【ECの未来】売上10億円超のD2C「nairo」、UGCと顧客の声で広げる次のEC戦略

【ゲストスピーカー】
杉山 太士さん
gf.X株式会社 代表取締役社長
アパレルブランド「nairo」
【チャンネルMC】
柳田 敏正さん
株式会社柳田織物 代表取締役
ワイシャツ専門店「ozie(オジエ)」
ブランド展開の拡大と、顧客投稿を活かす新たな仕組み
柳田さん:アパレルブランド「nairo」は、2年で売上10億円を突破するなど成果を上げられていますが、今後はどのような取り組みを考えていらっしゃるのでしょうか。
杉山さん:nairo以外のブランドも取り扱うようになり、すでにサイト名も「nairo department」としています。もちろん、「nairo」というブランド自体も今後継続していきます。
また、新たな取り組みとして、「STYLE BOOK」というユーザー投稿を活用した弊社のサービスと「nairo department」を連携しました。
nairo departmentで商品をご購入いただいたユーザーが、ご自身のInstagramで「nairo_official」にメンションやタグを付けて投稿し、掲載可否をDMで確認して許諾をいただくことで、その投稿がSTYLE BOOKに掲載される仕組みです。今後は、ユーザーの投稿が集まるコーディネートメディアのような形で展開していきたいなと考えています。
UGCが購入を後押し、一般ユーザーがアンバサダーへ
柳田さん:掲載した投稿には、商品も紐付いているのですか?
杉山さん:投稿はSTYLE BOOKに掲載されるだけでなく、商品ページにも紐付いていて、商品ページ上にも表示されるようになっています。別のお客様が見たときに、その投稿を参考に購入を判断できるので、UGCが購入を後押しするような仕掛けになっています。
柳田さん:データは取れているのですか?
杉山さん:取れています。インフルエンサーと言われるような方は、フォロワーが多い分、PVも多くなる傾向があります。一方で、フォロワーはあまり多くなくても、その方の投稿を商品ページに載せると、ものすごく売れるというケースもあるのです。
今後の構想として、ユーザーからアンバサダーへの昇格プログラムを検討しています。nairo departmentで買っていただいたお客様は、皆さんnairo departmentのアンバサダーという形でやっていきたいなと思っています。
柳田さん:店舗スタッフが写真を撮ってECサイトに掲載し、そのコーディネートが売れると、投稿したスタッフにインセンティブが入るという仕組みは有名ですが、それを一般のユーザーでもやろうということですね。双方にとって良い仕組みですね。
お客様は、報酬が欲しくて投稿しているわけではないと思いますが、報酬の仕組みを知れば、「もっとコーディネート写真を投稿してみよう」という動機にもつながるのではないでしょうか。
杉山さん:チャットでさまざまなお問い合わせをいただくので、お客様と一緒にnairo departmentを作っていきたいなと考えています。
顧客の声から広がる品揃え、D2Cならではのセレクトショップへ
柳田さん:nairo departmentでは、nairo以外のブランドも取り扱っていくということですよね。
杉山さん:お客様から「このブランドを取り扱ってくれませんか」というお声をいただくこともあります。海外ブランドの場合、現地語のサイトから購入はできても、「本当に届くのだろうか」「決済は問題ないだろうか」と不安に感じる方もいらっしゃいます。
こうした声を受け、伊藤忠ファッションシステムズ株式会社と業務提携しました。時には私たちも知らないブランドがありますが、調査していただいたうえで、取り扱いが可能かどうかを判断する仕組みを作っています。
これまでのセレクトショップでは、企業ごとにバイヤーがいて、市場やトレンドに合わせて商品をセレクトしてきました。私たちはD2Cならではのスタイルで、お客様の意見を聞き、私たちが知らないブランドであっても良いと感じれば取り扱う。そうしたセレクトショップの形を目指しています。
柳田さん:すでに取り扱っているブランドもあるのですか?
杉山さん:はい。パリコレクションに出品しているフランスやカナダの3ブランドを取り扱っています。価格帯は少し高めになりますが、nairoの洋服はシンプルなので、バッグやジュエリーなどを取り入れることで新しいコーディネートが広がり、STYLE BOOKにもつながることを期待しています。
柳田さん:相乗効果がありますね。
杉山さん:2年間取り組みを進めるなかで、他のD2Cブランドからコンサルティングを依頼されることも増えてきました。私たちは生産、売り場、物流をすでに持っているので、nairo departmentに入っていただいて一緒に販売し、将来的にはプラットフォームのような存在を目指しています。
柳田さん:nairo departmentでは、商品ジャンルも幅広く取り扱っていくのですか?
杉山さん:ジャンルは検討しながらですが、最終的にはいろいろなジャンルがあっても良いかなと感じています。
柳田さん:お客様から「このブランドを取り扱ってほしい」という要望をもらえるのは、すばらしいことですよね。最初から、お客様の声をどんどん聞いていこうという方針だったのですか?
杉山さん:改めて振り返ると、そういうことだったのかもしれません。
柳田さん:一生懸命、愚直に取り組んできたからこそ、あまり意識されていないのかもしれませんが、これが企業文化なんでしょうね。
スタッフの方は実店舗で販売していた方だとおっしゃっていましたが、接客経験のある方にEC業務をレクチャーしていくことで、いつの間にかEC人材になっている。そこに伊藤忠ファッションシステムズとの提携による仕組みが加わり、取り扱うブランドも広がっているということですね。
おわりに:顧客の声が「メディア」と「棚」を作る。共創型プラットフォームへの挑戦
nairoはアパレルブランドの枠を広げ、「nairo department」として新たな展開を進めています。ユーザーの投稿を購買につなげる「STYLE BOOK」や、顧客の要望を品揃えに反映するセレクトの仕組みなど、その根底にあるのは顧客の声を起点に事業を広げていく姿勢です。
顧客の声をコンテンツや品揃えに反映しながら、ブランドだけでなく売り場そのものを育てていく。nairo departmentの取り組みは、顧客との関係を深めながら事業を広げていくうえで、一つのヒントになるのではないでしょうか。
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