
機能性表示食品制度は時代と共に変化を続けながらも、その届出数は着実に増加し、市場規模も拡大を続けています。この記事では、「薬事法マーケティングの教科書調査」による機能性表示食品の最新データが分析され、届出数・撤回数の推移、人気成分、届出者ランキング、機能性ランキングなどの詳細な集計結果が紹介されています。
引用元:薬事法マーケティングの教科書調査
URL:https://yakujihou-marketing.net/archives/5728
株式会社UOCC:https://uocc.co.jp/
この記事の目次
集計対象について
この調査は、A1〜J1584(2024年度届出分)の合計9912件を対象としています。
機能性表示食品の届出数推移
機能性表示食品の年度別・月別の推移を見ると、2024年度は特に最終月に届出数が大きく増加し、これまでで最多の届出数を記録しました。このことから、機能性表示食品への関心と市場の成長が継続していることがうかがえます。


機能性表示食品の撤回数推移
機能性表示食品の撤回状況に目を向けると、2023年度から急激に撤回数が増加し、2024年度も多くの商品が撤回となっています。統計によれば、約30%の商品が撤回されており、市場の流動性の高さを示しています。
※データ収集に関する注意点として、2025年3月分までの届出がデータベースに完全に反映されたのは2025年7月頃であるため、その時点までの撤回分もこの集計に含まれています。


機能性表示食品の届出者ランキング
機能性表示食品の届出者は全部で2096事業者に上り、大手企業から個人事業主まで多岐にわたる事業者が参入しています。届出数上位の事業者は以下のようになっています。
届出数の多い届出者TOP10は以下の通りです。

上位10社の具体的な届出数は以下の通りです。
- 森永乳業株式会社:149件
- 株式会社東洋新薬:147件
- 株式会社ファイン:118件
- 株式会社伊藤園:115件
- アサヒ飲料株式会社:106件
- アサヒグループ食品株式会社:76件
- 株式会社常磐植物化学研究所:76件
- 株式会社明治:76件
- 小林製薬株式会社:76件
- 森永製菓株式会社:76件
大手食品・飲料メーカーが上位を占める中、OEMを手がける企業も上位にランクインしており、機能性表示食品市場の多様性を反映しています。
機能性関与成分の人気ランキング
機能性表示食品に含まれる成分の中で、最も人気が高いのはGABAであることが分かっています。その理由として、「疲労感」「ストレス」「睡眠」など、現代人のニーズに合致した効果を訴求できることが挙げられます。
2位には乳酸菌が入っています。様々な種類・名称の乳酸菌が存在しますが、この集計ではこれらを「乳酸菌」として一括りにしています。
3位は難消化性デキストリンです。機能性表示食品制度が始まった当初は非常に人気のあった成分ですが、最近ではその増加ペースが緩やかになってきているようです。
機能性関与成分の人気ランキングTOP10は以下の通りです。

上位10成分の具体的な数値は以下の通りです。
- GABA:1,428件
- 乳酸菌:651件
- 難消化性デキストリン:531件
- ルテイン:473件
- ポリメトキシフラボン:401件
- DHA:378件
- EPA:347件
- ゼアキサンチン:312件
- エラグ酸:254件
- グルコシルセラミド:251件
GABAの届出数が他の成分を大きく引き離しており、市場でのニーズの高さが際立っています。目の健康に関わるルテインやゼアキサンチン、血管系の健康に関わるDHAやEPAなども人気が高く、消費者の健康意識の高まりを反映しています。
表示しようとする機能性ランキング
機能性表示食品において、どのような効果・効能が訴求されているのでしょうか。近年は、複数の効果を同時に訴求することが一般的になってきています。ただし、新たな効果の訴求はあまり見られず、類似した訴求内容の商品が多く存在するのが現状です。
表示しようとする機能性のTOP10は以下の通りです。

上位10機能の具体的な数値は以下の通りです:
- 疲労感:1,459件
- 中性脂肪:1,453件
- 血糖値:1,443件
- BMI:1,308件
- 内臓脂肪:1,298件
- 保湿:1,058件
- 睡眠:975件
- 血圧:932件
- ストレス:922件
- 体脂肪:823件
疲労感や中性脂肪、血糖値など、現代人の生活習慣と密接に関わる機能性が上位を占めていることがわかります。特に、メタボリックシンドロームに関連する項目(中性脂肪、血糖値、BMI、内臓脂肪など)が多く、健康意識の高まりとともに、これらの機能性への関心が高まっていることが示唆されます。
体の部位ランキング
機能性表示食品の訴求において、どの体の部位が注目されているのでしょうか。表示しようとする機能性には、特定の体の部位に言及しているものも多くあります。
体の部位TOP10は以下の通りです。

上位10部位の具体的な数値は以下の通りです。
- お腹:1,428件
- 肌:1,101件
- 目:743件
- ひざ:527件
- 骨:357件
- 足:303件
- 手:194件
- 鼻:133件
- 腰:130件
- 肩:110件
「お腹」が最も多く、内臓脂肪や腸内環境に関する機能性食品が人気であることを示しています。次いで「肌」が多く、美容への関心の高さが反映されています。また、「目」「ひざ」「骨」などの部位も上位にランクインしており、現代人の健康意識の多様化が見て取れます。
集計データについての補足情報
この記事で紹介された集計データの他にも、さらに詳細な情報が「薬事法マーケティングの教科書」から提供されています。以下のような情報が入手可能です:
- 11位以下の届出者ランキング、最近1年で届出の多かった届出者
- 11位以下の機能性関与成分ランキング、最近1年で届出の多かった機能性関与成分
- 11位以下の表示しようとする機能性のランキング、最近1年で届出の多かった表示しようとする機能性
- 11位以下の体の部位ランキング、最近1年で届出の多かった体の部位
機能性表示食品市場は引き続き拡大を続けており、企業間の競争も激化しています。この調査結果は、市場動向を理解し、新商品開発や既存商品の見直しを行う上で貴重な情報となるでしょう。消費者ニーズに合った機能性を持つ製品開発が、今後も市場で成功するための鍵となりそうです。
出典元:株式会社UOCC 薬事法マーケティングの教科書調査 プレスリリース