動画を活用した広告運用のインハウス化とは?ベルタに聞いたPDCAの進め方
株式会社ベルタ BELTAマタニティケア 遠藤夏海さん
インタビューの概要

ベルタ葉酸サプリを始め、女性のライフステージに寄り添った商品展開をしているBELTA(以下「ベルタ」)では、新規顧客獲得のための広告運用の多くをインハウス(社内)で行っています。その中でも最近では高速でPDCAを回すことが難しいと言われている動画を活用した広告で効果を上げているようです。どのように実践しているのか、株式会社ベルタのプロモーション担当である遠藤夏海さんと、運用の支援をされているアライドアーキテクツ株式会社のSaaS本部本部長である藤田佳佑さんに話を伺いしました。

マーケティング力の高さがゆえのインハウス化

―― まずは、ベルタさんが今の規模になるまでの変遷について教えて頂けますか。

遠藤さん: 弊社は2010年に代表が一人で立ち上げた株式会社ウェブタンクジャパンという会社からスタートしております。その後2014年に株式会社ビーボに社名を変更し、2020年12月の分社化により株式会社ベルタが設立されました。一貫して通販事業を行っておりますが、代表の武川がマーケティングに強く、創業当時からインハウスで広告の運用をしていました。単品リピート通販のような形で売上を作っていき、最初にヒットした商品がベルタ酵素ドリンクです。そこでブランドの認知度や知名度が伸びていきました。現在は女性のライフステージに合わせて商品の提案やサポートをしています。

ベルタがサポートする女性のライフステージ
ベルタがサポートする女性のライフステージ

例えば、妊活をしている方であれば妊活サプリメント、妊娠したら葉酸サプリのように、その時々に合わせて商品を提案しています。1商品でLTV(顧客生涯価値)を伸ばしていくというよりは、ライフステージを通して1人のお客様と長くお付き合いできるような接客を意識して取り組んでいます。

―― 創業当初からマーケティングや制作など、施策に関することをインハウス化されているのはどういった理由からでしょうか?

遠藤さん:インハウスマーケティングにこだわる理由にとしては、クリエイティブの細部までクオリティを追求したいという点、施策のPDCAスピードをにこだわりたいという点から、自然とそのようなスタイルになっていきました。マーケティングに関する内容は現在も代表を含めたプロモーションチームで進行しています。とは言え武川も、経営者の立場ですので、ずっとプロモーションに注力しているわけにもいきません。それでも商品LPについては、今でも文字と文字の間の空白や画像の位置などについて確認することもあります。そういった代表の”神は細部に宿る”という考え方のもと、チーム全体でクリエイティブとスピードにこだわるというインハウスのスタイルを築き上げてきていると思います。

リスティングなど広告運用については過去広告代理店さんに依頼していることもありましたが、2019年以降、自社に運用ノウハウやデータを蓄積し、データマーケティング全般を強化して知見を溜めることを目的に、インハウス化するよう切り替えています。

それでもリソースの兼ね合いで自社では動けない部分や、自社にスキルや知見がない部分は一部代理店さんに依頼することもあります。これは社内に知見を溜めることよりも、売上の最大化を目的に、施策を回すスピードを優先していることが理由の1つとして言えるかと思います。しかし、商品LPや広告として利用するバナーなど、成果を左右するクリエイティブ部分に関しては徹底してインハウスで対応するのは当社ならではないでしょうか。

動画を活用した広告で成果を伸ばす方法

―― 最近では動画を活用した広告で成果を上げているとお伺いしましたが、クリエイティブの作成やPDCAを回すなど、スピード感を持って対応するのが難しい領域だと聞いたことがあります。ベルタさんではどのようにして運用していますか?

遠藤さん:現在当社ではYouTube広告のような長尺の動画は代理店に依頼し、SNS広告のような短い動画は社内で運用しています。アライドアーキテクツさんが提供する動画制作ツール「LetroStudio」を導入してから、高速でPDCAを回す環境が整い、SNS広告を運用できるようになっています。

運用の流れとしては、まずは従来どおり静止画で広告を出稿することから始まります。その後複数走っているクリエイティブの中から、効果が良い静止画を動画化する流れが多いです。その動画広告の結果をアライドアーキテクツの担当さんと共有しつつ、他社の事例など相対感をお伺いしながら次の打ち手を考えるサイクルを取っています。

アライドアーキテクツ株式会社 藤田佳佑さん
アライドアーキテクツ株式会社 藤田佳佑さん

藤田さん(アライドアーキテクツ):当社ではツールを導入いただいて終わりではなく、ご導入企業様が施策や広告を運用するにあたってのアイディア出しなど、PDCAのお手伝いまで行っています。動画制作ツールを提供してはいるものの、マーケティングは成果を出すことが大切ですので、導入してから継続的に成果を上げられるように伴走することを大切にしています。

静止画を動画にすることで成功したPDCAサイクル

―― 二人三脚で動画制作の事例を多くお持ちのアライドアーキテクツさんと施策を推進できるのは心強いですね。実際に動画を活用した広告ではどのような施策に挑戦されましたか?

遠藤さん:最初は、妊活をしている人の気持ちを反映した冒頭シーンから、商品オファーまでの流れを動画化してみました。静止画だけでは伝わらないストーリーを動画で展開したら、ターゲットに響くかもしれないと思ったからです。しかし、思っていた効果がそこでは上がりませんでした。その後色々と試行錯誤し、静止画を元に商品に注目させる矢印やスタンプを入れ、少し動きをつけるということで成果が上がりました。見た目の変化は細かいですが、動画クリエイティブでも細部にこだわることで成果が変わってくるんだなということを実感した瞬間でもありました。

遠藤さん:静止画ですと可変要素が少ないので、クリエイティブの修正は結果的に短時間で終わります。動画はその点、動かせる要素が多いため、弊社としては

まずは静止画の訴求内容で成果を検証するのが効率的だと感じています。静止画で複数の訴求内容で広告を走らせて、良い成果になったものをベースに、動画でも複数パターン作成して検証を進めています。

―― 広告を回す中でどのような指標を重要視していますか?また、動画広告をインハウスで運用できることの利点はなんでしょうか?

遠藤さん:成果指標としてはCV(注文数)とCPO(1注文あたりの顧客獲得単価)をメインのKPIにしています。広告のクリエイティブに集客力があり、高いCTR(クリック率)を出すこともありますが、遷移先の商品LPとの相性でCVRが上がらないこともあるため、1注文あたりいくらでどのくらいの注文数を獲得出来たのかというのは指標として重要になってきます。

インハウスで動画広告を運用する利点は多いと思います。制作を代理店に依頼するとなると、訴求内容の変更、修正、確認してから入稿まで複数回やりとりを行い、何営業日もかかってしまうこともあるでしょう。その間、効果の良くない広告が配信され続けてしまいますし、改善されて費用対効果が上がる分の機会損失も出てきます。簡易的な動画制作ツールを用いれば、慣れてくると細かい修正は10~15分ほどで出来るようになるため、短時間で大量に作成でき、コミュニケーションコストを掛けずにスピーディーにPDCAを回すことが出来ます。

動画広告で成功するための共通項

―― ベルタさんでは静止画の結果を動画に活用し、良いサイクルを生み出せていますが、動画広告を成功させるために必要な要素としてはどういったことが挙げられますか?

藤田さん:動画広告を1〜2本試してみた初速の成果が良くなかったときに、動画広告そのものが駄目だと思わないことが大切です。動画は、テキストや静止画と同様あくまで1つのクリエイティブであることを忘れずに成果の良し悪しを踏まえて改善やA/Bテストを実施して検証を回していくことが軌道に乗せるために必要な考え方と言えるでしょう。

また、手前味噌な話にはなりますが、LetroStudioでは誰でも簡単に動画を作れるような直感的な操作ができます。少ない素材でも動画を制作するためのスタンプや、広告媒体に合わせたテンプレートなど、当社が広告代理店事業やSNS運用支援事業を経験してきた知見を元にツールを設計しているので、動画広告の制作・検証運用を実行しやすいツールになっています。

インタビューを通して:動きをもたせることで効果を高める

静止画で効果が出たクリエイティブをベースに動画に活かしているベルタさんに、「静止画から動画にクリエイティブを変えたことで効果が落ちるケースはないのか」と質問したところ、そういった事例はかなり少ないという回答を頂きました。今回の事例はFacebookやInstagramのようなタイムラインやストーリーのような流れの中で顧客の目を留めさせる方法として、具体的な運用方法に踏み込んだ内容をお話し頂いています。

今、SNS広告を運用している事業者様はこの機会に自社のクリエイティブに動きを持たせて検証してみてはいかがでしょうか?

▼ Letro Studio
https://service.aainc.co.jp/product/letrostudio/

▼ ベルタ公式ショップ
https://belta.co.jp/

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