
家庭でネイルを楽しむ方に向けてネイル用品を販売する「SARURU PROJECT Online Shop(以下、サルルプロジェクト)」。その専属ネイリストとしてYouTubeチャンネル「セルフネイルスタジオあわちゃんねる」を運営するあわちゃん先生は、動画配信を通してネイルのハウツーや商品の紹介を行ったり、オンラインサロンでファンの方々と交流を取ったりと、お客様とのコミュニケーションを重視した運営をしています。
今回は、サルルプロジェクトの運営元である有限会社SARURU企画の大林さんと、あわちゃん先生に、ファンとの関係の深め方についてお話を伺います。
この記事の目次
立ち上げ前から集客ができていた!YouTube先行で始まったECサイト
――サルルプロジェクトはもともとどのような販売形態だったのでしょうか。あわちゃん先生と一緒に活動される前後で変わった点などがあればお教えください。
大林さん:サルルプロジェクトはもともとデコパーツを中心に卸を行っていました。ECサイトを立ち上げたのはあわちゃん先生と一緒に活動するようになってからです。もともとはメーカーに近い立場で、あわちゃん先生は当時、卸先のひとつであるお店の店長さんだったんです。そのなかで、あわちゃん先生からのリクエストに応えて入荷した商品は人気が出るということが何回もあり、その目利きのセンスに、こういう人に商品の開発や選定に入ってもらえると良いなと思ってお声掛けさせていただきました。
そのころから、デコパーツからネイル用品へとお客様のニーズが移っていき、ネイル用品の扱いが増えていきました。あわちゃん先生に動画やブログで商品について紹介してもらうことで、商品一つひとつの説明にすごく厚みが出ていると感じます。

大林さん:ECサイトのトップページには、あわちゃん先生によるデザインサンプル集があり、各デザインに使っている商品をそのままカートに入れられるようになっています。このデザインをやってみたいけど何を揃えたら良いかわからないという方は結構いらっしゃって、それに応えられるようになったのはECサイトができて大きく変わった点だと思います。
あわちゃん先生:今はYouTuberとしてサルルさんと一緒に、商品開発からあわちゃんんねるの世界観を伝えるのに必要ことをいろいろやらせてもらっています。たとえば、あわちゃんねるのキャラクターのイラストを描いたり、商品の写真を撮ったり、使い方の説明文を考えたり、商品のパッケージデザインも、制作は依頼していますが、デザインに関する指示は私が出しています。
――ECサイトの立ち上げでは、最初の集客などが難しいかと思うのですが、そのあたりはどうでしたか?
あわちゃん先生:そこは全然悩みませんでした。一般的にはECサイトを作ってから集客のためにYouTubeやSNSを始めると思いますが、その順番が逆で。先にYouTubeを始めてライブ配信で商品を紹介したらバズってしまい、それに対応できる体制がなかったので、サルルさんに相談してECサイトが立ち上がったんです。
当時勤めていたお店では、デコ電やネイルなどを自分でやりたい人向けにパーツを販売していて、お客様からデザインのご相談を受けることもよくありました。仕入れの販路を持つサルルさんとタッグを組んだことで、こんな材料がほしいというお客様の声に応えられるようになり、ありがたかったです。
――YouTubeとECサイトを連携する上で、どういうところに注意されましたか?
大林さん:あわちゃん先生のYouTubeは本当に反響が大きくて、はじめのころは紹介された商品がすぐに品切れになることもありました。今は、事前の打ち合わせをきちんとして、動画のアップと商品が出るタイミングを合わせ、ある程度在庫をコントロールできる商品を紹介してもらうようにしています。
あわちゃん先生:お互いのキャンペーンの内容の理解度がずれてしまうこともありましたね。これをプレゼントにしたかったけどうまく伝わってなかったり、私は10%OFFだと思っていたけどサルルさん的には5%OFFだったり。
大林さん:あわちゃん先生が言っちゃったらもうそうせざるを得ない、なんてことを言ってくれたんだみたいな(笑)。
――そういった齟齬がないよう、コミュニケーションで意識していることはありますか?
大林さん:直接会ってお話しすることも多いですし、LINEでもマメに連絡を取り合っています。
あわちゃん先生:店長をやっていたときからサルルさんのオフィスと物理的な距離が近く、会って相談しやすい環境でした。対面だとものを見せられるのが良いですね。ネイル素材って小さいので、そのサイズ感とかキラキラ感とか色の違いや、細かいところは対面のほうが伝わりやすいんです。
大林さん:あわちゃん先生は頭のなかに次々といろいろなアイディアが浮かぶクリエイティブな方です。対面でお話しすると、実際にやるべきことが整理されて、これからやっていくことが明確になる感じがします。
オンラインだからこそできる、関係性を育くむコミュニケーション
――お客様とコミュニケーションを取るために、どのような取り組みをされていますか?
大林さん:サルルプロジェクトとあわちゃんねるのコラボ企画として、詰め放題配信というものがあります。これは、YouTubeのライブ配信中に商品をご購入いただいたお客様のお名前を呼びながら商品を詰めるという企画です。
パーツの回、ネイルシールの回など対象の商品を事前に告知して、ライブ配信中に山積みにした商品からその場でピックアップしていきます。「これを送りますね、楽しみにしていてください」とライブ感を楽しんでいただきながらお買い物ができるようになっています。

大林さん:お客様にとっては、どの商品が選ばれるかわからないわくわく感があり、普段は見ることのないECサイトで買い物をした商品が届くまでの過程も見ることができ、商品に対しての愛着が湧くのではないかと思います。いつも見ているあわちゃん先生に名前を呼んでもらえる嬉しさもありそうです。
今は月1回の配信で、これまで30回以上行っている人気企画になっています。
あわちゃん先生:私としては、インターネット上だからできる、接触回数の増加を意識しています。人って見れば見るほどその人のこと好きになると言いますよね。商品を買うだけだと接触回数は1回だけですが、それが配信によってプラスアルファで増えます。
ライブ配信では、お客様にその場でしっかり疑問を解決してほしい気持ちで、コミュニケーションすることを意識しています。
ネイル用品は、買っても使えないと意味がありません。たとえば食べ物だったら買って届いたらすぐに食べられますが、ネイルパーツは爪に乗るまでがその商品の仕事です。使ってもらえないと悲しいですし、買っていただいたからには使えるようになってほしいという気持ちで配信していますし、LINEでもコミュニケーションを取っています。

自分が楽しみ、それを伝えて楽しんでもらうことが、売上につながる
――あわちゃん先生やサルルプロジェクトさんのファンがいるからこそできる取り組みはありますか?
大林さん:サルルプロジェクトでは公式広報部員を募集しています。広報部員さんには、ご自身のSNSアカウントで商品を使ったネイルアートを投稿してもらっているんです。また、クーポンコードを付与して、その投稿を見たお客様はお得にお買い物ができ、広報部員さんにはポイントで還元する仕組みも作っています。
投稿が義務になると宣伝色が強くなってしまうので、ハッシュタグの指定はするものの、あくまでも任意で、買って良かったという気持ちをそのまま投稿していただくようお願いしていますが。あわちゃん先生やサルルプロジェクトにものすごく愛のある方が多く、ありがたいです。

あわちゃん先生:広報部員さんはインフルエンサーやアンバサダーとは少し違って、もっとライトに、ネイルが本当に好きという気持ちをぶつけてもらう感覚です。広報部員さんの投稿をきっかけに商品を買った人がまた広報部員になって、さらに新しく商品を買ってくれる人がいる、という良い循環を作り、サルルさんとあわちゃんねるを好きな人を増やしていきたいです。
大林さん:あわちゃん先生のオンラインサロンもあります。あわちゃんねるでは普段見られない、裏あわちゃんねるのような存在で、ネイル以外の日常の話やゲーム配信、ライブ配信後の会員限定の二次会なども実施しています。オンラインサロンに入ってくださる方は、あわちゃん先生というキャラクターが好きな方が多い印象ですね。
あわちゃん先生:ただ私たちがしゃべっているのを聞きたい人が入ってくれている感じですよね。それはありがたいことで、だから全力で応えたいし、商品を全力で使えるようになってほしいです。
こんなちっちゃい爪に、こんなちっちゃいかわいいが作れるって最高って思っているので、そのかわいいを広めたい。作るのは楽しいんだよってことを伝えたいです。ネイルってキラキラしたイメージかもしれませんが、私は結構隠キャです。オンラインサロンは、キラキラしたのが苦手な方にもネイルを楽しんでもらえるような、そんな場所です。
大林さん:そういう取り組みが、回り回って売上につながっているような気がしますね。
あわちゃん先生:売上ばかりを追いかけていると絶対スタミナが切れるときが来てしまいます。お客様が楽しく参加できるような姿を目指していれば、私たちはスタミナを切らすことはないんじゃないかなと思っています。
続けることが大事!YouTubeとの連携でECサイトのコンテンツも充実する
――これまでのご経験から、ECサイトがYouTubeチャンネルと連携する場合、どんなことを意識すると良いと思われますか?
大林さん:ECサイトが先にあってYouTubeを新たに始めると、宣伝色が濃くなりがちです。そこでちょっと目線を変えて、視聴者さんが困っていることや面倒なことを解決する内容で、自社の商材を混ぜていくと訴求力を高められるのではないかと思います。
最近あわちゃん先生とよく話しているのが、みんなが共感できる「あるある」は、視聴者の方にすっと入りやすいということです。それはネイル商材に限りません。「これって困るよね」「これって面倒だよね」というみんなの共通認識に対して、「こういう商品があったら便利だよね」という形で伝えられれば、宣伝色が薄くなって、結果的によく売れるんじゃないかなと思います。
また、視聴者さんが参加できる企画があると、YouTubeは盛り上がります。たとえば一緒に商品を企画開発するなど、見ている人も巻き込めると面白いですね。
あわちゃん先生:あとは折れない心ですね。YouTubeって外注とかで費用をかけすぎると息切れしちゃうから、自分でできる、無理なく続けられる範囲でやることが本当に大事だと思います。私が全部自分でやってきたからこそ、そう思うのですが、結果が出たらラッキーぐらいのスタンスで始めたほうが良いです。
大手は別として、綺麗に作りすぎるより、ちょっとガチャガチャしているくらいのほうが想いが伝わりやすいと思います。大手チェーンのレストランのようなYouTubeを目指すんじゃなくて、脱サラしたラーメン屋のようなYouTubeのほうが続けやすいはずです。
大林さん:YouTubeは数字が見えるから、その点でも心が折れやすいと思うんですけど、それでも耐えて続けていくことが大事ですね。
――動画をアップし続けることで、昔のコンテンツも視聴されて、積み上げで良くなっていく感じはありますか?
あわちゃん先生:それもありますし、動画を1本作ったら、そこからメルマガにも使えるし、ブログも書けるし、SNSにも投稿できるし、商品ページにも使えるし、いろいろなことに横展開できます。
大林さん:商品ページに動画があるだけでも、買う人のイメージが大きく変わりますね。今は、あわちゃん先生と相談して、こういう商品で動画を作りましょうとなったら、その動画を基にECサイトに載せるテキストや商品ページを作っています。そこに対してお客様から反応があれば、それもまたコンテンツになります。
あわちゃん先生:出した動画に反応がなかったら、これは求められていないんだなと判断して違う角度から取り組むこともありますね。
大林さん:視聴者さんの反応もコンテンツにすることで、商品開発に参加できている感じがして、喜んでいただけるのかなと感じます。そこから商品を買いたいと思ってくださる方もいらっしゃるので。
――最後に読者の方に伝えたいことがあればお願いします。
大林さん:サルルプロジェクトの場合、ECサイトとYouTubeが相乗効果をもたらしてうまくいっている感じです。動画をECサイトなど他のコンテンツにも活用するというのはすごく良いのかなと思います。
あわちゃん先生:やっぱり、楽しんでやったほうが良いよって思います。お金を稼ぐことが先に来るとしんどい。私はこれが楽しくてやっているんだよという想いを乗せたいですね。今ってどんな商品も探せば最安値で買える時代ですが、私たちが楽しんでいること、商品を使えるようになってほしいという信念が私たちが提供できる付加価値になっていると感じています。
SARURU PROJECT Online Shop:https://srr-p.com/
YouTubeチャンネル「セルフネイルスタジオあわちゃんねる」:https://www.youtube.com/@albunnail
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