
株式会社プレイドは、1st Party Dataの活用により広告配信最適化を実現する「KARTE Signals(カルテ シグナルズ)」の広告媒体連携機能「KARTE Signals Connector」を正式版として提供開始したことを発表しました。今回の正式版では広告媒体連携先の拡大や個人情報保護法における記録義務対応の自動化などの機能拡充を実現しています。広告運用担当者がこれまで以上に1st Party Dataを活用しやすくなり、デジタル広告の投資対効果最大化が可能になるとのことです。
KARTE Signalsはダッシュボード機能(KARTE Signals Dashboad)と広告媒体連携機能(KARTE Signals Connector)で構成されており、今回正式版として提供開始されるKARTE Signals Connectorは単体でも利用可能とのことです。
この記事の目次
デジタル広告配信におけるAI活用の根幹となる1st Party Data
CXプラットフォームKARTEシリーズのプロダクトとして2022年にベータ版の提供を開始したKARTE Signalsは、3rd Party Cookieを利用した広告配信の規制を見据え、自社で収集する1st Party Dataを活用した広告配信最適化と生活者のデジタル広告接触体験の向上を目的に開発されました。
2025年現在、AIの台頭によりデジタルマーケティングにも大きな変革期が訪れる中、Google社が掲げる「AI 活用の基本 2.0」にもあるように、あらゆる顧客接点に点在していたデータを統合して、1st Party Dataとして活用することが益々重要となっています。
"AIデータの活用は現代マーケティングの基盤を支える柱の一つであり、ファーストパーティ データを用いた信頼性の高い意思決定エンジンの構築が軸となります。CRM からサイトやアプリでの接点に至るまで、あらゆるデータソースを接続することによって、顧客の全体像を明確にし、AI を活用した効果的なマーケティングを実現すると、結果として投資収益率(ROI)が大幅に向上します。" (Google 広告における AI 活用の基本 2.0より引用)
一方で、広告運用担当者が1st Party Dataを活用する際には、データの作成工数や出稿したい各種広告媒体APIへの準拠、個人情報保護法における記録義務対応の手間などの障壁があります。KARTE Signals Connectorはこれらの課題を解消するために開発されたとのことです。
KARTE Signals Connectorの主な特徴
コンバージョン補完・ターゲティング・入札最適化など様々な施策が可能
3rd Party Cookieを利用した広告配信の規制により欠損したコンバージョンデータをKARTEで収集した1st Party Dataで補完することが可能です。1st Party Dataを活用したリストの自動連携でターゲティングをより高精度に実施できます。また、店舗等オフラインのコンバージョンデータも統合可能で、短期のコンバージョンだけではなく中長期のLTVといった指標を組み入れた入札価格の最適化を実行できるとしています。
クエリ不要で誰でも簡単に1st Party Dataを広告媒体に連携可能
広告媒体へ連携する1st Party Dataは、既存ユーザーや店舗購入者といったさまざまな条件に応じて抽出する必要がありますが、通常はSQLというプログラム言語を用いたクエリの実行が必要となります。Signals Connectorでは、SQLを使わずに広告運用担当者が自らデータを作成し、各広告媒体へデータを連携することが可能となります。
業界最大級の媒体に対応
2025年10月時点の連携媒体は、以下の通りです。
コンバージョン補完:Google/ Meta/ Yahoo!/ LINE/ X / TikTok / Microsoft/ Pinterest
ターゲティング:Google / Meta/ Yahoo! / LINE / Criteo / TikTok
入札最適化:Google / Meta / Yahoo! / LINE / Criteo / Microsoft
記録義務対応の自動化
個人情報保護法に定められた記録義務に対応し、1st Party Dataとして各広告媒体へ送信された個人情報・個人関連情報のデータを自動でKARTE内に保存します(保存期間は3年間)。個人情報・個人関連情報のデータを「いつ」、「どの広告媒体」に送信したか記録・管理する手作業や追加開発を行う必要がなくなります。
機能の詳細については、「KARTE Signals Connector」サービスサイト:https://karte.io/feature/signals-connector/でも確認できるとのことです。
連携先媒体及びKARTE Signals 利用企業のコメント
株式会社パル WEB事業推進室 CXディレクター 名嶋 恵佑 氏
50以上のブランドを展開する同社では、ブランドごとに最適化された広告施策を迅速に実行することが大きな課題だったといいます。従来は広告リストの連携に都度エンジニアの調整が必要で、60以上ものリストを手動で作成・更新するなど、膨大な手間と時間がかかっていたとのことです。
『KARTE Signals』は、この状況を劇的に改善してくれたと名嶋氏は語ります。サイト上の行動データから店舗利用データまでをKARTEに統合し、マーケター自身がノーコードで100以上のリストを自動作成・連携できるようになったことで、施策のPDCAサイクルが飛躍的に高速化したとのことです。
お客様一人ひとりに寄り添った体験の実現には、こうしたデータ活用の基盤が不可欠だと指摘。今後はLTVをさらに高め、ブランドと長くお付き合いいただけるお客様を増やすための戦略的パートナーとして、『KARTE Signals』に大いに期待しているとコメントしています。
株式会社SBI証券 デジタル営業部 課長 貝原 弘樹 氏
同社は『ゼロ革命』を通じて顧客基盤を大きく拡大する一方、事業の収益性向上は常に重要な経営課題だったと貝原氏は述べています。特に広告施策においては、従来の『フォーム申込』を目標とした広告配信最適化では、口座開設完了までに半数近くが離脱しているという実態があり、広告投資の効率化が大きな課題となっていたといいます。
これまで広告効果の計測対象外だった『口座開設完了』というオフラインデータを、お客様のプライバシーに安全に配慮した形でGoogle広告に連携。さらに、コンバージョンアクションごとの価値(Value)を付与することで、事業収益に直結するtROAS運用という、まさに同社が目指していた広告最適化を『KARTE Signals』が可能にしてくれたと評価しています。
この成功を足がかりに、今後はGoogle広告のみならず、Yahoo!広告をはじめとする様々な媒体へとデータ活用を広げ、1st Party Data活用を力強く推進していくとのことです。今後もプレイド社と共に、最高の顧客体験を追求し、事業を成長させていきたいと考えているとコメントしています。
ジュピターショップチャンネル株式会社 EC本部 Eコマース部 副部長 高島 強志 氏
デジタルシフトを進める同社は、プライバシー強化環境下でのファーストパーティデータの安全な活用が喫緊の課題だったといいます。特に、創業以来初の社外システムとのデータ連携は、ガバナンス面で大きな挑戦だったとのこと。この課題を「KARTE Signals」が解決し、顧客の同意に基づき、データと広告プラットフォームを高精度かつシームレスに連携させ、Google広告をはじめとした複数媒体でターゲティング施策やコンバージョン補完などの施策が本格化したと高島氏は述べています。
導入後、デジタル広告経由での新規顧客獲得数は45%増加、CPAは24%改善という目覚ましい成果を達成。平均10歳若い層への訴求にも成功し、事業成長に貢献しているとのことです。
今後は「KARTE Signals」を活用し、LTVに基づいたマーケティング投資の最適化やアップセル施策を進める予定だといいます。高島氏は本サービスを、プライバシーと成果を両立させる不可欠なソリューションだと確信していると評価しています。
ピンタレスト・ジャパン合同会社 エンタープライズ事業本部 執行役員 営業本部長 飯島 仰基 氏
Pinterestは人々が新しいアイデアを見つけ、計画を立て、ショッピングをするためのプラットフォームです。ユーザーにとって価値ある広告を届けるため、広告コミュニケーションのパーソナライズは非常に重要だと飯島氏は述べています。ユーザー体験をより豊かなものにするためには、ファーストパーティデータに基づいた、一人ひとりに寄り添った広告コミュニケーションが不可欠だといいます。
『KARTE Signals Connector』は、まさにこのファーストパーティデータ活用の推進を可能にするソリューションだと評価。今回の連携を通じて、多くの企業が顧客のインサイトに基づいた広告配信を実現し、ビジネスを成長させられるものと確信していると述べています。KARTE Signalsと共に広告主様の成功を力強くサポートしていきたいと考えているとコメントしています。
出典元: 株式会社プレイド プレスリリース