目指せ月商1億円!楽天NATIONSとともに歩む「BABYGOODS FACTORY」成長の軌跡とこれから
インタビューの概要

おもちゃの専門店「BABYGOODS FACTORY」を運営する株式会社パピー(以下、パピー)は創業100年を超える老舗のおもちゃメーカーです。三代目代表取締役の犬飼翔太さんが入社した2015年は、会社の経営状態は悪く、社内の空気は良くなかったといいます。同年12月に楽天市場に出店してから、藁にもすがる思いで店舗が店舗に教え合う楽天NATIONSに参加。それから順調に売上を伸ばし、4回目の楽天NATIONS参加となる今回は、月商1億円を目指す「スーパーADVANCE」というプログラムを受講されています。楽天市場で成長を続けてきたこれまでと、月商1億円を達成するために今取り組んでいることを伺いました。

家族経営の三代目としてEC事業にチャレンジ

三代目になる3つの決意

――犬飼さんが三代目代表になる決意で入社を決めたとき、経営状況は良くなかったようですね。そのような状況の中で、入社を決めた理由を教えていただけますか?

犬飼さん:入社を決めた理由は使命感とやりがい、タイミングの3つが重なったからです。曾祖父の代から続いているパピーを長男の私が継がないと、他の人が継ぐか、もしかしたら会社がなくなる可能性がありました。経営状況が良くない話を聞いていた中で会社を助けたい気持ちが使命感として漠然と心にあったことを覚えています。

また、私自身大きな夢を持っていたわけではなく、当時勤めていた会社ではある程度器用に仕事をこなしていました。それなりの環境に満足していて、燃えるような強い気持ちはなかったんです。ちょうど結婚して子供ができた時期に、家庭に加え、両親が営む家族経営のパピーを守るために仕事をすれば、やりがいに繋がると考えました。

そして、何よりも経営状況が良くないことにやる気が出ました。悪いときだからこそ、結果を出せば自分の価値を認めてもらいやすいです。「経営が軌道に乗る前にやるから意味がある」と大手企業を辞めて、ある会社の創業に参加した方の話がずっと胸の中にありました。この話と自分の境遇が重なり合って、継ぐタイミングは今しかないと思ったのです。

パピー三代目代表の犬飼さん
パピー三代目代表の犬飼さん

卸から直販への切り替えをECで挑戦

――パピーに入社してからはうまく成果を上げられたのでしょうか。

犬飼さん:経営状況がまずいとは聞いていたものの、入社して1~2年間は本質的な悪さに気づけていませんでした。今でこそBtoCのEC事業で売上を伸ばせていますが、当時事業の柱であった小売店に向けた卸の取引はかなり厳しい状況だったようです。

EC事業を始めたのは、私が過去に経験したITやアパレル販売、接客などの経験が活かせると思ったことが理由でした。最初は無料で店舗を開設できるBASEやYahoo!ショッピングから始めましたが思ったようには売れません。このままでは会社を盛り上げられないと感じて、Amazonにも出品しますが結果は振るいませんでした。

楽天市場は気になってはいましたが、出店料が高いため距離を取っていたんです。楽天主催のセミナーに参加した際に手数料が高い代わりに初期費用が安いプランを提示され、「これならチャレンジできる」と思って出店を決めました。

いろいろな形で店舗を構えてみましたが、それぞれ独特な文化があると感じています。IT業界に勤めていたため初歩的なところで躓くことはありませんでしたが、それぞれのECモールに応じてやるべきことが異なるため、お作法的なところはやってみて初めて知ることが多かったです。

経営状況の悪化に背中を押され楽天NATIONSへ

――たしかに売り場によって集客方法や顧客層、商品の見せ方や共通言語などそれぞれ異なるので慣れるまで時間がかかりますよね。ECで販売を開始してから売上は順調に伸ばせましたか?

犬飼さん:Amazonは卸していた小売店が作っていた商品ページが元々あったので、乗っかる形で多少売れていました。しかし、どの売場も月商100万円を超えることはなかったです。楽天市場は唯一初期費用をかけて始めたこともあり、商品ページをしっかりと作り込みました。すると売上が徐々に伸び、おもちゃの需要がピークになるクリスマス商戦で最大になります。毎年クリスマスに大きく売上を伸ばしていく中で、通常時の売上も段階的に上がっていき、2年経たないうちに月商100万円になりました。

ECの売上は少しずつ伸びていたのですが、このペースでは間に合わないくらい会社の経営状況は悪化していました。なんとかして売上を伸ばさない会社がつぶれてしまう!と、藁にもすがる思いだった頃、楽天NATIONSから来たお誘いのメールを見て、参加を決意します。

楽天NATIONSは目標達成できなければ参加費は無料のためリスクはありません。しかし、毎月1回の講座に参加必須の懇親会がついていることが当時の私にとっては参加を迷う要素でした。「飲み会、交流会に参加しても得られるものはない。飲み代に5,000円使うならスマホゲームにでも課金したほうが良い」と思っていたくらいです。しかし、実際に楽天NATIONSのプログラムが始まると懇親会が何より大事で、今は参加して良かったと思っています。

楽天NATIONSの魅力

ノウハウ以上に価値があるコミュニティ

――実際に参加してみてどんな学びを得られたのでしょうか。

犬飼さん:会社の状況が良くなかったこともあり、楽天NATIONSの活動はとにかく前のめりに取り組んでいきました。売り上げに繋がるノウハウを知れる側面もありましたが、それ以上に楽天NATIONSの魅力は何でも言い合える心理的安全性の高いコミュニティにあると思います。

今はネットで調べれば、いくらでも情報が溢れています。しかし、有益になり得る質の高い一次情報はこういったコミュニティ内でしか共有されません。楽天NATIONSの参加店舗は相互に情報開示を可能にする秘密保持契約を交わしています。また、講師になるリーダー店舗が率先して自社の情報を開示してくれるため、情報交換をしやすい空気づくりができているのです。

EC業界は変化が激しいため、講座で教わる情報・ノウハウは数年後には使えなくなってしまうかもしれませんが、人との繋がりはずっと続きます。常に最新の一次情報が入ってくる状態が作れるのです。これが楽天NATIONSの参加を通じて得られる最大の価値といえるのではないでしょうか。楽天NATIONSの懇親会がただの飲み会とは違うのが今お伝えした内容からご理解いただけると思います。

教え教わるサイクルでお互いを高め合う仕組み

――犬飼さんはリーダー店舗を務めた回数を含めて今回で楽天NATIONSへの参加は4回目となりますが、複数回参加している理由は何でしょうか?

犬飼さん:回を重ねることで内容は変わりますし、リーダー店舗によってコミュニティの色が全く異なります。例えば特定のジャンルに特化した専門店や幅広いジャンルを取り扱う型番系の小売店、自社商品を扱うメーカー企業など、店舗によってやり方が違うので正解はありません。大事なことは取り入れた情報を、自社に置き換えてカスマイズすることなので、参加するたびに学びがあるのです。

楽天NATIONSで順調に売上を伸ばすとリーダー店舗の依頼が来るようになります。私の場合は恩返しの意味も込めて二つ返事で承諾しました。チャレンジした方が次の方にバトンを繋ぐことが、教えてくれたリーダー店舗の方にも楽天にも恩返しになると思っています。

売上を伸ばす参加店舗の特徴

――リーダー店舗のご経験から、どういった店舗が売上を伸ばしていましたか?

犬飼さん:教わったことをまずは素直にやってみることができる店舗は伸びると思います。「うちは違うよ」と斜に構えている方は伸びづらい印象です。そして、言われたことをただやるのではなく、自社に置き換えて考えることが大切です。

私自身、教われば誰にでもできることをしっかりやっているだけで、そんなに珍しいことはやっていません。商品数を増やすとか、商品ページを作り込むとか、クーポンやポイントをやるとか、当たり前のことをそれぞれ深掘りしているだけです。

なので、リーダー店舗になり、教える側に回ったときにできないものがない状態で伝えられたかと思います。企業によってできるできないは異なりますが、クーポンでも使用枚数や上限金額、利用期間など、やり方によってできる方法はあるはずです。お客様に魅力を感じてもらえる点と店舗が利益を確保する点のせめぎ合いをどこに落ち着かせると良いかを考える必要があります。クーポンというテーマだけで1時間に渡って講義することもありました。

BABYGOODS FACTORY:リーダー店舗の成果が認められ楽天SHOP OF THE YEARを受賞
リーダー店舗の成果が認められ楽天SHOP OF THE YEARを受賞

新プログラム「スーパーADVANCE」に参加して

開始2ヶ月の印象

――まずは素直さ。そして自社に置き換える応用力が重要ということですね。2022年12月から月商1億円を目指す新プログラムの「スーパーADVANCE」が始まりましたが、開始から2ヶ月経ち、どういった印象を感じていますか?

犬飼さん:過去の楽天NATIONSの経験では自分自身が一番スピード感を持って取り組んでいる自信がありました。しかし、スーパーADVANCEに参加している店舗の方々は、私が追いかけるくらいのスピードでやっているところが多く、刺激になっています。

参加している方は会社の代表者か経営層の方々ですので、悩みが共通しています。特に挙がる話題は人の悩みについてです。愚痴ではなく、どうやったら経営者の考える未来に行けるのかが経営課題になることが多く、日々の活動について良かったこと悪かったことを同じような目線でシェアができることを嬉しく思います。熱量の高さと圧倒的なスピード感から、みんなで月商1億円に行ける手応えが感じられている状況です。

取り組んで具体的なアクション

――講座に出るようになってから具体的に犬飼さんが社内でどういったアクションを実践したのでしょうか。

犬飼さん:現在精力的に取り組んでいるのは企業文化の醸成です。それをどう評価制度に落とし込んでいくかに頭を悩ませています。もともと弊社では成果主義にしてみたり、当時参加していた楽天NATIONSの目標を達成した際にボーナスを支給したり、雰囲気で評価をしていたため一本軸が定まっていませんでした。今はミッション・ビジョン・コアバリュー(それぞれの頭文字を取ってMVC)を作り、社としての方向性を採用や目標設定、評価などに落とし込んで、個々のスタッフにまで浸透するよう努めています。

株式会社パピー:MVCを定めてコーポレートサイトをリニューアル
MVCを定めてコーポレートサイトをリニューアル

犬飼さん:また、スーパーADVANCEのリーダー店舗であるDIY FACTORYのJACKが発した「経営者は自分で自分のご機嫌を取れないとだめだ」という言葉が胸に残りました。仕事を楽しんでいるはずの自分が、いつの間にか会社で眉間にシワを寄せていることがあると気づいたのです。

想いを伝えているのになぜ伝わらないんだと考えすぎるあまり、仕事が楽しくできていないことに気づいたのがちょうどスーパーADVANCEが始まる直前である2ヶ月前のことでした。この言葉を聞いてから「何をしているときが楽しそうかな?」と妻に尋ねると、「雑談をしているとき」だと返ってきたのです。それから社内でも雑談を推奨し、会社の雰囲気が良くなったように感じます。社内からも「良いタイミングでスーパーADVANCEを始めましたね」と言われました。

従業員が私に質問に来る回数が増え、表情は以前より和らいだように感じられることで、代表である私の機嫌が良くなるだけで会社の雰囲気がこんなにも変わるのかと実感しました。社内における私の影響力と、楽しさが伝播することの気づきにより、より一層責任感が増しています。スーパーADVANCEのリーダー店舗からも「社長は裸で踊れ」と言われ、身に染みる思いです。

月商1億円に向けた犬飼さんの意気込み

――会社の規模にかかわらず代表の機嫌や発言が従業員に与える影響は大きいです。早速スーパーADVANCEの効果が出ていると感じました。最後に、今後の成長に向けて意気込みをお聞かせいただきたいです。

犬飼さん:当店は当たり前をしっかりやることで底上げをしてきた店舗です。今までは楽天NATIONSで教わってきたECの当たり前に力を注いできました。家族経営から始まり、雇用をしてこなかった弊社が、今後は会社の当たり前の底上げをしようと思っています。MVCを浸透させ、社内・社外(お客様)とハッピーなサイクルが回る会社にできるよう、経営していきたいです。

インタビューを通して:共に熱くなるコミュニティの熱が会社に伝播する

苦楽をともにした部活のチームメイトや新卒時代に入った会社の同期など、心理的安全性の高いコミュニティといわれても思い当たる節は(私の場合は)数えるくらいしかないです。まして働き始めてから、社外の人たちとそんなつながりを持つ機会はめったにないと思います。

苦しいときに同じ目線で腹を割って話せる仲間がいるのは非常に心強いことです。犬飼さんは過去に楽天から取材を受けてRakuten DREAMに取り上げられました。本記事には綴られていないお話も多数紹介されているので、合わせてご覧いただければと思います。

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