越境EC年間流通総額 No.1のBEENOSに訊く、海外販売成功の秘訣
BeeCruise株式会社 小林 奎吾(けいご)さん
インタビューの概要

国内で売上が頭打ちになると、販路を広げるために越境ECや海外販売に挑戦しようと考えるかと思います。しかし、言語・決済・物流・法律などの壁や、文化や慣習の違いによるマーケティング・プロモーションの難しさのため、売り上げが立たずに、資金が尽き、撤退する企業は少なくないです。そこで今回は、国内越境EC年間流通総額 No.1(※)のBEENOSグループBeeCruise株式会社(以下、BEENOS)の小林さんに、越境ECや海外販売で成功する秘訣について伺いました。

※「Buyee」を含む主要越境ECサイト における海外個人を対象とした日本から海外への年間流通総金額(2021年10月~2022年9月)東京商工リサーチ調べ 2023年 6月時点

越境ECでマーケティング予算が不足してしまう理由

――国境を超えて商売ができるECは、近年海外販売のハードルを下げられるツールやサービスが多数登場してきました。その流れから越境ECに挑戦する企業は増えたものの、撤退してしまうことが後を絶ちません。その理由はなぜでしょうか。

小林さん:日本の事業者様が越境ECで苦戦する理由に、最終的に売上と費用や手間のバランスが取れていない状態になることが挙げられます。

多くの事業者様が準備段階で手間と費用がかかり過ぎてしまっているのです。販売戦略を考える上で必要な市場調査や、現地国で販売するための法務リスクなど、ノウハウを持たない企業が手探りで動くのは大変なことです。また、現地向けのECサイトや運用体制の開発・構築など、越境ECを始めるまでに時間とリソースがかかってしまっています。

運用を開始しても属人的に運用されている企業では、他言語人材や専任担当者の離職により全業務がストップすることも少なくありません。特に海外からの注文件数が少ない段階では、オペレーションが整っていないことも多いため、効率化された国内運用よりも業務負荷が大きくなってしまうこともよくあることです。

その結果、費用と手間に比重が寄ってしまい、販売先の国に向けた十分なマーケティング予算を確保できないがため、十分な売上をあげることができずに撤退してしまうことに。国内では認知度があっても、海外の市場に繰り出すにはゼロから始めるつもりで予算の確保が必要です。

また日本国内であっても、ECサイトを立ち上げただけでは売上は立たないのと同じように、いくら日本で売上が立っていても、初の海外市場で売上を立てることは日本でゼロから事業を始めるのと同様の意識が必要です。この認識が抜けていると、ある程度売れるだろうと誤った期待値で越境ECを始めてしまい、マーケティングにあまり力を入れなかったことから思ったような成果が上がらずに、困ってしまうのです。

越境ECでマーケティング予算が不足してしまう理由

国内同様のリソースと予算を越境ECにかけられるかが鍵

――逆にうまく行っているのはどういった企業なのでしょうか?

小林さん:初速で売上が立つのは海外の方から認知をされていたり、既にSNSに海外のフォロワーがいたりする場合です。また、現地で販売されている商品と比較し価格が安い、付加価値が付いているなど、競争優位性のある商品であれば良いスタートを切れるかもしれません。

しかし、全ての事業者が、ここで挙げた条件を最初からクリアできているわけではありません。だからこそ、「自社商品の強み弱み」「現地含む競合商品の把握」「お客様」の3つをよく理解する必要があるのです。そして、国内同様の予算を確保して、売上を伸ばすためのマーケティング施策を実行することが重要になります。

――海外展開をする際に、国内と同等の予算感で施策をしようと考える企業は意外と少ないのですね。

小林さん:そうですね。国内のサービス初期フェーズをイメージして取り組まれる企業は少ないですが、逆に、ある程度売上がついた状態の国内の成功体験がそのまま海外にも適応できると期待値を持っている企業は多い印象です。ただし、国内で事業を伸ばしたモデルをそのまま海外に展開してもうまくいくとは限りません。例えば日本と同じような値付けで販売をすると所得の差による感覚の違いから、現地の方にとっては割高になってしまうこともあります。

海外販売では物流や輸送にかかるコストもあるため、現地の方の視点や状態に合わせてコストをかけたマーケティングができるかどうかが肝になります。例えば「まずは試験的に始めてみよう」と少ない予算で施策を実施した場合、売上がある日本市場向けの結果と、認知度も購入条件も異なる新たな市場向けとでは、思ったより成果が得られず終わるのは火を見るよりも明らかでしょう。

BEENOSが越境EC支援で実績を出している理由

消費者起点のサービス設計

――BEENOSは、4,000以上の国内ECサイトの海外進出をサポートしており、国内越境EC年間流通総額 No.1という実績をお持ちと伺っています。越境ECの支援で結果を出せている理由について教えていただけないでしょうか。

小林さん:私たちは越境ECの黎明期から業界の第一線として消費者軸でサービスを展開してきました。弊社のポリシーとして、第一のお客様は海外のお客様です。継続して実績を積み上げ、評価いただけるサービスを提供できている理由は、シンプルに、消費者目線でサービス開発をし続けているからだと思います。

海外のお客様が喜ぶサービスを事業者様に提供しているため、結果として海外のお客様も事業者様も、どちらにとっても嬉しいサービスとなっているのです。

たとえば、弊社が提供する「Buyee」は、海外の消費者が日本のEC・通販サイトから購入するのをサポートしていますが、どうやったら消費者に買っていただきやすいサービスになるのか突き詰めています。その結果、流通実績にもつながっているのです。

――消費者起点でサービスを設計されているとのことですが、海外の方が「Buyee」を利用して買い物する理由を教えていただけますか?

小林さん:日本のECサイトでもストレスなく買い物できることと、わかりやすい部分を出すと他と比べて手数料や送料など経済条件が安いことが理由だと思います。

海外のお客様がお買い物をする流れは簡単です。海外から弊社のサービス「Buyee Connect」を導入しているECサイトに海外のお客様が訪問すると、その国の方に向けた言語で商品の購入方法が記載されたポップアップが表示されます。希望の商品が決済されると、商品代金と1注文あたり300円の手数料、国際配送料を支払い、あとは商品の到着を待つだけです。

消費者の費用負担を下げるため、オペレーションの効率化はかなり追求してきました。その結果、「Buyee」を介して注文をいただく商品数の増加に伴い、国際配送料はボリュームディスカウントを活かして配送できるため、さらに消費者に還元できます。こうして「Buyee」を活用すれば今まで手の伸びなかった商品もお求め安くお届けできるようになり、海外のお客様にとって魅力的な環境を提供できるようになってきています。国際配送料は、重量にもよりますが、台湾だと最安200円からお届け可能です。

「Buyee Connect」の購買フロー
「Buyee Connect」の購買フロー

越境ECの環境構築に一切費用がかからない

――どれだけ高い買い物をしても負担する手数料は300円というのは嬉しいですね。一方、事業者側が「Buyee Connect」を導入するための方法や費用についてお聞かせいただけないでしょうか。

小林さん:弊社が提供している「Buyee Connect」は国内向けのECサイトに、タグを1つ埋め込むだけで越境ECをスタートできます。そのため、簡単に海外からの注文や決済などに対応できるサイトを作ることが可能になります。

何かと懸念事項の多い国際物流に関してもサポートしています。「Buyee Connect」を介して注文された商品は、指定の国内倉庫に発送いただければ、消費者の元には弊社が責任を持ってお届けしています。

何より、初期費用も月額費用も購入手数料も、どれだけ売れても事業者様は一切ご負担なしで越境ECを始められるというのがポイントです。

弊社は海外のお客様から手数料の300円のみ頂戴し、事業者様は「Buyee Connect」を利用することによって発生する費用はありません。

運用に際して、人的にも予算的にもコストをかけずに取り組めるため、その分、導入企業様には海外で売上を作るためのマーケティングなどに取り組みやすい状態を提供することができます。弊社からもノウハウの提供を進めて売上を伸ばせる座組を組んでいます。だからこそ、越境ECで実績が出せるのです。

Buyee Connectのサービス概要と他社サービスの比較(BEENOS調べ)

「Buyee Connect」の無料化にかけた想いとは?

――消費者に低価格でサービスを提供しているにも関わらず、「Buyee Connect」を事業者に無料で提供しているのはなぜでしょうか?

小林さん:「Buyee Connect」は元々初期費用も月額の固定費も頂いていました。2022年6月に今の料金体系に変更したのは、多くの企業が海外展開にチャレンジして欲しいという想いからです。海外展開に向けた準備にお金と時間を使うのではなく、売上を伸ばすための投資をしていただくには、環境構築のハードルを下げる必要がありました。

また、現在の「Buyee Connect」のビジネスモデルは固定費を一切頂いていないため、海外からの注文数を増やさないことには収益化できません。これは日本から海外に向けた販売数を後押しするための弊社の覚悟でもあります。

越境ECの環境構築の支援に加え、マーケティングの支援も

――100円でもお金がかかると、通常であれば稟議を通さないといけなくなることを考えると、無料化は海外展開のチャレンジを後押しする強い味方になりそうですね。準備にかかる費用を大きく抑えられるようにはなりましたが、海外にチャレンジするにはやはりノウハウが必要かと思います。その点はどのような支援をされているのでしょうか?

小林さん:まず弊社の特徴としては、部分的なサポートも可能ですが、プロモーションから販売環境の運用含めて集客から購入までワンストップでサポートしている点です。

その際、事業者様の課題感と要望を明確にした上で、現地の消費者の実態にあわせた戦略を取っています。

消費者や目的に応じて、ターゲットへのアプローチ方法も柔軟に変えます。多言語でデジタルマーケティングを行ったり、インフルエンサーマーケティングやSNS運用を行ったり、また、必要に応じて現地のECモールへの出店代行やオフラインイベントの販売支援を行うこともあります。一定の集客が見込めるようになると購入につながる施策に取り組み、売上を安定して伸ばせるような体制を整えていきます。

越境ECの環境構築の支援に加え、マーケティングの支援も

――多数の実績により蓄積されたノウハウがあることで事業者は安心して支援の依頼ができそうです。最後に、これから越境ECに挑戦する企業と既に始めたものの結果が振るわない企業にアドバイスを頂けますか?

小林さん:これから始めようとお考えの事業者様は、私たちと一緒に海外へのチャレンジの一歩を踏み出して欲しいです。もちろん越境EC専用のECサイトを作るのもひとつの方法ですが、数%でも海外からアクセスがあるようでしたら、まずは簡単に始められる「Buyee Connect」で試してください。

既に越境ECに取り組んでいて伸び悩んでいる事業者様は、消費者視点で購入環境や購入条件などを今一度見直してみてください。いずれかが現地の消費者に適していない可能性があります。また、当初想定していた消費者像と実態がズレていることも考えられます。現地の文化や消費者に合わせた価値提供ができているか、国内で販売する感覚になっていないか今一度検討すると良いかもしれません。

インタビューを通して:最大出力で海外展開に臨める時代が来た

小林さんから冒頭お話があったように、従来の越境ECでは事前準備にかかる時間や費用が大きく、いざ販売というタイミングで十分な投資ができないまま撤退を余儀なくした企業が少なくありませんでした。しかし、「Buyee Connect」により、準備にかかる費用を抑え、ノウハウの支援を受けることで、”売る”ことに意識を集中して最大出力で海外展開に臨めるようになるのです。

あくまで消費者を第一に考えている「Buyee」は、各国の消費者にとって快適な購買体験の提供に努めています。自社のECサイトに海外からのアクセスがある、SNSで海外の方から一定のフォローをされているなど、少しでも越境ECに可能性を感じている事業者様はぜひ「Buyee Connect」を活用して、挑戦してみてはいかがでしょうか。

Buyee Connect:https://beecruise.co.jp/infra/ss-buyeeconnect/

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