2025年上期空港運用状況:国際線外国人旅客数が過去最高の1,222万人を記録、旅客数全体も好調

成田国際空港株式会社による2025年上期(1-6月期)の空港運用状況が発表され、国際線外国人旅客数が暦年上期として過去最高の1,222万人を記録しました。国際線旅客数全体でも歴代2番目となる高水準に達し、航空需要の堅調な回復が鮮明となっています。

2025年6月の空港運用状況

まず6月単月の空港運用状況についてご紹介します。旅客便と貨物便それぞれの動向について詳細が報告されています。

旅客便の動向

発着回数

国際線旅客便の発着回数は13,578回(前年同月比106%)となりました。特に中国線が2,414回(前年同月比134%)と好調で、6月としては4番目に高い水準を記録しています。中国路線の回復が全体の成長を牽引していることがわかります。

一方、国内線旅客便の発着回数は3,576回(前年同月比89%)となり、前年同月を下回る結果となりました。この減少傾向については後述する上期全体の傾向とも関連しています。

旅客数

航空旅客数全体では323万人(前年同月比100%)となりました。これは6月としては2019年の361万人、2018年の344万人に次ぐ3番目に高い水準です。コロナ禍からの回復が着実に進んでいることを示しています。

国際線旅客数は267万人(前年同月比102%)を記録しました。特筆すべきは外国人旅客数で、184万人(前年同月比101%)となり、6月として過去最高を達成しました。訪日外国人の増加傾向が継続していることがうかがえます。

国内線旅客数は56万人(前年同月比92%)となり、前年同月と比較すると減少しています。

貨物便の動向

国際線貨物便の発着回数は2,581回(前年同月比101%)となり、わずかながら前年を上回りました。

国際航空貨物量は17.1万トン(前年同月比101%)を記録し、15カ月連続で前年同月を上回る結果となりました。貨物分野においても安定した成長が続いていることが分かります。

空港運用状況グラフ

2025年上期(1-6月期)空港運用状況の総括

2025年上期(1月から6月)の空港運用状況を総合的に見ると、特に国際線の好調さが際立っています。詳細な数値は以下の通りです。

旅客便の動向

発着回数

国際線旅客便の発着回数は83,956回(前年同期比110%)となり、二桁の成長率を記録しました。国際線需要の回復と拡大が継続していることが明確に表れています。

一方、国内線旅客便の発着回数は21,841回(前年同期比90%)にとどまりました。この減少の背景には、LCC各社における機材不足や運航人員不足があり、昨年10月の冬ダイヤから減便が継続していることが影響しています。航空業界全体で直面している人材確保や機材調達の課題が、特に国内線において顕著に表れていると考えられます。

旅客数

航空旅客数全体では2,078万人(前年同期比108%)となりました。これは上期(1-6月)としては2019年の2,167万人に次ぐ歴代2番目の高水準です。コロナ禍前の水準に着実に近づいていることを示しています。

国際線旅客数は1,733万人(前年同期比112%)と大きく増加しました。この好調な結果の背景には、近距離アジア線の好調さと円安の影響があると分析されています。円安によるインバウンド需要の増加が、国際線旅客数の拡大に寄与していると考えられます。

特に注目すべきは外国人旅客数で、1,222万人(前年同期比115%)を記録し、上期(1-6月)として過去最高となりました。日本を訪れる外国人観光客が過去最多を記録したことは、観光立国を目指す日本にとって明るいニュースといえます。

日本人旅客数も408万人(前年同期比115%)と前年同期を大きく上回りました。海外旅行需要も着実に回復していることを示しています。

国内線旅客数は344万人(前年同期比90%)となり、先述の発着回数の減少と連動する形で前年同期を下回る結果となりました。

貨物便の動向

国際線貨物便の発着回数は14,615回(前年同期比99%)と、ほぼ前年同期並みの水準を維持しました。

国際航空貨物量は96.8万トン(前年同期比103%)となり、前年同期を上回る結果となりました。品目別に見ると、輸出ではプラスチック、輸入では半導体製造装置が好調だったことが全体の増加に貢献しています。これらの動向は、グローバルなサプライチェーンの中での日本の位置づけや、半導体関連産業の活況を反映していると考えられます。

なお、2027年度までの中期経営計画では、航空機発着回数29万回、航空旅客数4,700万人、国際航空貨物量210万トンという目標値が設定されています。今回の上期実績は、これらの目標達成に向けた進捗を測る上で重要な指標となります。

2025年上期空港運用状況グラフ

旅客数と貨物量の詳細分析

2025年上期の結果を詳しく分析すると、特に国際線旅客数の伸びが顕著であることが分かります。1,733万人という数字は、コロナ禍前の水準に迫る勢いです。外国人旅客と日本人旅客がともに前年同期比115%という同じ成長率を示していることも特徴的です。

一方で国内線については、LCC各社の減便の影響が数字に表れています。機材不足や運航人員不足という航空業界全体が直面している構造的な課題が、特に国内線において顕在化していると考えられます。今後、これらの課題にどう対応していくかが、国内線の回復には重要なポイントとなります。

貨物分野では、国際航空貨物量が前年同期を上回る96.8万トンを記録しています。輸出入ともに好調な品目があり、グローバル経済の回復と日本の産業活動の活発化を反映していると考えられます。

航空旅客数の推移グラフ

今後の見通しと課題

2025年上期の結果は、航空需要の回復が着実に進んでいることを示しています。特に国際線、とりわけ外国人旅客数が過去最高を記録したことは、訪日観光の活況を示す重要な指標です。円安基調が続く中、この傾向は今後も続くことが予想されます。

一方で、国内線の減少傾向は航空業界が直面している課題を浮き彫りにしています。LCC各社の機材不足や運航人員不足は短期間で解決できる問題ではなく、中長期的な対応が求められます。

また、2027年度までの中期経営計画における目標値(航空機発着回数29万回、航空旅客数4,700万人、国際航空貨物量210万トン)の達成に向けては、国際線の好調さを維持しつつ、国内線の課題解決にも取り組む必要があります。

貨物分野については、国際航空貨物量が増加傾向にあることは好材料です。特に半導体製造装置などの高付加価値品の輸入が好調であることは、日本の産業競争力の維持・向上にとっても重要な要素となります。

国際航空貨物量の推移グラフ

まとめ

2025年上期の空港運用状況は、特に国際線において好調な結果となりました。外国人旅客数が過去最高を記録したことは、訪日観光の活況を示す重要な指標です。一方で国内線については、航空業界全体が直面している課題の影響が見られました。

貨物分野では、国際航空貨物量が増加傾向にあり、特に半導体製造装置などの高付加価値品の輸入が好調でした。

2027年度までの中期経営計画における目標達成に向けて、これらの結果は一定の進捗を示していると考えられます。今後は国際線の好調さを維持しつつ、国内線の課題解決にも取り組むことが重要となります。

空港運用状況の定期的な分析と報告は、航空需要の動向を把握し、適切な対応策を講じるための重要な指標となります。今回の結果は、コロナ禍からの回復が着実に進んでいることを示す明るい材料といえます。

出典元:成田国際空港株式会社 プレスリリース

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