
ECサイトでユーザーに商品を購入してもらうためには、まずは商品を見つけてもらう必要があります。その方法の1つに検索によってECサイトへの訪問を促すことができる「SEO対策」があります。
本記事では、基本となるECサイトなどのデータベース型サイトにおけるSEO対策の考え方と、ECサイトにおけるSEO対策のポイントを6つご紹介します。
この記事の目次
データベース型サイトSEOの考え方
まずは、ECサイトのSEO初心者の方へ向けて、データベース型サイトSEOの考え方について解説していきます。データベース型サイトとは、大量のデータをもとに、自動でページが生成されるサイトのことです。
適切にクロール、インデックスさせる
データベース型サイトのSEOで、最も重要な工程は、「クロール」「インデックス」です。このクロール、インデックスを制するものが、データベース型サイトのSEOを制すると言っても過言ではありません。
クロールとは、検索エンジンのボットがWeb上のページ情報を、自動化された方法で取得することを指します。ページの内容や、どんなページからリンクされているかといった情報を取得する工程とイメージしましょう。
インデックスは、クロールした内容をもとに検索エンジンのデータベースに登録することを指します。インデックスされることで、はじめて検索結果に表示されるのです。しかし、放っておけばインデックスされるわけではないため、インデックスされない場合の代表的な事例を理解しておきましょう。
▼インデックスされない事例
事例① そもそも検索エンジンのボットがページを見つけられていない
主要な原因:そのページへのリンクを検索エンジンが見つけられなかった。
事例② ページ自体は見つけたが、そのページをクロールしていない
主要な原因:その他にクロールするページが多く、そのページをクロールする余力がない。
事例③ ページをクロールしたもののインデックスされなかった
主要な原因:そのページをインデックスする価値がないと判断された。
事例④ 別のページを代わりにインデックスした
主要な原因:似ているページが複数ある際に、検索エンジンもしくはユーザーが別のページをインデックス対象と指定した。
データベース型サイトは、ページ数が数万以上になることが多く、上記の①②に当てはまることが多々あります。そのため、検索エンジンがクロール、インデックスしやすいようにサイトを調整する必要があるのです。
コントロールしながらページ数を適切に増やす
基本を理解した上で、セッション数を増やすために大切な考え方を押さえていきましょう。
データベース型サイトのSEOでセッション数を増やすためには「コントロールしながらページ数を適切に増やす」という考え方を持っておきましょう。前述の通り、ECサイトのページ数は膨大です。
例えば、「A(ブランド名)」「B(服の種類)」「C(サイズ)」とカテゴリが3つの場合、
①「A」「B」「C」(3ページ)
②「A×B」「A×C」「B×A」「B×C」「C×A」「C×B」(6ページ)
③「A×B×C」「A×C×B」「B×C×A」「B×A×C」「C×A×B」「C×B×A」(6ページ)
①+②+③と全部で15ページになります。「A×B」と「B×A」を検索エンジンのボットは別ページとして認識します。「組み合わせ(7ページ)」ではなく、「順列(15ページ)」となるのです。「順列」であるため、掛け合わせる項目が多くなると、ページ数は一気に増えます。
10カテゴリの場合、「A(服の種類)」×「B(ブランド名)」×「C(サイズ)」×「D(カラー)」~「J(年代)」の掛け合わせだけで3,628,800通りにもなります。さらに、「安い」「人気」などの条件をかけ合わせたり、他にも検索ページがあったりすることを考えると、大規模なECサイトでなくとも容易に数百万ページに到達してしまいます。

そのため、検索エンジンに「インデックスしてほしいページ」「クロールは良いけど、インデックスNGなページ」「クロールしてほしくないページ」「このページはカテゴリA×Dと意味合いは同じ」といったページ毎の関係性を伝え、闇雲にページが生成されないようにする必要があります。ページが増えすぎると、検索結果に表示させたい、つまりインデックスさせたいページがクロールされないことに繋がり、機会損失となってしまいます。
一方で、仮に10,886,400ページの半分がインデックスされ、それぞれに1セッションを獲得した場合、毎月5,443,200ものセッション数を獲得することができます。これがデータベース型サイトの強みです。コントロールしながらインデックス数を適切に増やすことができれば、各ページでの獲得セッション数が少なくても、サイト全体ではセッションを増やすことができるのです。
詳細ページに労せず、どれだけ情報を載せることができるか
データベース型サイトのSEOは、「詳細ページに労力をかけず、どれだけ情報を載せることができるか」という考え方も重要です。
データベース型サイトのページ数は、膨大だとお伝えしました。そのため、数十万〜数百万におよぶページを、すべて人力で作成することは不可能に近いと言えます。一般的には、システムを利用してページを生成します。その際に、いかに各ページに情報をもたせるかが重要になるのです。
例えば、「JANコード」「商品の型番」「各店舗のスタッフレビュー、コーディネート」「ユーザーレビュー」などは代表的な掲載情報です。その他にも関連する商品ページへのリンクや、同一カテゴリの人気商品へのリンクなども載せやすい情報と言えるでしょう。
しかし、この2つのSEOの考え方を実施して成果が出るのは、あくまで超大手サイトの場合に限ります。基本的に、ECサイトのSEOは、超レッドオーシャンです。「Tシャツ」や「冷蔵庫」などの顕在層向けのキーワードでいきなり上位表示するのは無理ということを理解しておきましょう。
そのため、「すでに知名度があり、取り扱いも多い」「知名度も低いし、取り扱いも少ない」「自社製品に興味のある人だけをしっかり獲得する」といった、それぞれのサイトにあったSEO戦略をたてることが重要です。
ECサイトのSEO「6つのポイント」
次に、ECサイトのSEOで押さえておきたい6つのポイントを、解説していきます。
サイトの構造が超重要!
まずは、サイトの構造を理解しましょう。サイト構造は頻繁に変更することが難しいため、しっかりと検討した上で構築していくのがポイントです。また、サイト内のページ数やクロールのしやすさにも関わるため、ECサイトにとってサイト構造は命といえるほど重要です。
ECサイトの基本構造は、以下のようなピラミッド型になることが多いです。

図のように、カテゴリの構造をどこまで深くするか、という点も重要です。
例えば、商品名で検索してみると、同じパソコンでもサイトによってカテゴリ構造が異なることに気づくでしょう。ここには正解、不正解はありません。以下の観点でサイトにとって最適な構造を目指してください。
- ユーザーにとって商品を探しやすいカテゴリ構造になっているか?
- ユーザーの検索するキーワードを拾い切れているか?
- カテゴリを広げすぎて、商品がまったくないカテゴリが増えていないか?

titleタグがすべて同じにならないようにする
2つ目のポイントは、titleタグが全て同じにならないようにすることです。改善できる例を紹介しましょう。
以下のように、本来はiPhoneの一覧ページなのに、「検索結果一覧」というタイトルになっている場合です。
例:検索結果一覧 | ナイル携帯ショップ
https://www.seohacks.net/smartphone/iphone/
ページのメインである「iPhone」と入れ、改善したのが以下です。
改善例:iPhone 商品一覧 | ナイル携帯ショップ
https://www.seohacks.net/smartphone/iphone/
Googleの検索エンジンは賢いため、うまくページ内のテキストを読み込み、検索結果に適切なタイトルを表示してくれます。しかし、SNSでのシェアなどSEO以外のことを考えても、個別に設定しておくことを推奨します。
正規ページ設定、ページ制御設定は要注意
3つ目のポイントは、正規ページ設定とページ制御設定です。
先ほどお伝えしたように、データベース型サイトは、とにかく膨大なページ数が生成されます。そのため、以下のタグなどを使って、検索エンジンに「このページをインデックスしてほしい」という正規URLを中心にクロールしてもらうように設定する必要があります。
以下はそうしたページ制御で使われることの多いタグ、設定です。
・noindex:ユーザーが使用するページとして必要だけど、検索結果に出す必要がないページに使用 ・canonical:全く同じ、または類似したページで正規ページを示すために使用 ・リダイレクト:サイトのリニューアルなど、同じ内容のページのURLを変更する際などで使用 ・robots.txtによるdisallow:検索エンジンに一切見せる必要のないページで使用 |
しかし、URL・クロールの制御は非常に難解です。
初心者の場合は、設定によって逆効果になることがあるため、無理に触らないようにしましょう。
検索エンジンが該当ページを見つけられるようにする
そもそもの話になりますが、見つからないURLはインデックスされません。そのため、以下3つの方法で、該当ページを検索エンジンに見つけられるようにしましょう。
1.内部リンク 2.外部リンク 3.XMLサイトマップ |
内部リンクの設置例は、「パンくずリスト」「関連リンク」「テキスト(タグ)リンク」「TOPページからのリンク」「カテゴリページのリンク」などです。特にTOPページは、基本的に最もクロールされるため、TOPページのリンクを設置することで該当ページが見つかりやすくなります。
外部リンクは、コントロールできない場合が多いですが、プレスリリースやSNSなどはnofollowではあるものの、検索エンジンが該当ページを見つける一助になります。XMLサイトマップは、インデックスさせたいページのみを記載することがポイントです。この3つの方法で、検索エンジンが該当ページを見つけられるようにしましょう。
「条件の掛け合わせページ」に活路を見出す
コントロールしながら、キーワードの掛け合わせページを増やすと、流入を増やすことができます。
例えば、以下のように考えてみましょう。
▼掛け合わせのイメージ ・パソコン×メーカー ・パソコン×メーカー×型 ・パソコン×こだわり条件(色、大きさ、重さなど) ▼キーワード例 パソコン(450000)、パソコン DELL(1900)、ノートパソコン DELL(1900)、パソコン 青(110)、ノートパソコン 薄い 軽い 高性能 安い(480)、軽量 ノートパソコン 1kg 以下 安い(880)、軽量 ノートパソコン 型落ち(320)、軽量 頑丈 ノートパソコン(10)、ノートパソコン 女子 人気 色(110)、ノートパソコン 5000円(30) ※カッコ内は月間の平均検索回数 |
パソコンのような検索されやすいキーワードであれば、5語をかけあわせたキーワードでも、月間検索回数が480回となることもあります。
このような条件の掛け合わせページを考える際には、「A×B」と「B×A」のように順番のみ異なる掛け合わせページが生成されないようにしましょう。
こうしたページは結局同じ商品が表示されるため、どちらかのみがインデックスされれば良いのです。条件やカテゴリに順番を設定し、ユーザーが条件を複数選択しても、掛け合わせの順番が変わらないようにしましょう。
イメージ 1.高性能001 2.軽い002 3.青色003 →https://www.example.com/pc/?terms=001&002&003 |
上記の設定を雑にすると、同じキーワードを狙う6パターンのURLが生成され重複コンテンツとなってしまいます。
構造化データ「商品」は絶対に実装せよ!
最後は、比較的簡単なのに目に見えて効果があるため、とてもおすすめな施策です。検索結果にリッチリザルトとして表示されるように構造化データ「商品」を設定しましょう。
設定することで検索結果に以下の画像のようにレビューの星や、価格、在庫の有無などが表示されるようになります。

また、直接順位が上がるわけではないですが、私の経験上では多くのサイトで画像の検索順位の向上、それに伴って表示回数の増加といった効果を得ることができました。
初心者向けECサイトのSEO対策まとめ
今回は、データベース型サイトSEOの考え方と、ECサイトのSEO対策6つのポイントについて解説いたしました。
そもそものデータベース型サイトSEOは、「コントロールしながらページ数(インデックス数)を適切に増やすこと」ができればセッションも増えるということと、「詳細ページに労力をかけず、どれだけ情報を載せることができるか」という考え方を持っておくことが重要でした。
今回は簡単にしか解説しませんでしたが、データベース型サイトの運用をされる方は、合わせて「検索エンジンの仕組みを理解しておくこと」も、とても重要です。また、ECサイトのSEO対策の注意点としては、「サイト構造を変える」「URL・クロールの制御」などはとても難解なため、初心者の方は安易に手を出さないということです。
まずは、サイトを使いやすくすることや、URLの変更を伴わない「title改善」「構造化データの実装」を推奨いたします。
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