Amazon調査:1日の通知数平均40件、若年層の4割が自由時間の通知でストレスレベル上昇と回答

Amazonが2025年2月、日本全国の2000人を対象に「デバイスの通知に関するアンケート調査」を実施したことが発表されました。この調査によると、スマートフォンなどのデバイスから受ける通知がユーザーのストレスに大きく影響していることが明らかになっています。調査では1日の平均通知数が約40件に上り、全体の約6割のユーザーが受け取る通知のうち役立つものは10%以下と回答しています。

また、自由時間中に通知を受けるとストレスレベルが上昇すると回答した人は全体で約2割となりました。特に年代別で見ると、20代以下ではその割合が約4割に達し、若年層ほど自由時間中の通知によるストレスを強く感じる傾向が顕著に表れています。東北大学応用認知神経科学センター助教で脳科学者の榊浩平氏は「頻繁な通知は集中力を低下させ、ストレスの原因となる可能性がある」と指摘し、慢性的な通知ストレスが脳機能に影響を与え、長期的には認知症リスクにもつながる可能性があると示唆しています。

通知の有用性に関するグラフ

調査結果の詳細

➀1日の通知数は平均約40件 約6割*1が「通知の大半は不要」と回答

調査によると、ユーザーが1日に受け取る通知の平均数は40.2件となっています。特に20代以下に限ると平均通知数は50.7件と全体平均を上回る結果となりました。また、1日に受け取る通知のうち役立つ・有益だと感じる割合については、全体の58.1%のユーザーが「0%〜10%」と回答し、約6割のユーザーが通知の大半を不要または役に立たない情報だと感じていることが明らかになっています。

②20代以下の約4割*2以上が「自由時間中の通知でストレスレベルが上がる」と回答、リラックスタイム中に通知で気が散ると感じた人は20代以下で約5割*3

自由時間中に通知を受け取るとストレスレベルが上昇すると回答した割合は、年代別に見ると20代以下で41.2%、30代で29.5%、40代で25.4%という結果になりました。特に20代以下では4割を超えており、若年層ほど通知によるストレスを強く感じていることがわかります。

さらに、「リラックス活動中にデバイスの通知によって気が散ったり中断されたりすることはどのくらいありますか?」という質問に対し、「頻繁」または「ある程度頻繁」と回答した割合は、20代以下で47.7%、30代で40.7%、40代で30.5%という結果になっています。この結果から、通知が日常のリラックスタイムにも影響を与えており、特に若年層においてその傾向が強いことが示されています。

年代別の通知ストレスに関するグラフ

③リラックス手段「読書(本・マンガ)」を選んだ人のうち、約4人に1人*4が通知によって"気が散る"経験があると回答

リラックスするために最も効果的だと感じるアクティビティについての質問では、1位が「テレビ番組、映画、動画を見る」、2位が「音楽を聴く」、3位が「本やマンガを読む」という結果となりました。これらのアクティビティの最中に通知によって気が散る頻度を調査したところ、「本やマンガを読む」を選んだ人の約4人に1人が「頻繁」または「ある程度頻繁」に気が散ると回答しており、テレビ視聴や音楽鑑賞よりも通知の影響を受けやすい傾向が見られました。この結果から、静かな環境や集中力を必要とするアクティビティほど、通知による中断の影響を受けやすい可能性が示唆されています。

リラックス活動と通知の影響に関するグラフ

④デバイスの通知が脳の負担に!?通知ストレスで集中力低下の危機を専門家が解説

東北大学応用認知神経科学センター助教であり脳科学者の榊浩平氏は、デバイスの通知と読書に関する調査結果について、脳科学の視点から以下のように解説しています。

「『通知が鳴るたび、つい見てしまう』『集中が途切れてイライラする』そんな経験はありませんか? デバイスの通知と読書に関する調査結果について、脳科学の視点から解説します。まず、通知は集中力を低下させます。人間の脳が一度に集中できる量には限りがあります[1]。通知のたびに意図せず注意がそれ、元の作業に注意を戻すには余計な時間と労力がかかり、作業ミスも増えやすくなります[2, 3]。

また、不要な情報でも脳の貴重なメモリを圧迫し、脳に負担がかかり続ければ精神的に疲れてしまいます[4, 5]。次に、頻繁な通知はストレスの原因です。作業の中断が繰り返されることや[6]、情報を見逃す不安感もストレスに繋がります[7]。調査結果もこれを裏付けており、通知数が多いほどストレスを感じる人の割合が高くなっています。

こうした慢性的なストレスは、記憶に関わる脳の働きにも影響を与え、長期的に見ると最悪の場合には認知症のリスクを高める可能性も指摘されています[8, 9]。特に、『読書』が最も通知の影響を受けやすい点は注目に値します。テレビや音楽と違って、読書は目で文字を追い、内容を理解し、想像するなど、能動的で深い集中を必要とします[10]。だからこそ、通知による中断は思考の流れを断ち切り、本の世界へ没入することを難しくし、他の活動よりも強いストレスを感じやすいのかもしれません。

このように、デバイスの通知は集中力を低下させ、ストレスの原因となり、読書の時間を妨げます。脳と心を休めるためには、意識的に通知から解放される時間が必要です。実際に、通知を制限することで、ストレスが減り幸福度が高まるという研究結果も報告されています[11]。以上の理由から、通知による集中力低下やストレスから脳を守り、質の高い読書体験とリラックス習慣を実現するためには、読書だけに集中できる環境を提供してくれる『読書専用端末』は有効な選択肢といえるでしょう。」

榊浩平氏の写真

【プロフィール】

東北大応用認知神経科学センター助教の脳科学者 榊浩平氏

1989年、千葉県生まれ。東北大学応用認知神経科学センター助教。博士(医学)。人間の「生きる力」を育てる脳科学的な教育法の開発、研究を行う。著書には『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新聞出版)など。

参考文献

[1]Kahneman, D. (1973). Attention and effort (Vol. 1063, pp. 218-226). Englewood Cliffs, NJ: Prentice-Hall.

[2]Monsell, S. (2003). Task switching. Trends in cognitive sciences, 7(3), 134-140.

[3]Stothart, C., Mitchum, A., & Yehnert, C. (2015). The attentional cost of receiving a cell phone notification. Journal of experimental psychology: human perception and performance, 41(4), 893.

[4]Lavie, N. (2005). Distracted and confused?: Selective attention under load. Trends in cognitive sciences, 9(2), 75-82.

[5]Lim, J., Wu, W. C., Wang, J., Detre, J. A., Dinges, D. F., & Rao, H. (2010). Imaging brain fatigue from sustained mental workload: an ASL perfusion study of the time-on-task effect. Neuroimage, 49(4), 3426-3435.

[6]Galluch, P. S., Grover, V., & Thatcher, J. B. (2015). Interrupting the workplace: Examining stressors in an information technology context. Journal of the Association for Information Systems, 16(1), 2.

[7]Przybylski, A. K., Murayama, K., DeHaan, C. R., & Gladwell, V. (2013). Motivational, emotional, and behavioral correlates of fear of missing out. Computers in human behavior, 29(4), 1841-1848.

[8]Justice, N. J. (2018). The relationship between stress and Alzheimer's disease. Neurobiology of stress, 8, 127-133.

[9]McEwen, B. S., & Sapolsky, R. M. (1995). Stress and cognitive function. Current opinion in neurobiology, 5(2), 205-216.

[10]McVay, J. C., & Kane, M. J. (2012). Why does working memory capacity predict variation in reading comprehension? On the influence of mind wandering and executive attention. Journal of experimental psychology: general, 141(2), 302.

[11]Kushlev, K., & Dunn, E. W. (2015). Checking email less frequently reduces stress. Computers in Human Behavior, 43, 220-228.

調査概要

調査名称:「デバイスの通知に関するアンケート調査」

調査方法:インターネット調査(webアンケート)

調査対象:日本全国の消費者/人数:2000人

調査期間:2025年2月13~24日

*1:「通知のうち、役に立つ/有益だと感じるものの割合を教えてください(0%〜100%の10%刻み)」という設問に対し、「0%」「1〜10%」と回答した人の割合の合計

*2: 「自由時間に届くデバイスの通知によってストレスレベルが高くなると感じることがありますか?」という設問に対し、「強く同意する」「やや同意する」と回答した人の合計

*3: 「リラックス活動中にデバイスの通知によって気が散ったり中断されたりすることはどのくらいありますか?」という設問に対し、「頻繁」「ある程度頻繁」と回答した人の割合

*4:リラックスするための活動として「読書」と回答した人のうち、「読書中にデバイスの通知によって気が散ったり中断されたことがあるか」という設問に対し、「頻繁」「ある程度頻繁」と回答した人の割合

出典元:アマゾンジャパン合同会社 プレスリリース

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