
2024年2月28日、Google Cloud による「NRF 2024振り返りセミナー(イベントページはこちら)」が開催されました。このセミナーは、2024年1月13日~16日にニューヨークで開催された、NRF(National Retail Federation:全米小売協会)による年に一度の世界規模のカンファレンス「NRF 2024」でのトレンドや注目トピック、それらに関連した Google Cloud のソリューションを紹介するものです。
本記事では、4つのセッションからなるNRF 2024振り返りセミナーより、セッション2の Google Cloud ブースの紹介について、EC事業者が押さえておくべき要点を中心に紹介します。また、セッション1のNRF 2024のキーノート、セッションの振り返りに関してはアーカイブ動画をご視聴ください。
この記事の目次
Googleブースから学ぶ:小売業界の課題解決に役立つ最新技術とソリューション
【登壇者】
山崎 貴史
Google Cloud
流通事業本部 カスタマーエンジニア

山崎さん:本セッションでは、Google Cloud のブースおよびセッションにフォーカスして紹介します。
Google Cloud はNRF 2024に先立ち、資料(上図)にあるように、大きく3つのカテゴリに分けて小売業向けの生成AI活用テクノロジーを発表しました。NRF 2024では、これらのデモンストレーションを中心に出展しました。

山崎さん:Google Cloud ブースのコンテンツとしては、NRF2024のテーマにアラインし、ビジネスシーンにどう実装していくかを紹介したものが多く見られました。
生成AIを実際の仕事に活用することをサポートするものが多く、機能のデモンストレーションだけでなく、実現するためのアーキテクチャの説明などよりディープダイブしたコンテンツとなっている点が特徴的です。
それらのコンテンツから一部抜粋して紹介します。
Digital Commerce(デジタルコマース)領域
会話型コマース

山崎さん:会話型コマースでは、チャットボットで食事(レストラン)を提案するデモンストレーションが行われました。それ以外のユースケースとしては、ECサイト上での商品提案への活用も考えられます。会話形式で商品の絞り込みをしていくことで、接客に近い顧客体験を提供できます。
商品画像の編集

山崎さん:商品画像の編集では、ソファの背景の部屋をカスタマイズするデモンストレーションが行われました。それ以外のユースケースとしては、商品の用途に合わせた画像作成により、写真撮影の工数削減などが期待できます。
Marketing(マーケティング)領域
テーラーメイドコンテンツの作成

山崎さん:テーラーメイドコンテンツの作成では、低炭水化物の食生活を好む親をターゲットとして、家族の思い出に残る瞬間を作るホリデーキャンペーンを設定、指定の商品について生成AIによってキャッチフレーズ、説明文、ハッシュタグをセットで作成するデモンストレーションが行われました。生成AIが作成した文章をベースにすることで、生産性向上も期待できます。
Store(店舗)領域
エッジコンピューティング

山崎さん:エッジコンピューティングのユースケースとしては、すぐに応答が必要だが大量の通信が必要なAI系のワークロードが考えられます。ブースでは、人流分析のソリューションを実行するコンピューターリソースとして紹介しました。
たとえば、店舗内のカメラの動画情報など、大量の通信が必要なデータを分析して、お客様が店舗内にいる間にアクションを行う必要があるようなワークロードと親和性が高いといえます。
Supply Chain Management(SCM)領域
配送ルート最適化

山崎さん:配送ルート最適化は、複数のトラックと複数の配達先の位置情報から、各トラックの配送ルートの最適解を提示するソリューションです。重視するビジネスゴールや運転手の稼働時間などのルールを指定し、より適した回答を得ることができます。
日本は物流の2024年問題が指摘されるなか、配送効率化のためにこういったソリューションが有効です。
Google Cloud Session
山崎さん:Google Cloud Sessionでは、生成AIを幅広く活用されているGoogle Cloud のお客様、Carrefour・Lowe’s・Victoria's Secretの3社をパネラーとしてディスカッションを行いました。主な生成AI活用のポイントとしては、「新しい顧客体験の提供」「パーソナライゼーション」「Associatesの業務効率化」「価値の低いタスクの自動化」があげられます。
各社の取り組みとしては、Carrefourではマーケティングキャンペーンのパーソナライズ、Lowe’sではマーチャンダイジングに生成AIを活用し、業務の効率化を行っています。
Victoria's Secretでは、顧客対応に生成AIを活用しています。その用途は、バーチャルアシスタントによる会話型コマース、セマンティック検索による商品の検索性向上、画像検索/レコメンデーションというデジタルコマース領域の3つです。こういった多くのワークロードに一気に活用を開始できるのも、生成AIによる大きな変化のひとつです。
Q&A
――今後、Google Cloud ソリューションや最新技術を活用するために、どのような準備が必要でしょうか?
山崎さん:Googleアカウントがあれば利用可能です。個人アカウントでも利用できます。利用開始時に無料クレジットが提供されるので、最初はコストの心配をあまりせずに始められます。
――Google Cloud ブースで展示されていたソリューションの中で、特に興味を持ったものがあれば教えてください。
山崎さん:個人的にはデジタルコマースのエリアが充実していた印象です。特に商品画像の編集に興味を持ちました。実際に試してみると、簡単なプロントで自由にカスタマイズでき、かなり有用だと感じます。画像生成もビジネスで利用可能なレベルになってきていると実感しました。
Google Cloud の生成AIは、著作権について保証するサービスを昨年の2023年10月12日にアナウンスしており、そういった点も心配なくご利用いただけるかと思います。
後編はこちらから。
合わせて読みたい