
この記事の目次
Snapchat(スナップチャット)とは?
Snapchatは、AR技術を用いた画像・動画投稿SNSです。米国を中心に3億1,900万人のデイリーアクティブユーザーがおり、日本でも10代〜20代の若年層を中心に人気を集めています。日本では、撮影した自分の顔に赤ちゃんや犬のエフェクトを付けられる機能が話題を呼び、「スナチャ」という愛称で親しまれています。
主要なSNSとユーザー数を比較すると次のようになります。
月間アクティブユーザー | 世界 | 日本 |
10億人以上 | 3,300万人 | |
TikTok | 10億人以上 | 950万人 |
4億7,000万人 | 870万人 | |
3億3,000万人 | 4,500万人 | |
Snapchat | 3億1,900万人(日) | 非公開 |
世界ではPinterestやTwitterに続いて利用されているSnapchatですが、ビジネスアカウントが日本語対応していなかったり、利用できる機能に制約があったりするため、日本では大きな注目を集めてきませんでした。しかし、2022年1月にSnapchatの強みであるAR試着機能が搭載されたことで国内でもビジネス利用の期待が高まっています。
Snapchatの基本機能
Snapchatの基本的な機能をみていきましょう。
Snapを撮る
ARフィルターを使って、写真や動画にエフェクトやテキストなどの装飾ができます。異性や子ども、高齢者に顔を変えたり、動物の顔や虹などのエフェクトを付けたりと顔を変化させて楽しむことができます。
写真・画像送信、チャット機能
撮影したSnap(写真や動画)は、友達にチャットで送ることができます。送られてきた画像や動画、メッセージは、閲覧後10秒以内にメッセージ欄から消えてしまいます。メッセージ欄に表示される時間は最長10秒まで調整でき、たった1秒だけ表示するという設定も可能です。リアルタイム通話やビデオ通話機能もあります。
ストーリー
ストーリー機能は撮影したSnap(写真や動画)を24時間限定で友達に公開できる機能です。公開範囲の設定も可能です。
SnapMap
Snap Mapは、現在地を追跡し、マップ上に「Bitmoji(オリジナルのアバター絵文字)」をピンのように配置する機能です。ズームすることでユーザーが今いる正確な位置情報を確認できます。少し時間があるときに、一緒に過ごす友達を探すことができますが、位置情報の精度が高いため、トラブルに巻き込まれないよう配慮が必要です。
Spotlight
Spotlightは、60秒後に消える縦長動画を投稿できる仕組みです。独自のアルゴリズムにより、TikTokと同様にさまざまな人の動画がタイムラインに表示されます。
EC事業者向けのショッピング機能
EC事業者向けの機能としては、2022年にリリースされたショッピングレンズがあります。
ショッピングレンズ
ショッピングレンズは、AR機能を使い、時計や靴、洋服などの商品の試着を体験できるというものです。試着画面上で、商品の説明が記載された商品情報カードが表示され、その場で商品ページに遷移し、商品を購入できます。カタログ情報と連携した商品情報が表示される点が、従来のAR試着とは異なります。
Snapchatを展開するメリット
EC事業者がSnapchatで展開するメリットをみてみましょう。
若年層向けのアプローチができる
Snapchatは10代〜20代のユーザーが多数を占めるSNSです。若年層向けの商材を取り扱うEC事業者にとっては、まさに顧客が集まる場所といえるでしょう。うまく活用することで新規ユーザーの獲得や売上拡大を狙うことができます。
試着体験を提供できる
先述の通り、Snapchatの強みはAR技術を用いた撮影機能にあります。AR機能を使って、時計や靴、洋服、メイクなどの試着体験を提供すれば、より楽しく、よりリアルなショッピング体験をスマホ上で提供できます。
返品削減効果が期待できる
ユーザーが安心して購入できるようにするには、柔軟な返品対応が求められますが、返品手続きや問い合わせ対応、再在庫などといった返品に関する業務は煩雑で、EC事業者の負担になりがちです。Snapchatで試着体験ができれば、思っていたのと違う、自分には似合わなかったなどの理由による返品を減らすことができるでしょう。
Snapchatをはじめる手順
Snapchatのアカウントは、2022年4月現在では日本語対応されておらず、英語での利用は可能です。ビジネスアカウントの作成手順は以下の通り。
- アプリをダウンロード
- 基本情報を入力しアカウント作成
- Snapchat Businessアカウント設定
ビジネスアカウント設定後は、Snapとキャンペーンを作成し広告を配信したり、Lens Web Builder Toolを使用して、試着体験に活用できるカスタムARレンズを作成したりできます。
Snapchatのショッピング機能を活用している事例
ここからはSnapchatのショッピング機能を活用している企業の事例をご紹介します。
DIOR(ディオール)
ディオールは、SnapchatのAR試着技術を活用し、「B27スニーカー」専用のバーチャルフィルターを展開しています。6種類すべての試着と、そこから公式オンラインブティックへ遷移し、商品を購入できるようになっています。
GUCCI(グッチ)
GUCCIは、SnapchatのAR機能を活用し、スニーカーの試着体験を提供しています。2種類のAR試着レンズに対応したスニーカー計4モデルが対象で、試着画面からワンタップで商品画面に直接遷移することができます。
PRADA(プラダ)
PRADAはSnapchat内に専用ページを開設し、AR試着や商品検索、購入ができるサービスを展開しています。PRADAの専用ページ上では、全身をカメラに写して身体データを3Dで計測する「3D Body Mesh」を活用した試着体験が可能です。
Ulta Beauty(ウルタビューティー)
Ulta Beautyは、SnapchatのAR試着体験機能を活用し、メイクアップ体験ができるサービスを展開しています。衛生面の懸念により、テスターの使用をためらうユーザーが少なくない中、購入前に使用イメージを確認する方法として注目を集めています。
M-A-C Cosmetics(マックコスメティックス)
MACCosmeticsは、Ulta Beautyと同じくSnapchat上でメイクアップの試着体験ができるサービスを提供しています。実店舗でのメイクの試着は、アイテムごとにメイクを落とす必要があり手間がかかりますが、ARでの試着体験ではスムーズに複数のアイテムを試すことができるのもメリットといえます。
RALPH LAUREN(ラルフ・ローレン)
ラルフ・ローレンは、ショッピング機能ではありませんが、Snapchatのアプリ内でアバターを作成できる「Bitmoji」でデジタル・ラルフ・ローレン・コレクションのコーディネートを展開しています。Snapchatユーザーは、レーサージャケットやストライプのラグビーシャツなど、男性用、女性用それぞれ6種類ずつ、計12種類のコーディネートを楽しむことができます。
おわりに
Snapchatについてご紹介しました。ビジネスアカウントが日本語対応していないため、日本ではビジネス利用が進んでいませんが、AR試着体験からスムーズに商品詳細ページに遷移できるショッピングレンズ機能は、EC事業の拡大に貢献してくれることでしょう。またSnapchatはターゲットユーザーが若年層と明確なSNSです。自社商材のターゲットユーザーと合致するEC事業者は積極的に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
合わせて読みたい