日本広告審査機構(JARO)が1974年の設立以来、広告に関する苦情を受け付けており、その審査を行っていることが誇らしいです。今年度の2024年度上半期(4月〜9月)のデータがまとまり、その結果が発表されました。

この期間中、受け付けた苦情件数は5,311件で、そのうち4,095件が苦情として記録されました。委員会が審議した「見解」は11件で、インターネット広告や表示に対する苦情が多く寄せられました。特にテレビ番組で紹介されたかのように宣伝される医薬部外品や、実際のリピート率とは異なる健康食品に対する苦情が含まれています。また、糖尿病治療薬のダイエット利用に関する事例も見受けられ、これらへの改善を求める意見が多く集まりました。

◇ 総受付件数は5,311件、2020年度から徐々に減少中

◇ 業種別では健康食品が再び増加、特に精力増強を謳う製品が急増

◇ 媒体別では「インターネット」が微増し、その他の媒体は減少傾向に

◇ 「見解」11件中、医療機関への厳重警告が8件

GLP-1ダイエットに対する厳重警告が医療機関とサイト運営者に発令されました

◇ 違法な表示が多く確認されるネット通販系美容商材、ダークパターンの事例も

苦情受付件数とその推移

2024年度上半期において、苦情件数は4,095件となり、前年同期比で92.3%減少しましたが、称賛や照会の件数は逆に増加しています。

2019年度に「インターネット」での苦情が急増し、2020年度には過去最多を記録しましたが、その後は減少傾向に転じています。広告主の数は2020年度から大きく減少しており、これは表示に関する規制強化や法的措置の実施が関与していると考えられます。

業種別の苦情件数

今回受け付けた4,095件の苦情を業種別に見ると、医薬部外品、健康食品(保健機能食品以外)、オンラインゲームが主な原因となっています。前年同期と比べると、医薬部外品が最も多く、特に急増しているのが健康食品(保健機能食品以外)です。

医薬部外品に関する苦情では、「1回限り、解約不要、追加料金一切なし」と広告されながら、実際には定期購入契約が難解であるという意見や、加工された画像に対する不快感の訴えが多く寄せられています。

美容・健康系商品の苦情も増加しており、とりわけ精力増強を訴求する広告に対する苦情が目立っており、健康食品(保健機能食品以外)においては80件(前年同期は9件)、保健機能食品においては27件(前年同期は0件)となりました。特に、性的なビジュアルを使用した広告に対する苦情が多く見られ、「広告を非表示にできない」との声が多数寄せられています。

媒体別苦情件数の傾向

4,095件の苦情を媒体別に見ると、上位はインターネット、テレビ、ラジオが続き、インターネットにおいては微増が見られました。

インターネットでの苦情では、医薬部外品が195件(前年同期189件)、オンラインゲームが139件(前年同期104件)で、突出した数となりました。その他には、健康食品(保健機能食品以外)126件(前年同期91件)、通信販売85件(前年同期27件)、保健機能食品59件(前年同期29件)が増加しています。

テレビでは苦情が1,652件寄せられ、医薬品が58件(前年同期77件)、自動車57件(前年同期65件)、加工食品53件(前年同期57件)と、すべて減少傾向です。

見解と警告について

今期は11件の広告についての審議が行われ、その結果は厳重警告8件、警告2件、要望1件でした。委員会を通さずに事務局から広告主へ改善促進の文書が8件発信されました。

見解11件の中には定期購入に関するものが6件、誇大表示が関与するものが5件存在しました。

GLP-1ダイエットに関する厳重警告について

今期、GLP-1ダイエットに関連した問題が報告されました。これは、2型糖尿病治療薬であるGLP-1受容体作動薬がダイエット目的で処方されることが関与しています。

オンライン診療予約サイトに誘導する広告において、2型糖尿病治療薬の名称やその効果が記載されており、医療法に違反するリスクが高いとされ、医療機関Aおよびサイト運営者Bに対して厳重警告が発出されました。

この広告は処方薬としての重要な特性を誇張しており、その表示が医療法における適切な要件を満たしていないとの指摘がありました。

違法表示が多いネット通販系美容商材

2024年度上半期のデータによると、違法な表示が多く見られるインターネット広告は、消費者に誤解を与える極端な表現や誤解を招く条件の提示が目立つ傾向にあります。

  • 誇大な効能効果の表示

    「若返りすぎて炎上」や「医療級 塗るボトックス」といった過度に誇張された表現が多く存在します。

  • 欺瞞的な特典の提供

    特別価格が強調される一方で、隠された多くの条件が存在し、消費者が思わぬ契約を結ばされるケースが頻出しています。

このような表示の多様性を受け、消費者の皆様には十分な注意を促したいと思います。万が一、苦情があれば、適切な機関に申立てをすることが大切です。

公益社団法人日本広告審査機構 プレスリリース

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