
サイトリニューアルに取り組まれるECサイトの担当者様も多いと思います。しかし取り掛かるとその大変さに気づくはずです。
本記事では、そんなサイトリニューアルを正しく理解し、実施する際のポイントをご紹介します。
この記事の目次
まずはサイトリニューアルの影響を正しく理解する
サイトリニューアルは、
「デザインを新しくすれば、すべてうまくいく!」
「なんとなく古く見えるからリニューアルするか」
このようなふわふわした状態でスタートするべきではありません。まずは、サイトリニューアルの大変さを正確に理解するところから始めましょう。ここでは3つのポイントをご紹介します。
リニューアル準備中は施策が進まないという罠
「サイトリニューアルの準備中は既存サイトへの施策の実施が止まる」から紹介しましょう。
多くの場合リニューアルの準備がスタートしてから、完了するまでの間は新しい施策を実施できません。例えば、リニューアルの準備に3ヶ月かかるのであれば、3か月間は既存サイトに変化がないままになるのです。
これは、
- リニューアル前のページに施策を実施しても、結局は新しいデザインにする
- リニューアルの準備でそもそも新しい施策を考えている時間がない
と考えられるからです。
これを見てもったいない!と思った方や、現状さまざまなチャネルである程度流入が獲得できているECサイトであれば、その中断期間を設けて大きく改善しようとするよりも、細かな改善を重ねたほうが成果が出やすいケースがあります。
URLの変更を伴うリニューアルの影響
次にリニューアルでも厄介かつ、サイトへの流入影響、ユーザビリティなど広く影響する「URLの変更」を紹介します。
URLの変更対応を丁寧に取り組まないと、以下のようなマイナス影響が発生します。
- ユーザーが普段から見ていたURLでページが表示されなくなる
- 以前は(上位)表示されていたキーワードで表示されなくなる
これはECサイトの担当者であれば、誰でも避けたい事象でしょう。しかし、対応難易度は高く、一部のページならまだしも、サイト全体でURLを変更する場合は、新旧URL対応表の作成やリダイレクトの設定、内部リンクの変更、XMLサイトマップの調整など対応が多岐にわたります。
また、URLの変更は公開後こそ大変な道のりが待っています。Googleをはじめとした検索エンジンはURL単位でページの評価をします。そのため正しくリダイレクトなどの設定をしないとそのURLが獲得していた評価を引き継げず、順位が大きく下落し、流入数が減少してしまうのです。
難しいのが正しく設定できたとしても、一時的に順位が下がることが大半で、特に初めてのリニューアルの場合などは実装ミスによる下落なのか、すぐに回復するのか判断しにくいでしょう。
このあたりの話がよくわからないという場合は、URLの変更をしないか、知見のあるメンバー、支援会社に必ず入ってもらうことを推奨します。また、特に理由がない場合、URLは変更しないことを強く推奨します。
ページのデザイン変更を伴うリニューアルの影響
前提として、ユーザーが大きなデザイン変更を望んでいないということは、理解するべきです。
ユーザーが求めているのは、カート追加やお気に入り追加、おすすめ表示の改善などの「部分的な機能改善」が多く、良かれと思ってデザインを大きく変更することで、既存のユーザーからするとかえって使いにくくなるということも起きます。
また、デザインの変更で一番問題になるのは、気づかないうちにCTAなどの導線が減り、結果としてコンバージョン数が激減するということです。
心理的にも、かけた工数的にも、なかなか以前のデザインに戻すという選択はとりにくい他、減少した原因もわかりにくいため、回復に時間がかかることもあります。
施策を実施するためにリニューアルが必要なことも
ここまでサイトリニューアルのネガティブな面を紹介してきましたが、リニューアルが必要なケースももちろん存在します。
1つ目は既存の仕様だと施策を実装できないというケースです。
ECサイト構築に既存のシステムを使っている場合、「この施策を試してみたいけど、システムの仕様上難しい」。こういった事態はよくあるはずです。その場合は別のシステムに乗り換えるか、一部改修が必要になります。
2つ目はブランドコンセプトの変更などに伴うケースです。
これは「ECサイト」という売る仕組みよりも、上位の概念になります。そのためデザイン変更だけでなく、サイトのコンテンツやメッセージングも全面的に見直す必要があります。
例えば、ターゲット顧客層の変更や市場のトレンドに合わせた新しい価値提案を反映させることが挙げられるでしょう。このような大幅なブランド戦略のシフト時には、適切なサイトのリニューアルが必要になります。
このようにハード面やブランド面においては、リニューアルが必須になるケースもあるのです。
URLを変更する際の最大の注意点「リダイレクト」
ここからは、サイトリニューアルを円滑に進めるための注意点を確認していきましょう。
冒頭でも記載した通り、どんなに丁寧な対応をしても一時的に順位が下がり、それにともない流入も減少します。
サイトの統合、SEOを意識せずに構築したサイトのディレクトリ構造の変更、ドメイン移管などの明確な理由がある場合は、URLを変更する必要があります。しかし、なんとなくという理由で、URLは変えるべきではありません。
繰り返しになりますが、URL変更を伴うサイトリニューアルには、
- ユーザーが普段から見ていたURLでページが表示されなくなる
- 以前は(上位)表示されていたキーワードで表示されなくなる
といった、大きなリスクがともなう可能性が大きいのです。
下記にて、URLを変更する際の注意点を紹介します。ぜひ、この内容を元にあなたのサイトのトラフィックを守ってください。
リダイレクト
そもそもリダイレクトとは、あるウェブページ(URL)から別のウェブページへ自動的に移動させる設定のことです。
https://www.seohacks.net/
にアクセスすると
https://www.seohacks2.net/
に自動的に遷移する、そんな仕組みです。サイトリニューアル時のリダイレクト設定は、以下の鉄則を押さえてください。
「適切に対応するページへ、不要なリダイレクトを挟まず、可能な限り301リダイレクトで実装する」
順に説明しましょう。
「適切に対応するページへ」
301リダイレクトのようなサーバーサイドリダイレクトの場合は、古いURLにアクセスすると、そのページを見ることなく一瞬で新しいURLに遷移します。そのため、例えば商品ページを見ようとしていた人が、TOPページにリダイレクトされてしまうと、多くの場合混乱するでしょう。
また、検索エンジンも同様の挙動をとります。例えばブログが表示されていたURLにクロールし、TOPページにリダイレクトが設定されていると、それに従わないといけません。そのため、ブログで獲得した順位は間違いなく下落するかインデックスが外れるはずです。ユーザーがブログだと思ってアクセスしてTOPページに遷移したら困りますよね。よって、基本的には新旧URLはしっかりと対応するページにリダイレクトを設定する必要があります。
リニューアルのタイミングでページをクローズするという場合は、リダイレクトを設定せず404を設定するか、クローズしたことをお知らせするようなページにリダイレクトさせてもよいでしょう。
このあたり地味な作業ではありますが、被リンクを獲得しているページはユーザーにも役立つ形で、なるべく残すようにしてください。
「不要なリダイレクトを挟まず、」
リダイレクトは複数回続くことがあります。
例えば、
https://www.seohacks.net/
から
https://www.seohacks2.net/
にリダイレクトを設定する際に、
https://www.seohacks.net/
↓
https://www.seohacks2.net
↓
https://www.seohacks2.net/
このように、間の遷移先にスラッシュなしのURLを挟むことができます。しかし、最終的にスラッシュありのURLに遷移するのであれば、ムダにリダイレクトを挟むことになります。正直なところこれくらいであれば、表示速度などに与える影響は、微々たるものですが、不要なものを挟む必要はありません。
Googlebotは、最大10回までリダイレクトを追うことができます。しかし、できればリダイレクトは3回までに抑えることを推奨しており、ムダに回数を増やすことはユーザー、検索エンジンともに悪影響であることがわかります。
「可能な限り301リダイレクトで実装する」
リダイレクトにはいくつかの種類がありますが、大きく2つに分けられます。
- サーバーサイドリダイレクト
- クライアントサイドリダイレクト
リニューアルの文脈で良いのは、サーバーサイドリダイレクトです。この2つの違いを非常に簡易的に説明すると、
サーバーサイドリダイレクトは「このページ表示したいから、もろもろ材料頂戴!あ、リダイレクトがあるじゃん!他のURL遷移します」という感じです。
クライアントサイドリダイレクトは「このページ表示したいから、もろもろ材料頂戴!ありがとね~、さて材料を見てみると、、あ!リダイレクトがあるじゃん!他のURL遷移します」という違いです。
つまり、リダイレクトが認識されるタイミングが違うのです。言い換えれば、検索エンジンがそのページのソースを全て読み込まなくとも、リダイレクトを察知できるため、ページ速度の影響をかんがみても、サーバーサイドリダイレクトが良いでしょう。そして、サーバーサイドリダイレクトを設定する際には、301リダイレクトを使うと覚えておいてください。
先に言っておくと、「これまで302だったリダイレクトを特に悪い点もないのに、301に変更する」。そんなことはしなくて大丈夫です。しかし、これからリダイレクトを設定する方は、301リダイレクトにしましょう。理由が気になる方は「301リダイレクト 302リダイレクト 違い」と検索してみてください。
とここまで、「適切に対応するページへ、不要なリダイレクトを挟まず、可能な限り301リダイレクトで実装する」を解説してきましたが、基本的にこれを守れば、(それでも一時的には順位は下がるものの)最善を尽くしたといえる状態でしょう。
問題は、これができないときです。その場合はいっそのことURL変更を諦めるか、検索エンジン流入が通常時より下落することを想定した上でリニューアルに取り組みましょう。
そのほかにもリニューアル時に注意、準備することは多数あります。Google公式にかなり細かくまとまっていますので、ぜひ一読してください。
▼参照
https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/site-move-with-url-changes?hl=ja
デザインを変更する際の最大の注意点「CTA」
私はデザイナーではありませんので、デザインの極意などは残念ながらわかりません。しかし、実際にリニューアルに携わるみなさんも全員がデザインに精通しているわけではないと思います。それでもリニューアル時には、サイトのデザインを確認し、良し悪しを考えないといけません。
そんな非デザイナーの方におすすめのチェックポイントが
「コンバージョンにつながるCTAが減っていないか」
「コンバージョンにつながる導線がわかりにくくなっていないか」
という点です。
ECサイトにおいては「カートに入れる」がメインのCTAになることが多いでしょう。位置の変更やボタンの数、クリック後の挙動(直接カートページに飛ぶのか、購入を継続するのかなど)は、大きくコンバージョン数に影響を及ぼします。最低限、リニューアル前後でCTAと導線だけでも比較できるとよいでしょう。
商品ページでボタンをなくす人はいないと思いますが、レビューやコーディネートページなどになるとどうでしょうか。意外とCTAへの気配りがおろそかになるケースも多いはずです。また、これまでページ下部に常時固定していたボタンをなくすなども要注意です。
もちろん、これらの取り組みによって改善することもあるはずですが、ポイントは重要な要素がどのように変わったのか目星を付けておくことです。
そうすることで、万が一下がった際にもアテがつけやすく、その部分だけでも元に戻すという選択が取りやすいはずです。
まとめ:リニューアルは大変
ここまでで理解していただけたと思いますが、リニューアルは大変です。そして、適切な対処をしないと順位やCV数などの数値も、悪化します。
しかし、ときにはリニューアルをしないといけないケースもあります。その際にミスなく、漏れなく適切に対応することができれば、ポジティブな効果を見込めるでしょう。ぜひ本記事や途中で紹介したGoogleヘルプなどを参考に注意深くリニューアルを進めてください。
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