2024年12月の倒産状況: 倒産件数830件、サービス業が最多の218件を記録

最近の調査により、株式会社帝国データバンクは2024年12月における企業倒産状況についての詳細な分析結果を発表しました。本調査は、法的整理を受けた負債額1000万円以上の企業を対象として行われました。

<調査結果の概要>

  1. 倒産件数は830件(前年同月700件、18.6%増)に達し、これは前年同月を上回る結果となり、戦後で最も長い33カ月連続の上昇を記録しました。また、1月の件数としては2014年(809件)以来11年ぶりに800件を超えました。2024年4月から2025年1月までの累計件数は8427件となり、前年同期の7277件を1150件(15.8%)上回っています。2024年度には1万件を超える可能性もあります。

  2. 負債の総額は1205億1900万円(前年同月842億2900万円、43.1%増)となり、3カ月連続で前年同月を上回りました。中小企業の倒産件数が増加する中で、100億円以上の規模の倒産も1件発生しています。その中で最も大きな負債額を抱えたのは、船井電機株式会社の持ち株会社であるFUNAI GROUP株式会社で、327億2300万円に上りました。

<主要な調査ポイント>

  1. 業種別に分析すると、7業種中6業種で前年を上回りました。その中でも『サービス業』(前年同月195件から218件、11.8%増)が最多で、1月としては2009年(204件)を超え、2000年以降の最高件数となっています。

  2. 地域別に見ると、9地域中7地域で前年を超えました。最も多かったのは『関東』(前年同月251件から274件、9.2%増)であり、2024年4月から2025年1月の累計では19府県が2023年度を超える件数となっています。

  3. 後継者難による倒産は32件が確認され、全体の46.9%は「経営者の病気や死亡」が原因でした。

  4. 人手不足に起因する倒産は39件が確認され、2024年3月に次ぐ2番目の高水準です。

  5. ゼロゼロ(コロナ)融資後の倒産は50件が確認され、2カ月連続で前年同月を下回りました。

  6. 物価高による倒産は68件が確認され、2024年4月から2025年1月の累計で769件に達しました。

集計期間:2025年1月1日~2025年1月31日
発表日:2025年2月10日
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
集計機関:株式会社帝国データバンク


業種別分析:『サービス業』が218件で最も多く、2000年以降最高件数

業種別に見ると、7業種中6業種が前年同月を上回り、『サービス業』(前年同月195件から218件、11.8%増)が最も多いことがわかります。これにより1月としては2009年(204件)を上回り、2000年以降最大の件数となりました。続いて『小売業』(同134件から179件、33.6%増)、『建設業』(同124件から170件、37.1%増)が続き、『製造業』(同72件から87件、20.8%増)も4カ月連続で前年同月を上回りました。

特に、『建設業』では、資材価格の高騰と人手不足が影響し、「職別工事」(前年同月57件から84件)が増加しました。また、『小売業』では物価の上昇が影響し、消費者の節約志向が強まり「飲食料品小売」(同15件から30件)が顕著に増加しました。さらに、『製造業』では「鉄鋼業、非鉄金属・金属製品製造」(同8件から14件)が目立って増加しています。

倒産の主因別:「経営者の病気、死亡」は32件、過去3番目の高水準

倒産の主因を探ると、「販売不振」が677件(前年同月565件、19.8%増)で最多を占め、全体の81.6%(前年同月比で0.9ポイント増)を占めています。「売掛金回収難」(前年同月4件から4件)や「業界不振」(同4件から4件)を含む『不況型倒産』は685件(前年同月575件、19.1%増)となり、1月としては11年ぶりに600件を超えています。

コストの問題に関連する「放漫経営」(前年同月5件から13件、160.0%増)は4カ月連続で前年を上回り、「経営者の病気、死亡」(同17件から32件、88.2%増)の件数は前年を大きく上回り、2024年10月(39件)に次いで過去3番目となりました。

倒産の態様別:『清算型』が815件、1月としては12年ぶりの800件超え

倒産の態様別では、『清算型』倒産が815件(前年同月680件、19.9%増)となり、1月としては12年ぶりに800件を超えました。構成比は98.2%(前年同月比1.1ポイント増)となり、圧倒的な数を示しています。一方、『再生型』倒産は15件(同20件、25.0%減)となり、3カ月ぶりに前年同月を下回りました。

『清算型』にあたる「破産」は787件(前年同月651件、20.9%増)で最も多く、5カ月連続で前年を超えています。また「特別清算」は28件(同29件、3.4%減)で2カ月連続で前年同月を下回る結果となりました。

『再生型』では、「民事再生法」による15件(前年同月20件、25.0%減)が確認され、内訳は個人が12件、法人が3件です。

負債規模別:「5000万円未満」が最多、30カ月連続で前年同月を上回る

負債額規模別では、「5000万円未満」が518件(前年同月408件、27.0%増)で最も多く、これで30カ月連続で前年同月を超えました。大規模倒産が各1件発生したものの、大部分は中小零細企業の倒産が主体です。

資本金規模の分析では、『個人+1000万円未満』の倒産が590件(前年同月500件、18.0%増)となり、全体の71.1%を占めました。

業歴別分析:『新興企業』が259件、35カ月連続で前年同月を上回る

業歴による分析によれば、「30年以上」が263件(前年同月216件、21.8%増)で最多でした。中でも老舗企業(業歴100年以上)の倒産は12件(同8件、50.0%増)が確認されており、厳しい状況が浮き彫りです。

業歴10年未満の『新興企業』〈「3年未満」(前年同月38件から35件、7.9%減)、「5年未満」(同54件から61件、13.0%増)、「10年未満」(同125件から163件、30.4%増)〉は259件(前年同月217件、19.4%増)が確認され、35カ月連続で前年同月を上回る結果となりました。業種別で見ると、「サービス業」(同74件から89件、20.3%増)が最多で、「小売業」(同48件から62件、29.2%増)や「建設業」(同45件から57件、26.7%増)が続いています。

地域別分析:前年同月を上回る地域が7地域、19府県が2023年度通年の件数を超える

地域別に見ると、9地域中7地域で前年同月を上回る結果が見られました。特に関東地方での『関東』(前年同月251件から274件、9.2%増)が最多となり、「埼玉」(同25件から44件)の増加が目立ちました。また『近畿』(同194件から238件、22.7%増)も28カ月連続で前年同月を超えました。

特に増加率が高かったのは『東北』(前年同月34件から57件、67.6%増)で、「青森」(同3件から10件)、「岩手」(同1件から2件)、「宮城」(同9件から18件)の増加が顕著です。『四国』(同9件から15件、66.7%増)では「愛媛」(同3件から6件)の件数増加が目立っていますが、一方で「北海道」(同20件から17件、15.0%減)は2カ月連続で前年同月を下回りました。

2024年4月から2025年1月の累計では、19府県が2023年度を超える件数を記録しています。

出典元:株式会社帝国データバンク

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