
デザインプラットフォームCanva(キャンバ)は2025年12月11日、2026年のクリエイティビティ、ソーシャルメディア、ブランドコンテンツに関する予測を含む年次デザイントレンドレポート第3弾を発表しました。同時に、各ユーザーが自身の2025年のクリエイティブな成果を振り返ることができる「Canvaデザイン診断」も公開されています。
2026年のデザイントレンドではDIY志向の検索が90%増加、人間らしさと不完全さを大切にする潮流が顕著になっています。クリエイターの80%がAIをパートナーとして受け入れる一方で、人間味のあるデザインスタイルを重視する傾向が強まっているとのことです。
この記事の目次
クリエイターによる、クリエイターのためのトレンド
今回のトレンド予測は、同社が行ったデザインと検索行動の分析、デザイナー専門委員会(Designer Advisory Board)の知見、さらに米国とブラジルの1,000人のクリエイターを対象とした調査結果に基づいています。調査からは、クリエイターたちがAIの技術を活用しながらも、デザインに人間らしさや個性を与えることを重視する明確な傾向が浮かび上がっています。
新たな創造基準:デザインされた不完全
AI技術の高度化に伴い、視覚的なリアリティがデザインにおける重要な差別化要因となっています。長年にわたるアルゴリズムによる画一性や過度な洗練性を経て、調査対象となったクリエイターの80%が「2026年はクリエイティブコントロールを取り戻す年である」と回答したとのことです。彼らはAIを拒否するのではなく、自らの創造力を拡張するツールとして活用する姿勢を示しています。
この調査では、クリエイターの77%がAIを「不可欠なパートナー」と位置づけていることも明らかになりました。現代のデザイン環境では、利用可能なツールを最大限に活用しながらも、個々のテイストや個性を輝かせることが重要視されています。
感覚的な質感から映画的なストーリーテリングまで、クリエイターたちは合成素材の時代へと突入しています。DIYやコラージュ風の要素への検索が90%増加したことからも、人間の存在感を示すデザインとAIが提供する可能性の両方を求める傾向が強まっていることがわかります。
Cat van der Werff氏(Canva エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)は次のように述べています。「ますます多くのクリエイターがAIを活用して視覚的な自己表現を行うようになる中、2026年は"不完全さがデザインに反映される年"となると私たちは考えています。AIと人間の想像力やクリエイティビティをシームレスに融合させることが、これまで以上に重要になる時代となり、Canvaはこの変化を見据えて開発されています。誰もがAIを思い通りに活用し、個性的で本物らしく、紛れもなく人間らしい方法でアイデアを実現できるように引き続き支援していきます」
ブランドとクリエイターが知っておくべき10のトレンド
Canvaのグローバル分析により、2026年のクリエイティビティを形作る10のデザイントレンドが明らかになりました。これらのトレンドは、AI、文化、コミュニティが世界中の視覚表現をどのように再構築しているかを反映しています。
- リアリティーワープ:クリエイターたちは現実と非現実の境界線を意図的に曖昧にする傾向が強まっています。「リミナル(liminal)」や「不可思議(uncanny)」といったキーワードの検索数は前年比220%増加し、クリエイターの約4分の1は、これが2026年を象徴するトレンドになると予測しているそうです。
- プロンプトパーク:試行錯誤と初期のインターネットへのノスタルジアが融合し、人々はまず感情的なインパクトをデザインに求めるようになっています。UIの断片化、レトロテクノロジーへの言及、そして「バイブコーディング」がビジュアル言語を再構築し、「ローファイ美学」の検索数は527%も急増したとのことです。
- エクスプロアコア:デジタル情報の氾濫に対抗するため、エクスプロアコアは明快さと落ち着きを重視しています。クリエイターがペースを落とし、より深い探求を促すデザインを求める傾向が強まり、ZINEやSubstackに感化されたレイアウトの検索数は前年比85%増加しています。
- テクスチャチェック:CGIと非常にリアルな素材を求めるブームに後押しされ、テクスチャチェックは表面素材を主役に据えています。ガラスのような質感からワックスのような質感、そして触り心地の良い質感まで、リアルな質感の素材がCanvaで急増しており、関連検索数は30%増加したことが報告されています。
- メモアプリシック:完璧ではないものも受け入れる風潮の高まりにより、クリエイターたちはスクラップブック風のビジュアル、雑然とした構図、そして舞台裏のリアルさへと傾倒しています。DIYやコラージュ風の要素は90%増加しており、洗練よりも進歩を重視する文化的な変化を反映しています。
- オプトアウトエラ:デジタル疲れへの対抗手段として、このトレンドはビジュアルを本質的な要素に絞り込む傾向を示しています。無駄を削ぎ落としたレイアウト、セリフ体のフォント、そしてシンプルなブランディングが、過剰なパレットやマスコットに取って代わりつつあります。「クリーンなレイアウト」「セリフ体」「シンプルなブランディング」の検索数は54%増加しました。
- ドラマクラブ:クリエイターたちは感情表現の度合いを高め、SNSコンテンツ、アート、動画を通して映画的なストーリーテリングを展開する傾向が強まっています。「モキュメンタリー」「ドラマティック・スポットライト」といったモチーフへの関心は27%上昇し、ドラマティックな美学の復活に拍車をかけています。
- レトロウェーブ:インドでは、ノスタルジアが手織りの模様からお祭りの色合い、ボリウッドの魅力に至るまで、文化的モチーフの活気ある復活を促しています。「Desi」と「Hindi typography」の検索数はそれぞれ26%と17%増加し、伝統を重んじた力強いストーリーテリングへの回帰が顕著になっています。
- ZINEガイスト:メキシコでは、DIY ZINEムーブメントが勢いを増して復活しています。コラージュされたレイアウト、光沢を抑えた質感、そして大胆で特大の文字が定着しており、クリエイターたちは過度にデジタルな美学から距離を置く傾向を示しています。「ブルータリストデザイン」や「タイプポスター」といった関連検索は、前年比77%増加したと報告されています。
- ブロックパーティー:スペインのクリエイティブコミュニティは、ヴィンテージトーン、フォークロア、そして日常の娯楽を融合させ、現代的な視点で再解釈された温かみのあるノスタルジックなビジュアルを生み出しています。「Estética Tradicional(伝統的な美学)」や「Folklore Urbano(都会のフォークロア)」といったスタイルの検索は、150万インプレッションを記録しました。
デザイントレンドの主なポイント
- DIYを志向する検索数が90%も増加し、ありのままで個人的かつ不完全なデザインへの移行が顕著に見られます。
- クリエイターが編集スタイルのストーリーテリングに注目する中で、ZINEやSubstackに関連するレイアウトの検索数が85%増加しています。
- クリエイターの80%が2026年はAIをパートナーとして受け入れ、人間味のあるスタイルを優先しつつクリエイティブなコントロールを取り戻す年であると回答しています。
- ユーザーがシンプルなスタイルを好む傾向が強まり、すっきりとしたレイアウトとシンプルなブランディングの検索数が54%増加しています。
- ノスタルジアを重視した感情表現豊かなビジュアルが好まれ、ローファイな美的検索数が527%も増加しています。
- 現実と超現実の境界線が曖昧になり、「限界的な」および「不気味な」コンテンツの検索数が220%増加しています。
Canvaについて
2013年に設立されたCanvaは、ビジュアルコミュニケーションとコラボレーションのための世界をリードするオールインワンプラットフォームです。誰もがデザインを楽しめるよう設計された同社のサービスは、世界190カ国以上の企業、中小企業、消費者、そして学生のクリエイティブとデザインのニーズに応えています。
デザイン初心者から高度なツールを求めるクリエイティブプロフェッショナルまで、Canvaはアイデアを美しい形に変えるために必要なツールを提供しています。世界で最も包括的なデザイナー制作コンテンツライブラリを基盤とする同社は、個人やチームの創作、共同作業、そしてコミュニケーションをよりスムーズにする製品群と独自のAIツールを備えています。
出典元:Canva Japan株式会社 プレスリリース












