
livepass株式会社(本社:東京都港区六本木、代表取締役CEO:中村旭宏)は、これまで生活者を対象とした「商品・サービスの契約や購入、問い合わせ等における手続き体験」に関するインターネット調査の結果から、企業との接点において生活者が重視する3つのパーソナライズ要件として「要点提案」「手続き・検討環境」「対応時間(タイパ)」を明らかにしてきました。
同社は今回、昨年の調査結果をベースに『シニア層(70-80代)』にフォーカスしたデジタル活用意向についてのサブ分析を実施しました。シニア世代の潜在的なデジタル活用意向および体験設計のポイントについて検証が行われています。本記事ではその分析結果の一部をご紹介します。
この記事の目次
背景
生成AIをはじめとする急速な技術進化や、企業によるアプリやマイページ、チャットボット等を活用したオンライン手続きの普及に伴い、企業と生活者の接点は「デジタル」あるいは「デジタル×人のハイブリッド型」へと変革が進んでいます。
企業が生活者とどのように向き合い信頼関係を築いていくかがますます重要なテーマとなる中、対象となる生活者が「シニア層・高齢者」の場合、企業が接点設計を行うにあたって「高齢者はデジタルを使わない・使いたくないのでは?」という考えが慣習的に存在しています。今回のサブ分析では、このような慣習的観点を改めて検証し、シニア世代の"デジタル活用意向"と"企業とのコミュニケーションにおいて重視するポイント"が探索されました。
● <検証1> シニアのデジタル活用意向
● <検証2> シニアが諸手続きにおいて企業に期待すること
● <検証3> シニアのうち「今後どちらかというとデジタルを活用したくない=デジタル活用ポテンシャル・準消極層」におけるデジタル体験設計のポイント
結果サマリ
検証1:シニアのデジタル活用意向 - シニアは「デジタルを使いたくない」?
「全く使いたくない」のは約2割。70代以上の約8割がデジタル活用ポテンシャル層(積極層+準消極層)
● 70-80代のデジタルチャネル活用意向は、「今後非常にデジタルを活用したい+どちらかというと活用したい(デジタル活用積極層)」は32-35%、「どちらかというとデジタルを活用したくない(準消極層)」は43-44%であり、「全く活用したくない(消極層)」と回答したのは21-26%でした。
● 年代が上がるにつれてデジタル活用意向は低まるものの、20代と70-80代の「全く活用したくない」差分は10point(20代:約10%、70-80代:約20%)にとどまる結果となっています。また「どちらかというと活用したくない」に着目すると、20代と70-80代の差分は20point(20代:約20%、70-80代:約40%)であり、年代が上がるにつれて増加する特徴が見られました。
● 本記事<検証3>では、この70-80代における「どちらかというと活用したくない層(40%超)」を、何らかのきっかけがあれば意向が変わりうる「デジタル活用ポテンシャル・準消極層」としてとらえ、活用意向を高める体験設計のポイントが探索されています。

検証2:シニアが諸手続きにおいて企業に期待することは?
「自分に必要な要点や選択肢の提案」「自分に都合の良い場所・時間でできる」「時短」を期待
● 70-80代のシニア層が諸手続きで企業に期待することとして、「自分に必要な情報や要点を手際よく説明してくれる(46%)」、「いつでもどこでも自分の都合の良いペースでできる(44%)」、「自分に適した選択肢を提案してくれる(37%)」、「できる限り時短(34%)」が上位に挙げられました。
● 次点として、「時間をかけた丁寧な説明(17%)」「365日24時間サポート(16%)」「網羅的に全て説明(15%)」等が挙げられています。


検証3:シニアのうち「デジタル活用ポテンシャル・準消極層」における、デジタル体験設計のポイントは?
効率性(都合の良い場所・時間、時短)と、臨機応変な対応(個別の状況に沿った提案や対応)の両立
● ここでは、<検証1>でみられた70-80代のシニア層のうち「どちらかというとデジタルを活用したくない(40%超)」を「デジタル活用ポテンシャル・準消極層」としてとらえ、<検証2>と同様に諸手続きでの企業への期待項目を抽出することで、準消極層におけるデジタル体験設計のポイントが考察されています。
● 準消極層の「どちらかというとデジタルを活用したくない」背景には、デジタルそのものへの強い拒否感というよりも、これまで人が中心となって対応してくれたことがデジタルではカバーされないのではないか、という不安や懸念があると推測されています。
● そこで、準消極層に絞って企業への期待項目を抽出したところ、「自分に必要な情報や要点を手際よく説明してくれる」「いつでもどこでも自分の都合の良いペースでできる」「自分に適した選択肢を提案してくれる」「時短・手間負担が少ない」「自分の状況に応じて臨機応変に対応してくれる」であることが明らかになりました。
● すなわち、準消極層のデジタル体験設計においては、デジタルだからこそ実現できる「手続きの場所・時間などの自由度や効率性」と、かつて人によってカバーされてきた「個別の状況に寄り添った提案や対応」の両立がより重要になると考えられています。


考察および展望
livepass株式会社の分析によると、シニアや高齢者は「デジタルを使わない・使いたくない」「時間をかけた対応が必須だ」という考え方は、商材の契約・購入・問い合わせ等の手続き接点を提供する側の思い込みにすぎない可能性があると指摘しています。今回のサブ分析結果から明らかになったのは、シニア層の約8割がデジタル活用ポテンシャル層(積極層と準消極層含む)であり、シニア層にとって重要なことは「自分にとって必要な要点がわかりやすく」「いつでもどこでも都合の良い場所・時間で」「できる限り時短」という、むしろデジタルが得意とする価値だということです。
同社が本年3月にリリースした調査結果では、生活者のデジタル体験設計において「必要な情報が絞り込まれ、かつ適度に相談できる環境下で、最終的に自分で選択できる状態=受動的な自己選択」が重要であることを明らかにしていますが、今回フォーカスしたシニア層、とくにデジタル活用ポテンシャル・準消極層においても、デジタルと人のハイブリッドによる受動的な自己選択を可能にする体験がより一層重要であることが示されたと報告しています。
「デジタル本来のパフォーマンスや強みを活かしながら、いざというときには人がサポートする・補完的に寄り添う」
これこそが、これからのシニア・高齢者向けデジタル体験設計において企業が目指す姿と考えられています。
同社では、これらの調査結果をふまえ、シニア・高齢者を含めた生活者一人ひとりの意思決定に寄り添う「誰にとっても心地よいパーソナライズコミュニケーション」の実現に向けたサービス・技術開発を強化していく方針だと発表しています。
調査概要
(1)調査手法:インターネット調査
(2)調査期間:2024年7月5日-6日
(3)対象者:直近2年以内に(5)で挙げた5業種商材いずれかの契約・購入・更新等の手続きをしている方、かつ、スマホ・タブレット・PC等のデジタルデバイスを保有し利用している方(計3,120名)のうち、70代-80代(520名)を抽出してサブ分析を実施
(4)エリア:全国
(5)対象業種・商材:「生命・損害保険(補償内容などプラン変更の手続きを含む)」「金融/資産運用関連(例:株式・NISA・iDeCo)」「自動車(新車・中古車、買替えも含む)」「通信(例:携帯端末やWifi等の通信回線)」「通販による健康食品の定期購入」の5業種
会社概要
会社名: livepass株式会社 (livepass Inc.)
代表取締役CEO : 中村旭宏
設立: 2013年12月
本社: 東京都港区六本木1-4-5 アークヒルズサウスタワー16F
事業内容: マーケティングサービスの開発と提供データ分析/コンサルティング
出典元: livepass株式会社 プレスリリース