東南アジアや台湾を中心としたEコマースプラットフォームのリーダーであるShopeeの日本法人、ショッピージャパン株式会社(以下、ショッピージャパン)が、越境EC未実施の自治体の観光課に勤務する100名の職員を対象に、観光関連商品の販売に関連する課題を調査した結果を発表しました。

調査サマリー

  • 最も重視される商品カテゴリーは「地域限定商品」で41.0%、次いで「食品・お菓子」が32.0%となっています。
  • 約7割の職員が地域特産品やお土産品の売上に対して課題を感じています。
  • 53.0%が海外市場への販路拡大を希望する一方で、「コストがかかると思う」(54.7%)や「何を始めるべきかわからない」(39.6%)という意見も見受けられます。

調査概要

  • 調査名称:自治体における観光関連商品販売の課題に関する調査
  • 調査方法:IDEATECHが開発したリサーチデータマーケティング「リサピー®︎」に基づくインターネット調査
  • 調査期間:2025年3月14日〜同年3月26日
  • 有効回答:越境ECを実施していない自治体の観光課職員100名

※合計を100%としているため、一部数値には端数処理が施されています。そのため、実際の計算値と若干の違いが発生する場合があります。

販売に注力している商品カテゴリー、第1位「地域限定商品」、第2位「食品・お菓子」

「Q1.お勤めの自治体で、販売に特に力を入れている商品カテゴリーは何ですか?(複数回答)」(n=100)との問いに対し、「地域限定商品」が41.0%、「食品・お菓子」が32.0%という結果が見られました。

さらに「伝統工芸品」が25.0%との回答も得られています。

Q1.お勤めの自治体で、販売に注力している商品カテゴリーを教えてください。(複数回答)
  • 地域限定商品(例:ご当地キャラクターを使った雑貨、観光地限定スイーツや

    飲料、地域食材を用いたレトルト食品や調味料など):41.0%

  • 食品・お菓子:32.0%
  • 伝統工芸品:25.0%
  • 化粧品・美容グッズ:11.0%
  • 文房具:10.0%
  • アパレル・ファッション小物:10.0%
  • その他:3.0%
  • わからない/答えられない:29.0%

地域特産品やお土産品の販路についての現状、「道の駅」と「ふるさと納税の返礼品」が上位に

「Q2.お勤め先で活用中の地域特産品やお土産品の販路はどのようなものですか?(複数回答)」(n=100)への回答は、「道の駅」が51.0%、「ふるさと納税の返礼品」が49.0%という結果です。

Q2.お勤めの自治体で現在活用している、地域特産品やお土産品の販路を教えてください。(複数回答)
  • 道の駅:51.0%
  • ふるさと納税の返礼品:49.0%
  • 空港や駅、宿泊施設の土産物店:25.0%
  • 百貨店の物産展・フェア:25.0%
  • アンテナショップ:22.0%
  • サービスエリア・パーキングエリア:18.0%
  • 国内ECサイト:10.0%
  • その他:2.0%

    (例:コンビニ・スーパー、直売所)

  • わからない/答えられない:22.0%

地域特産品やお土産品の売れ行きについて約7割が課題を実感

「Q3.あなたは自治体における地域特産品やお土産品の売れ行きに課題を感じていますか。」(n=100)への回答は、「非常にそう思う」が36.0%、「ややそう思う」が32.0%という結果でした。

Q3.あなたは自治体における地域特産品やお土産品の売れ行きについて、課題があると感じていますか。
  • 非常にそう思う:36.0%
  • ややそう思う:32.0%
  • あまりそう思わない:16.0%
  • 全くそう思わない:3.0%
  • わからない/答えられない:13.0%

具体的な課題では「販路の開拓」と「商品開発力」が同率の1位

Q3で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した方から、「Q4.具体的にはどのような課題があると感じていますか。(複数回答)」(n=68)への回答は、「販路の開拓」と「商品開発力」が54.4%で同率1位、「商品のPR」が52.9%という結果でした。

Q4.具体的にどのような課題があると感じていますか。(複数回答)
  • 販路の開拓:54.4%
  • 商品開発力:54.4%
  • 商品のPR:52.9%
  • 価格設定:35.3%
  • 人員確保:29.4%
  • 他地域との競争:25.0%
  • 消費者ニーズの理解:22.1%
  • 在庫管理:20.6%
  • 観光客数の変動:11.8%
  • その他:0.0%
  • わからない/答えられない:0.0%

「インパクト不足」や「観光、商工業界との連携」の課題も挙がる

Q4で「わからない/答えられない」以外の回答者に対し、「Q5.Q4でないその他の地域特産品やお土産品の売れ行きに関しての課題があれば、自由にお聞かせください。(自由回答)」(n=68)の質問に対し、「インパクトに欠ける」や「町と観光業界、商工業界との連携」といった45件の意見が寄せられました。

自由回答の一部抜粋

  • 若年層向けの商品がない。
  • 組織内部での意見の一致、意思決定のスムーズさ。
  • インパクトに欠けている。
  • 観光業界や商工業界との連携不足。
  • 売れる地域特産品の開発と安定的な供給体制。
  • 特産品が存在しない。
  • 良質な製品でも情報量の多さに埋もれてしまう。

53.0%が「今後、海外での販路拡大を希望」と回答

「Q6.今後、海外市場に向けて地域特産品やお土産品の販路を広げる意向がありますか?」(n=100)と尋ねたところ、「非常にそう思う」が18.0%、「ややそう思う」が35.0%という結果が得られました。

Q6.今後、海外に向けて地域特産品やお土産品の販路を拡大したいと思いますか。
  • 非常にそう思う:18.0%
  • ややそう思う:35.0%
  • あまりそう思わない:24.0%
  • 全くそう思わない:9.0%
  • わからない/答えられない:14.0%

拡大希望の地域「東南アジア」が62.3%で最も多い

Q6で「非常にそう思う」「ややそう思う」と答えた方々に対し、「Q7.具体的にどこで販路拡大を望んでいますか?(複数回答)」(n=53)の質問では、「東南アジア」が62.3%、「欧米」が37.7%、「台湾・香港」が34.0%との回答がありました。

Q7.具体的にどこへ販路を拡大していきたいと思いますか。(複数回答)
  • 東南アジア:62.3%
  • 欧米:37.7%
  • 台湾・香港:34.0%
  • 中国本土:26.4%
  • 韓国:24.5%
  • オセアニア:9.4%
  • 中東:3.8%
  • その他:0.0%
  • わからない/答えられない:3.8%

販路拡大に向けた課題、「コスト」と「何をするべきかわからない」などが指摘される

Q6で「非常にそう思う」「ややそう思う」と答えた方々に、「Q8.地域特産品やお土産品の販路拡大を目指す際、どのような点に不安や課題を感じますか?(複数回答)」(n=53)との質問に対し、「コストがかかると思う」が54.7%、「何を始めるべきかわからない」が39.6%、「人材が不足している」との回答が34.0%でした。

Q8.地域特産品やお土産品の販路拡大する場合、どのような点に不安や課題を感じていますか。(複数回答)
  • コストがかかると思う:54.7%
  • 何を始めるべきかわからない:39.6%
  • 人材が不足している:34.0%
  • 予算が確保できない:32.1%
  • 商品の品質管理が難しい:28.3%
  • 在庫管理が難しい:20.8%
  • 組織内での理解が得られない:11.3%
  • その他:1.9%
  • 特にない:0.0%
  • わからない/答えられない:0.0%

「専門知識を持つ人がいない」「ビジネスマッチングが難しい」といった声も

Q8で「特にない」や「わからない/答えられない」以外の方々に、「Q9.Q8以外で、地域特産品やお土産品の販路を広げる際に感じる不安や課題について教えてください。(自由回答)」という問いに対して、「専門知識を持つスタッフがいない」や「ビジネスマッチングが難しい」といった38件の回答が寄せられました。

自由回答の一部抜粋

  • 専門知識を持つ職員がいない。
  • 翻訳においてズレが生じることを懸念している。
  • PR戦略が不足している。
  • 現地法人との良好な関係を築くことが難しい。
  • ビジネスマッチングが難しい。
  • 品質の安定性が確保できない。
  • 地域の事業者の海外での販路拡大への意欲の欠如。

まとめ

自治体が注力している商品カテゴリーは、第1位が「地域限定商品」(41.0%)、第2位が「食品・お菓子」(32.0%)であり、主な販路は「道の駅」(51.0%)や「ふるさと納税の返礼品」(49.0%)であることが明らかとなりました。約7割の職員が地域特産品やお土産品の売上に課題を抱えており、特に「販路の開拓」と「商品開発力」(ともに54.4%)に苦慮していることがうかがえます。

また、53.0%が今後海外市場への販路拡大を希望しているものの、「コストがかかる」と感じたり、「何を始めればよいか分からない」といった意見が多く見受けられました。

この調査結果から、自治体観光課の多くが地域特産品の販路拡大に抱える課題は存在するものの、海外市場への展望を持っていることがはっきりしました。地方創生や交流人口の減少といった社会的な課題を背景に、地域の魅力を伝える特産品の販売は重要な収入源となり得ると考えられますが、具体的な販売戦略や費用対効果に関する不安が大きな障壁となっているようです。

一方で、越境ECは初期投資を抑えつつ海外市場へのアクセスを可能にする手段として、地域活性化の新たな機会を提供するかもしれません。現場の実情に寄り添ったノウハウの共有や成功事例の発信が、自治体の取り組みを後押しする良いきっかけになるでしょう。

出典元:ショッピージャパン株式会社 プレスリリース

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