
楽天グループ株式会社は、経済産業省および国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が推進している「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)プロジェクト」の枠組みにおいて開発を進めてきた、国内最大規模となる最新のAIモデル「Rakuten AI 3.0」の提供を開始したことを発表しました。
2025年12月に発表された本モデルは、その後ファインチューニングによる改良が施され、複数の日本語ベンチマークテストにおいて優秀な評価スコアを獲得しています。同社では、本モデルを公開することで、国内のAIアプリケーション開発を手がける企業や技術者への支援を目指しているとのことです。本モデルは、Apache 2.0ライセンスのもとで提供されており、楽天グループの公式リポジトリから無償でのダウンロードが可能となっています。
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日本語処理能力における高い評価
今回提供が開始された「Rakuten AI 3.0」については、日本特有の文化的知識や歴史、大学院レベルの推論力、競技数学、指示遵守能力などに関する複数の日本語ベンチマークを活用した評価が実施されました。評価に使用されたベンチマークには、JamC-QA(日本固有の文化・歴史知識QA)、MMLU-ProX(大学院レベルの推論)、MCLM MATH-100(競技レベルの数学)、M-IFEval(指示追従能力)などが含まれています。これらのベンチマークにおける本モデルと他の主要なモデルとの比較スコアが公開されています。
約7,000億パラメータのMoEアーキテクチャを採用
「Rakuten AI 3.0」は、日本語処理に最適化された約7,000億パラメータのMixture of Experts(MoE)アーキテクチャを採用したモデルとなっています。オープンソースコミュニティにおける優れたモデルをベースとしながら、同社が独自に蓄積してきた高品質なバイリンガルデータ、技術力、そして研究成果を組み合わせることで開発されました。このため、日本特有の言語のニュアンスや文化、慣習などをより深いレベルで理解することが可能となっています。
本モデルは、文章作成やコード生成、文書解析や抽出といった幅広い用途でのテキスト処理において優れた性能を発揮します。これまでに同社が開発してきたモデルと比較しても、特に複雑なタスクに対する精度が大幅に向上していることが特徴です。
Mixture of Expertsアーキテクチャは、モデルが複数のサブモデル(エキスパート)に分割されているAIモデルアーキテクチャです。推論および学習の際には、最も適したエキスパートのサブセットのみがアクティブ化され、入力処理に使用されることで、より汎用的で高度な推論を実現することができます。
これまでのモデルからの大幅な進化
2026年3月17日時点の開示情報に基づく調査によると、これまでに同社が開発してきた「Rakuten AI 7B」は約70億パラメータ、「Rakuten AI 2.0」は約470億パラメータとなっており、今回の「Rakuten AI 3.0」は約7,000億パラメータと、国内最大規模のモデルとなっています。
AI開発コミュニティの活性化を目指す
楽天グループのChief AI & Data Officer(CAIDO)であるティン・ツァイ氏は、次のようにコメントしています。「楽天グループは、企業とユーザーをエンパワーメントする高品質で費用対効果の高いLLMモデルの開発に注力しています。本モデルは競争力のあるモデルであり、大規模なデータに加え、エンジニアリング、革新的なアーキテクチャの組み合わせを実現しました。また、オープンモデルを共有することで、国内におけるAI開発を加速化するとともに、経済産業省とも連携し、日本全国の人々に変革をもたらす協調的なAI開発コミュニティを構築することを目指します」
GENIACプロジェクトによる支援
同社は、次世代LLMの研究開発を目的として、2025年7月にGENIACの第3期公募に採択されています。本モデルの学習費用の一部については、生成AI開発に必要な計算資源として、GENIACプロジェクトからの補助を受けています。
今後の展開とAI-nization戦略
楽天グループは現在、LLMを研究目的で開発しており、顧客に快適なサービスを提供するため、今後も様々な選択肢を評価・検討していく方針です。さらに、オープンソースコミュニティへの貢献を目指し、本モデルを公開することで、AIアプリケーションやLLMのさらなる開発を後押ししていくとのことです。
同社は、AI化を意味する造語「AI-nization(エーアイナイゼーション)」をテーマに掲げ、さらなる成長に向けてビジネスのあらゆる面でAIの活用を推進する取り組みを展開しています。今後も豊富なデータと最先端のAI技術の活用を通じて、世界中の人々への新たな価値創出を目指していくとしています。
出典元:楽天グループ株式会社











