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楽天ECコンサルタントとは
楽天のECコンサルタントとは、楽天市場の出店店舗を担当する楽天市場の社員のことを指します。出店を行った店舗には必ず担当がつき、担当店舗の売上・利益の向上を目指すため日々コミュニケーションを取っていきます。
ECコンサルタントが担当になることにより、サポート料金が発生することはありません。楽天のECコンサルタントは全国各地に支社を構えています。また、特に東京のように出店店舗数が多いエリアでは商品ジャンルよって細かくチームが編成されていることから、商品特性をより理解したコンサルタントによるサポートを受けられる可能性があるのです。
楽天ECコンサルタントはどんな業務内容をしているか
売上向上、利益改善、広告の選定や販売の提案、検索SEO改善、LPO(ページ修正)提案、イベントやお得な情報の告知、新機能の導入連絡などなど、常に100以上の店舗を担当し、電話でのコミュニケーションを主に行っています。
追っている目標は広告の販売額及び担当店舗の流通総額の2軸が主な評価対象となっており、他に上層部より展開が来る細かい新機能や仕様変更の告知や導入を担当店舗に共有することが目標になっています。
楽天ECコンサルタントの実態について
まず、ネット通販の運営経験があるコンサルタントはほとんどいません。コンサルタントの割合としては新卒入社が多く、社内では副業が禁止されているため、ネット通販を実務として運営しようとしてもメルカリやラクマなどCtoCのサービスで家にある不用品を販売するくらいです。仮にコンサルタントが楽天市場内で安く仕入れた商品を他のマーケットプレイスで販売しようものなら、懲戒免職のリスクを負わなければならないのです。
次に、異動が多いため良いコンサルタントが担当になってもすぐに変わってしまうことが多いです。短ければ3ヶ月ほど、長くても1年半ほどの期間で担当は変更になります。良い担当との出会いがあれば、店舗から継続的に連絡を取って関係をつなげ止めておくと、未来で何かメリットがあるかもしれません。
社内でのコンサルタントスキルを高めるための教育/研修は少なく、どちらかというと担当店舗と共に施策を考え、PDCAを回しながらコンサルタントも店舗も経験を積んで成長していく形です。なので、「コンサルタント」という言葉に引っ張られるのではなく、パートナーくらいの位置づけで考えると良いかもしれないですね。
また、前述の通り、彼らは約100前後の店舗を担当し、コンサルタントによっては200近い店舗を担当しています。毎月全店舗とコミュニケーションを取るコンサルタントは非常に稀で、平均で担当店舗の30~40%ほどしか、連絡を行いません。
やる気がない、コンサルタントからの連絡は対応しない、という店舗の方も少なくはありませんが、コンサルタントが担当しているお店に向いていないこともしばしばあります。
コンサルタントは会社員として目標を追っている以上、少しでも前のめりの店舗とコミュニケーションを取ろうと考えています。
要約すると下記4点が楽天ECコンサルタントの実態です。
- ネット通販の経験がない。
- すぐに担当が変わってしまう。
- 教育/研修は少ない。
- 担当数が多いため全店舗と連絡を取れていない。
上手に付き合うことで得られるメリットは?
果たして、そんなコンサルタントと付き合うことで得られるメリットはあるのでしょうか?
楽天市場で売上を伸ばす意欲がある店舗であれば間違いなく「ある」と言い切れます。
なぜかというと、
- 楽天市場内でどのお店がどの商品でいくら売れたかの情報をもっている。
- コンサルタント経由でしか購入できない広告がある。
- 楽天市場の情報をいち早く知ることができる。
他にもありますが、大きなメリットとしては上記の3点です。
あなたが物販を始めるとき、必ず販売する商品を用意しなくてはいけません。用意できる商品が売れているか、いないのかを知れるだけでも物販を行うために非常に有利に働くのは明らかです。
どのお店のどの商品がどれくらい売れているかを具体的に共有はできないですが、コンサルタントはその商品、そのカテゴリが注力すべきかどうかを定量的な情報をもとに判断できます。
広告に関してはお買い物マラソンやスーパーSALEのような大型イベントの広告は基本的にコンサルタント経由でしか購入できません。また、「見分け枠」と呼ばれる購入に際して条件が必要な広告については、レビュー数や売れ行きなどを事前に見られる審査があるため、コンサルタントに審査の依頼が必要です。とりわけ、この見分け枠は広告効果が高いため、コンサルタントと良好な関係を築いていないと告知すら来ず、売上を取りに行くチャンスを逃してしまいます。
また、コンサルタントによっては無料で広告を融通できる人間もいます。ただし、無料枠を確保するためには基本的に社内で調整が必要になるため、広告を複数購入したおまけや、かなりの在庫数を通常ではできない価格まで値下げをした際など、コンサルタントと交渉できる状況下にあることが必要不可欠です。
3点目は、頻繁に行われる楽天市場でのイベント情報や機能の改善など、店舗にとって有益な情報を随時受け取ることができるようになります。マメなコンサルタントであれば全担当店舗向けにメールで日々情報の展開を行いますが、そんなコンサルタントはほんの一握りです。楽天市場としてユーザーに還元するイベントは少なからず全体の流通に影響が出るため、上がる流通のシェアを自店舗で取りに行くためには、情報を早めに取り入れて施策へと活かす必要があるのは間違いありません。
楽天ECコンサルタントから見る出店店舗
では、どうすればコンサルタントと上手に付き合っていくことができるのでしょうか。その前に、コンサルタントから担当店舗がどのように見えているかをお伝えします。
まず、大きく分類すると下記4つに分けることができます。
流通店舗
主に仕入れ商品を中心に取り扱っている月商規模の大きな店舗。特に有名メーカーの商品仕入れを行っていたり、ECとは別に小売店を構えておりSKU数が多かったりする傾向が強いです。コンサルタントの担当している店舗群によりますが月商数千万円以上の店舗であれば、流通店舗として重宝される確率が高いです。
広告店舗
メーカーやOEMでの商品販売、独占・寡占契約で商品仕入れを行っており、利益率が高いが、商品の認知度が低いため、楽天市場内外で広告投資を行う必要がある店舗。月数十万から数百万円以上広告投資を行っている店舗が対象になります。
ポテンシャル店舗
売上規模は小さいが非常にやる気があり、売上を伸ばす意欲をコンサルタントと共有できている店舗。コンサルタントによってポテンシャル店舗の定義が異なりますが、基本的にやる気がある店舗を無下にするコンサルタントは外れです。担当変更の申し出をした方が良いでしょう。
非稼働店舗
コンサルタントから連絡をしても電話がつながらなかったり、過去にコンサルタントと問題があり一切連絡を受け取らなかったり、出店だけしているが全く運用していなかったり、その他理由でやる気のない店舗を指します。通常コンサルタントのリソースは流通店舗と広告店舗に大きく時間を割かれることから、全くやる気のない店舗に連絡をすることは業務指示を除いて稀といえるでしょう。
まず自店舗がどの立ち位置であるかを確認し、流通店舗もしくは広告店舗である場合、日頃から最低限のコミュニケーションをコンサルタントと取っているはずですので、もし不満があれば一度時間を取ってしっかりとお話をした方が良いかと思います。
ポテンシャル店舗の売上を伸ばせるかどうかは、店舗の担当者の力量はもちろんですが、コンサルタントの腕がかなり試されていきます。競合分析や検索対策が十分にできているかどうか、どの広告枠にどのように掲載をすればよいか、ネット通販の知見があったとしても楽天市場内の情報はコンサルタントでないと見ることができないため、いかにしてパートナーとして二人三脚でやっていくかが重要になります。
また、やる気が実はあるものの非稼働店舗として見られてしまっている場合は、積極的にコミュニケーションを取る必要があるでしょう。担当とどうしても合わない場合は、RMSの問い合わせフォームから担当変更の申し出をしても良いかと思います。
どうすれば上手に付き合えるようになるのか
前述しましたが、コンサルタントは平均して月に40%前後の担当店舗としかコミュニケーションを取りません。そこにいかにして食い込んでいくかが重要になります。
コンサルタントの業務は日々多岐に渡っており、忙殺されているため、彼らの「脳内シェア」を高めることが最も重要なことでしょう。
脳内シェアを高めるには日頃からコンサルタントとコミュニケーションを取り、コンサルタントに日頃からコミュニケーションを取るメリットがあることを感じさせる必要があります。ここでいうメリットは非常に簡単なものです、売上を伸ばすために考えていることがあり、それを実現するための手助けを求めることです。
「売上伸ばしたいんだけどどうすればいい?」「なんか売れる広告枠ないの?」のようなコミュニケーションであれば、コンサルタント側も人間ですので、それなりの対応になってしまうこともしばしばです。
まずは自社内でしっかり検討を行い、その判断としてコンサルタントを活用することや、そもそもどういう形で進めればよいかわからない場合は、その旨をしっかりと伝えた上、未来に向けて動いていく必要があります。
コンサルタントと日々コミュニケーションを取るにあたって必要な材料としては
- Viberの導入及びコンサルタントと連携
- 月次・年間売上目標の設定・共有
- 目標に対する定例会議への出席依頼
の3点が最低でも必要になってきます。
まずは目標を設定し、その目標に対して何をしたら良いかを自社内で検討し、それをコンサルタントとすり合わせるために会議を行いましょう。走り出したら都度発生するイベントに対しての結果のフィードバックとしてアクセス、転換率、客単価、新規顧客、既存顧客などの数字をまとめて、楽天市場の相対感とすり合わせる月例会議をできると尚良いでしょう。
月例会議までスムーズにもっていければ理想的ですが、そこに至る過程として売上を伸ばすための必要な打ち手は店舗側で用意が必要です。
やはりコンサルタントの関心を引くには「広告を買おうと思っている」という言葉が強いですが、例えば月商100万円のお店が無理をして5万円の広告を購入しても次回につながらず、その場限りで終わってしまいます。「1年かけて月商1,000万円までもっていきたい。今の利益率では月商○万円になるまで広告は使えないが、価格設定やページ作成、検索順位の改善や競合調査の点でまずはできることから売上を伸ばしたいのだが協力してもらえないか?」と相談をしてみると良いでしょう。それで動いてくれれば御の字です。社内にはやる気ある若手のコンサルタントが多いですが、もし外れだった場合は諦めて距離を置くか、担当変更の依頼を出すしかありません。

では、担当のコンサルタントが自社の方を向いて動いてくれるようになった後、具体的にどういった情報をやり取りし、自社の売上につなげれば良いのでしょうか。
- 販売を行いたい商品がどういった販売方法で売っているのか。
- 商品カテゴリごとののマーケットサイズや52週データ(週毎に1年間の流通を抽出したデータ)など、勝負を仕掛ける時期がいつなのか。
まずはこの2点をコンサルタントとすり合わせる必要があります。
特に1については具体的な施策になってくるので、この点が決まらないと売上向上は見えてこないのは明らかです。
コンサルタント一人ひとりがすべての商品の売り方に精通しているわけではありませんが、社内ではその商品の販促を経験したコンサルタントが少なくともいるはずなので、具体的にベンチマークしている商品や店舗を指し示すことで、未熟なコンサルタントであっても社内から情報を収集する方向へ行動を促すことができます。
楽天市場内で蓄積された情報や実績、経験をいかに引き出してコンサルタントを成長させ、自店舗の糧にするかが楽天市場で勝つために必要なことなのです。
最後に
コンサルタントも楽天市場の社員として働く傍ら、一人の人間として業務を行っており、100店舗前後とやり取りをしているので、1店舗と不通になったとしても他の店舗で自分の目標をカバーすることが可能です。
有償のECコンサルタントと異なり、楽天市場に出店する際に付録としてついてくる程度に考えたほうがよいでしょう。あまり多くを求め過ぎるのではなく無料のアドバイザーとして関係値を築いていくのが良い距離感かと思われます。
また、上記のコミュニケーションを取った上で、上手く行かないことがあればお気軽にご相談ください。
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