が実現可能になっています。ただし、この傾向は日本市場においてはやや弱い結果となりました。
プロンプトベース分析によって「数秒でインサイトを獲得できる」と回答したリーダーはグローバルで82%(日本では64%)、「従業員が自らデータを検索できることで意思決定が民主化される」と考える割合はグローバルで81%(日本では61%)、「AIがすでにデータと分析の改善に貢献している」とする回答はグローバルで87%(日本では68%)となっています。
さらに、グローバル平均では86%のCXリーダーが、今後12か月以内にプロンプト分析のハブを本格稼働させる予定と回答しているのに対し、日本では58%にとどまっています。こうした背景には、日本のカスタマーサポート部門ではアナリスト人材が比較的少なく、分析結果を意思決定に直接活用する運用体制がまだ一般的でないことが影響していると推測されます。
AIの判断理由と透明性に対する消費者の要求の高まり
消費者は、自動化された判断に対して明確な説明を求めており、AIワークフローに透明性を組み込んでいる企業ほど、顧客からの信頼とロイヤルティを高めています。実際に、グローバルで95%(日本では92%)の消費者が「AIによる判断には根拠の提示が必要」と回答しており、CXリーダーのグローバルで80%(日本では75%)も、今後2年以内に顧客向けAIには透明性が必須要件になると考えています。
ただし、日本においてもAIの透明性が求められている点はグローバルと共通していますが、「AIが判断理由を示すことが非常に重要である、またはミッションクリティカルである」と評価するCXリーダーは33%にとどまっており、グローバルの65%を大きく下回っています。これは、日本市場ではまだ重要な業務判断をAIに全面的に委ねる段階には至っておらず、理想像としての必要性は認識されている一方で、実務レベルでの本格的な実装はこれからであることを示唆しています。
これら5つのトレンドは相互に連動しており、統合的なアプローチが求められます。今後、文脈への理解力と知識の融合により、迅速でパーソナライズされた、文脈に基づくCXが実現され、世界的に信頼とロイヤルティを構築する基盤となると考えられます。コンテクスチュアル・インテリジェンスは、卓越したCXを実現し、市場での差別化と長期的な顧客関係構築を支える基盤として機能していくでしょう。
コメント
Zendesk 最高経営責任者(CEO)Tom Eggemeier(トム・エッグマイヤー)氏
「AI技術そのものは、もはや差別化の要因ではありません。重要なのは、AIをどれほどインテリジェントに活用できているかです。CXリーダーの85%が『たった1件の未解決の問題で顧客を失う可能性がある』と回答している現在、スピード、正確性、そして共感は譲れない要件となっています。優れたシステムは、過去のやり取りと現在の顧客意図を結びつけ、次に何が必要かを先回りして予測します。これこそが、コンテクスチュアル・インテリジェンスの実践です。Zendeskは、その最適なバランスを提供します。すべてのやり取りに文脈を付与することで、人間らしさを感じられる自動化を実現し、信頼を築いていきます」
株式会社Zendesk 代表執行役社長 森 太郎氏
「本年度の調査結果は、顧客の期待が大きく変化し、業種や企業規模を問わず、顧客の声を経営に活用する必要性を高め、CXを経営に活用していく傾向を強めるものではないかと考えています。コンテクスチュアル・インテリジェンスは、企業がよりシームレスな顧客体験を実現するために、早急に実現すべき大きな一歩です。Zendeskの日本法人として私たちは、経営層の方々が期待するROIを実現するシステムの構築に向け、将来像を見据えた最新のソリューションを提供し、AIを活用したカスタマーエクスペリエンスの実現に向けて日本企業の皆様と伴走いたします」
調査方法
『CXトレンドレポート』2026年版は、世界11,000人以上の回答者から得られた知見に基づくレポートです。2025年6月に22か国で実施された2件のグローバル調査を統合しており、回答者の内訳は消費者6,182人、CXリーダー、サービスマネージャー、サポート担当者を含む企業関係者5,115人となっています。
調査対象国は、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、デンマーク、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、マレーシア、メキシコ、オランダ、フィリピン、シンガポール、韓国、スペイン、スウェーデン、タイ、イギリス、アメリカの22か国です。
Zendeskについて
Zendeskは、あらゆる人々が卓越したサービスを享受できる世界の実現を目指しています。AIを活用したサポートプラットフォームのリーディングカンパニーとして、「Zendesk Resolution Platform」を提示し、AIエージェント、ナレッジグラフ、アクションとインテグレーション、ガバナンスとコントロール、測定とインサイト、そして人間の専門知識を統合する高度なツールで、カスタマーエクスペリエンスの再定義を目標としています。同社のプラットフォームは、自動化と人間のインサイトを組み合わせ、シームレスなコミュニケーションを実現し、サービスを強化します。Zendeskは、高い拡張性に加え効果を実感しやすいサービスによって、企業における関係性の強化と効率の向上、さらなる事業の成長をサポートします。
出典元:株式会社Zendesk プレスリリース













