
株式会社アルペンがノーコード予測AI「UMWELT」を導入し発注業務を効率化
名古屋大学発AIベンチャーの株式会社トライエッティング(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:長江 祐樹)が提供するノーコード予測AI「UMWELT(ウムベルト)」が、株式会社アルペン(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:水野 敦之)のゴルフ用品発注業務において利用開始されることが発表されました。
この導入により、アルペンでは従来のExcelを用いた需要予測手法から脱却し、AI技術を活用した発注業務の精度向上と効率化を目指しています。検証段階で従来の予測精度を上回る結果が確認されたことから、本格導入に踏み切ったとのことです。
この記事の目次
【導入の背景】発注業務の精度向上、業務効率化を目指して
株式会社アルペンでは、これまで一部の商品の発注量決定において、担当者によって異なるExcelファイルを利用していたといいます。このExcelによる需要予測は精度が低く、結果として欠品や過剰在庫といった問題を引き起こしており、より正確な需要予測による適正在庫の実現が求められていたとのことです。
また、Excelで予測を行うためには過去データの準備や、計算結果の異常チェックなどすべての工程をマニュアルで行う必要があり、発注業務に大きな負荷がかかっている状況だったようです。
こうした課題をAI技術を用いて解決する方法を模索していた中で、アルペンは「UMWELT」の存在を知り、導入に向けた検証を開始したということです。

【検証結果と導入決定】精度向上・効率化に手応え、本格導入へ移行
アルペンではまず、Excel計算式の予測を元に発注している商品の中からゴルフ用品の一部に絞り、過去データをもとにした「UMWELT」による予測・分析を実施したそうです。そして、その結果を従来の予測手法による結果と比較検証しました。
アルゴリズムのチューニングや学習データの追加などを行った結果、対象商品においては従来の予測精度を超えることが確認できたため、「UMWELT」の予測結果を元に実際の発注を行う実務試行を数回実施したとのことです。これらの成果を経て、今回の本格導入が決定されました。
検証の手応えを踏まえて、他カテゴリ商品の発注業務での活用も期待

株式会社アルペン 情報システム部
システムプランニンググループ 藤本 大空様
「検証に至るまで、様々な機械学習ツールを比較・検討してきましたが、『UMWELT』は機械学習の導入が初めての当社にとっても非常にシンプルで扱いやすく、さらに低コストで導入することができた点が大きな魅力でした。」
「ゴルフグリップのデータを用いた検証においても、シンプルな操作性でありながら高精度の予測結果が得られ、大きな手ごたえを感じることができました。これをうけて『UMWELT』の本格活用に向けた取り組みを進めていきます。」
「今後は、他カテゴリの商品にも横展開を図り、社内全体での活用を広げていきたいと考えています。」
株式会社アルペン 企業情報
「スポーツをもっと身近に」をパーパスに掲げ、スポーツ小売業界のトップランナーとして各種スポーツ用品・ゴルフ用品・アウトドア用品の開発・販売を手がけています。全国約400店舗を展開しており、スポーツ用品業界をリードする企業として知られています。
会社名 : 株式会社アルペン
設立 : 1972年7月
資本金 : 151億円
本社所在地 : 愛知県名古屋市中区丸の内二丁目9番40号 アルペン丸の内タワー
株式会社トライエッティング 企業情報
需要予測・来客予測・売上予測・勤務シフト作成などの知能業務の自動化を実現する、名古屋大学発ベンチャー企業です。同社はプログラミング不要で簡単に分析や自動化ができるノーコード予測AI「UMWELT」を開発・提供しており、需要予測や在庫管理、生産計画最適化など業務の効率化をサポートしています。
また、シフト表の作成をはじめスタッフとの複雑なシフト調整も瞬時に解決できるシフト自動作成AI「HRBEST」も開発・提供しています。メーカー・卸売・レンタル・小売などのサプライチェーンでの予測・予定業務の自動化を通じて、顧客企業のコスト削減と効率性向上の両立に貢献しています。
会社名:株式会社トライエッティング(TRYETING Inc.)
代表者:代表取締役社長・CEO兼CRO 長江 祐樹
設立:2016年6月6日
事業内容:サプライチェーン領域における業務特化型拡張知能(AI)の製品販売事業
本社所在地:愛知県名古屋市中区葵1-20-22 MIテラス名古屋葵 4階
「UMWELT」によるアルペンの業務改革とは
今回アルペンが導入を決定したノーコード予測AI「UMWELT」は、AI技術を活用しながらも専門的な知識がなくても簡単に使える点が特徴です。現場の担当者が直感的に操作できるインターフェースを備えており、導入の障壁を大幅に下げています。
従来、アルペンではExcelを使用した発注業務において、以下のような課題を抱えていたとのことです:
- 担当者によって異なるExcelファイルを使用しており、統一性に欠けていた
- 需要予測の精度が低く、欠品や過剰在庫の原因となっていた
- 過去データの準備や異常チェックなど、手作業による負担が大きかった
「UMWELT」の導入によって、これらの課題を一挙に解決することが期待されています。AIが過去の販売データや季節変動などを学習し、より精度の高い需要予測を実現することで、適正在庫の維持と業務効率の向上を同時に達成できるとされています。
サプライチェーン最適化におけるAI活用の可能性
小売業界において、適切な在庫管理は利益に直結する重要な課題です。過剰在庫は資金の固定化や保管コストの増加、商品価値の低下などのリスクを伴い、一方で在庫不足は販売機会の損失につながります。
トライエッティングが提供する「UMWELT」のようなAIツールは、これまで人間の経験や勘に頼りがちだった発注業務に、データに基づいた客観的な判断基準をもたらします。特に、季節性の高い商品や、トレンドに左右されやすい商品の需要予測において、その効果は顕著であるといえます。
アルペンのゴルフ用品での成功事例は、スポーツ用品業界だけでなく、アパレル、食品、日用品など様々な小売業種においても参考になるものと考えられます。AI導入による業務効率化と精度向上の両立は、多くの企業が抱える課題解決の方向性を示しています。
今後の展望:他カテゴリへの横展開
アルペンでは今回のゴルフ用品での成功を受けて、今後は他のカテゴリ商品にも「UMWELT」の活用を広げていく方針を示しているようです。アルペンが扱う商品は、スポーツ用品からアウトドア用品まで多岐にわたるため、各カテゴリの特性に合わせたAIのチューニングが行われることで、さらなる効果が期待できます。
トライエッティングにとっても、大手スポーツ小売チェーンでの実績は大きな意味を持つと考えられます。今回の成功事例をもとに、同様の課題を抱える他の小売業や、さらには製造業など異なる業種への展開も視野に入れることができるでしょう。
今回の導入事例は、日本企業におけるAI活用の一つのモデルケースとなり得るものであり、特に中小企業にとっても参考となる取り組みといえるでしょう。ノーコードで扱いやすく、かつ低コストでの導入が可能なAIツールの普及は、日本全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進において重要な役割を果たすことが期待されます。
出典元: 株式会社トライエッティング・株式会社アルペン プレスリリース