EC運用担当者の96%が業務停止を経験、セキュリティ対応とベンダーやり取りが主因に【メルカート調査】

クラウドECサイト構築プラットフォーム「メルカート」を運営する株式会社メルカート(本社:東京都港区、代表取締役社長:渡邉章公)は、「EC運用の実務調査」第2弾として、EC事業の実務担当者400名とECシステムを入れ替えた企業のEC担当者200名に対し調査を行いました。調査の結果、本来行いたい業務に取り組めず、対応に時間を奪われる場面として、セキュリティ対応や不具合などのトラブル対応を挙げた人が44.0%となりました。一方、ベンダーとの連絡・確認作業や、システムの制約を手作業で補うといった日々の運用に関わる場面を挙げた人も45.8%と、ほぼ同等の割合に達しました。トラブル対応に加えて、日常的な運用業務においても、作業が中断される状況が浮き彫りになっています。
EC運用の現場において、どのような場面で業務が中断し、どの程度の時間が費やされているのか、今回の調査結果から、その実態が詳しく紹介されています。
調査の背景
ECサイトの運営においては、販促企画や売り場づくりなど売上拡大のための業務に加え、システム関連の対応が日常的に発生しています。
2026年には大規模な個人情報漏えいが相次いで発生し、東京商工リサーチの集計によると、上場企業とその子会社が公表した100万件以上の漏えい・紛失事故は10月5日時点で10件に達し、2025年1年間の6件を既に超過しました。セキュリティ対応は、ECサイト運営においても後回しにできない重要な業務となっています。
しかしながら、作業を止めているのは、こうした目立つトラブルだけではありません。管理画面の操作方法の確認、ベンダーとの度重なるやり取り、システムで対応できない作業の手作業での補完、アップデートごとの業務手順の見直しなど、一つひとつは小さな作業であっても、日々積み重なることで、売上向上のための業務に充てられる時間を削減することになります。こうした時間は表面化しにくく、実際にどの程度の負担となっているのかが見えにくい状況にあります。
本調査は、EC運用の現場において、どのような場面で業務が中断し、システム関連の対応にどれほどの時間が使われているのかを明らかにすることを目的として実施されました。
※出典:東京商工リサーチ「上場企業『個人情報漏えい』、過去最悪ペース 〜 100万件以上、2026年はすでに10件の異常事態 〜」(TSRデータインサイト、2026年10月7日)
調査結果1:業務が止まるきっかけ、トラブルが44.0%、最多はセキュリティ対応24.8%
EC事業の実務担当者(n=400)に対し、ECサイトの運営において「本来やりたい業務ができず、対応に時間を取られた」と最も感じるのはどのような時かを質問したところ、96.0%が何らかの場面を挙げ、「そのように感じることはない」と回答したのはわずか4.0%でした。
最も多かったのは「セキュリティ対応(脆弱性・パッチ適用・診断等)が発生したとき」で24.8%となりました。「不具合・トラブルが起きて、原因の確認や対応に追われたとき」(19.3%)と合わせると、44.0%がトラブル対応を挙げています。
調査結果2:セキュリティ対応を挙げた人の73.7%が、不具合・アップデート対応に月10時間以上を費やす
不具合対応やシステムのアップデート対応のために、自分自身が使っている時間を尋ねたところ(n=400)、「10〜20時間未満」が35.8%で最も多い結果となりました。月10時間以上の合計は57.8%に達しています。
セキュリティ対応を挙げた人は、対応に使う時間が長い傾向が見られます。調査結果1で「セキュリティ対応」を挙げた人の73.7%が月10時間以上だったのに対し、挙げなかった人では54.9%と、18.8ポイントの差が確認されました。
※対応時間を「わからない」と答えた人を除いて集計(挙げた人n=99、挙げなかった人n=288)
また、月の対応時間別に、システムの対応に時間を取られたことが原因で販促施策を延期・断念した経験がある割合(「よくある」+「時々ある」)も確認されました。10時間未満の層(n=156)では73.1%、10〜20時間未満の層(n=143)では82.5%、20時間以上の層(n=88)では89.8%となりました。対応に使う時間が長い層ほど、販促の計画にも影響が出ている割合が高い傾向が見られます。
調査結果3:日々の運用で止まるのも45.8%、ベンダーとのやり取り20.8%、手作業14.5%
同じ質問で、トラブル以外の回答も確認されました。「ベンダー・制作会社への依頼や確認のやり取りが続いたとき」が20.8%、「システムでできないことを、手作業で埋めていたとき」が14.5%となりました。「管理画面での作業が煩雑で、想定より時間がかかったとき」は7.8%、「システムの仕様や制約を調べるのに時間がかかったとき」は2.8%でした。
これらの操作や確認など日々の運用に関わる場面を合わせると45.8%で、トラブルへの対応(44.0%)とほぼ同じ割合となっています。ベンダーとのやり取りの継続、できないことの手作業での補完、操作の手間など、こうした場面でも本来の業務が止まっていることがうかがえます。
調査結果4:更新のたびに、マニュアルの修正52.3%、社内への周知46.5%
システムのアップデートや改修が行われた後、自分に発生する作業を尋ねたところ(n=400)、「業務手順やマニュアルの修正が必要になる」が52.3%、「社内への周知・説明が必要になる」が46.5%でした。システムが変わるたびに、手順の修正や社内への伝達作業が発生していることがわかります。
「マニュアルの修正が必要になる」割合を月の対応時間別に見ると、10時間未満の層(n=156)では44.9%、10〜20時間未満の層(n=143)では53.1%、20時間以上の層(n=88)では69.3%となりました。対応に使う時間が長い層ほど、マニュアルの修正が必要になる割合が高い傾向が見られます。
調査結果5:システムを入れ替えても残る負担、「保守・更新の負担が想定より重かった」39.0%、「サポートの対応範囲が想定より狭かった」37.0%
ECシステムを入れ替えた企業のEC担当者(n=200)に、契約前には分からず、導入してから初めて分かった「想定外」のことを尋ねたところ、「保守・更新の負担が想定より重かった」が39.0%、「サポートの対応範囲が想定より狭かった」が37.0%、「管理画面での日々の作業が想定より煩雑だった」が30.0%となりました。システムを新しくしても、更新への対応や、操作で困った時の頼り先に課題が残るケースがあることがうかがえます。
考察:トラブルと同程度に、日々の運用でも作業は止まっている
本調査から、EC事業の実務担当者の96.0%が、本来やりたい業務ができず、対応に時間を取られたと感じる場面があることが明らかになりました。その内訳は、セキュリティ対応や不具合などのトラブル(44.0%)と、ベンダーとのやり取りや手作業などの日々の運用(45.8%)に、ほぼ同じ割合で分かれています。
セキュリティ対応を挙げた人の73.7%が、月10時間以上をシステム関連の対応に使っていました。対応に使う時間が長い層ほど、販促の延期・断念やマニュアルの修正が発生する割合も高い傾向が見られます。
一方、ベンダーとのやり取りが続く時間、手作業で補う時間、更新のたびに手順を直す時間は、一つひとつは小さな対応です。ただし、積み重なることで、売上を伸ばすための業務に使える時間を削っていると考えられます。ECシステムを入れ替えた企業でも、サポートの対応範囲や管理画面の使いにくさに想定外を感じる声がありました。
EC運用のスピードを左右するのは、トラブルへの備えだけではありません。分からないことがあった時にその場で確かめ、自分たちの手で先に進められるかどうか。それが、これからのEC運用の課題になると考えられています。
調査概要
調査1:EC事業の実務担当者を対象とした調査
調査名:EC事業実務担当者に関する調査
調査方法:インターネットアンケート
調査対象:EC事業の実務担当者(EC運営業務を勤務時間の3割以上担当している方)
有効回答数:400名
調査時期:2026年9月14日〜16日
調査2:ECシステムを入れ替えた企業のEC担当者を対象とした調査
調査名:ECシステムリプレイス関与者に関する調査
調査方法:インターネットアンケート
調査対象:過去3年以内に勤務先でECシステムのリプレイス(別のシステムへの乗り換え)を実施し、当時から在籍しているEC運営担当者(勤務先の自社ECサイトの運営業務に携わっている方)
有効回答数:200名
調査時期:2026年9月7日〜9日
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
出典元: 株式会社メルカート
