株式会社小学館が、「JS研究所」（小学校低学年女児向け雑誌『ぷっちぐみ』調べ、少女まんが誌実売連続部数No.1『ちゃお』調べ）と「コロコロコミック研究所」（男子小学生向けマンガ雑誌『コロコロコミック』調べ）が実施したアンケート調査結果を共同で分析し、現代の小学生のリアルな実態として発表しました。この調査では、流行語、趣味、将来の夢など計8項目にわたり、今の小学生（α世代）が持つ多様な「好き」と「価値観」が明らかにされています。
※調査における女子は『ちゃお』『ぷっちぐみ』読者、男子は『コロコロコミック読者』として表記されています。
この記事の目次
- 1 2025年小学生年間トレンド調査 8つのトピックス
- 1.1 流行語：低学年女子、男子はネットミームの影響が強まる。高学年女子は共感ワードが定着
- 1.2 好きな有名人：女子はアイドルグループ、男子はYouTuber
- 1.3 よく見るYouTubeチャンネル：男女ともにゲーム実況チャンネルが人気
- 1.4 ゲーム：女子が一番遊んでいるのは「作る」ゲーム、男子がほしいのは「アクション」ゲーム
- 1.5 一番欲しいもの：女子は「本・まんが」、男子はホビーの「ベイブレード X」
- 1.6 趣味・熱中しているもの：女子の趣味はインドアでの活動、男子の友達と熱中しているものは外遊びやゲーム
- 1.7 宝物と大切にしているもの：女子は「ぬいぐるみ」が宝物、男子が人生で大切にしているものは「命」
- 1.8 なりたい職業：女子1位は「アイドル・歌手」、男子1位は「YouTuber」。"好き"を仕事にするクリエイター職が共通の人気
- 2 各研究所からのコメント
- 3 小学館「JS研究所」について
- 4 小学館『コロコロコミック研究所』について
- 5 調査概要
2025年小学生年間トレンド調査 8つのトピックス
１．流行語
低学年女子は「イタリアンブレインロット」、男子は「ナルトダンス」が１位となり、ネットミームの影響が強まっています。高学年女子は「やばい」など共感ワードが定着しています。
２．好きな有名人
女子はアイドル「Snow Man」、男子はYouTuber「HIKAKIN」がトップに立っています。
３．YouTuber
男女ともにゲーム実況チャンネルが人気です。「ちろぴの」「HIKAKIN」は双方でランクインしています。
４．ゲーム
女子が一番遊んでいるのは「作る」ゲーム、男子がほしいのは「アクション」ゲームという傾向があります。
５．欲しいもの
女子は「本・まんが」ほか収集できるものが人気です。男子は「ベイブレード X」など対戦ホビーが上位を独占しています。
６．趣味・熱中しているもの
女子の趣味はインドアでの活動が多く、男子の友達と熱中しているものは外遊びやゲームが中心です。
７．宝物と大切にしているもの
女子は「ぬいぐるみ」を宝物としており、男子が人生で大切にしているものは「命」という結果になっています。
８．なりたい職業
女子1位は「アイドル・歌手」、男子1位は「YouTuber」となっています。「まんが家」「YouTuber」は男女共通でTOP5入りし、クリエイター職が人気を集めています。
流行語：低学年女子、男子はネットミームの影響が強まる。高学年女子は共感ワードが定着
低学年女子（『ぷっちぐみ』読者）の流行語1位は「イタリアンブレインロット」でした。SNSの動画トレンドが低年齢層にまで浸透している様子がうかがえます。この流行語は男子（『コロコロコミック』読者）でも2位にランクインしており、性別を超えたトレンドの強さを示しています。
男子の1位は「ナルトダンス」となっています。これは動画プラットフォームでのダンスチャレンジがきっかけとなり、実際に体を動かす「体験型」の流行が見られることを示しています。
一方、高学年女子（『ちゃお』読者）では1位「やばい」、2位「それな・それなー」、4位「わかる」と、コミュニケーションを円滑にするための共感や汎用性の高い言葉が上位を占めています。この結果からは、友人関係を重視する世代の特性が表れていると言えるでしょう。
※イタリアンブレインロット：AIにより生成された架空のオリジナルキャラクターたちの総称です。韻が踏まれている各キャラクターの名前には、つい口に出したくなる中毒性があります。
※ナルトダンス：中国で流行した「科目三」というダンスを『NARUTO-ナルト-』のキャラクターコスプレで踊った動画がSNSで拡散され、日本でも流行しました。
※エッホエッホ：メンフクロウのヒナの画像に「エッホエッホ」という擬音をつけた投稿がはじまりです。そこから派生し、TikTok上で「エッホエッホ」という音声に合わせて、友人同士などで踊る動画が話題となりました。
※〇〇界隈：元々は特定の地域を指す言葉ですが、転じて「同じ趣味や関心を持つ人々のコミュニティ」を指す俗語として使用されています。「推し活界隈」「ゲーム界隈」などの使われ方をします。
好きな有名人：女子はアイドルグループ、男子はYouTuber
女子の好きな有名人1位は9人組男性アイドルグループの「Snow Man」、2位は「Mrs. GREEN APPLE」となり、音楽やダンスと関わりのあるアーティスト・クリエイターが多く選ばれています。
一方、男子は1位「HIKAKIN」、3位「はじめしゃちょー」と、トークやリアクションで魅せるトップYouTuberが上位に入る結果となりました。女子はアイドルやアーティスト、男子は動画クリエイターと、それぞれ異なる世界に憧れを抱いていることがわかります。
※Mrs. GREEN APPLE：若者を中心に絶大な人気を誇る3人組バンドです。
※しなこ：原宿系インフルエンサーとして活躍しています。
※すとぷり：動画配信サイトなどを中心に活動する6人組のエンタメユニットです。メディア出演時にはイラストで登場することが特徴です。
※まいぜんシスターズ：ゲーム『マインクラフト』の実況動画で知られるぜんいちとマイッキーというオリジナルキャラで構成された2人組です。
※あばれる君：ハイテンションで力強い芸風で人気の芸人です。近年はクイズ番組やゲーム番組でも活躍しています。
よく見るYouTubeチャンネル：男女ともにゲーム実況チャンネルが人気
YouTubeチャンネルでは、「HIKAKIN」や、『マインクラフト』などのゲーム実況で人気の男女2人組「ちろぴの」が男女双方でランクインしています。これは、魅力的なYouTuberや動画配信者は性別を問わず人気となっていることを示しています。女子は、原宿系インフルエンサーの「しなこ」さんや、エンタメユニット「すとぷり」などのエンタメ・音楽系のチャンネルも上位に入っている傾向があります。
※カラフルピーチ：個性豊かな男女混合ゲーム実況グループです。
※ゆうき：対戦ホビー『ベイブレード』やゲーム『フォートナイト』の動画で人気のYouTuberです。
ゲーム：女子が一番遊んでいるのは「作る」ゲーム、男子がほしいのは「アクション」ゲーム
女子の「一番遊んでいるゲーム」ランキングでは、1位に島でのスローライフを楽しむ『あつまれ どうぶつの森』（2020年発売）、2位に『マインクラフト』（Switch版2017年発売）がランクインしました。自分で世界を作ることができるゲームを、発売年に関わらず長く楽しむ傾向がうかがえます。5位の『ロブロックス』も同様にユーザーがゲームを制作できるプラットフォームで、女子の「創作志向」が表れている結果となっています。
男子の「ほしいゲーム」ランキングでは、1位『ドンキーコングバナンザ』、2位『マリオカート ワールド』、5位『スーパー マリオパーティ ジャンボリー』と、最新のアクションゲームやパーティゲームが上位を占めました。友達や家族と集まり、対戦や協力プレイで一緒に盛り上がれるゲームが男子小学生の心を掴んでいるようです。
なお、世界的な人気を誇る『マインクラフト』は、男女ともにTOP5入りする結果となっています。
※ポケポケ：2024年10月に正式サービスを開始したスマートフォン向けアプリ『Pokémon Trading Card Game Pocket』の略称です。手軽にポケモンカードのコレクションや対戦が楽しめます。
＜商品情報＞タイトル：『Pokémon Trading Card Game Pocket（ポケモン トレーディングカードゲーム ポケット/略称：ポケポケ）』
※スプラトゥーン３：インクを撃ち合う陣取りゲームで、オンラインでの対戦が人気です。
※ロブロックス：ユーザーがゲームを制作・共有できるオンラインゲーミングプラットフォームです。
※ポケモンレジェンズ Z-A(ゼットエー)：2025年10月16日に発売された『ポケットモンスター』シリーズの最新作です。
一番欲しいもの：女子は「本・まんが」、男子はホビーの「ベイブレード X」
女子の「一番欲しいもの」は「本・まんが」がトップとなりました。また、3位にキッズアミューズメントゲーム『ひみつのアイプリ』で使える「アイプリカード」、4位に「推しグッズ」がランクインしています。これらの結果からは、コレクションしたものを見せ合ったり交換したりして、友達とコミュニケーションを取っている様子が想像できます。
一方、男子は1位の対戦ホビー「ベイブレード X」をはじめ、4位「ポケモンカード」、5位「デュエル・マスターズ」と、人気のトレーディングカードゲームが上位に入っています。集めるだけではなく、戦って遊べるものへの人気が高いという結果になっています。
趣味・熱中しているもの：女子の趣味はインドアでの活動、男子の友達と熱中しているものは外遊びやゲーム
女子の趣味は「絵を描く」「読書・まんがを読む」といったインドアでの活動が上位を占めています。3位の「アイプリ関連」は、ゲーム『ひみつのアイプリ』や関連グッズの収集などを指しており、女子の趣味の傾向が見て取れます。
男子が友達と熱中しているものとしては、「ゲーム」が最も多く、次いで「鬼ごっこなどの外遊び」や「サッカー」など、体を動かす遊びも上位に入っています。男子は友達との交流において、より身体的・対面的な活動を好む傾向が示されています。
宝物と大切にしているもの：女子は「ぬいぐるみ」が宝物、男子が人生で大切にしているものは「命」
女子の「宝物」ランキングでは、1位に「ぬいぐるみ」、2位に「家族」がランクインしました。また『ひみつのアイプリ』の人気を反映して「アイプリカード」が3位、「推しグッズ」が4位に入っています。小学生の間でも推し活が盛んとなる中で、家族やぬいぐるみなどと同じくらい、推しを宝物として大切にしている様子がうかがえる結果となっています。
男子の「大切にしているもの」ランキングでは、1位「命」、2位「お金」、4位「家族」、5位「勉強」と、小学生ながらも現実的で真面目な回答が上位を占めています。その一方で、3位には「楽しむこと」がランクインし、遊び心を大切にする『コロコロコミック』の読者らしい回答も見られます。
なりたい職業：女子1位は「アイドル・歌手」、男子1位は「YouTuber」。"好き"を仕事にするクリエイター職が共通の人気
女子のなりたい職業1位は「アイドル・歌手」、男子は「YouTuber」が1位となり、憧れの職業像に大きな違いがあることがわかりました。女子は2位「パティシエ」、3位「イラストレーター・画家」といった"好き"を形にするクリエイティブな職業が上位を占める傾向にあります。
一方、男子はTOP4をゲーム・動画配信関連が占めており、エンターテインメントが「見るもの」から「自分もなりたい職業」として強く意識されている様子がうかがえます。
このような中で、「まんが家」と「YouTuber・VTuber」は男女ともにTOP5にランクインしており、物語やコンテンツを自ら創り出すクリエイターは、性別を問わず小学生の憧れの対象となっていることが示されています。
各研究所からのコメント
JS研究所 『ちゃお』 からのコメント
今回の調査では、男子と女子で異なるカルチャーへの憧れがありながらも、YouTubeやゲームといったデジタルを通じた共通の"好き"が生まれていることが印象的だったとコメントされています。α世代の小学生たちは、自分の世界を自由に編集し、発信することに自然と親しんでいるようです。そうした新しい感性を持つ子どもたちの「好き」や「夢」を、作品や企画を通して応援していきたいと考えているとのことです。コロコロコミックとの共同調査により、これまで見えづらかった"男女のリアルな価値観のちがい"を立体的にとらえることができたと述べられています。
『ぷっちぐみ』からのコメント
「ぷっちぐみ」でのトレンドアンケートは、女の子の好きなものが集まった王道という印象の結果になったとコメントされています。特に今年の「ぷっちぐみ」はふろくや記事の影響もあり、「ひみつのアイプリ」の人気がとても高く、その結果もかなり反映されていると感じられているようです。
コロコロコミック研究所 コメント
今回の共同調査では、男女それぞれの嗜好の違いを持ちながらも、動画・ゲーム・SNSを起点に"好きの交差"が起きていることが明確に見えたとコメントされています。流行語では、低学年女子1位の『イタリアンブレインロット』が男子でも2位に入るなど、SNSミームが性別を超えて浸透していることが指摘されています。YouTube視聴でも『HIKAKIN』『ちろぴの』が双方で上位となり、共通の娯楽体験が生まれています。また『マインクラフト』が男女ともTOP5に入るなど、創作や共同体験への志向も一致し始めているようです。さらに"まんが家""YouTuber"が男女共通の憧れ上位に入り、デジタル時代ならではの"自分もつくる側に回りたい"という意識が広がっていることがわかったと述べられています。共同調査により、単独では見えない交差点を立体的に捉えることができたと感じているとのことです。
小学館「JS研究所」について
「JS研究所」は、2022年8月より発足した研究機関です。小学館が発行する女のコ雑誌『ぷっちぐみ』、少女まんが誌『ちゃお』の編集部員がタッグを組み、女子小学生のリアルを紐解くプロジェクトとして活動しています。
『ぷっちぐみ』、『ちゃお』では、これまでにも定期的に読者アンケートを実施し、誌面づくりやパートナー企業への情報提供に活用してきました。この読者アンケートは毎月熱心に雑誌を読んでくださっている、お子様とそのご家族の方が、手書きのアンケートに回答いただく形式を創刊以来続けてきたとのことです。
編集部には毎月、両誌併せて5000枚近くのハガキが届くそうです。両編集部からの視点で女子小学生のリアルを定期発信する他、こうした取り組みに賛同いただける企業の皆様と様々なプロジェクトでご一緒できればと考えているとのことです。
小学館『コロコロコミック研究所』について
『コロコロコミック』は1977年の創刊以来、男子小学生のバイブルとして愛され続け、平均月間発行部数は30万部（対象は約150万人なので、ペイドメディアとしては約20％にリーチ）という、圧倒的なホビー＆エンタメ情報＆おもしろマンガ雑誌としての地位をいまなお確立しています。
『コロコロコミック』のコンテンツ力と読者のパワーを活かした、より面白くより新しい企画を提案していきたいという思いから、2024年7月号で記念すべき創刊555号を迎えたタイミングでプロジェクトを発足したとのことです。
今後は、コロコロコミック読者のリアルな声を誌面の企画づくりをはじめ、すでに始まっている地方創生やエデュテイメイント分野などの取り組みを皮切りに、新鮮味あふれるコラボレーションにも繋げていく予定だそうです。
調査概要
共通項目
- 調査対象：読者またはそのご家族
- 調査機関：自社調査
「好きな有名人」、「よく見るYouTubeチャンネル」、「ゲーム」（※コロコロコミックを除く）「一番欲しいもの」、「趣味・熱中しているもの」、「宝物・人生で大切にしているもの」、「なりたい職業」に関する調査
『ちゃお』
- 調査期間：2025年5月1日～5月30日
- 集計数 ：1000
- 調査方法：雑誌のハガキアンケート
『ぷっちぐみ』
- 調査期間：2025年5月 1日～ 6月30日
- 集計数 ：1000
- 調査方法：雑誌のハガキアンケート、Web
『コロコロコミック』
- 調査期間：2025年4月15日～5月14日
- 集計数 ：917
- 調査方法：雑誌のハガキアンケート
「ゲーム」に関する調査
『コロコロコミック』
- 調査期間：2025年8月12日～9月11日
- 集計数 ：1000
- 調査方法：雑誌のハガキアンケートおよび一部WEBアンケート
「流行語」に関する調査
『ちゃお』
- 調査期間：2025年9月1日～9月30日
- 集計数 ：1000
- 調査方法：雑誌のハガキアンケート
『ぷっちぐみ』
- 調査期間：2025年9月 1日～ 10月31日
- 集計数 ：1000
- 調査方法：雑誌のハガキアンケート、Web
『コロコロコミック』
- 調査期間：2025年10月15日～11月13日
- 集計数 ：480
- 調査方法： WEBアンケート
出典元：株式会社小学館 プレスリリース
