
KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 CEO:髙橋 誠、以下「KDDI」)と、株式会社Recursive(本社:東京都渋谷区、共同創業者 兼 CEO ティアゴ・ラマル、以下「Recursive」)、さらにSupership株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長CEO:稲葉 真吾、以下「Supership」)は、2025年1月31日に生成AIを活用した広告クリエイティブ生成システム(以下「本システム」)を開発し、KDDIにおいてそのβ版テストを完了したことをお伝えします。
本システムは、KDDIが定めたブランドガイドラインや、auブランドのアイデンティティを反映させる「au VISUAL IDENTITY(注1)」に従った広告クリエイティブ(バナー画像)を半自動的に生成します。また、過去の広告配信実績に基づくデータを活用して、効果的なクリエイティブを自動で選定することができます。KDDIのデジタルマーケティング部門での検証によれば、関連業務の工数を50%削減できることが確認されています。
今後、KDDIグループ全体でこのシステムの導入を進める方針であるとともに、開発過程で得た技術や知見を活用し、広告クリエイティブの制作効率化、さらには企業顧客への提供も視野に入れた検討が進められます。
背景
- オンライン広告におけるクリエイティブ制作では、従来のマスメディアとは異なり、視聴者の特性や広告配信プラットフォームの特性を考慮した迅速かつ柔軟な制作が求められています。
- クリエイティブ制作の過程では、ロゴガイドラインやブランドカラーを遵守しつつ、ブランドの価値観に合致した表現を選ぶ必要があります。このため、専門知識を持つ担当者が多くの時間をかけて対応しなければならない傾向があり、業務の属人化が進行しています。
- 現在、クリエイティブ制作の効率化を図るサービスは存在しますが、過去の広告配信実績データ(ファーストパーティデータ(注2))を十分に活用できていない場合が多いです。そのため、提案されたクリエイティブ案の適否をデザイナーやプランナーが経験に基づいて選定することが一般的であり、データに基づいた正確な判断ができないという課題があります。
- そのような課題を解決するために、長年の広告運用実績を持つSupershipと、豊富なAI活用経験を有するRecursiveとの協力により、データとブランドの両面に優れた広告クリエイティブ生成システムの開発に着手しました。
本システムの概要
- ユーザーがバナーサイズやブランド種別などの条件を指定し、使用する画像素材をプロンプトとして入力すると、本システムがブランドごとのガイドラインに従った画像を自動で生成します。
- 本システムはKPI予測モデルを用いて選定された高品質のバナー画像を複数生成し、ユーザーはその中から最適なバナー画像を選ぶことが可能です。

KDDIでのβ版テストの要点
1.ブランドイメージに合った画像生成
- このシステムでは、画像生成にあたりプロンプトを入力した後、「au VISUAL IDENTITY」のガイドラインに基づく4つの価値基準(CLEAN、FRIENDLY、PLAYFUL、ADVANCED)のいずれかを選択することで、その選択肢が自動的に反映されます。
- クリエイティブ制作において考慮すべき条件を軽減できるため、デザイン作成にかかる時間を大幅に短縮できます。その結果、ブランド管理が未経験な担当者でも確かな原則に基づいたクリエイティブ制作を行うことができ、業務の工数削減と成果物の質の維持が可能であることが確認されました。

2.実績に基づくデータドリブンな評価
- 本システムは、過去の広告配信実績データ(ファーストパーティデータ)をもとに生成されたバナーの広告効果(CTR(注3))を予測するモデルを搭載しており、数十種類のクリエイティブ案から自動的に高品質なクリエイティブを選定し、ユーザーに提供することが可能です。
- この結果、担当者の習熟度に関わらず均一かつ高精度な判断が可能になり、データに基づいた業務の平準化が図れることが確認されています。

3.業務工数削減効果
KDDIでは、本システムのβ版を試験的に導入することによって、次のような業務削減効果が確認されました。
<工数削減効果>

今後の展望
ブランド業務の特定担当者への依存を解消し、作業の効率化や標準化は、オンライン広告を出稿する企業に共通する課題であり、KDDIグループとしても今後はこのシステムを法人向けに提供し、各企業のブランド戦略に合った広告クリエイティブの生成を簡素化するサービスを模索しています。ファーストパーティデータを最大限に活用し、デジタルマーケティングやクリエイティブ管理の進化を目指しています。
出典元:KDDI株式会社プレスリリース