初心者が越境ECに挑戦!開店までのロードマップ

日本の少子高齢化による市場縮小が今後の課題であると言われておりますが、海外の市場はというと人口が増加し、経済のグローバル化が拡大しています。

急速に変化する時代の中で、日本企業も本格的に海外へ商品を販売していこうとする動きが活発化してきています。そこで今注目を集めているのが越境電子取引(EC)です。

私は、2017年から越境EC事業のプロジェクト立上げに抜擢され、これまで試行錯誤しながら日々奮闘してきました。今年で6年目になります。おかげさまで毎年売上は右肩上がりです。

ただここまでの道のりは決して安易ではなく、数々の失敗と経験を積み重ねながら今にいたります。越境ECに興味がある方、ある日突然越境ECの担当者に抜擢され、何から始めたらいいかわからない方に向けて、ショップ開設まで私の実例を交えてお伝えできればと思います。これまでの取り組みが事業者様のお役に立てれば幸いです。

越境ECの始まりは突然やってきた

"越境ECで自社ブランドを拡大させる"という重大なミッションに、ある日突如抜擢されました。それまで海外への自社ブランド販売は、現地の卸売会社との取引が中心でした。そのような中、越境EC事業に取り組むきっかけとなったのは、インターネットの普及により海外の卸売業者が徐々にビジネスの規模を縮小し始めたことでした。

ネットの利用者が増加し、流通そのものが変化したのです。 それまでの販売経路は、メーカーから卸売業者そして小売店という一方通行の流れでした。

しかし、卸売販売(BtoB)も小売販売(BtoC)も両方の販路をもつ業者が増加し始めたのです。日本でも卸売業者は減ってきているのではないでしょうか。この変化に迅速に対応しようと会社の上層部は、越境EC事業に舵をきったのです。

私たちが販売している商品は、日本産の竹素材を使ったものです。商品そのものは趣味趣向が強いものになりますが、丈夫でしなやかな日本産の竹は希少価値が高く、海外のお客様からのニーズがあります。手に入れることが難しいという点で販売のしやすさはありましたが、ただ一つ大きな問題があったのです。

それは、20年間貿易を専門としてきた私がECについて全くの知識ゼロ・経験ゼロだったということです。中小企業ではよくある話ですが、知識や経験がなくてもあらゆる業務を一人でやりこなすことが求められます。

では、どのようにしてゼロスタートで私がショップ開店までやり遂げたのかをご紹介します。

STEP1 インプットに集中

私がはじめに取り組んだことはこの2つです。

  • 越境ECセミナー・ECイベントに積極的に参加し、情報収集する
  • WEBマーケティングとSNSの基礎知識を学ぶ

越境ECセミナー・ECイベント

中小機構が開催している越境ECに関するセミナーには必ず参加しました。セミナーでは、事前準備からショップ立上げまでのプロセス、その後の運営に至るまで越境ECの全体像を学びました。業務の流れを解像度高く理解できたので、次に自分が何をすべきか具体的な行動に落とし込むことができたと思います。

ECのリアルイベントにも積極的に参加しました。イベント会場では、セミナーが開催されていたり、EC運営に関連する企業がブースを設けているので気軽に相談できます。日頃お会いできない人とも直接会って話ができるよい機会だったので、活用させていただきました。自分が必要とする情報をたった1日で大量に入手できるのはかなり有益だと思います。ぜひ積極的に参加することをおすすめします。

WEBマーケティング・SNSに関する基礎知識の土台を築く

これまで貿易実務を専門としてきたので、WEBマーケティングの知識がないことに焦りを感じました。

セミナーで登壇された専門家の話はほぼ7割がマーケティング思考や販売戦略の話でした。書籍を数十冊熟読し、マーケティングの概念と基礎知識を学びました。

SNSは、当初今ほど企業のSNS発信は多くなく、私もそれまでは利用したことがなかったので、まずは個人アカウントを開設して本やYouTubeの動画を見ながら、"やってみる"精神で学びました。

実際にFacebook、Twitter、Instagramで発信も始めてみました。お客様の反応やリーチ数のデータを分析した結果、ブランドの世界観を一番訴求しやすく、商品と一番相性が良かったInstagramのアカウントだけに最終的に絞ることにしました。ブランドコンセプトを意識しながら発信することで理想のお客様に見つけてもらって、出会える機会が増えたと実感してます。

STEP2 売る場所を考えた

次に取り組んだことは、どこで売るかを検討しました。自社サイトを構築すべきか、それともまずはECモールに出品すべきか?両者ともメリット・デメリットがあって非常に悩みましたが、まずはモールに出品することが最善策だと判断しました。理由は3つあります。

1.予算

当初は、まだBASEやShopifyのように初期費用を少なく抑えて簡単に構築できるカートシステムが日本にはありませんでした。数百万かけて制作会社に依頼するには予算が厳しく、導入時期にこれに見合うだけの実力がまだ伴わなかったからです。

2.集客

英語サイトは既に構築していましたが、SNSも始めたばかりで自社サイトに集客することが難しいと判断したからです。

3.未経験

まずはスピード感をもって受注~出荷~配送という流れをつかんで販売経験を積むことが重要と判断したからです。

出品するモールはかなり慎重に検討しました。各国の代表的なECモールや世界中に販売することができるモールをリサーチして、最終的に商品と相性がよいEtsyというモールに出品することにしました。

お客様の購入意欲が高く、商品を探しに訪れやすいモールに出品することで、理想のお客様に出会える機会が多いのではと判断したからです。

STEP3 サイトの仕組みを学ぶ

Etsyのサイトは日本語対応してましたが、運用マニュアルが非常にわかりにくく、モールの仕組みを理解することに悪戦苦闘しました。Etsyで運用している日本人セラーも非常に少なくて、ノウハウはほとんど海外サイトや海外のYouTubeチャンネルから学びました。

アカウント開設、管理画面の操作方法、決済システムの連携など全てが手探り状態でショップ開設まで時間と労力はかなりかかりました。

情報に翻弄され迷走した時期

膨大なインプットと実践を繰り返しながら進めていたので、情報と実務に翻弄されてた時期が長かったと思います。進んでいるのか、後退しているのかわからなくなった時期もありました。すぐに相談できる人や環境があればもう少し効率よく、ショップ開店までの時間も短縮できたのではないかと思います。

STEP4 販売商品の選定と販売開始

ショップ紹介やブランドストーリーなどショップの軸となる部分を構築した後、実際に販売する商品について頭を悩ませることになりました。海外で既に卸販売をしていたため、実店舗から買ってもらえなくなるかもしれない、取引先からクレームが起きかねるかもしれないという懸念があったからです。両社にとってデメリットにならない解決策を検討した結果、ネット限定商品を企画して販売することにしました。限定商品を販売することで取引先と競合となるリスクを回避することができたのです。

売上を大きく左右する可能性が高い商品写真は、ブランドの世界観やコンセプトをこわさないようイメージ写真を取り入れました。写真の色目も統一してかなりこだわりをもって作り込みました。

とはいえ、毎回プロのカメラマンに依頼するほど予算もかけられないのでプロのカメラマンによるカメラ講習会を開催しました。社員が自分たちで商品写真を撮影できるようカメラの基礎知識から実際に撮影に至るまで撮影のテクニックや撮影ポイントを細かく指導をしてもらいました。

ECは、お客様が実際商品を手にとってみることができないからこそ、写真の情報から商品の特徴や魅力を伝えなければなりません。同じ商品でも写真が良ければ大きく印象が変わります。

撮影に最低限必要な機材や小道具なども揃えて、撮影場所も作りました。撮影場所を決めたことで同じ環境で撮影をすることが可能となり、明るさに左右されることもなく、スムーズに撮影を進めることができました。決まった撮影場所を作ることはかなりおすすめです。

数々の過程を経て、ECショップをモール内でようやく開店することができました。開店に至るまでの時間と労力は想像以上ではありましたが、初めて注文が入ったときの喜びは忘れられません。卸販売でしか取引したことがなかったので、実際にお客様からダイレクトに注文をもらい、商品をお届けするという仕組みを作れたことは良い経験になったと思っております。

まとめ

越境ECを始めて一番良かったのは、これまで取引先からの一方向からの情報でしかお客様の声を聞くことができなかったけれど、自社でEC運営したことで、お客様のお悩みや意見を直接声を聞けるようになったことが大きな変化だと思います。

お客様の声は、今の新商品開発のヒントにも大いに役立ってます。そして何よりもお客様と企業との距離を一気に縮めることができました。何度も購入してくれる根強いファンの構築も実現できています。

私は、国内だけの販売に留まらず、もっと海外に目を向けて世界に日本の素晴らしいモノづくりを広げていってほしいと考えています。

私は2022年に、この熱い想いを形にしようと、これから越境ECに取り組もうとしている中小企業様・個人起業家向けの越境EC併走サービスを立ち上げました。ECショップの構築だけでなく、ショップ開店後のEC運営、集客、国際配送、配送トラブルのご相談も数多くいただいております。

通関士資格も持っているので専門知識と経験も活かした通関手続き・輸出入申告のご相談も可能です。

これから海外販売を始めてみたい、まずは何をしたらいいかわからない、輸出入の申告手続きなどでお困り事があればお気軽にお問い合わせください。きっと一人で情報を探し回るよりも即座にお悩みが解消できるかと思います。

下記のURLこちらから問い合わせしていただくか、LINEのお友達登録をしていただいて「無料相談」とメッセージを送ってください。

HP:https://tsunagari.hp.peraichi.com/
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