
2024年12月23日、日本郵便株式会社(以下、日本郵便)はヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト運輸)に対し、損害賠償訴訟を提起したことを発表しました。この訴訟は、2023年6月19日に締結した「持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意」に基づく協業に関するものです。日本郵便によると、ヤマト運輸が「小型薄物荷物」の運送委託を停止したことが発端とされています。
これまでの協業の進捗
メール便領域では、ヤマト運輸が提供する「クロネコDM便」を予定通り2024年1月31日に終了。その後、新サービス「クロネコゆうメール」の提供が始まっています。
一方で、小型薄物荷物領域では、「ネコポス」のサービスを順次終了し、2025年2月から全国で「クロネコゆうパケット」を提供する計画が進められていました。しかし、ヤマト運輸側のシステム対応や顧客対応の遅延が原因で、計画通りの移行が進まず、大幅な遅れが発生しました。
協業中断の背景
小型薄物荷物領域については、2024年10月、ヤマト運輸が「クロネコゆうパケット」の運送委託を停止する意向を申し入れたとされています。日本郵便はこの申し入れに対し同意していないことを明らかにしています。さらに、日本郵便によると、ヤマト運輸は運送業務の委託義務の存在を否定しており、委託停止に向けた準備を進めているとしています。
これにより、2025年2月に予定されていた両社の協業による投函サービスの全国展開が難航する見通しとなりました。
提訴の概要
日本郵便は、2024年12月23日に東京地方裁判所へ提訴を行いました。訴訟では、「持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意」に基づく義務の履行確認を求めています。また、履行が行われない場合には損害賠償を請求する内容も含まれています。
【訴訟の詳細】
- 裁判所:東京地方裁判所
- 主要な当事者:
原告:日本郵便株式会社(代表取締役: 千田哲也)
被告:ヤマト運輸株式会社(代表取締役: 長尾裕) - 事件名:損害賠償等請求事件
- 訴訟内容:
- 2025年2月1日から2026年1月31日までの間、小型薄物荷物領域の運送委託義務が存在することの確認請求。
- 損害賠償金120億円の支払い請求。