eコマース企業が売上を伸ばすために成功する広報術とは

広報PRとは

皆さんの会社は、広告施策の他に広報PRを戦略として導入していますか?

サービスについての認知を上げるために広告に投資することは効果がありますが、果たしてそれだけで十分なのでしょうか。

サービスの認知を高めると同時に、会社そのものの社会における価値を知ってもらうために、広報PRは大きな役割を果たします。

極論のように聞こえるかもしれませんが、広告オンリーでは、中・長期的な成長が成し遂げられない、というのが私の考えです。サービスの内容を伝えることに加えて、会社がどのような考えに立って事業を進めているか、またサービスを開発しているか。言い換えると、理念やビジョンを踏まえて、ときどきの会社の動きを伝えることによって、消費者に共感が生まれます。その共感があってこそ、サービスへの関心も高まります。その意味で、広報PRは企業価値を高めることにつながるのです。

広告と広報PRがリンクすることで、さまざまなシナジー効果が生まれます。以下で、そのメカニズムについてご説明しましょう。

広告と広報PRは何が違うのか。下表に比較をまとめました。

広告と広報・PRの違いは?

広報PRのメリットとは

広報活動の成果の一つはメディアで記事になることですが、報道された企業情報は、読者・視聴者に絶大な信頼感をもたらします。それは、企業が発信する情報そのものではなく、プロの記者が書くことによって客観性が生まれるからです。

その他に私の経験から以下のメリットが生まれます。

広報PRによる経営インパクト

  • 見込客(リード)が増える
  • コンバージョン率・契約率が上がる
  • ネット上で指名検索が増える
  • 潜在顧客を増やしマーケットを拡大できる
  • 優秀な社員が採⽤できる
  • 社員のロイヤリティー、モチベーションが上がる
  • 社員の離職率が下がる
  • 資⾦調達がしやすくなる
  • 業務提携の話が増える
  • 協力会社との取引条件が良くなる

つまり、企業が社会的に認知され、信頼度が高まり、そこから商品・サービスの販売促進にもつながっていきます。

広報・PRの始め方

「そうは言ってもどこから始めたらいいのか、皆目見当がつかない」とおっしゃる方もいるでしょう。そこで、ここから少し実践的なお話をさせていただきます。

関連業界紙・誌メディアを知る

まずは、皆さんの関係する業界紙・誌を読んでください。そして、競合他社やベンチマーク企業が報道されていたら、どのような情報が報道されていたかチェックしてください。何が記事になりやすいのか、メディアの傾向がつかめるでしょう。その上で、自社の情報をプレスリリースにしてその媒体に問合せをして記者に相談してみてください。

記者とつながれば、話は聞いてもらえます。また記事化の可能性や足りない情報などアドバイスももらえる場合もあります。

業界紙・誌の次はマスメディアです。企業情報で影響力のある媒体は、産業経済紙とビジネス経済誌です。特に有力なのが、日本経済新聞、日経産業新聞、日経MJの各紙です。これらは日々、紙面構成も違いますので、チェックしてみて、業界紙・誌と同様にプレスリリースを情報提供してみてください。

加えて、日経ビジネス、週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済もお勧めします。最近では、新聞も雑誌も電子版が充実していますのでこちらも有効です。

競合他社やベンチマーク企業のサイトを活用

皆さんの会社のライバル会社やベンチマークの対象にしている会社のサイトをよくチェックしてみてください。サイト内には、「ニュース」「報道実績/メディア紹介」といった紹介コーナーを公表している会社があります。それらの会社が、どのような情報をメディアに発信しているのか、また実際にメディアに報道されているのか、リサーチができます。

つまり、検索するだけで、コストをかけずに他社の情報を手に入れられるのです。他社の広報活動を参考に自社の活動に活かすことができます。特に、類似の業種で上場・著名企業のサイトでは、これらの情報を公表しているケースが多い印象です。大企業は、広報セクションもあり、スタッフも充実していますので、多くの情報が発信されている傾向があります。

プレスリリースって、何?

企業や組織などが報道機関に向けた公式的な資料を指します。英語で「press」は「新聞」や「新聞社」を意味します。「release」は「発表」「公開」「放出」を意味します。

元々は、新聞社への情報発信から生まれたものです。書き方については、ネットで検索すれば書き方や事例も見ることができますので参考にしてください。

広報PRについて学びましょう

皆さんの会社に広報PRを本格的に導入される場合、以下を実践することをお勧めします。

その1)明るく、話し好きなスタッフの方を広報担当に据える

日々の広報活動は、メディアコンタクト=電話や面談で自社の情報を記者へ伝えることの繰り返しです。私は、広報PRは“情報の営業活動”と、考えています。皆さんの会社にも営業パーソンがいるでしょう。そうなんです。“モノやサービス”の代わりに自社の情報を記者に売り込むことが広報PRパーソンの役割になります。

できる営業パーソンは、明るく、話もうまく、人脈も多く、顧客の心を掴みスピーディーに対応します。広報PRも同様です。

その2)情報に敏感になる

広報PRパーソンは、業界動向、社内でも開発、営業、マーケティング部署の情報はもとより、関係記者の動向や関心事などさまざまな情報についてチェックをして、「何が記者のネタになるのか」を毎日意識してください。わからないことがあればすぐに検索して調べる習慣を身につけましょう。

その3)広報PRについて学ぶ

ぜひ、広報PRについての書籍を読んで基礎知識を身につけてください。

例えば、以下の書籍がお勧めです。

「【小さな会社】逆襲の広報PR術」(野澤直人著/すばる舎)
「この1冊ですべてわかる 新版 広報・PRの基本」(山見博康著/日本実業出版社)
「メディアを動かす広報術」(松林薫著/宣伝会議)

最近は広報PRに関する専門書が多く刊行されていますので、基本的な知識を身につけられます。

その他に、メディアやPRエージェンシーが主催するメディアセミナーに出席すると、直接メディアの方とも繋がるチャンスが得られます。

弊社でも、不定期ですがセミナーを開催しています。また、広報ビギナーの方のオンラインサロン「ゼロイチ広報」も主催していますので、ご関心があればご参加ください。

その4)日々の積み重ねをする

下記の広報活動のサイクルを回すイメージを持ってください。

【ステップ1】情報収集
「社内の情報」(企業視点)と「過去報道」(マスコミ視点)の両⽅を収集する

【ステップ2】情報作成
「⾃社が発信したい情報」(企業視点)と「ニュースバリューのある情報」(マスコミ視点)の接点を⾒つける

【ステップ3】情報発信
作成した情報に興味を持つ記者・編集者へ直接伝える

最後に

私は、これまで多くの企業広報活動の支援に携わってきました。中小企業の経営者の方からは、「自社は大手メーカーのように知名度もない。メディアにも取り上げてもらえないし、反響も見込めない」とあきらめの声をよく聞きます。

確かにメディアは、大きな企業について積極的に報道する傾向があります。でも、マスメディアには、中堅・中小企業やベンチャー・スタートアップ企業を紹介する紙・誌面やコーナーもたくさんあります。 広報PRを導入することで、必ず報道されるチャンスは生まれます。ぜひこの機会にチャレンジされてみてはいかがでしょうか。

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