
株式会社ウエルシア薬局(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 田中純一、以下「ウエルシア薬局」)は、卸売業を手掛ける株式会社PALTAC(本社:大阪市中央区、代表取締役社長 吉田拓也、以下「PALTAC」)及びその協力企業であるセンコー株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長 杉本健司、以下「センコー」)、株式会社日立製作所(本社:東京都千代田区、執行役社長兼CEO 小島啓二、以下「日立」)と連携し、ウエルシア薬局の全サプライチェーンにおける配送効率を向上させることを目指しています。また、エネルギー消費削減のために、情報共有基盤と物流センターにおける自動入荷設備を導入しました。このシステムは、2024年12月から2025年1月にかけて行われた実証実験を経て、2025年2月より「ウエルシア西関東RDC」(神奈川県綾瀬市)で本格運用を開始しました。
具体的な取り組みとしましては、物流及び商流データ基盤によって収集・標準化された各メーカーからの納品予定通知情報(確定入荷数、荷姿、納品車両情報など)を、製品が発注されてから店舗までのサプライチェーン全体で「配送情報シェアリングプラットフォーム」(以下「本プラットフォーム」)上で連携しています。このプラットフォームと物流センターを結びつけることで、トラックが荷物を積み下ろす際のバース滞留時間を減少させ、検品作業の効率を高めることが可能です。また、物流センターの入荷業務に移動式協働ロボットを導入し、デパレタイズ及びパレタイズの自動化を進めることで配送業務の効率化を図っています。この取り組みにより、ウエルシア西関東RDCの納品車両のエネルギー消費を、システム導入前と比べて約7%削減することを目指しています。なお、全国でドラッグストアの物流センターがこのようなデータ基盤を活用するのは初の試みとなります。
このプロジェクトは、経済産業省及び国土交通省の「令和6年度 新技術活用サプライチェーン全体輸送効率化・非化石エネルギー転換推進事業」に認定されています。ウエルシア薬局は、この枠組みを活用しより多くのメーカーからの納品に対応することを予定しており、さらなる拠点への適用も進める考えです。また他のドラッグストアや卸売業者に対してもこの取り組みへの参加を呼びかけており、ドラッグストア業界全体への普及を目指します。
*1 参加メーカーおよび委託先企業:エステー株式会社、大塚製薬株式会社、牛乳石鹼共進社株式会社、ユニリーバ・ジャパン・カスターマー・マーケティング株式会社、愛宕倉庫株式会社、大塚倉庫株式会社
*2 物流・商流データ基盤:内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)スマート物流サービス」の「物流情報標準ガイドライン」に基づくデータ基盤で、公益財団法人流通経済研究所及び株式会社プラネットから技術協力を受けています。
*4 バース:倉庫などでトラックなどの車両が荷物を積み降ろしするために利用される専用のスペース
*5 デパレタイズ・パレタイズ:パレットの荷物を載せ替える作業
*6 新技術活用サプライチェーン全体輸送効率化・非化石エネルギー転換推進事業:経済産業省と国土交通省が新技術を通じてサプライチェーン全体の輸送効率を向上させ、同時に非化石エネルギーの導入を推進することを目指した事業。
この記事の目次
■各社の役割
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ウエルシア薬局:事業全体を統括し、本プラットフォームや移動式協働ロボットなどの自動化設備を参加企業に提供します。
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PALTAC:ウエルシア薬局からの発注を受け各メーカーに出荷指示を行い、メーカーからの出荷予定(物流センターの入庫予定)を本プラットフォームに登録します。
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センコー:輸送・3PL事業者としての物流センター運営や店舗への納品を担当し、入荷業務で自動化設備を用いた効率化や、店舗配送においてはドライバーにモバイル端末を提供し、電子伝票に対応します。
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日立:本プラットフォーム構築に加え、自動化設備の導入に関する技術提供全般を行います。日立はデータでサプライチェーンを繋ぎ、現場のシステム・プロダクトと連携して全体最適化を図ることで、「物流2024年問題」の解決とフロントライン業務の負担軽減を目指しています。本プラットフォームには自身のLumadaソリューションを活用し、さらに自動化設備の導入に関しては日立及び日立オートメーションからのロボティクスSI技術を活用しています。
*7 Lumada:顧客のデータを基に価値を創造しデジタル革新を加速する日立の先進的な技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。
■この取り組みの特徴
1. サプライチェーン全体をつなぐ配送情報連携プラットフォーム
これまで、メーカーからの確定入荷数や納品情報はあまり物流センターと連携されることがなく、入荷車両の滞留時間が長くなる要因となっていました。また、物流センターでは手作業での検品が行われている現状があります。
本プラットフォームにより、メーカーからの出荷記録に基づく正確な納品通知情報を物流センターに連携することが可能になり、車両の滞留時間が短縮され、運行効率が向上します。さらに、このシステムは人件費やエネルギーコストの削減に寄与することが期待できます。
また、物流センター内のWMSや自動化設備に本プラットフォームの納品情報を連携させることで、検品作業の工数削減や紙伝票の廃止、欠品及び分納の確認業務の軽減が実現され、全体の処理能力が向上することが見込まれます。
物流・商流データ基盤を活用することで、荷物情報が標準化され、複数荷主間での共同運行や再委託の実現も可能となります。
*8 WMS(Warehouse Management System):物流倉庫における入庫、在庫、出荷業務を一元管理し効率化するシステム
2. 移動式協働ロボットによるデパレタイズ・パレタイズの自動化
物流センターでの入荷業務において、デパレタイズ・パレタイズ作業は主にドライバーが担っており、これがドライバーの負担を増し、長時間労働に繋がる要因ともなっています。そこで日立オートメーションの移動式協働ロボットを導入し、入荷作業の自動化を実現いたしました。このロボットはさまざまな形状の商品に柔軟に対応でき、人のように物体を3Dで認識しAIを活用して制御可能な高精度のビジョン技術を持っています。また、移動場所に人間が押すことができるよう設計されており、バースの変更にも柔軟に対応できます。さらに、ピーク時には人間と共に作業を行うなど、柔軟な対応が可能です。

■背景
近年、物流業界ではトラックドライバーの働き方改革による影響で、ドライバーの確保が難しくなる「物流2024年問題」が取り上げられています。このため業務の効率化と省力化が急務となっている一方で、企業間連携が求められる業務は改善が遅れる傾向にあります。“欠品や分納”の増加は入荷予定の変動を大きくし、入荷検品作業の効率を下げる要因ともなっています。さらに、国土交通省は2030年までにCO2排出量を2013年比で35%削減する目標を掲げており、脱炭素に向けた取り組みが求められています。
ウエルシア薬局は、これまで他のドラッグストアとの共同配送の実績があり、今回も卸売業者や製造業者と連携し、サプライチェーン全体をデータでつなぎ、効率向上とエネルギー消費削減の取り組みを進めることとなりました。
■ウエルシア薬局について
ウエルシア薬局は、企業理念「お客様の豊かな社会生活と健康な暮らしを提供します」に基づき、主に調剤併設型ドラッグストアチェーンを運営しています。「調剤併設」「カウンセリング営業」「深夜営業」「介護」の4つのビジネスモデルに基づき、全国39都道府県で約2200店舗を展開しています。ウエルシアグループは2030年に「地域No.1の健康ステーション」を実現すべく、地域社会の健康促進に寄与する取り組みを行っています。
ウエルシア薬局のWebサイト:https://www.welcia-yakkyoku.co.jp/
店舗一覧:https://store.welcia.co.jp/welcia/?category=01.02.06.12.18.20
■センコー株式会社について
センコーは全国ネットワークを活用した自動車輸送を中心に、鉄道利用運送、海上運送、倉庫、工場内物流、国際物流など多岐にわたるサービスを展開しています。保管、配送、流通加工、情報流通などの複合機能を持つ物流センターでの総合サービス及び、物流の合理化・効率化を目的とした最適なシステム設計及びオペレーション運営を行い、先進の情報技術を用いたロジスティクスで顧客のサプライチェーン構築を支援しています。
■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーによるサステナブルな社会の実現を目指す社会イノベーション事業を展開中です。顧客のDX支援の他、エネルギー、鉄道分野における脱炭素社会の実現にも貢献し、IT及びOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用したLumadaソリューションを通じて社会の課題解決に取り組んでいます。デジタル、グリーン、イノベーションを軸に成長し、2023年度の売上収益は8兆5,643億円です。詳細は日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。
以上
出典元: ウエルシア薬局