
現代社会において、ECサービスの広がりと物流インフラの発展により、消費者の買い物スタイルは大きく変化し、利便性は当たり前のものとなっています。しかし、消費の中心層である30・40代の方々は、実際の購買行動においてECと実店舗をどのように使い分け、物流サービスに対してどのような評価や期待を持っているのでしょうか?
株式会社ecloreが提供する発送代行・物流倉庫業者マッチングサイト『一括.jp』が30・40代の男女100名を対象に実施した「消費と物流サービス」に関するアンケート調査の結果が公開されました。
この調査では、多様化する購買チャネルの利用状況を明らかにするとともに、物流・配送サービスへの満足度や具体的な改善ニーズについても詳しく分析されています。影響力の高い30・40代の生の声から、これからのユーザー体験向上や物流サービスの競争力強化に役立つヒントが探られています。
この記事の目次
調査結果1:過去3か月間で商品の購入に利用したチャネルを教えてください。
※複数回答可
- 最も多かったのは、「オンライン通販(Amazon、楽天などECモール)」で、79.0%(79人)がこのチャネルを利用していると回答しました。商品の豊富さや価格比較のしやすさ、ポイント制度など、利便性とお得感を両立したECモールの魅力が、広く浸透していることがわかります。
- 次に多かったのは「実店舗(ショッピングモール・百貨店・スーパーなど)」で、70.0%(70人)という高い利用率を示しています。オンライン化が進む中でも、商品を直接確認したい、すぐに入手したいというニーズは依然として強く、リアル店舗での買い物も重要な選択肢として位置づけられています。
- 一方で、「フリマ・オークションアプリ(メルカリなど)」が14.0%(14人)、「公式オンラインショップ」が13.0%(13人)と、上位2チャネルと比較すると利用者数は大幅に少ないものの、特定のユーザー層に支持されていることがわかります。
- 「宅配食品サービス」7.0%(7人)や「テレビ・カタログ通販」6.0%(6人)は限定的な利用にとどまり、「その他」は1.0%(1人)とごく少数でした。
調査結果2:現在あなたが利用している物流・配送サービスについて、どの程度満足していますか?

- 最も多かったのは、「やや満足している」で、全体の37.0%(37人)が現在の物流・配送サービスに対して一定の満足感を持っていることが明らかになりました。大きな不満はないものの、さらなる改善やサービス向上への期待も併せ持つ層であると考えられます。
- 次に多かったのは「非常に満足している」で、26.0%(26人)となっており、配送スピードや配達品質、対応の丁寧さなどが総合的に高く評価されていることがうかがえます。
- 全体の63%が「満足している」側に分類され、現在の配送サービスは多くのユーザーから支持されている状況といえるでしょう。
- 一方、「普通」と回答した人も24.0%(24人)存在し、特に不満はないものの、印象に残るような満足体験も得られていないユーザーが一定数いることが示されています。
- 「やや不満を感じている」4.0%(4人)、「非常に不満を感じている」1.0%(1人)という回答は少数ながらも、配達の遅れや再配達の手間など、改善すべき課題が残されていることを示唆しています。
- また、「配送サービスを利用していない(店舗購入のみのため)」という回答も8.0%(8人)あり、すべての消費者が宅配サービスを活用しているわけではないことも確認されました。
調査結果3:もし物流・配送サービスが今より改善されるとしたら、特に改善してほしいことは何ですか
※複数回答可(注1)

(注1) 本設問は複数選択式ですが、選択肢は2つまでに制限しています。これにより、特に改善してほしいと感じていることをより明確に把握できるようにしています。
- 最も多かったのは、「送料を安く(または無料に)してほしい」で、42.0%(42人)が選択しました。物流サービスに一定の満足感があっても、コスト負担の軽減は依然としてユーザーにとって最重要な改善ポイントであることが明らかになりました。
- 次に多かったのは、「特に改善してほしいことはない」で35.0%(35人)に上り、現状のサービスに大きな不満や要望を持たないユーザーも相当数存在していることがわかります。
- 続いて、「配送スピードをもっと速くしてほしい」および「置き配や受け取り方法の選択肢を増やしてほしい」がそれぞれ16.0%(16人)となっています。緊急性の高い配送ニーズへの対応や、個々のライフスタイルに合わせた柔軟な受け取り方法の拡充が、今後の重要な改善課題として挙げられています。
- 「エコ配送(簡易包装やCO2削減)に力を入れてほしい」は8.0%(8人)、「誤配や配送ミスをなくしてほしい」は6.0%(6人)と、優先度としては低めですが、環境への配慮や品質管理に関心を持つユーザー層も一定数存在していることが確認できます。
まとめ:消費行動は"便利"が標準に。物流に求められる自由と納得感
今回の調査から、30〜40代の消費者の多くがECモールと実店舗を目的に応じて適切に使い分けている実態が明らかになりました。
約8割の人がECモールを利用する一方で、7割は実店舗も活用しており、「便利さを求めるときはネット」「すぐに必要なときは店舗」など、状況に応じて最適なチャネルを選択する柔軟な購買行動が日常的になっています。
(1)ECと実店舗を使い分ける"ハイブリッド型"が主流に
- 79.0%の人が「オンライン通販(Amazonや楽天などECモール)」を利用し、さらに70.0%が「実店舗」も併用していることが明らかになりました。30・40代の消費者にとって、もはや「どちらか一方」ではなく、「状況に応じた使い分け」が自然な購買パターンとして定着しています。
- 利便性と即時性のバランスを重視する消費行動が主流となる中、今後はECと実店舗それぞれの強みを最大限に引き出し、ユーザーのニーズに合わせてシームレスに連携させることが、事業者にとって重要な競争優位性になっていくと考えられます。
(2)配送サービスへの満足度は高め。ただし"完全ではない"が本音
- 現在利用している物流・配送サービスについては、63.0%が「非常に満足」「やや満足」と回答しており、サービス全体への評価は総じて高い水準にあります。しかし、最も多かった回答は「やや満足」の37.0%であり、完璧な満足感には至っていないことも示されています。「普通」が24.0%、「やや不満・不満」も合わせて5.0%存在していることからも、さらなる改善の余地があることがわかります。
- 物流サービスの品質向上が進む中で消費者の期待値も高まっており、今後は「あと一歩」を埋めるためのサービス革新が求められるでしょう。
(3)改善ニーズは「価格」「スピード」「受け取り方」に集中
- 物流サービスへの改善要望として最も多かったのが「送料を安く(または無料に)してほしい」で42.0%。次いで「特に改善してほしいことはない」が35.0%と、現状に満足している層も少なくありません。一方で「配送スピードの向上」や「置き配・受け取り方法の選択肢拡充」といった利便性向上へのニーズもそれぞれ16.0%ありました。
- 消費者の期待は、「価格」「時間」「受け取りの柔軟性」という明確な要素に集中しており、単に「早い」「安い」を追求するだけでなく、個々のライフスタイルや価値観に合わせた選択肢を提供することが、これからの物流サービスに求められる重要な要素となっています。
今回の調査で見られた高い満足度の裏側には、より個々のユーザーに寄り添った体験を求める潜在的な期待が隠れています。満足度が一定水準に達した現在だからこそ、企業は消費者が「真に求めているもの」を深く理解し、より洗練された顧客体験の提供に向けた次のステップを踏み出す必要があるでしょう。
監修者:杉本貴之(Takayuki Sugimoto)
株式会社ecloreにて年間120社超のSEOコンサルを担当。SEO分野で培った分析力と多数の企業との豊富なコミュニケーション経験を活かし、消費者の購買行動や市場動向を深く理解。
一次情報に基づくコンテンツの監修を通じ、信頼性が高く質の優れた情報発信を積極的に行っています。
【保有資格】SEO検定1級、Googleアナリティクス認定資格

調査概要
調査日: 2025年7月16日
調査対象地域: 全国
調査機関: Freeasy
調査方法: オンラインアンケート調査
調査対象・人数: 30~49歳の男女100人
出典元:株式会社eclore プレスリリース