国内向けのプロモーションだけで、海外ファンを獲得? Buyee Connectの良さを「北欧、暮らしの道具店」が語る【セミナー体験レポート】
イベントの概要

2022年1月26日(水)、越境EC・海外進出支援サービスを展開するBeeCruise株式会社主催のウェビナー「ブランディングは海外でも通用する・選ばれるECサイトになるために~「北欧、暮らしの道具店」海外ファン獲得への歩み~」が開催されました。本セミナーには、BeeCruise株式会社の岩本夏鈴さん、ライフカルチャープラットフォーム「北欧、暮らしの道具店」運営元の株式会社クラシコムの高尾 清貴さんが登壇しました。海外購入サポートサービス「Buyee Connect」を導入中ということで、どういった影響があったのか高尾さんが話されています。

【登壇者】
高尾 清貴さん
株式会社クラシコム
ビジネスプラットフォーム部 部長

岩本 夏鈴さん
BeeCruise株式会社
Global Growth Hack事業部 セールスチームマネージャー

【司会】
山口 祐太郎さん
BeeCruise株式会社
セールスチーム所属

「北欧、暮らしの道具店」とはどのようなサイト?

「北欧、暮らしの道具店」とはどのようなサイト?

高尾さん(クラシコム):「北欧、暮らしの道具店」は、北欧の世界観にインスパイアされ、現地のヴィンテージ食器を日本で販売したことから始まりました。現在は北欧に限らず食器やインテリア、生活雑貨、オリジナルのアパレルやコスメなど、幅広い商品を取り扱っています。

弊社の大きな特徴が、コンテンツに力を入れていることです。商品を紹介するにあたり、暮らしへの取り入れ方をリッチに紹介することを大切にしています。ECサイトにとどまらず、ドラマ制作も行っています。2021年には、ドラマを発端とした映画を全国公開しました。また、InstagramなどのSNSやYouTubeの公式チャンネルの運用にも力を入れています。

いつから・なぜ越境ECを?

いつから・なぜ越境ECを?

高尾さん:越境ECを検討するきっかけになったのが、2018年に台湾で開催された、日本のECサイトが集まるイベントに誘われたことです。そこで海外の需要を知り、2018年の年末頃から越境ECに着手しました。当初は、Buyeeサイトに商品を掲載していたのですが、2021年の春頃にBuyee Connectの利用を開始しました。

岩本さん(BeeCruise): Buyee Connectの導入サイトに海外ユーザーがアクセスすると、海外注文用のカートが表示されます。決済、配送、カスタマーサポートなどはBuyee側で手配します。導入サイトは、国内向けの運用を変えずに、そのまま海外向けに販売ができるのです。

海外向けの施策は?何が売れている?

高尾さん:実は、Buyee Connectを利用する以外に、海外向けの取り組みはほぼ行っていません。InstagramなどSNSでの発信は海外の方もご覧いただけますが、翻訳はしていません。そのため、越境ECを始めた当初は、もともと日本に住んでいて、海外に引っ越された方が利用の中心ではないかと考えていました。しかし、サイト訪問ユーザーの使用言語などを見ると、本当に海外の方が注文されていることがわかり、驚きました。

岩本さん:データを見ると、アメリカ、台湾、香港からの注文が多いです。Buyee全体でも、これらのエリアの流通は多い傾向にあります。ただ、アメリカでは、エンタメやアニメなどジャパニーズカルチャー関連の商品購入が多いため、クラシコムさんで取り扱っているような商品が購入されるのは珍しいです。

クラシコムさんのBuyee Connectでの売上推移を見ると、2021年7月頃から上がりはじめ、9月に購入金額・購入点数ともに急上昇しました。ここで売れた商品が、2022年の壁掛けカレンダーです。これは意外でした。

高尾さん:このカレンダーは、弊社のオリジナルで、あるイラストレーターさんに絵を描いてもらっています。人気商品ではありますが、このときの日本での売上上位はアパレルが大半だったので、海外での売上は意外でした。

基本的に商品は発売日にInstagramなどで紹介しているので、カレンダーに関しては、イラストレーターのファンの方がそこから見つけてくださった可能性が高そうです。

岩本さん:アメリカ・中国・マレーシア・イギリスのBuyeeのお客様に対し、日本の商品を購入する際に参考にする情報についてアンケートを実施したことがあるのですが、いずれの国でもSNSが高い割合を占めています。特に、アメリカはTwitterとInstagram、マレーシアはFacebookとInstagram、イギリスはYouTubeとTwitterの利用が多いです。中国は独自のSNSが利用されています。

高尾さん:Instagramも日本語でしか投稿していませんが、たまに英語やそれ以外の言語でコメントいただくことがあるので、見ていただいているのは感じます。

岩本さん:Instagramは基本的に画像を楽しむSNSなので、日本語の投稿であっても海外のお客様にリーチしやすいと思います。Twitterはエンタメ系との相性の良さを感じます。業界や商品の世界観によって、コンテンツを見せる場所の使い分けも必要です。

海外向けの施策は?何が売れている?

社内での越境ECの反応・今後の展望は?

高尾さん:Buyee Connectは、タグを埋め込みさえすれば、既存のオペレーションを変えず、気がついたら海外でも商品が売れています。弊社では、新しいことを行うとき、小さくはじめる、ということをモットーにしているので     Buyee Connectはそれに沿うサービスでした。

岩本さん:コロナ禍の影響は感じられますか?

高尾さん:売上を見ていると、越境ECの潮目が変わるような感覚はあります。波に乗り遅れないように、業界の動きを注視していかなければならないと考えています。

イラストレーターさんをきっかけとして海外の方にも見てもらっているのではないかという話は、モノよりもコンテンツのほうが海を渡りやすいという、良いヒントになりました。たとえば、弊社で制作しているドラマや映画に、海外でも楽しめるよう字幕をつけることで、コンテンツを先に知っていただき、あるとき、作品に出ている商品が弊社サイトで購入できると気づいてもらえたらおもしろそうです。

岩本さん:コンテンツから入るのは、クラシコムさんの特徴ですよね。Buyee全体で見ると、アニメに同じ流れがあります。先に作品が海外で人気になり、グッズが売れていきます。逆に、海外で見ることのできないアニメのグッズは、日本で人気の作品でも売れません。

ドラマや映画は難しくとも、SNSの発達により、全世界に情報をリーチしやすくなっています。海外向けにまずできる施策として、SNSはありだと思います。クラシコムさんで、今後、ここで売りたいと考えている国はありますか?

高尾さん:実際の反響をみても、コンテンツが受け入れられやすいのはアジア圏なのかなと考えています。

岩本さん:中華圏の中でも香港、台湾は、Buyee全体として流通が多いエリアです。理由は、距離が近いので配送料金が安く、購入ハードルが低いことがあげられます。また、日本に来たことがある人が多く、日本の情報を積極的に取得する人が多いことも大きいです。日本の商品に対する信頼度や好感度が高く、親和性が高いエリアといえます。

リスクを低くして越境ECを始めよう

高尾さん:弊社の場合、越境ECのために何かやっているというよりも、普段やっていることが結果として越境ECに結びついたのだと思います。

岩本さん:クラシコムさんと同じような方針で海外向けに商品を販売したい企業様は多いのではないかと思います。Buyee Connectは、そういった企業様向けにサービスを提供しています。海外向けのサーバや商品、配送を手配する本格的な形となると、失敗したときのリスクが高く、ハードルが高くなってしまいます。弊社は、そのハードルを下げるために、Buyee Connectを提供しています。まずはできるところから始めて、可能性が見えてきたら投資して売上を伸ばしていく形が理想です。

質疑応答

質疑応答
  • 開始してからトラブルはありませんでしたか?

高尾さん:今のところありません。そのあたりはBuyee側で対応してくださっているのだと思います。

岩本さん:海外ユーザーからの問い合わせや配送に関するトラブルを心配される企業様は多いのですが、Buyee ConnectではすべてBuyee側で対応しています。万が一、企業様に直接問い合わせがあった場合も、弊社にご相談いただければすぐに対応します。

  • 国によって関税や輸入制限の違いがあると思うのですが、どう対応されていますか?

岩本さん:Buyeeの前提として、海外のお客様が個人で輸入する形になるため、最終輸入責任はお客様にあり、企業様側で特に対応すべきことはありません。関税は配送手段と商品カテゴリに応じて変わりますが、お客様が現地の状況に合わせて選択されています。また、輸入制限については、Buyee側でも把握しており、受注段階で輸出負不可の商品と判断できれば、オペレーターが購入キャンセルの対応をしています。

  • 越境ECは、配送にかかる時間などの点で、ユーザー満足度に不安があります。その点はどう対応されていますか?

岩本さん:配送先の国にもよりますが、Buyeeでの配送手段は最大9種類あります。配送手段によってリードタイムと料金が変わりますが、その点はお客様側で判断して選択いただいています。ECの流通量が増えるほど物流手段の重要度は増すので、Buyeeとしても今後強化していきたい点です。

  • コンテンツのネタ探しや編集で工夫しているところを教えてください。

高尾さん:「北欧、暮らしの道具店」本サイトのコンテンツをベースとしながら、SNSでは各担当者がカスタマイズしています。SNSは仕組みがよく変わるため、担当者が臨機応変に対応してくれています。

  • 越境ECに対する売上規模の期待感はどの程度ですか?

高尾さん:コストパフォーマンスが大事だと思います。Buyee Connectの利用にあたっては、タグ設置時のエンジニア稼働と、月1回程度、岩本さんとやり取りが発生する程度なので、一人分の人件費もかかっていません。この規模感ならば、越境ECに取り組んでも社内的にマイナスはありません。ミニマムの期待感はそのくらいです。

セミナーに参加して:コンテンツの重要性は越境ECでも

今回のセミナーで印象的だったのが、越境ECにおいてクラシコム側では特段の施策を行わず、もともとは日本向けに行っていたコンテンツが、海外ユーザーにも響いたと思われる点です。特にInstagramは、画像中心のSNSであるため、言語の壁も超えます。そして、Buyee Connectを利用することで、受注時の言語の壁も解消できます。

独自のコンテンツを発信することは、中小規模のECサイトが大手ECサイトに負けないためにも重要です。その際、内容はもちろん、コンテンツに合ったプラットフォームで配信することも重要だと、今回のセミナーでわかります。

越境ECに興味はあるものの、必要なコストや人手を考えると躊躇してしまうというEC事業者にとって、今回のセミナーで紹介された方法は参考になるはずです。

▼北欧、暮らしの道具店
https://hokuohkurashi.com/

▼Buyee Connect
https://beecruise.co.jp/infra/buyeeconnect/

合わせて読みたい

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ