生成AIの企業活用実態調査:6割以上が週に数回以上AIを利用、20代は約6割が「毎日使用」と回答

株式会社スタジオテイルが「生成AIの活用状況アンケート」を実施し、様々な業界・職種の方々における生成AIの活用実態や現場での変化を調査したことがわかりました。このアンケートでは、生成AIがビジネスの現場でどのように使われているか、どのような変化や課題が生まれているかを詳細に分析しています。

アンケート概要

テーマ:「生成AIの活用状況アンケート

集計期間:2025年6月20日~2025年7月6日

回答者:現在フルタイムまたは正社員で働いている20代~50代の男女

全440名(20代:42名、30代:142名、40代:146名、50代以上:96名)

回答者の年代別内訳
回答者の業種別内訳

1)仕事にAI、どこまで根付いた? ──「毎日使っている」が3割

6割以上が「週に数回以上」AIを活用

Q1 現在、生成AIを業務でどのくらい利用していますか?

生成AIの利用頻度
年代別AIの利用頻度

アンケートによると、生成AIを「毎日」または「週に数回」業務で利用している人は全体の6割以上にのぼることが明らかになりました。特定の業種や職種に限らず、20代から50代以上まで幅広い世代がAIを業務に取り入れています。

特に注目すべき点として、20代の回答者では約6割が「毎日使っている」と回答しており、若い世代にとって生成AIがすでに業務の必須ツールとなっていることがわかります。

導入が加速した「2024年」

Q2)生成AIを業務で本格的に利用し始めたのは、いつ頃からですか?

生成AI導入時期

生成AIを業務で本格的に活用し始めた時期については、最も多かった回答は「2024年から」で、全体のおよそ半数を占めています。2023年以前から利用していた層も一定数存在しますが、データから2024年に入ってから導入が急速に進んだことが見て取れます。

生成AIを使うきっかけで最も多かったのは、「業務効率を上げるため」

Q3)生成AIを使うようになったきっかけは何ですか?

生成AI導入のきっかけ

生成AIを使い始めた最大の理由として「業務効率を上げたかったから」が挙げられています。業務負担の軽減や時間短縮のニーズが、導入の主な動機となっていることがわかります。

その他にも、「上司や同僚からの紹介」「社内研修での認知」「SNSやネットニュースの影響」など、周囲の環境や情報源からの影響で使い始めたケースも多く見られました。また、「無料で利用できる手軽さ」も導入のハードルを下げ、普及を後押しした要因の一つと考えられます。

2)ChatGPT一強時代?使われているAIサービス

圧倒的な「ChatGPT」利用率

Q4)現在利用している生成AIサービスはどれですか?(複数選択可)

利用している生成AIサービス

現在業務で利用されている生成AIサービスの中で、最も普及しているのは「ChatGPT(OpenAI)」で、全体の8割近くの回答者が使用していると回答しています。他のサービスと比較して圧倒的な支持を集めていることが明らかになりました。

次点では「Gemini(Google)」と「Microsoft Copilot」がそれぞれ3~4割程度の利用率となっていますが、ChatGPTとの差は大きいです。また、画像生成AI、業務特化型AI、自社開発ツールの利用率は現時点では1割未満にとどまっています。

ChatGPTが広く採用されている理由としては、簡単なアクセス性に加え、文章生成やアイデア出しなど多様な業務に対応できる汎用性の高さが挙げられます。ただし、一部では業務内容に応じて他のサービスと使い分ける傾向も見られ、今後はより専門的な用途に合わせたAI選択が進むと予想されます。

3)仕事はどう変わったのか──使われ方の最前線

利用シーンは多岐に

Q5)どのような業務で生成AIを使っていますか?(複数選択可)

生成AIの利用シーン

生成AIの活用領域は業務の様々な場面に広がっています。特に利用頻度が高いのは「アイデア出し・ブレインストーミング」と「メールやチャットの下書き作成」で、いずれも全体の約半数が選択しています。

また、「Web調査やリサーチ」においては、従来の検索エンジンに代わって生成AIを活用するケースが増えていることも報告されています。

その他、「翻訳や言い換え」「データ分析補助」「コーディングやコードレビュー」など、専門的なスキルを要する業務やクリエイティブ分野でも活用が進んでいることがわかります。

"便利"だけじゃない、広がる期待と課題

Q6)業務に生成AIを導入して感じた変化として、当てはまるものをすべてお選びください。(複数選択)

生成AI導入後の変化

生成AI導入によって得られた最大の効果として、「業務時間の短縮」が挙げられています。全体の約3分の2がこの効果を実感しており、「従来の作業時間が10分の1になった」といった具体的な成果も報告されています。

また、「新しいアイデアが生まれやすくなった」「判断に迷った際のサポートとなった」「単純作業が減り、思考する時間が増えた」など、業務の質的向上にも寄与していることがわかります。

自由記述からは、「苦手な業務をAIに任せることで精神的負担が軽減された」「AIにアイデアの基礎を作成してもらい、自分で仕上げることで質の高い成果が得られた」など、各自の創意工夫による活用方法も見られました。

Q7)生成AIを使う中で、現在感じているデメリットやリスクがあれば教えてください(複数選択)

生成AI利用のリスクと課題

一方で、「誤った情報の出力」「機密情報漏洩のリスク」「自分で考える機会の減少」「使い方次第での品質低下」など、生成AIに対する懸念も多く寄せられています。

特に、情報の正確性確保やセキュリティ面での配慮、人間の判断力やスキル維持といった観点では、慎重な運用が求められていることがわかります。

利便性が高く評価される一方で、リスク面にも注意を払い、両側面を考慮した活用が今後さらに重要になると考えられます。

4)これからAIとどう付き合う?「人とAIの協働」のヒント

この章では、アンケートの自由記述回答から「これからのAIとの関わり方」について考察されています。

回答からは、業務効率化だけでなく、生成AIとの「対話」が日常業務に自然に統合されつつある様子がうかがえます。

AIの出力をそのまま受け入れるのではなく、自分の専門知識や判断と組み合わせて活用する姿勢が多くのコメントに共通して見られます。

また、不正確な情報や根拠が曖昧な出力(ハルシネーション)への対処についても、現場での具体的な工夫や慎重なアプローチが語られています。

1. 「質問する」から「対話する」への変化

AIとの対話

生成AIは、まるで"もうひとりの自分"ができたような存在です。迷ったときに相談できたり、視点を変えてくれたり、孤独になりがちなライティング作業に「対話」をもたらしてくれました。

(男性 50代 神奈川県|メーカー 営業職)

業務効率化のアイデアに行き詰まっていた時、AIに相談してみたら、自分では思いつかない視点をくれて驚きました。その提案を活かして実際に業務改善ができ、仕事が少し楽しくなりました。

(女性 30代 愛知県|メーカー 事務/アシスタント)

これまでパワーポイント資料の作成は構成を考えたり文章を整えたりする作業が憂鬱でしたが、ChatGPTを活用することで大幅に負担を軽減できました。
伝えたい要点を入力するだけで、適切な章立てやスライド構成案、キャッチコピーまで提案してくれるため、資料作成時間を大幅に短縮でき嬉しかったです。修正も対話形式で簡単に対応可能で、クオリティを保ちながら効率化を実現し、業務全体の生産性向上に大きく貢献しました。

(男性 30代 大阪府 |フリーランス)

チャットボットのような単純な自動応答と異なり、生成AIとのやり取りは「質問して答えを得る」だけでは終わりません。そこには思考を広げ、深める「対話」としての側面があります。

アンケート回答からは、業務相談やアイデア出し、文章作成の下書きなどにおいて、生成AIを「もうひとりの自分」や「パートナー」のように捉えている人が多いことがわかります。

生成AIを効果的に活用するためには、単に正解を求めるのではなく、対話を通じて自分の考えや発想を発展させていく姿勢が重要なポイントとなるでしょう。

2. 「業務効率」のその先──AI+自分だからこそできる仕事を模索する

AI活用の先にある価値

所属する部署での月例の会議に使う資料作成が、生成AIを使うようになって大幅な時間短縮が可能になりました。そして、浮いた時間においては、会議の説明手法を検討に使えるようになりました。

(男性 30代 兵庫県|建設/プラント/不動産 技術職)

生成AIを業務に導入して最も感じた変化は、資料作成や文書作成の時間が大幅に短縮されたことです。さらに、判断に迷ったときには情報の整理や比較をサポートしてくれるため、意思決定がスムーズになりました。
単純作業の負担が減ったことで、本来注力すべき「考える時間」が増えた点も印象的で、生産性と業務の質の両方が向上したと実感しています。

(40代 東京都 IT/通信|技術職)

生成AIを導入してから、資料作成や文書作成の時間が劇的に短縮されました。以前は数時間かかっていた報告書や企画書のドラフトが、AIのサポートで30分程度で完成することもあり、その効率性に驚いています。

また、データ入力や定型的なメール作成といった単純作業の負担が大幅に軽減されたことで、本来集中すべき思考や企画立案に時間を割けるようになりました。これにより、業務の質が向上し、より創造的な仕事に取り組めていると実感しています。

最も印象的だったのは、これらの変化によって仕事のストレスが目に見えて減ったことです。時間的制約による焦りや、単純作業の繰り返しによる倦怠感が減り、精神的なゆとりが生まれました。生成AIは単なるツールではなく、業務に対する向き合い方や働き方そのものをポジティブに変えてくれたと感じています。

(男性 40代 東京都 |フリーランス)

生成AI導入により、「本来集中すべき思考の時間が確保できた」「選択肢や判断材料が増え、意思決定が迅速になった」など、業務効率化の「その先」に価値を見出す声が多く寄せられています。

単純作業をAIに任せることで、人間はより創造的で付加価値の高い業務に時間を割けるようになっています。「AI+自分」という視点で成果を高めようとする傾向も見られ、効率化だけでなく、「人間ならではの仕事」にどうつなげていくかが、これからの働き方に大きく影響していくと考えられます。

3. 「ファルシネーション」(AIの誤回答)については、どう対処する?

AIの誤回答への対処法

AIが提案したコードをそのまま使用したところ、思わぬバグが発生し、原因の特定に時間がかかってしまいました。この経験から、AIの出力を鵜呑みにせず、自分で内容を確認することの重要性を実感しました。

(男性 30代 富山県|IT/通信 技術職)

過去の経済指標や金融商品の説明をAIに任せた際にデータの更新時期が不明瞭で、結果的に古い情報をもとに資料を作成してしまいました。
一見もっともらしい回答でも情報源が曖昧なことが多く、信頼性の判断を怠ると業務上のリスクになります。

(男性 30代 鹿児島県|金融/保険 金融系専門職)

海外の最新技術に関するリサーチを依頼した際、存在しない論文や古い情報を基にした、もっともらしい嘘(ハルシネーション)を回答されたことがありました。
ファクトチェックを怠っていたら、誤った前提で企画を進めてしまうところでした。それ以来、出力内容は必ず一次情報で裏取りするよう徹底しています。

(男性 30代 東京都|IT/通信 企画/管理)

AIに書かせた文案をほぼ修正せずにそのまま提出したところ業界用語の使い方がズレていたと指摘されました。正解を出してもらうつもりで使うと逆に戸惑います。相棒に相談するくらいの気持ちで、自分で確かめながら業務に使うのが良いと思います。

(女性 50代 愛知県|インターネット/広告/メディア 事務/アシスタント)

生成AIの活用が進む一方で、「ハルシネーション」と呼ばれる誤った回答や根拠が不明確な出力に対する警戒意識も高まっています。AIの提案をそのまま採用した結果、バグの発生や古い情報に基づく誤りなど、様々なトラブル事例が報告されています。

こうした問題を防ぐためには、AIの出力を必ず自分で検証し裏付けをとることが重要です。特に専門用語や業界固有の知識、データの鮮度には注意が必要です。AIを「正解を提供するツール」として過度に信頼するのではなく、「相談相手」程度の位置づけで、最終判断は人間が行うというアプローチが、安全な活用法として多くの回答者から支持されています。

アンケート結果の考察まとめ

AI活用の未来

今回の調査から、生成AIがビジネス現場に急速に浸透し、資料作成や情報収集、アイデア出しなどの業務で効率化と創造的支援の効果をもたらしていることが明らかになりました。

一方で、「誤情報の出力」「情報漏洩リスク」「判断力やスキル低下への懸念」など、リスクや活用の難しさを指摘する声も多く見られます。

多くの回答者は、AIの出力をそのまま受け入れるのではなく、自ら内容を精査し、必要に応じて修正しながら活用する姿勢を示しています。

自由記述からは、「対話型」「パートナー」「相談相手」といった表現が目立ち、生成AIを単なるツールではなく、「共に仕事を進める存在」として捉える傾向が見られます。

今後は、個人や組織がAIとどのように協働し、それぞれの強みをどう活かしていくかが、仕事の質を左右する重要な要素になると考えられます。

出典元:株式会社スタジオテイル プレスリリース

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