【2022年】EC担当者必見!データフィード関連トピックス

はじめに

近年のEC市場は、コロナ禍を機に参入した企業やD2C(DtoC)の拡大などが影響し、競争が激化しています。自社ECの集客に力を入れる企業にとって、自社の保有しているデータを活用できる「データフィード」の活用は不可欠です。

データフィードとは、自社の商品データを配信先のフォーマットに変換して送信する仕組みのことで、広告領域を中心に、CRMや決済など幅広く利用されています。

今回は、2022年にアップデートされたデータフィード関連情報をまとめました。自社ECのマーケティング活動にご活用ください。

データフィード広告媒体2022年アップデート情報まとめ

Google

データフィード領域における、Google広告の今年一番のニュースは、スマートショッピングキャンペーンがパフォーマンス最大化キャンペーン(以下、P-MAX)に統合されたことです。P-MAXはターゲティング・配信面・クリエイティブが自動最適化され成果改善しやすくなり、EC集客においてさらに強力な選択肢となりました。

P-MAXは21年にローンチされたGoogleの注力プロダクトであり、22年中に機能アップデートも多数実施されています。例えば、季節性のプロモーションやセールイベントにおいて見込まれるコンバージョン率の変化を、 P-MAX の入札戦略に伝えられるようになりました。また、新しい地域の詳細設定で「地域の設定」のほかに、物理的な「所在地」か「所在地や興味・関心」に基づいてターゲティング精度を強化できる機能や、分析・レポート機能もアップデートされています。

基本的にはGoogleの最適化を促進・補助するための機能が追加されており、今後もこの方向性は継続されることが想定されます。

Yahoo! JAPAN

2019年に動的ディスプレイ広告(Dynamic Ads for Display)をリリースしたYahoo!広告は、22年中に広告掲載枠の増加およびクリエイティブ改善が実施されています。

11月にはスマートフォン版Yahoo! JAPANのトップページ上部の掲載枠である「ブランドパネル枠」、同じくスマートフォン版Yahoo!ニュースの記事詳細の上部掲載枠「プライムカバー枠」が、運用型(コンバージョン目的)で配信できるようになりました。これまでは予約型・運用型(ブランド認知目的)のみで利用できる枠でした。今後も提携パートナー配信面など、掲載枠の拡充が予定されています。

Yahoo!広告では広告掲載枠が増加しており、フィードを用いた配信拡大が期待できますので、フィード広告が重要な位置づけとなっているECは要注目です。

Facebook / Instagram

Metaが提供するFacebookおよびInstagramは、フィード広告だけでなくショッピングなど独自施策が実施できるSNSプラットフォームです。そのMetaの2022年の最も大きなアップデートは、Webコンバージョン向けの配信ソリューションである「Advantage+ ショッピング キャンペーン」のリリースでした。

GoogleのP-MAXと同様にターゲティング・配信面・クリエイティブが自動最適化されるため、従来のキャンペーンよりも運用改善における工数を削減しつつ成果を出しやすいキャンペーンとなっています。現段階では一部アカウントのみの対応ですが、今後もアップデートが続くことが想定され、EC事業者にとってさらに重要なプラットフォームとなっていくでしょう。

Criteo

Criteoは「オーディエンス・ファースト」の戦略に沿ったアップデートが多数見られた一年でした。

具体的には、Cookieレス後の世界を想定し、ブランドやカテゴリー、ドメインなどの軸から掘り下げて、類似・相関性の高いユーザーを見つけることができる「コンテクスチュアルオーディエンス」の提供を開始しました。さらに、ユーザーのライフスタイルやロケーションに応じたオーディエンスの選択肢増加を推進、広告主が提供したユーザーデータを使用した拡張オーディエンス「Lookalike Audience(α)」の提供も開始しています。

Twitter

Twitterのデータフィード関連領域では、ついにダイナミック広告機能が追加されたことが大きなニュースでした。直近11月には、大きく3つのプロダクトが提供開始されています。

まず、最も関連性の高い商品を適切なタイミングで適切なユーザーに広告を表示できる「ダイナミックプロダクト広告(DPA)」。Webサイトで閲覧・カート追加を行ったが購入にいたっていない商品の広告を配信する「DPAリターゲティング」と、Webサイト訪問歴がない新規ユーザーに対して最も関連性の高い商品の広告を配信できる「DPAプロスぺクティング」があります。また、フィード管理プラットフォームなどを利用している場合、統合されたTwitter Marketing Partnersを通じて商品戦略をTwitterに拡張することもできます。

2点目は、メイン画像+小さなサムネイル画像を複数挿入できる広告フォーマット「コレクション広告」。各画像からランディングページに誘導することが可能です。

3点目は、Webサイトコンバージョン最適化(WCO)です。コンバージョンの最適化機能が大幅に再構築されました。指定したアクション(カートと追加、購入など)でコンバージョンする可能性が最も高いユーザーに向け、広告配信することが可能となります。

そのほか、3Dを使用した広告である「プロダクトエクスプローラー広告」もテストが開始されています。Shopifyとの提携や、50個の商品を登録できるTwitter ショップ、プロフィール上部に専用スペースを儲けて数種類の商品を表示できるショップスポットライト(いずれも日本未対応)など、今後のアップデートにも注目です。

Pinterest

EC事業者が注目したい今年の大きなニュースのひとつが、Pinterest広告の国内対応開始でした。10月には広告主向けにPinterestコンバージョンAPIの提供も開始されており、Shopify、Googleタグマネージャー経由での実装にも対応しています。

また、支援企業でもPinterest広告とのデータフィード連携が始まっています。ソウルドアウト社の「SO リストカ」、DAC社とトーチライト社のコンサルティングサービス、フィードフォース社の「dfplus.io」などが対応を開始しています。

データフィード活用が進む新サービス&新機能情報まとめ

広告媒体に加えて、データフィードを活用した新サービスや新機能も多数発表されました。自社データをマーケティングやCRMに活用していくことで、売上拡大やCRM改善、CX(顧客体験)向上に役立てるでしょう。

AIサジェストプラットフォーム「awoo AI」が多数サービスとのシステム連携

自社ECサイトの回遊性やCVR改善が期待できる、台湾発のAIサジェストプラットフォーム「awoo AI」では、積極的にEC関連ツールとのシステム連携を実施しています。22年に連携が発表されたサービスは「Shopify」「ショップサーブ」「F.ACE」「Gyro-n DFM」「DFOマネージャー」「Sprocket」「フォーカセル」など。日本国内のEC化率はアメリカや中国と比較しても低く、成長余地があります。自社ECサイト内改善でもデータフィードの活用は非常に有効な施策です。

インタラクティブ動画/LIVE SaaS「Tig」が「dfplus.io」と連携

動画配信者が視聴者向けに商品や地図、クーポンなどの情報リンクを映像内に埋め込むことができるインタラクティブ動画/LIVE SaaS「Tig」が、データフィード管理ツール「dfplus.io」とシステム連携を行いました。「dfplus.io」は前述のPinterest広告やTwitterダイナミックプロダクト広告など、さまざまな媒体連携を積極的に実施しています。YouTube、Instagram、TikTokなどのプラットフォームも対応が進み、動画コマース領域は近年拡大しています。ツールを介してデータフィード連携をすることで、動画コマースの運用体制を強めることも可能です。

「SHANONアドクラウド」、3rd Party Cookieに依存しない「クッキーレス型のダイナミックリターゲティング広告」提供開始

マーケティングオートメーション(MA)と連携可能な広告プラットフォーム「SHANONアドクラウド」が、サードパーティに依存しない「クッキーレス型のダイナミックリターゲティング広告」を提供開始しました。国内DMP最大手の「IM Universal Identifier(IM-UID)」と連携したことで、個人情報に抵触しないデータのマッチング処理が可能となったそう。主要な広告媒体でもCookieに依存しない対応を進めていますが、新たなリターゲティング広告手法は必見です。

フィード広告の導入・運用・自動最適化を支援する「フォーカセル」提供開始

筆者が事業責任者を担当している「フォーカセル」も2022年4月にローンチした新サービスです。EC事業者のマーケティング担当が課題として捉えているが実行には移せていない、商品単位での広告改善を行えます。データフィード導入支援、フィード生成・更新の自動化、広告運用代行、商品単位の広告成果改善(自動最適化)など、データフィード広告の導入~成果改善まで対応しています。Googleショッピング広告のP-MAXにも対応しているほか、CriteoやFacebookなど、対応範囲を広げているため、フィード広告を開始したいEC事業者にもおすすめです。

▼『フォーカセル』サービスサイト
https://focusell.jp/

まとめ個人情報保護とフィード広告の成長が顕著になった2022年

2022年に発表されたさまざまなフィード関連のアップデートの背景の多くには、個人情報保護が想定されています。改めて、個人情報保護という趨勢とWeb広告の進化の1つの方向性が見えた1年でした。

これまでのフィード広告を含むWeb広告は、サードパーティCookieを発行しユーザーデータを収集・提供することで広告の細かいカスタマイズを可能にし、最適化が推進されてきました。近年は、各ブラウザのサードパーティCookie廃止に加え、広告媒体からも広告の詳細な配信結果データの提供が停止され始めています。

ファーストパーティCookieとしてのデータ取得やCookieに依存しない効果計測など、個人情報保護の潮流と広告効果の両立を試行錯誤している様子が伺えます。

GoogleのP-MAXやMetaのAdvantage+ ショッピング キャンペーンは、こうした流れが具体化したプロダクトです。広告媒体社が保有するユーザーの行動データから属性や趣味嗜好に関するデータを蓄積し、広告配信の自動最適化を推進するようになっています。

広告媒体社の最新プロダクトも活用することで、引き続きデータフィード広告は高い広告成果を実現できる可能性があります。今後はフィード広告自体の改善だけでなく、各広告媒体社の個人情報保護の施策を理解した上で、推奨される設定を採用していくとよいでしょう。

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