「テストマーケティング」のメリットと効果:新商品販売を加速させるMakuake活用【第1回】

本連載では、Makuake=クラウドファンディング、そして資金調達ではない、新商品やサービスを戦略的に市場に投入するという視点で、4回に渡り効果的なMakuake活用について深掘りしていきます。それぞれテストマーケティング、商品企画、ファンづくり、販促ツールという4つのテーマを通じて、具体的な戦略と、実際の成功事例を紹介します。

0次流通のビジネスポテンシャル

Makuakeは自身の市場を、1次流通市場の前に新商品・サービスのお披露目を消費者に直接行う「0次流通市場」と規定しています。その中で事業者にとって、Makuakeを利用したテストマーケティングは、新製品やサービスを一般販売市場に投入する前に、消費者の反応を探ることができる効果的なマーケティング手法です。連載の第1回となる本記事では、Makuakeを使って効果的に市場調査を行い、一般販売後の商品価値を最大化する方法について解説します。

Makuakeの流通フェーズ

月間650件以上の新商品・サービスがデビューするプラットフォーム「Makuake」

Makuakeは「購入型」のクラウドファンディングの仕組みを活用したECプラットフォームです。国内未発売の新商品・(飲食店など)サービスのプロジェクトが毎月650件以上公開されています。

サイトをご覧いただけるとよくわかるのですが、一般的にイメージされる寄付や投資を目的としたプロジェクトはほとんどありません。購入者は「新しいもの、こだわりが詰まったものが欲しい」「商品スペックだけでなく、開発のストーリーに共感できるものを購入したい」など、「購入」を目的に利用しています。

Makuakeでプロジェクトを実施した経験のある事業者を対象に行った調査では、約7割の事業者がMakuake実施後に一般販売を行っており、Makuakeの実施が一般販売に活きたと回答しています。

Makuakeを利用した事業者向けのアンケート

また、クラウドファンディングにおいて想起されやすい事業者側のメリットとして、「資金調達」が挙げられますが、Makuake実行者において「資金集め」の回答は23%ほどで、「テストマーケティング」が62%と3倍弱の回答となりました。続いて「PR・認知獲得」が50%、「実績づくり」が45%、さらに「新規顧客獲得」が37%と、「資金集め」以上にその他のビジネスメリットを感じている実行者が多いことがわかります。

「Makuake」実施後に感じたビジネスメリット
「Makuake」実施後に感じたビジネスメリット

Makuakeは「新商品・サービスを先行して販売ができるECプラットフォーム」として活用されているのです。

「Makuake」のポジショニングマップ
「Makuake」のポジショニングマップ

Makuake実施によるテストマーケティングのメリットは?

では、Makuakeを活用している事業者が、最もビジネスメリットが高いと実感している「テストマーケティング」には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

テストマーケティングとは、「商品やサービスを販売していくにあたり、限られた地域や流通チャネルなどを用いてテスト的に販売を行うマーケティング手法」です。Makuakeで実施した事業者向けのアンケート調査でも「一般販売前に需要予測できる」と回答した事業者が半数以上おり、Makuakeというチャネルで販売することで実際に「購入」という形でのテストマーケティングを行えることにメリットを感じている事業者が多いことがわかります。

Makuakeでは、独自の分析ツール「Makuake Analytics」を提供しています。毎日のPV、応援購入総額、購入者(以下、サポーター)の属性情報など、プロジェクトに関するデータの活用が可能です。また購入時にサポーターが投稿する「応援コメント」などをはじめ、事業者とサポーター間でコミュニケーションを取れるため、それらの声を活かした一般販売時のカラー展開の変更やターゲットの再設定など、一般販売時の成功確率を高めるために活用されています。

テストマーケティングに活用されている「Makuake」でのデータ
テストマーケティングに活用されている「Makuake」でのデータ

応援購入総額9億円超えの企業も。テストマーケティング活用2選

ここで実際にMakuakeをテストマーケティングの場として活用されている企業を2社ご紹介します。

① 株式会社太陽

株式会社太陽は、2019年に「ヒツジのいらないシリーズ」をMakuakeでブランドデビューしてから、これまでMakuakeでは35回プロジェクトを実施。累計応援購入総額は9億円超、2021年には「日本ネーミング大賞」最優秀ルーキー賞を受賞するなど、寝具業界に新たな風を吹かせています。(2023年11月時点)

「ヒツジのいらないシリーズ」はこれまで新商品すべてをMakuakeを通じてお披露目しています。「Makuake」を活用する理由について、代表の川嶋さんは「寝具業界はレッドオーシャン。そのなかで『ヒツジのいらないシリーズ』第一弾をMakuakeでデビューさせた際、多くの反響を集めたプロジェクトになったことで、メディアの露出に繋がり認知拡大ができた。Makuakeで実績を作り、一般販売に移行する、そしてサポーターからの意見を新商品に反映して、新商品をMakuakeに出していくサイクルを作っている」 と話されています。

「Makuakeプロジェクト枕製品歴代1位を獲得」※2023年12月現在株式会社太陽調べ 
「Makuakeプロジェクト枕製品歴代1位を獲得」※2023年12月現在株式会社太陽調べ 

新しいコンセプトの商品を市場に投入する際は、いかに新しいものに興味関心が大きいユーザーから反応を得ることができるかがポイントになります。Makuakeにはアーリーアダプターと言われる新商品に対して興味関心を持つユーザーが数多く存在しているため、テストマーケティングを素早く行なうことが可能です。さらに、このMakuakeでの実績をもとにECなどのオンラインや、量販店などのオフラインに展開することで、一般販売のスタートダッシュをより加速させており、「0次流通」から1次流通への展開をスムーズに行っています。

また株式会社太陽では、応援購入いただいたユーザーからダイレクトに意見をもらうことで、商品開発サイクルを回転させ、多くの新商品を生み出しているのです。Makuakeを活用した共創プロセスについては、今後の本連載にて詳しく解説します。

② MOONRAKERS(MOONRAKERS TECHNOLOGIES株式会社)

「MOONRAKERS」は、東レグループのスピンアウトベンチャーMOONRAKERS TECHNOLOGIES株式会社が運営する「先端テクノロジーによる未来のファッション」の創造を目指すプロジェクトです。これまでMakuakeでは11回プロジェクトを実施し、累計応援購入総額は1億円を超えるなど、多くの注目を集めています。(2023年11月現在)

「MOONRAKERS」は、日本が誇る技術企業のもつ先端技術を組み合わせた、これまでにない新商品の創造を行うプロジェクトですが、一方で、そうした画期的な商品ゆえにどれくらい市場のポテンシャルがあるかが掴みにくい点がありました。そのため、一般販売する前にテストマーケティングを行うことを目的に、需要把握でMakuakeを活用いただいています。よくMakuakeは先行予約販売の展示会と仰っていただくことがありますが、オンラインでの展示会ということでタイミングを選ばず出品し、サポーターからのダイレクトフィードバックも得られるため、開発スピードを大幅に早め、かつ商品開発の精度を向上させることを可能としています。それはまさしく「未来を引き寄せる」開発です。

MOONRAKERSの事例

Makuakeはプロジェクトが終了してから商品のお届けまで、最大半年間の期間を空けることができるため、需要を把握してから製造することも可能です。そのため在庫リスクを最大限に抑えて、テストマーケティングを行なうことができ、そうした特性を生かし、多くの企業で新たなブランドを立ち上げる際の活用も増えています。

最後に

今回は「テストマーケティング」の観点からMakuakeを紐解きました。世の中の新商品・サービスの開発サイクルが早まる中、一般販売前の需要予測だけでなく、実績に基づいた一般販売戦略の再考など、テストマーケティングの重要性が高まっています。より自社の商品・サービスを求めている方に届けるために、テストマーケティングを活用していただければと思います。

次回は、近年重要性が語られている「商品企画」の観点から、Makuakeを活用してコアなファンに出会い、長期的な顧客基盤を築く戦略について解説していきます。

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