Shopifyで自社ECサイトを再スタート!ビームテックが一度閉店した自社ECサイトを再び始めた理由とは?
インタビューの概要

株式会社ビームテック(以下、ビームテック)は2022年7月25日(月)に自社ECサイト(https://dajalaser.jp/)を開店したことを発表しました。ビームテックは以前も自社ECサイトを立ち上げたのですが、さまざまな理由で閉店します。以降、楽天市場やPayPayモール、AmazonとECモールを中心に運営されていました。なぜ今、再度自社ECサイトを開店したのか、同社の取締役である吉田甚一朗さんに伺いました。

お客様のニーズを受けて自社ECサイトを再び開店

――ビームテックは以前、自社ECサイトを閉店したとお聞きしましたが、なぜ撤退されたのでしょうか? また、今回再度自社ECサイトを始めた理由についてもお聞かせいただければと思います。

吉田さん:ECモールと自社ECサイトはそれぞれ特徴があり、うまく活用する必要があります。弊社が最初に自社ECサイトを立ち上げたのは今から6~7年前ぐらいになりますが、自社ECサイトならではの強みを活かすことができず、閉店しました。Google検索で表示されるリスティング広告がECモールと自社ECサイトでカニバってしまうことも閉店した理由の1つです。

そのような背景がある中で、昨年にメーカーの総代理店としてレーザー彫刻機の販売を始めました。弊社はLED照明の販売をメインとしていますが、LED照明と違い、レーザー彫刻機を求めるお客様は、そもそもECモールに商品を探しに来ない方が多い傾向にあります。そこでレーザー彫刻機を購入しようと思っている方にもっと見つけてもらいやすくお届けできるように、まずはレーザー彫刻機を販売するサイトを立ち上げることになりました。そういった背景から、ECモールに依存せずに集客できる場の必要性を感じ、今回、自社ECサイトを再度立ち上げようと思ったのです。

ビームテックが総代理店を務めるレーザー彫刻機「DAJAレーザー」
ビームテックが総代理店を務めるレーザー彫刻機「DAJAレーザー」

吉田さん:とはいえ、ECモールと自社ECサイトの広告がカニバってしまう部分はあるでしょう。しかし、当時と比べるとお客様の意識や行動が大きく変わっています。

まず、昔と比べてネットでモノを買うというハードルが下がり、今やECを利用して買い物することが当たり前になっています。それにより楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングではなく、自社ECサイトで購入することに抵抗感がない方が増えたのではないでしょうか。

他にも、SNSの普及が大きいでしょう。「Instagramのタグる」や「TikTok売れ」という言葉がトレンドになっているように、SNSから商品を探し、購入することが当たり前の時代になりました。そのため、お客様との接点を増やすためにも、ECサイトとSNSを連携し、いかにスムーズな購買体験を提供できるかが大事になってきます。

弊社でもYouTubeをはじめ、各SNSを運用する中でビームテックの認知度が向上していることを感じています。ECモールより自社ECサイトのほうがSNSと連携しやすいことからも、今回自社ECサイトを再度立ち上げようと思いました。

吉田さんが運営するビームテックのYouTubeチャンネル
吉田さんが運営するビームテックのYouTubeチャンネル

ECモールにはない顧客接点を作ることの重要性

――レーザー彫刻機という商材の特性やお客様のニーズを受けて、自社ECサイトを立ち上げるきっかけを得られたのですね。ECモールと自社ECサイトの両方をうまく使い分けることが重要だと思いますが、それぞれどういった特徴や違いがあるのでしょうか?

吉田さん:ECモールにいらっしゃるお客様のほとんどが顕在層になります。買うものが決まっていたり、目的やベネフィットが決まっていて、それを達成するためにはどんな商品がいいのか探しにきたりしているのです。ただし、顕在層のお客様は限られてしまうので、潜在層の方にもアプローチする必要があります。

ECモールでも潜在層にアプローチすることが可能です。各ECモールで特徴があり、独自の経済圏を築いています。楽天市場なら楽天ポイントですね。そういったポイントやクーポンをフックに、商品の紹介や提案ができるでしょう。顕在層と潜在層をうまく分けて、考えるといいかと思います。

しかし、潜在層となるとECモール以外でアプローチしたほうが圧倒的にいいです。たとえば、楽天市場で「LED電球 もっと明るくするには?」と調べる人はほとんどいないと思いますが、GoogleやYahoo!といった検索エンジンにはいます。

また、電気代を抑えるために水銀灯からLED照明に変えられる場合、水銀灯は処分の仕方が決まっています。そういうときはGoogleやYouTubeで、「水銀灯 処分」「水銀灯 廃棄」などで調べられるでしょう。そこで、弊社ではそのようなコンテンツを用意することで自社のお店を知ってもらうきっかけを作っています。

吉田さん:さらにコンテンツを通して、お客様に信頼してもらえれば、LED照明が切れたときに購入していただける可能性がありますし、まだ水銀灯の部分が残っていれば購入してもらえるかもしれません。

「水銀灯 処分」「水銀灯 廃棄」というワードは、ECモールではまず検索されないと思います。ECモールとGoogleなどの検索エンジンとでは同じお客様でも、検索するワードが異なります。できるだけ多くの接点を持つためにも、ECモール以外での取り組みは重要になるのです。

自社ECサイトだからこそできるお客様への価値提供

――ECモールにはない顧客接点について、事例を踏まえて教えていただき、とてもわかりやすかったです。ECモールで購入するメリットとして、ポイントは大きな魅力だと思います。ビームテックの自社ECサイトでお客様が購入するメリットとしては何が挙げられますか?

吉田さん:ECモールではカート周りがテンプレートで決まってしまっていますが、自社ECサイトの場合は、利用するECシステムによってはカート周りが自由に作れたりします。それにより、お客様や商材に合わせて必要なサービスを提供できるのです。

たとえば、レーザー彫刻機は高額であるため、保証を気にされるお客様は少なくありません。ECモールの場合、延長保証のサービスを付与するとなると、別で商品ページを用意する必要があり、複雑な導線や作りになってしまいます。

今回、Shopifyを利用して、自社ECサイトを構築したのですが、「proteger(プロテジャー)」というアプリを入れるだけで、簡単に延長保証サービスを導入することができます。また、商品ページ内で延長保証の選択を行えるため、お客様にとって使いやすい導線設計が可能です。会社として購入される場合は、ポイントよりも延長保証があるかを重要視されるお客様は多いのではないでしょうか。

他にも購入前の相談や、購入後のアフターサポートなどを希望されるお客様は自社ECサイトを利用することがあります。ECモールの場合、店舗の名前が出ていたとしても、プラットフォームのルールがあるため、注文のやり取りはできますが、それ以上のコミュニケーションとなると難しいことが多いです。自社ECサイトであれば、LINEやZoomで個人的につながって購入前の相談やアフターサポートができますし、お客様が一同介してミートアップする交流の機会を作ることも可能です。

ECモールと比べて自社ECサイトのほうが間違いなくCRM(お客様との関係構築)に取り組みやすいでしょう。顧客接点を増やして、お客様とつながり、継続してお付き合いできるように、ECモールの運営と合わせて自社ECサイトを頑張っていきたいと思います。

また、新たなプロダクトや最先端の情報を発信できる場所としても自社ECサイトを活用したいです。自社ECサイトを通じて、お客様のワクワクにつながる情報発信を発信することで、集まったお客様と新しいチャレンジができたらなと考えています。

株式会社ビームテック 取締役 吉田甚一朗さん
株式会社ビームテック
取締役 吉田甚一朗さん

インタビューを通して:さまざまな方とのつながりを大切にする吉田さん

吉田さんは、お客様はもちろん、他の事業者さんや支援事業者さんとのつながりを大事にされています。だからこそ、さまざまな情報やノウハウが入ってくるのでしょう。ライブコマースやAR(拡張現実)にいち早く取り組んだことも関係していると思います。

今回、ビームテックはShopifyで自社ECサイトを構築されたそうですが、ECシステムの将来性もありますが、周りにいる方がShopifyを利用されているのも決め手になったと吉田さんは言います。知っている方が周りにいるからすぐに話を聞ける、相談できるというのは大きいとのことです。

人とのつながりを大切にされている吉田さんは、Twitterのスペースや、クラブハウスなどで定期的にお話しされています。ぜひ皆さん、参加してみてはいかがでしょうか? 記事にはできなかった話も聞けると思いますし、新たな交流が生まれるきっかけになるでしょう。

▼吉田甚一朗さんのTwitterアカウント
https://twitter.com/jinjinysdysd

▼株式会社ビームテックの自社ECサイト
https://dajalaser.jp/

▼株式会社ビームテックのホームページ
https://beamtec.co.jp/

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